Photo: Kisa Toyoshima| Ambassador of Hungary to Japan Norbert Palanovics
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駐日ハンガリー大使に聞く、ハンガリーの都市活性化と人口減少解消への取り組み

滞在した20年間の日本の変化と東京でおすすめのハンガリー料理店、建築や有楽町のガード下の魅力

翻訳:: Genya Aoki
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コロナ禍に課されてきた規制が世界中で撤廃されつつある今、コロナ終息後の東京の新しい方向性を示す斬新なアイデアやインスピレーションが求められている。 タイムアウト東京では2年間、「Tokyo meets the world」シリーズを通して東京在住の20人以上の駐日大使へインタビューを続け、文化、観光、都市生活に関する意見を紹介してきた。

今回は、日本に20年近く滞在しているハンガリーのパラノビチ・ノルバート駐日大使に話を聞いた。大阪の関西外国語大学へ留学生として来日した後、11年間名古屋に滞在し、2016年から現職に就いている。この経歴が、日本の多様性に対する洞察を深めてくれたと大使は言う。

インタビューの中で大使は、およそ20年間の滞在中に日本がどのように変化したかを語り、東京でハンガリーを味わうことができる場所も紹介してくれた。また、コロナ後に都市を活性化させたハンガリーの取り組みから日本が学べる点や、日本にとって喫緊の課題である人口減少を解消するためのハンガリー政府の取り組みが、着実に実を結びつつあることについても紹介した。

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Tokyo meets the world

高まっていく日本の生活の質

ー現在の日本に対する印象や、滞在経験を通じて感じた変化について教えてください。

最初に名古屋に住み東京だけではないさまざまな角度や場所から日本を体験できたことは、幸運だったと思います。その経験は、日本の多様な側面を理解し、解釈するのにとても役立っていると感じています。名古屋に住んでいた時は、岐阜や三重など、田舎や自然を感じることができました。一方、東京はさまざまなものを提供してくれるため、この都市そのもののよさがよくわかるようになりました。

日本がどう変わったかというと、20年前以上に、とても魅力的で住みやすい国になりましたね。特に生活の質は私が滞在している間に改善されました。そのおかげで、観光客にとっても長期滞在者にとっても、日本が魅力的な存在になっているのです生活の質は、急激にではなく徐々に変化してきたのでありこの変化は、日本がすでに持っている素晴らしいものをさらによいものに微調整していく過程で生じたものだと感じています。

東京は建築の面でも素晴らしい都市

ー東京でお気に入りの場所はありますか。

東京に来てもう10年弱になりますが、あまりに多様性に富んでいるので、この街で何ができるのか、いまだに見たりんだりしているところです。東京は海に面しているのに、奥多摩方面に行けば、そこはまだ東京であるにもかかわらず緑豊かな自然を体験できます。

(港区)三田にある大使館に近い好きな場所としては、散歩に最適な麻布十番を紹介したいと思います。私たちは2019年に「東京の中心部の街麻布十番の中心地に「リストハンガリー文化センター」をオープンしたことを誇りに思っています。このセンターは誰でも利用でき、定期的に展覧会やハンガリーをもっと知るためのイベントを開催しています。

新橋界隈の小さな路地も好きです。再開発が進んでいる中で、都心にああいった場所が残っているのがとても面白い。友人やお客さんと出かけるときは、決まって有楽町のガード下を案内するのですが、昭和前半の生活を想像しながら、日本の日常的な料理を味わうことができるのが魅力です。こういった場所の雰囲気や空気感、歴史というのは、海外では味わえない、東京の魅力的な側面の一つだと思います。

公園も好きです。大使館の近くにある芝公園によく行きますよ。代々木公園は散歩に最適な場所。遠出するなら昭和記念公園もいいでしょう。

さらに、東京は建築の面でも素晴らしい都市だと思います。新しい施設やその建築を探索するのも楽しい。商業施設や高層ビルがどのように発展し、変化していくのかを見るのが好きなのです。

海外の不動産デベロッパーが日本のショッピングモール建築やコンセプトからインスピレーションを得るために東京を訪れると聞いたこともあります。そういう意味で、新しく開発された麻布台(「麻布台ヒルズ」)を体験するのは楽しみですし、八重洲周辺でもいろいろなプロジェクトが進んでいますよね。

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大使おすすめのハンガリー料理店とバー

ーハンガリー料理を味わうならどこに行きますか。

幸いなことに、街にはハンガリー料理のレストランやハンガリーの酒を楽しめる場所がいくつかあります。大使館に一番近いのは「Döbrögi」という店で、赤坂にあります。ワインバー/ダイニングバーで、とても雰囲気が良いです。神宮前には「アズフィノム」という店があり、かなり長い歴史を持ち、素敵な陶器とともにハンガリー料理を提供しています。私の記憶違いでなければ、最も古くからある店は自由が丘の「キッチンカントリー」です。

