東京ガイド

ローカルエキスパートによる都市生活者のためのベストガイド

バンコクナイツ
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バンコクナイツ

夜の街を駆け抜けるトゥクトゥク、きらめく歓楽街。バンコク独特の熱気とイサーン地方ののんびりした空気を含んだ本作は、映画『サウダージ』などで知られる、映像集団「空族」の富田克也と相澤虎之助が10年の構想を経て完成させたロードムービーだ。 タイのタニヤ通りという、実存する日本人専門の歓楽街で娼婦として働く主人公のラックと、日本に居場所を失くし、タイに渡った元自衛隊員のオザワが再会し2人の物語は動きだす。『サウダージ』に続き本作も、現地の人々を役者として起用しており、監督の冨田は信用を得るために何度もタニヤを訪れた。そして、カメラが入り込むことは困難と思われていたタニヤのホステスクラブや、そこで働く女性たちが本作には登場している。 物語はバンコクから、ラックの故郷であるタイの北部イサーンへと移り、ラオスの山岳地帯に到達する。このオザワとラックの旅を通して、ベトナム戦争の傷跡や、この国の悲しい歴史が映し出されていく。また、作品のキーとなるラオスやイサーン地方に伝わる「モーラム」というタイの伝統音楽が場面を彩る。音楽の監修は、アジアの音楽を紹介するイベントなどを開催している、DJユニットSoi48が担当した。そのほかにも、1970年代にタイの学生運動のなか結成された、フォーク・バンド「カラワン」のリーダー、スラチャイ・ジャンティマトンや、人間国宝となったモーラム歌手のアンカナーン・クンチャイが出演しており、アンカナーンがラックに語る言葉が歌になっていくシーンは印象深く、モーラムの素晴らしさを感じられる。 空族による、アジア裏社会をテーマにした映像作品三部作最終章となる『バンコクナイツ』。「外から見れば楽園、なかに入るとそれは変わる」というセリフが劇中にあるように、外からでは知り得ない、タイの内側に寄り添った現実を見ることができるだろう。そして空族が案内するこの楽園を一緒に旅してほしい。 公式サイトはこちら 2017年2月25日(土)テアトル新宿ほかロードショー  (c)Bangkok Nites Partners 2016 テキスト:平塚真里

日本全国を堪能できる旅する新虎マーケット、2月24日オープン
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日本全国を堪能できる旅する新虎マーケット、2月24日オープン

虎ノ門ヒルズから新橋駅に向かって伸びる新虎通りに2017年2月24日(金)、日本全国の魅力を堪能できる施設、旅する新虎マーケットがオープンした。旅するスタンド、旅するストア、旅するカフェからなる同施設は、約3ヶ月ごとにテーマと出展自治体を替えながら食や酒、伝統工芸、特産品など、それぞれの地域の魅力を様々な視点から体験できるというものだ。ここでは、東京にいながらも日本のあらゆる土地へ旅したような気分に浸れる同施設をレポートする。        旅する新虎マーケットの幕あけとなる2月から6月のテーマは「木の芽風と薫風」とし、山形県山形市、神奈川県湯河原市、富山県高岡市、山口県宇部市、愛媛県今治市と、このテーマを表すかのような澄んだ風の吹く情景が似合う5つの街が現在出展している。そして、新虎通り沿いに設けられている4つのスタンドでは、山形市、高岡市、宇部市、今治市がそれぞれの自慢の食を提供している。たとえば、『今治タオル』でおなじみの今治市。今治市のスタンドでは、『今治焼鳥』や『ミニ今治焼豚玉子飯』などのグルメや、名産の柑橘を使用したサワーやソーダを楽しむことができるのだ。なかでも絶品なのが『せんざんぎ』。『せんざんぎ』とはいわゆる唐揚げのことなのだが、しっかりと下味が付けられている『せんざんぎ』は、ニンニクの風味もよく効いて絶品。ビールと一緒に夢中で頬張りたくなる味わいだが、ここではぜひ『柑橘生絞りサワー』と堪能したい。             そのほか、高岡市のスタンドではとろろ昆布がトッピングされた高岡流のおでん、宇部市のスタンドでは宇部のワタリガニと筍が用いられた『クラブケーキバーガー』、山形市のスタンドではソウルフードとも言われる『芋煮』や山形牛を使用した洋食メニューなどが用意されている。また、旅するカフェでは、スタンドとはまた違ったメニューが提供されるので、とことん食を味わい尽くしたい人はこちらもチェックしてみよう。         おでんの出汁ととろろ昆布の相性が抜群。高岡市ではこのスタイルが基本のようで、家庭でおでんを食べる際もとろろ昆布を乗せるのだそう               通常はこの3倍ほどの大きさのバーガーを提供。なお、宇部市のスタンドはテイクアウトのみとなっている           食材や味噌は山形市より取り寄せている         それぞれの食を堪能した後はショッピングも忘れずに。三越伊勢丹が全国から厳選したアイテムを販売する旅するストアでは、「旅感(RYOKAN)」をコンセプトに選ばれた商品のほか、各期間のテーマに合わせたアイテムも数多く取り揃えられるので、よりそれぞれの地域を感じることができるだろう。                               また、2017年3月31日(金)までは旅するポップアップとして、湯河原町の足湯が登場中。湯河原町から毎日届く温泉を使用した足湯となっているので、最後に疲れを癒して帰るのも良いだろう。       今後は、7月から9月に「物語」、10月から12月に「寄合」というテーマを設けて展開されていく旅する新虎マーケット。次回はどんな地域のグルメやアイテムに出会えるのか、虎ノ門から日本全国を旅するべく、テーマが替わるごとに毎回足を運びたくなるような施設だ。 旅する新虎マーケットの詳しい情報はこちら

