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1600年から続くオランダと日本の友好の歴史は、2025年に425周年を迎えた。この節目の年に、「大阪城天守閣」では、両国の交流の軌跡をたどる特別展「『コモングラウンド – 新たな幕開け』日蘭交流425周年 大阪城天守閣特別展示」が開催される。

偶然の漂着から始まったオランダと日本の交流。アジアとの交易を目指して航海していたオランダ商船リーフデ号が、過酷な航海の末、現在の大分県臼杵市に漂着したのは1600年の4月だった。
この歴史的瞬間に、両国の交流の幕は開けた。リーフデ号とその乗員はその後、徳川家康の命により大阪へと移送され、乗員であったヤン・ヨーステン(Jan Joosten van Lodensteyn)とウィリアム・アダムス(William Adams)は、家康の信頼を得て外交顧問として迎えられたのだ。

大阪城での出来事は、日蘭関係の礎を築く大きな転機となった。言葉も文化も異なる中、情報や知識を共有しながら425年にわたる友好の歴史を形づくってきたのである。
今求められる「コモングラウンド」
今、世界は不確実で複雑な課題に直面し、かつてないほどに立場や価値観の違いを超えて協力し合うための共通基盤「コモングラウンド」が求められている。このような時代に、日蘭関係の転機となった歴史的な舞台・大阪城で、オランダと日本の交流の歴史にもう一度目を向けてみることに大きな意味があるだろう。

大阪城天守閣で開催される展覧会では、国内外から集められた約30点に及ぶ貴重な文化財や資料の展示をもとに、当時の様子が多角的に示される。中でも見逃せないのは、実際のリーフデ号に搭載していた木製の「エラスムス立像」だろう。現在は「東京国立博物館」に所蔵されているが、同展のために特別に移送された貴重なものだ。

このほか、ハーグの「オランダ国立公文書館」や、長崎の「出島博物館」、リーフデ号が漂着した大分県臼杵市、さらには西洋の科学や医学を広める上で重要な役割を果たした大阪の「適塾」からも貴重な資料が集結。日蘭交流を語る上で欠かせない重要な資料の実物が見られるまたとない機会となっている。
出島から夢洲へ、国際交流の拠点を結ぶ
大阪の夢洲で開催されている「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」では、世界各国が連携し、誰もがより良く生きられる社会を目指す多彩なアイデアが提案されている。同展は、近世における日蘭交流の中心地であった人工島・出島と、万博の開催地である現代の人工島・夢洲(ゆめしま)を対比しながら、過去から未来へと続く両国のつながりを体感できる構成となっている。

また、オランダと日本の交流史をもとに制作された漫画も用意されている。オリジナルキャラクターが万博会場から17世紀へとタイムワープしながら、当時の様子を紹介してくれるというストーリーで、子どもや歴史に詳しくない人でも楽しみながら理解を深めるられるだろう。
会場には、同展のために制作された展覧会カタログが閲覧できる。同カタログは、ページごとにテキストの向きが異なるというユニークなデザインで、視点の変化が体感できる仕組みになっている。ぜひウェブサイト版でも、円を描くようにデバイスを回転させながら読んでほしい。
会期は、2025年5月9日(金)から29日(木)まで。過去から現在へと受け継がれてきた日蘭の友情の歩みを振り返り、次の世代へとつなげる同展へぜひ足を運んでほしい。
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