面白いバーも2軒紹介しましょう。新宿の「バー ベンフィディック」の鹿山さんは、ハンガリーのハーブリキュール「ウニクム」の日本におけるアンバサダー」の一人です。さまざまなハンガリーの蒸留酒を揃えていて、ハンガリー風のカクテルを作ってくれるんですよ。

もう1軒は、神楽坂にある「バーパーリンカ(Bar Pálinka」。ハンガリーの国酒「パーリンカ」にちなんで名付けられた、ハンガリーのスピリッツを専門に扱う店です。鹿山さんの下で働いた後、独立したバーテンダーの松沢さんが経営しています。

また、ハンガリーワインは今ではさまざまなレストランで気軽に飲めますし、一般の小売店などではアカシアの蜂蜜などハンガリー産の商品をいく種類かそろえていることが多いようです。ハンガリー産の鴨肉やフォアグラは、広尾の「ナショナル麻布」などの高級スーパーで購入できます。この店はハンガリー産の精肉の種類も豊富です。カモミールティーなどのハーブティーも人気が高まってきており、「成城石井」などの店舗で手に入れることができます。

最後に、夏に旬を迎えると店頭に並び始めるのが「ハニートリュフ」です。アカシアの木と共存していハンガリーだけでしか採れない、黄金色に輝く特別なトリュフで、さまざまなデザートによく合います。

日常生活には社会的な交流や人と人との触れ合いが欠かせない

ーパンデミックが一段落した今、これからの都市生活をどのように考えていますか。ハンガリーではコロナ後の都市を活気づけるためにどのような取り組みをしているのでしょうか。

ハンガリーは、2021年春にいち早く移動制限を解除した国の一つです。私は、人々の日常生活には社会的な交流や人と人との触れ合いが欠かせないと考えています。ハンガリー、そして首都・ブダペストは、パンデミックによって失われた社会的な交流や人間的な触れ合いを取り戻すために、本当に尽力したと思います。

首都といえば、ハンガリーの都市・ヴェスプレーム市と隣接するバラトン湖やバコニ山地を含んだ地域は、2023年の世界的な文化の祭典「欧州文化首都」に選定されました。このタイトルはEUの教育・青年・スポーツ・文化総局によって決定され、開催地の豊かな文化を広く知ってもらうための絶好の機会となりました。

今年は3000以上の文化プログラムがヴェスプレームを中心にその地域一帯で開催され、そのいくつかは、来年以降も継続されます。中でも、国際青少年音楽祭やインターア―バンイベントシリーズは、欧州以外や日本からも参加者がいましたよ。

ハンガリーの各都市は、大きなものから小さなものまで、伝統的なものから現代的なものまで、多くのフェスティバルなどのイベントを開催してきました。中でもブダペストは世界有数のスポーツイベントの開催地としての地位を確立しつつあり、それが街を活気づけ、人々を結びつけています。

ブダペストは2021年サッカー欧州選手権の開催都市の一つであり、2023年5月末にはヨーロッパリーグの決勝戦が開催。日本でも注目されるイベントでは、8月に開催される世界陸上がありますね。10月には空手の世界大会も開催されます。

また、2022年からブダペストの音楽祭「Sziget Festival」も本格的に復活。こうしたイベントは、観光客だけでなく地元の人々にも多くの機会を提供し、ブダペストがヨーロッパでも有数の観光地となるきっかけとなりました。人が集まり、交流することのできる社会イベント、つまり人と人との触れ合いは都市の存続と未来に欠かせないものなのです。

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ハンガリーが出生率向上に成功した大胆な政策とは

ーこれからの東京や日本に期待することは何ですか。次に控えている大きなイベントは、2025年の「大阪・関西万博」ですね。

生活の質にさらに焦点を当てること、そして日本が国際化にどのように対処するかということは、観光客などの短期訪問者と、居住者や投資家などの長期滞在者の両方にとって、非常に重要だと考えています。大阪・関西万博は、日本が何を提供できるか、日本が社会の課題に対してどのような答えを持っているかをアピールする絶好の機会になると確信しています。

また、家族を持つことが今以上に魅力的になるよう大胆な家族政策や、家族・子どもを中心とした政策や取り組みを推進することで、日本が社会全体を活性化させることも重要な課題です。

ー最後に、日本ではSDGsが注目されるなど、持続可能性への関心が高まっています。この分野でのハンガリーの取り組みはどのようなものがありますか。また、日本がそこから何か学べることがありますか。

SDGsについて言えば、ハンガリーの地球規模の持続可能な水管理を強調したいと思っています。多国間フォーラムを通じて水分野の知識共有を発展させ、同分野での国際協力と活動の促進、活発な水外交を実施しハイレベルなイベントを催行します。

持続可能な範囲を広げることは、社会を活性化し、さらに持続可能にさせることについてすでに私がお話したことと結びつきます。

ハンガリーが最も成果を上げていることの一つは、総体的な家族政策によって保証された持続可能な社会の達成です。ハンガリーは1980年代から人口減少問題を抱え、2010代初めにはこの状況は持続不可能であることを実感しました。そのため政府は結婚・子育てをより魅力的なものにすべく、減税、住宅購入補助金、さまざまな制度を導入し、家族に重点を置く大胆な政策を考え出しました