豊かなバリアフリー空間。御谷湯の試み
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豊かなバリアフリー空間。御谷湯の試み

墨田区、本所吾妻橋駅から徒歩10分ほどで辿り着く御谷湯は、1947年創業の老舗銭湯。かつては天高く伸びた煙突と痛いほどに熱い湯(最も高温のもので46度以上あったらしい)という下町の銭湯らしさが残る一軒だったが、2015年に行った大幅なリニューアル工事では、徹底的なバリアフリー対応や檜造りへのこだわり、半露天風呂の増設など、利用者にとってより快適で満足感のある場所となることを目指した。建物が5階建てのビル(銭湯施設は1階、4階、5階のみ)へと変わり、かつての姿を懐かしむ常連客もいるようだが、レトロさを失ってもなお余りある魅力や見どころが、現在の御谷湯にはある。   設計を手がけた建築士の今井健太郎は、銭湯の伝統的なスタイルにモダンさを融合させる優雅なデザインに定評があり、池尻大橋の文化浴泉や、学芸大学の千代の湯、千駄木ふくの湯、戸越銀座温泉など多数の銭湯で改装を手がけてきた。彼とともに、御谷湯は二代目主人の念願であったバリアフリー化に取り組んだ。その試みの最たるものが、一階にある福祉型家族風呂である。   介護が必要な人(要支援または障がい者手帳を持っている人)とその家族が広い浴室を貸し切って入浴を楽しめるこの浴室は、回転椅子付きの浴槽があるほか、当事者用の浴槽に介助者用の浴槽が連結しているなど、快適な入浴介助のための設備が整備されている。法律上、銭湯の混浴は家族と言えども禁止されているため、当初はサービスを行えなかったが、昨年に許可を得られたという。 床の素材も滑りにくく、また、御谷湯の建物全体がそうなのだが、床の段差は極力排除されている。脱衣所から浴室までもほぼフラットだ。湯は一般向けの銭湯と同じ黒湯温泉で、掛け流し式となっている。風呂桶や壁には檜がふんだんに使われているのだが、質素になりがちなこうした用途の施設だからこそ、このゴージャスな作りは利用者にとって嬉しいはずだ。実際、遠方から利用しにくる常連客もいるとか。料金は1人90分で1,500円。   一般客が利用する銭湯は4階と5階で、各階が男湯と女湯に分かれる。ビル型の天井の低さを逆手にとり、洞窟のような雰囲気に仕上がっている4階と、逆にビル型とは思えない天井の高さが開放的な5階。湯船の種類や内容も各階でそれぞれ異なるものが用意されている。それゆえ男湯と女湯は週ごとに入れ替わり、さらに両階にある薬湯の種類は日替わりで、となれば、いかに銭湯離れが進む昨今とはいえ、常連客の心を掴むに充分だろう。       高い天井と差し込む日差しが清々しく気持ちが良い5階。圧巻のペンキ絵は、名人丸山清人に葛飾北斎の『富嶽三十六景』から『甲州三坂水面』を依頼し、描き上げてもらったもの。湯船は、高温温泉(約43~45度)、中温温泉 (約39.5~42度)、低温温泉 (約25度)と3つの温度に分かれている。さらに大きなガラス窓からスカイツリーが望める半露天風呂、さらに薬湯も半露天風呂となっている。       両階共通で薬湯やジェット風呂、マッサージ風呂、座風呂もある。スーパー銭湯なみの種類の豊富さだ。      金色のタイル絵が重厚な雰囲気を醸している4階の浴場。湯船は、こちらも高温、中温、低温に分かれたものがあるほか、体温とほぼ同じ約35〜36度に設定され心臓への負担が少ない「不感温温泉」は、長時間浸かれる心地よさと薄暗い洞窟のような雰囲気で、ファンが多い。        両階とも浴槽には手すりがあり、また、足腰が悪くてもまたぎやすい

ブラインドサッカー・ノーマライゼーションカップについて知りたい5のこと
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ブラインドサッカー・ノーマライゼーションカップについて知りたい5のこと

写真:日本ブラインドサッカー協会 テキスト:星野恭子 2017年3月20日(月)の祝日、埼玉県のフットメッセ大宮にて、ブラインドサッカーの大会、『ノーマライゼーションカップ』が行われるのを知っているだろうか。最近パラスポーツという言葉はよく聞いても、まだ実際に試合を観戦したことがないという人は多いだろう。今大会は日本代表が王者ブラジルをホームに迎えて行う貴重な試合で、しかも無料で観戦できるので、パラスポーツビギナーにも、ずっと観戦を続けている人にもおすすめだ。どんなことを知っていたらもっと楽しめるか、紹介したい。 1. ブラインドサッカーは音を頼りにプレイする。 ブラインドサッカーは、視覚障害があるフィールドプレイヤー(FP)4人と、晴眼者または弱視者が担うゴールキーパー(GK)との5人制のサッカーで、パラリンピックの正式競技。公平に競技できるように、FPは皆アイマスクをつけ、全く見えない状態でプレイする。頼りにするのは、転がると音が出る特製のボールや、チームメイトや相手選手の声や気配。例えば、ゴールの位置やシュートのタイミングは相手ゴール裏にいるガイド(コーラー)の指示などをもとに選手が判断する。衝突防止のため、ゴールを奪いにいく選手は「ボイ(Voi)」と声を出すのがルール。ボイは、スペイン語で「行く」を意味する。40m×20mのフットサルのピッチを使うが、ボールや選手がピッチ外に飛び出さないように、 サイドラインには高さ1mほどの壁が立っているのが特徴。壁は、選手が自分の位置を把握することにも使われる。アイマスク着用が信じられないほど俊敏な動きでピッチ内を自由自在に走り回り、ボールを巧みに扱う選手たちの姿には、きっと驚かされるだろう。 2. 最高の応援は、黙って見守ること。 ブラインドサッカーでは、「音」が競技の鍵を握る。選手が音からの情報を十分に得られるよう、観客にはプレイ中、静かに見守ることが求められる。特にゴール前の攻防ではボールの行方を知ることが重要なので、「あ~」などのため息は厳禁。ぐっと我慢しよう。とはいえ、見えない選手にとって、声援が力になることは間違いない。応援リーダーの指示に従えば安心だ。特にゴールが決まった時は大声援で讃えよう。選手はその声で、シュートの成功を知ることができるのだ。 3. パラリンピック4連覇の絶対王者ブラジルが来日する。 ブラジルはブラインドサッカーがパラリンピック正式競技になった2004年アテネ大会以来、昨年のリオデジャネイロ大会まで4連覇中で、世界ランキング1位の圧倒的な強さを誇る。選手それぞれが個人技に長け、またチームプレイもレベルが高い。今回、金メダルを獲ったチームの主力がほぼ来日する予定だ。ブラジルには、決定力のある二枚看板がいる。現在まだ来日メンバーは確定していないが、ひとりはパラリンピック3大会連続出場でキャプテンのリカルド・アウベス選手は必見だ。技術的にも精神的にもブラジルの大黒柱。リオ大会では、1対0でイランを下した決勝で値千金のゴールを決めたのもアウベス選手だ。もう1人はジェフェルソン・ゴンサウベス選手で、スピードに乗ったドリブルで相手守備陣を次々と交わし、シュートを放つ高い個人技に目が惹きつけられるはずだ。 4. 日本代表は攻撃面を強化し成長中。 日本代表はこれまで、親善試合なども含めブラジルと6戦して未勝利だ。だが、2015年11月に就任した高田敏志監督のもと、以前から定評ある守備をベースに、攻撃的なプレイモデルにも取り組み、昨年は強豪中国から初勝利を挙げ、アジ

エディターズ・ピック

東北アップデート:希望のブランコ
トラベル

東北アップデート:希望のブランコ

タイムアウト東京 > トラベル > 東北アップデート:希望のブランコ マイケル・アノップが、宮城県気仙沼市のとある公園で遊具を修理していると、近くのガソリンスタンドで給油をしていた男性がポンプを止めて彼に歩み寄り、握手を求めてきた。「彼は、この辺りには子どもたちが遊べる場所が全然ないんだと言っていた」と語るアノップはマサチューセッツ生まれのアメリカ人。NPOのプレイグラウンド オブ ホープを主宰し、2011年の東日本大震災で被災した町に子どもたちが遊べる公園を作る活動を続けている。「本当に何もないところへあなたが来てくれ、こうして遊具を直してくれる。感謝の気持ちでいっぱいです」と彼は語ったそうだ。 1989年から東京で暮らすアノップは、3.11の大震災の直後にSAVE南相馬プロジェクトに参加。その翌年には、事故を起こした福島原発周辺の放射線避難指示区域と隣接する町々へ、定期的に新鮮な食材や飲料水を届けた。 アノップはそこで、仮設住宅で暮らす人々が近所付き合いをする機会が、食料を積んだトラックが到着する日しかないようだと気が付いた。男たちは並んでたばこをふかし、女たちがおしゃべりをしている。その間、子どもたちはコンクリートで固めただけの駐車場を走り回っていた。 母親が「危ないから駐車場で遊ぶのは止めなさい」と叫ぶ声を何度も聞いたという。「そこで、ここに仮設ブランコを作ってあげられないだろうかと考えたんだ」。そしてすぐにアメリカのレインボープレイシステムズという会社に木製の遊具セットを納めている知り合いに連絡をとったところ、破格の条件でアノップに日本での販売権を与えることを承諾してくれたそうだ。

西荻窪、ご近所ガイド
Things to do

西荻窪、ご近所ガイド

絶大な人気を誇る吉祥寺の隣にある街、西荻窪。土曜日や日曜日になると快速電車は通過してしまうし、大きな商業施設やシネマコンプレックス、さらにはスターバックスもない。しかし、そういったものがないからこそ、西荻窪は良いのだ。個人経営の店が多いため人と人との繋がりを感じられたり、ゆったりと流れる時間が人に合わせる必要はないと物語っていたり、生活感が滲み出ていたりと、この街は「西荻窪」という個性をしっかりと持っている。そして、その個性があることによって、ディープな店や面白い店がとても多いのだ。ここでは、一度食べたら忘れられないカツ丼からトキメキがたっぷり詰まったショップ、時代を飛び越えられるような老舗の喫茶店、看板猫やフクロウと酒が飲める居酒屋、21時からオープンするリサイクルショップなど、西荻窪で足を運びたい20のヴェニューを紹介する。