このテーマについては日本の政策立案者と経験や洞察を共有したいと考えており、すでにいくつかの関心を寄せていただいていることをうれしく思っています。そのような形で日本の福祉と発展に貢献できれば幸いです。

パラノビチ・ノルバート(Palanovics Norbert

駐日ハンガリー特命全権大使

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  • Things to do

美しい風景や歴史的な都市、おいしい地中海料理、世界トップレベルのサッカー選手、ニコラ・テスラから「ヨーロッパのイーロン・マスク」とも呼ばれる有名な発明家のマテ・リマックまで、クロアチアは多彩な魅力を持った国だ。アドリア海に面した小国であるクロアチアは、さまざまな面で優れた力を発揮しているが、特に観光に関しては人口の4倍以上の年間訪問者数を誇っている。

東京在住の駐日大使へのインタビューを続けている「Tokyo meets the world」シリーズ。今回は、クロアチア大使のドラジェン・フラスティッチに、京都をはじめとする日本の都市が直面している「オーバーツーリズム」問題への対処法など、さまざまな話題について聞いた。

また、ORIGINAL Inc.のシニアコンサルタントでSDGs(国連の持続可能な開発目標)関連の業務を担当した経験のある元外交官の高橋政司との対談では、地震への備えやマグロの養殖、東京で本格的なクロアチア料理が食べられる場所などについても、じっくりと語ってくれた。

  • Things to do

日本とオランダは旧友と言っても過言ではない。1600年に貿易船「リーフデ号」が九州に漂着して以来、親密な関係を築いてきた。4世紀たった今でも、100以上のオランダ語が日本語の一部として残っており、東京駅の東側に位置するビジネス街である「八重洲」という名前の由来は、オランダ人冒険家のヤン・ヨーステン・ファン・ローデンスタインだ。

東京在住の駐日大使へのインタビューを続けている『Tokyo meets the world』シリーズ。今回は東京タワーのたもとにある首都圏で最も美しい大使館の一つで、1928年に建てられたコロニアル様式の邸宅に住んでいる、オランダのペーター・ファン・デル・フリート大使に話を聞いた。

ORIGINAL Inc.のシニアコンサルタントでSDGs(国連の持続可能な開発目標)関連の業務を担当した経験のある元外交官の高橋政司との対談で、グリーンエネルギー、環境に優しい投資、自転車インフラなどについて、おすすめの美術館や風車探しのアドバイス、東京での生活の感想などを交えて語ってくれた。

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  • Things to do

東京から世界中のイノベーティブな視点を幅広く取り上げるため、東京在住の駐日大使にインタビューしていく『Tokyo meets the World』シリーズ、第2弾はベルギー王国。

ベルギーといえば、多くの日本人にはチョコレートやワッフル、ビールなどが身近だろう。しかし、この西ヨーロッパの王国が、世界的な人気キャラクター、スマーフの生まれ故郷であるとともに、世界第4位の洋上風力エネルギー生産国であり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を推進する先駆者でもあることも知ってほしい。

2019年に就任したロクサンヌ・ドゥ・ビルデルリング駐日大使にインタビューを依頼したところ、快く応じてくれた。ORIGINAL Inc.のシニアコンサルタントで、SDGs関連の業務を担当した経験のある元外交官の高橋政司と対談を実施。SDGsや環境に優しい世界経済に対するベルギーの貢献について詳細に語った。

  • Things to do

コロナ禍の終わりを見据え、世界中で規制が撤廃されてきた今、コロナ終息後の東京の新しい方向性を示す斬新なアイデアやインスピレーションが求められている。 タイムアウト東京は「Tokyo meets the world」シリーズを通して、東京在住の駐日大使へのインタビューを続け、都市生活に関する幅広い異なる視点を紹介。とりわけ環境に優しく、幸せで安全な未来へと導くための持続可能な取り組みについては大きく取り上げてきた。

今回の「Tokyo meets the world」では、2022年3月に就任したばかりのポルトガルのヴィットル・セレーノ大使に話を聞いた。ポルトガルは、カステラやサッカーのク リスティアーノ・ロナウドで知られる、南欧の国であり、2025年に大阪にやってくる「タイムアウトマーケット」の発祥の地でもある。環境に配慮した先進的で競争 力のある経済国家であり、日本との間にある古くからの絆を誇りに思っていることをアピールするため、南欧諸国の大使の中でも最年少の一人、セレーノ大使は精力的に活動している。

プライベートでは、愛車の「ドゥカティ」にまたがり東京の街を走るのが好きだという。そんなセレーノ大使に、日本とポルトガルの関係、海洋を守るために両国が協力できること、おすすめのポルトガル料理店などについて聞いた。

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