台湾人は親日ではなく懐日。台湾で成功する術とは
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台湾人は親日ではなく懐日。台湾で成功する術とは

2014年、2015年と、過去2回の開催も大好評であったタイムアウト東京が主宰するインバウンドセミナー『世界目線で考える』台湾編の3回目となるトークイベントが、2017年2月2日、タイムアウトカフェ&ダイナーにて開催された。「台湾人が日本に来る理由」というメインテーマから台湾で失敗しない秘訣まで、とても濃い時間となった同イベント。ここでは、その様子をレポートする。

行くべきか、北アルプス国際芸術祭。2017年初開催の芸術祭に注目
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行くべきか、北アルプス国際芸術祭。2017年初開催の芸術祭に注目

2016年は定番の『瀬戸内国際芸術祭』などのほか、新たに開催された『さいたまトリエンナーレ』や『茨城県北芸術祭』なども加わり、もはや参加アーティストはおろか開催地を把握することすら難しくなってきた印象のある芸術祭たち。2017年も、初開催のものや大規模な『横浜トリエンナーレ』など注目のイベントの開催がアナウンスされてきている。そんななか、6月から7月にかけて長野県で初めて開催される『北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~』の情報が徐々に出揃ってきた。総合ディレクターを務めるのは、芸術祭ではおなじみ、アートフロントギャラリーの北川フラムだ。芸術祭について、出品作家の作品イメージとともに紹介するので、美しい夏の小旅行にふさわしいか判断する材料にしてもらえたら幸いだ。 布施知子 作品イメージ:《無限折りによる枯山水》 会場となるのは長野県北西部の大町市。JR大糸線の信濃大町駅へは松本駅から電車で50分、北陸新幹線を使うなら東京駅から1時間20分の長野駅から急行バスで60分の距離にある。決して近いとは言い難いが、松本までも新宿から特急電車や高速バスが出ているので、ショートトリップには最適と言えるかもしれない。苦学生であれば、高速バスと電車を乗り継げば片道4,000円程度だし、到着後の移動も見越して友人を誘いレンタカーという手ももちろんいいだろう。 しかし、そもそもなぜアートを観るために地方へ行く必要があるのだろうか。旅行を伴う芸術鑑賞が満足のいくものになるかどうかには、多くの場合その土地が持つ魅力も大きく関わっている。この手の芸術祭の母とも言うべき『ヴェネツィアビエンナーレ』を擁する水の都は言うまでもないことだが、日本での成功例である瀬戸内もまた土地自体が強い磁力を感じさせる。また、年を重ねるごとに支持者を獲得している新潟県『大地の芸術祭』は、作品鑑賞のために費やされる移動距離の長さでも知られるが、この移動そのものや様々な景色と出会う体験が、来訪者にとって好ましい影響を少なからず与えていることも見逃せない。 『大地の芸術祭』に出品されたカサグランデ&リンターラ建築事務所『ポチョムキン』 通俗的なアートツーリズムと言われればそうなのかもしれないが、景色や食を通じてその地の風土を感じることも十分に文化的な営為だろう。まだ罪悪感が拭えなければ、ランドアート(アースワーク)が「場所」や「風景」を作品から切り離せないものとしたように、芸術祭もまたアート体験に新たな軸を持ち込んだのだとでも無理矢理に考えよう。美術館のコレクションだけがアートではない、と。慧眼の建築史家、五十嵐太郎が『ネットTAM』内の『芸術祭はどのように始まったのか』で教えてくれているように、クリスト&ジャンヌ・クロードによる大がかかりなプロジェクトなどを古くからサポートしてきたアートフロントギャラリーが、現在の日本の芸術祭シーンの一翼を担っていることはその意味で興味深いことだ。 川俣正 作品イメージ さて、それでは『北アルプス国際芸術祭』ではどんな光景を見ることができるのだろうか。大町市は、3000m級の山々が連なる北アルプスの麓に位置する町。美しい山々や湖、自然豊かな温泉郷、趣深い町屋の家々など、見るべきものはたくさんあるが、注目したいのはダムだ。黒部ダムを望む立山黒部アルペンルートの玄関口として知られる大町にもまた多くのダムがあり、この重厚な近代土木建造物が鎮座するエリアにも作品は展開される。作品が設置される具体的な場所に関しては未定のものもあるが、ダムを舞

日本の旅と百貨店の魅力を伝える冊子がリニューアル
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日本の旅と百貨店の魅力を伝える冊子がリニューアル

タイムアウト東京は、三越伊勢丹グループと『88 things to do in Japan featuring Isetan Mitsukoshi』をリニューアル発行。前回は英語のみでの発行だったが、今回はドイツ語との2言語で展開している。 本誌では、全国にある三越伊勢丹グループの伊勢丹、三越、丸井今井、岩田屋の店舗を、定番の「TODO(=そこでしかできないこと)形式」で紹介。デパ地下や日本らしいギフトラッピングの体験はもちろん、屋上にある神社への参拝や、大理石の床や壁に化石が隠れていることなどについても取り上げているので、買い物だけでなく、様々な百貨店の楽しみ方を知ることのできる一冊となっている。 そのほか、全国の店舗を訪れながら巡ってほしい観光スポットやレストラン、宿泊施設の情報も満載。大自然の中でゆったりと湯に浸かれる黒川温泉や、熱々のうちに味わいたい揚げもみじ、ぜひ一度は体験したい函館の夜景などを紹介している。 残念ながら海外のみでの配布となるのだが、恵比寿のタイムアウトカフェ&ダイナーには本誌を置いているので、ぜひ読みに訪れてほしい。

ハイブリッド占い 2/20-2/26
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ハイブリッド占い 2/20-2/26

イラスト上野桃子、テキストNOT FOR SALE

世界目線で考える。

世界目線で考える。ショッピング編

世界目線で考える。ショッピング編

タイムアウト東京が主催するインバウンドセミナー『世界目線で考える』の2017年第2回目は、ショッピング編と題し、株式会社三越伊勢丹ホールディングス マーケティング戦略部の瓦林恭子、森ビル株式会社 商業施設事業部の石川哲史、株式会社JTBコミュニケーションデザイン インバウンドプロモーション推進室の滝川貴志と、3人のエキスパートをゲストに招き開催する。爆買いブームで一躍注目を浴びた訪日外国人によるショッピング市場は一転し、ブーム終焉が盛んにメディアを通じて報じられている今、実際に現場では何が起きているのか。爆買いブーム以前から訪日外国人市場の変遷を間近に見てきたエキスパートの目線で最近の市場動向、そしてこれからの可能性などを検証していく。第1部では、ゲストそれぞれの取組みについての紹介。第2部では、聞き手としてタイムアウト東京株式会社 代表取締役の伏谷博之が参加し、さらに深くトークセッションを展開する。 関連記事『台湾人は親日ではなく懐日。台湾で成功する術とは』 瓦林恭子 プロフィール株式会社三越伊勢丹ホールディングス マーケティング戦略部 顧客政策担当 インバウンド推進1992年伊勢丹入社。 広報担当、伊勢丹新宿店 婦人服部門のセールスマネージャー、バイヤーなどを経て、2009年から顧客政策を担当。 2015年4月から現職。 石川哲史 プロフィール森ビル株式会社 営業本部 商業施設事業部 商業運営部運営企画グループ 課長1990年4月、森ビル入社。1999年より商業担当となり、ヴィーナスフォート開業に関わる。2006年より表参道ヒルズ副館長を経て、2009年より再びヴィーナスフォートへ。都心のアウトレット「ヴィーナスアウトレット」開業責任者を経てヴィーナスフォート館長を務める。2013年より、GINZA SIX開業準備室に配属。2016年8月より現職。 滝川貴志 プロフィール株式会社JTBコミュニケーションデザイン インバウンドプロモーション推進室 2006年株式会社JTBコミュニケーションデザイン入社。官庁、企業のインバウンドプロモーションを主たる領域として、国内外でプロジェクトを多数手がける。

台湾人は親日ではなく懐日。台湾で成功する術とは
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台湾人は親日ではなく懐日。台湾で成功する術とは

2014年、2015年と、過去2回の開催も大好評であったタイムアウト東京が主宰するインバウンドセミナー『世界目線で考える』台湾編の3回目となるトークイベントが、2017年2月2日、タイムアウトカフェ&ダイナーにて開催された。「台湾人が日本に来る理由」というメインテーマから台湾で失敗しない秘訣まで、とても濃い時間となった同イベント。ここでは、その様子をレポートする。

ナイトエンターテインメントと考えるこれからの街づくり
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ナイトエンターテインメントと考えるこれからの街づくり

2016年4月で7周年を迎えたタイムアウトカフェ&ダイナー。4月はアニバーサリーマンスとして期間限定で伊勢うどんを提供したり、新世代のキーパーソンとなるアーティストたちが多く出演したイベント『Song For A Future Generation』や、寺社フェス『向源』とのコラボレーションイベントなど、様々なイベントが開催されてきた。タイムアウト東京が主催し、毎回様々な分野のエキスパートを招くトークイベント『世界目線で考える。』のスペシャルバージョン、『世界目線ラウンジ』もその一つだ。全3回開催された『世界目線ラウンジ』の最終回、そして7周年スペシャルイベントのラストを飾る『世界目線ラウンジナイトエンターテイメントの未来』が2016年4月26日に開催された。風営法改正をリードし、ナイトカルチャーやナイトエコノミーの持つポテンシャルをいかした魅力ある都市づくりに取り組み続ける弁護士の斉藤貴弘と、2015年に『Sensuous City [官能都市]』を発表し、都市の魅力を測る新たな定義と尺度を提案し注目されるHOME’S総研所長の島原万丈をパネラーとして迎えた同イベント。実際に住む人の目線から考える住み良い街や、夜をいかした街づくりや観光、これからの新たな夜の遊び場の形についてなど、それぞれに持つ観点から存分に語ってもらった。

ネットとメディアの未来を考える、動画サイトPLAY▶TOKYOが始動
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ネットとメディアの未来を考える、動画サイトPLAY▶TOKYOが始動

2016年4月で7周年を迎えたタイムアウトカフェ&ダイナー。そのスペシャルイベントの一貫として、タイムアウト東京が主催し、毎回様々な分野のエキスパートを招くトークイベント『世界目線で考える。』のスペシャルバージョン、『世界目線ラウンジ』が開催された。第2弾は、『世界目線ラウンジ ガイドは動画にする。』と題し、2016年2月に動画ガイド『PLAY▶TOKYO』を3社共同で立ち上げた博報堂ケトルの嶋浩一郎、TUGBOATの川口清勝、タイムアウト東京の伏谷博之の3人がパネラーとして登壇した。2020年を見据え、スタートしたプロジェクト『PLAY▶TOKYO』。その立ち上げの背景には、伸び続ける訪日外国人観光客数と、ネット環境のさらなる発展があった。トークはまず、それぞれのインターネットについての考え方を語るところから始まった。   川口はまず、広告代理店のインターネットに対する考え方に問題があると指摘した。インターネットの広告費はラジオ、雑誌を抜き、ついには新聞をも抜いてしまった。にもかかわらず、いまだに広告代理店の営業はテレビコマーシャルを売りたがり、ネット広告は儲からないと考えている。川口は広告代理店を不動産屋にたとえ、高く土地を買ってくれるなら家はサービスで建てる、というシステムで成り立っているビジネスなのだと言う。たとえば多くの人が見る月9のドラマの枠にCMを流すことは、1度で大多数にメッセージを届けることを意味する。同じ時間を共有することに価値を見出し、企業はそれをリーチ数として換金するシステムを採用してきた。それはテレビなら視聴率であり、新聞なら部数、そしてネットならPV(ページビュー)という形で表されてきた。 しかし、今後は「Relevancy」、つまり「適合性」が重要視されると川口はいう。従来の「1 to Many」から、「1 to 1」へ。自分に合った、自分に向けられたコンテンツに課金するシステムが求められる。その例として挙げたのはマガジンハウスの雑誌『BRUTUS』やラジオの投稿など、少数ながらも確実に対象に対して興味を持ち、熱量を持ってコンテンツに向き合っている人々がいるメディアだった。そして、今後のネットはそういう場所になるべきであると語った。   嶋もまた、ネットの問題点として真っ先に価格破壊を挙げた。現状としてデジタルコンテンツは「1PVあたり何円」、という換金システムで扱われる。しかし、インターネットの本質が民主主義にあるとはいえ、たとえば素人ライターの記事と大手新聞社の海外派遣記者が書いた記事が同じ収入システムで扱われるのはおかしいと語る。新聞社のようなコンテンツホルダーが売りにすべきはそのクオリティであり、問題は取材コストの捻出方法にある。適した相手にコンテンツを発信し、ユーザーはそれに見合った対価を払う。世界共通のインターネットの世界に必要なのは新しいマネタイズの発明であると説いた。   そして、 いよいよ話題は『PLAY▶TOKYO』に移る。川口は訪日外国人観光客は2016年4月には2000万人を超え、2020年には4000万人を超えると言われている今、向こう10年のうちに日本国内で経済を回すことのできる「アクティブ」な人の数は、外国人が日本人を上回るだろうと予測する。このまま国内のコミュニケーションにだけ対応していてはまずい。来る逆転に備え、今からやるべきことがあるのではと感じたのが2年前だったという。かねてから嶋の立ち上げたケトルと仕事がしたいと思っていた川口は、『PLAY▶TOKYO

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TOKYO MUSIC BOX

TOKYO MUSIC BOX #31 Bar Bonobo
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TOKYO MUSIC BOX #31 Bar Bonobo

      in collaboration with KKBOX                  Bar Bonobo 値段:¥¥ 音量:★★★★ 照度:★★ ポイント:踊れるけれど会話もできる音の良さ   テキスト:Ken Hidaka (hangouter) 撮影:鈴木大喜 定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。 神宮前2丁目にあるBar Bonoboは、音楽の真髄が感じられる隠れ部屋的な、まるで外国のホームパーティのような雰囲気が漂うDJバーだ。今年で14周年を迎える同店は、フレンドリーで個性が溢れるスタッフが温かく迎え入れてくれ、老若男女、古今東西のDJやクリエイター、音楽好きや自由人たちの憩いの場として親しまれている。クラブ界の重鎮たちから若手DJ、色々なスタイルのライブなど、濃い音楽がほぼ毎晩、1階のメインフロアと2階の畳部屋で響き渡っている。         Bar Bonoboは、1990年代をニューヨークで過ごした成浩一が2003年の末にオープンした。成は、先日逝去した御大デヴィッド・マンキューソの本拠地であるザ・ロフトや、CBGB、ニッティングファクトリーなどといったニューヨークの伝説的な音楽スポットで洗礼を受け、また知る人ぞ知る京都の伝説的なニューウェイブバンド「のいづんずり」のニューヨーク版のメンバーにもなり、異色な音楽修行を現地でたっぷり体感した人物である。   プレイリストではDJとしても活躍する成が、Bar Bonoboベスト10を選んでくれた。「これはいわゆるフュージョンな音ですが、展開やメロディがミニマルで、後半のラテンなブレイクも良いです。 最初は大丈夫かな、と思いつつかけてみましたが、やはりこの繰り返しの感じがポイントで、こういう音楽でもフロア受けが良いのが嬉しかったです」 「イタリアのアーティストで、今は歌手になっているが、初期はこういう実験的なものを作っていた。クラブでかけると、本当に小難しい音楽とか、シュトックハウゼンをかけても誰も踊らないじゃないですか。こういうものを少し見つけてプレイしようと心がけている。ボノボでかけて手ごたえを感じたら、確信を持ってどこでもかけられる」         成いわく、Bar Bonobo前史はこうである。「バブル末期に僕は24、5歳で、高校生相手にブルーハーツを教えるヤマハのギターの先生でした。でも、あるタイミングで自分の中でSOS信号が出て、この環境から脱出しようと決心した。元々Televisionなどのニューヨークパンクが好きだったので、ニューヨークに渡った。セントラルパークでボケっとしていると、皆裸で読書したり、サッカーしていて、六本木よりも落ち着いている。意識改革が起きてしまって、もう一度音楽を真剣にやろうと決心するきっかけになった」。 田畑満が初代ギタリストとして在籍し、戸川純も一時期メンバーだったのいづんずりのリーダー、福田研も同じ時期に移住し、彼が貼ったメンバー募集を5番街の札幌ラーメン店で見つけた成は、ニューヨーク版のいづんずりに加入する。バンドはその後、ニッティングファクトリーでライブをするグループにまで成長していった。「バンドの勢いが増して人気が出たけれど、僕がちょっとバンドに対して悟るのが遅すぎた。

TOKYO MUSIC BOX #30 JAZZ喫茶 映画館
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TOKYO MUSIC BOX #30 JAZZ喫茶 映画館

      in collaboration with KKBOX                  JAZZ喫茶 映画館 値段:¥¥ 音量:★★★★ 照度:★★★ ポイント:オープンリールや映写機、カメラ、映画ポスターなど、店内の様々な機材やアンティーク   定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。 今回は、都内で最も個性的なジャズスポットのひとつであるJAZZ喫茶 映画館を紹介する。サイフォンで淹れたコーヒーをすすりながら、スピーカーから流れるジャズに耳を傾け、静かに贅沢を味わう。そんな光景が、この店では40年間変わることなく続いてきた。       扉を開け、店内に足を踏み入れると、時間の流れがひどくゆっくりになる。奥に鎮座する大きなスピーカーをはじめ、店内のあちこちにオープンリールや、映写機、カメラ、映画ポスターなど、様々な機材やアンティークが置かれている。ドキュメンタリー映画を製作していた経歴を持つ店主、吉田のマニアックな趣味だ。       ホーンやプレイヤーの木製部分はすべて吉田の自作だ     1976年から白山で営業するこの店は、もともとは吉田が仲間と一緒に映画を上映するためにこの店舗スペースを借りたのが始まりだ。その後、次第に現在のジャズバーへと変容を遂げ、素晴らしいオーディオシステムに加えて、貴重なジャズレコードの数々、さらには棚には多くのフィルムや写真集など、ジャズマニアや映画マニアたちが惹きつけられやってくる店となっていった。 「ジャズは曲単位ではなくLP単位で聴くものですし、私が選ぶ曲はデータで聴いても面白くない曲ばかりかもしれないですが……。10曲ということでしたら、スタンダードなジャズナンバーから色々なバージョンを選んでみますか」。ということで、スタンダードナンバーを軸にプレイリストを作ってもらった。                 「ジョン・コルトレーンの『My Favorite Things』は、これだけで30枚以上あります」とのこと。今回は、アルバム『My Favorite Things』のテイクと、彼が亡くなる3ヶ月前に録られたライブ録音『The Olatunji Concert:The Last Live Recording』からのテイクの2パターンを選んでくれた。     「このエリック・ドルフィーの『Out To Lunch』は、オリジナル盤は溝が深くて、非常に迫力のある音がするのです。この作品は、大友良英さんがお気に入りということで、以前にdoubtmusicからカバーアルバムを出していました(『ONJO plays Eric Dolphy's Out To Lunch』)」。     「日本人で選ぶなら、美空ひばりはすごいジャズシンガーでした。美空ひばりをかけるジャズ喫茶は、あまりないと思いますが(笑)。ひばりさんの息子さんも、来店されたことがありますよ」。   ジャズとレコードに深い愛情を注ぐ吉田は、リクエストにも気軽に応えてくれる。昔ながらのジャズ喫茶の雰囲気を味わいたいひとは、ぜひ訪ねてみてほしい。   JAZZ喫茶 映画館のプレイリストはこちら 『TOKYO MUSIC BOX』特設サイト

TOKYO MUSIC BOX #29 天狗食堂
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TOKYO MUSIC BOX #29 天狗食堂

      in collaboration with KKBOX                  天狗食堂 値段:¥¥ 音量:★★★★ 照度:★★ この一杯&一品:ハイウーロンと餃子   定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。 今回は三軒茶屋で最もディープなDJバー、天狗食堂を紹介。今年9年目を迎える同店だが、週末は深夜から早朝まででは収まらず、昼すぎまでぶっ続けで営業する、ハードな遊び人と飲んべえたちの終着駅である。   店内奥には良い感じにラフなDJブースが。DJは基本的に平日も含め毎日入っており、ジャンルもディスコ、レアグルーヴ、ワールドミュージックからハウス系までと幅広い。アニバーサリーイベントではDJ NORIが出演したりと、大御所が登場することもしばしばある。DJバーにしては珍しく、踊れるスペースがしっかりとあるのが嬉しい。     店主の千田顕一郎は、1990年代のクラブカルチャー最盛期に青春時代を過ごした世代。秋田から上京した大学時代から20代半ばまで、今はなき青山MIXをはじめとするクラブで夜遊びに明け暮れたという。「大学に入ってからレコードとかを買い始めて、仲間と渋谷のクラブでパーティーをしたり。青山MIXは敷居の高い箱でしたが、そこでレギュラーパーティーをやっているDJの鞄持ち的なこともやったり、照明をやったりしていました。やっと、翌月からオープンの時間にDJブースに立たせてもらえることが決まって、やった!と思った矢先に、青山MIXが閉店してしまって(笑)。それが2005年くらい。『Body&Soul』が盛り上がってた時期で、俺も買ってるレコードはハウス寄りのものが多かったかな」。 同店を開く以前は都内でカレーのキッチンカー営業やケータリングを生業にしていたが、2007年に独立を決意し、三軒茶屋で同店をスタートさせた。泥酔客だろうが来る者は拒まない千田のスタイルが成立するのも、三軒茶屋という土地柄ならではだという。「ここ数年で、世代的に家庭を持ったりで平日も朝まで飲みに来てくれるような常連さんは減ってしまいましたが、音楽好きはもちろん、最近三軒茶屋に引っ越してきたお客さんとか、ほかの店の店主が自分の店の酔い潰れた客を預けに来たり(笑)。多分、普通の店だったら止めさせることも、俺は止めない、っていうか俺が率先して乗っかっちゃったりするんで(笑)。まあ、これが渋谷とか新宿だったらめちゃくちゃになっちゃって無理なんでしょうけど。三茶でうちに辿り着く時点で、ある程度お客さんも匂いが近い人が来ているというのはありますね」。   千田が語ってくれた9年間のエピソードの数々は、過激さゆえにここに詳細を書けないのが残念なのだが、とにかく濃い。ここでは、クラブや普通のバーとも違う、アルコールと音楽が同居する空間でだからこそ起こるドラマチックな瞬間があるようだ。「明け方に音楽を聴いて泣き出す人とかいますよ。お客さんが2人くらいしかいなくても、なんかその場にいる全員の波長が合っちゃって、朝日が差し込んで来て、この曲が今かかっちゃって、ジーンときちゃうみたいな。うちの店、日差しがめっちゃ入るんですよ(笑)」。というわけで、今回、彼が作成してくれたプレイリストのタイトルはずばり「朝日が差し込む天狗食堂で聴きたい曲」だ。  

TOKYO MUSIC BOX #28 頭バー
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TOKYO MUSIC BOX #28 頭バー

      in collaboration with KKBOX                  頭バー 値段:¥¥ 音量:★★★ 照度:★ ポイント:気軽に入れる雰囲気この一杯:開店当初から人気のウーロンハイ テキスト:高岡謙太郎     定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。 今回紹介するのは、恵比寿と渋谷の中間にあるDJバー、頭バー。渋谷川と明治通りに挟まれた一戸建てを改築した店舗。2階建ての壁一面にはグラフィティが施されているので、一目でそれとわかるだろう。1階がDJブースつきのカウンターバーで、2階の座敷ではくつろぐこともできる。         都内のDJバーにしては珍しく大通りに面しているので一見の来店も多い。バーカウンターの距離は狭すぎず空きすぎず、客同士の距離感を縮め、フレンドリーになりやすい間合いだ。「酔っ払いすぎて夕方まで帰らない人もたまにいるんです。前の店長の木村はくっつけ上手で、ここから何人も結婚した人がいるんですよ」と語るのは、昨年から2代目店長になった押川大二郎。   DJイベントは日々行われている。過去にはイギリスの大御所ダブエンジニア、エイドリアン・シャーウッドがお忍びでプレイしたことも。押川も時折DJを披露する。プレイリストの3曲目までは客から曲名を聞かれることの多い曲だそうだ。「1曲目はアフリカ、コンゴの電気リケンベ(親指ピアノ)グループ、Konono No.1。彼らにしてはダークな曲だったので気に入っていますね」。 レギュラーイベントも幅広く、アダルトな夜遊び企画も。「ノイズから歌謡曲、四つ打ち系もあり、日によってジャンルが違います。毎週水曜日は『妖怪倶楽部』というイベントで、フリーマイクでラッパーたちが自由にフリースタイルを披露できます。そのほかに、おしんこさんという、服を脱いだ素人の女性の写真を撮る催しもありますね」。 この店では台湾人女子が働いていたときから台湾料理がメニューに登場するようになったのだが、「働いていた台湾人の子の婚活パーティを店でやって、2回目で彼氏ができて店をすぐ辞めちゃいました(笑)」。今は彼女の味を改良して出しているそうで、魯肉飯(ルーローハン)、煮玉子、水餃子を中心に屋台料理が楽しめる。   一度この店を訪れたことがある人なら、同店が醸し出す独特なムードを知っていることだろう。非日常感あふれる店の成り立ちを聞くと、「GAS BOYSのイマイさんが立ち上げたスニーカーブランド『マッドフット』の事務所が原宿にあって。そこで週末は内輪の飲み会的なパーティが行われ、『頭バー』と呼ばれていました。100円で買ったチューハイを200円で売ったりして(笑)。それがどんどん広がって知らない外国人も来るようになって、頭バーをリアル店舗化することになったんです」という。 押川の音楽の原体験は、10代の頃。音楽好きの友人の兄がリーダーの、エレクトリックミュージック・ユニットGeodegikにメンバーとして参加。テルミンやサンプラーを担当し、2回目の『フジロック』に出演するという希少な体験をしている。「最近はリーダーの下城さんに全然会っていないですね。頭バーでもライヴしてほしいですね」。 その後、ターンテーブリストとして名を馳せたDJ BAKUのVJ

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パブリックキャットシリーズ

パブリックキャット 第31回
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テキスト:Shiori Kotaki、写真:Kisa Toyoshima

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