日本の人々はとても平和的で穏やか
ー日本に対する現在の印象と、就任する前と後の変化について教えてください。
日本に赴任して5年半以上がたちました。赴任が決まったとき、私も家族も大変うれしかったことを覚えています。当時の私たちは日本の歴史、食、芸術などについて多少の知識を持っていましたが、そのほとんどは、西洋の典型的な日本のイメージでした。例えば、江戸時代、侍、忍者、漫画やアニメ、黒澤映画などです。私の個人的な興味は歴史全般、特に軍事史にあります。
日本は世界で最も平和な国の一つですが、歴史を振り返ると必ずしもそうとはいえませんでした。ですから、日本の人々がとても平和的かつ穏やかで、他人を尊重する姿勢を持っていることにとても感心しています。
治安の良さも素晴らしい点の一つです。文化を尊重する限り、どこへ行ってもいいし、好きなことをしても安全なのです。ただし、日本ではいつ地震が起きてもおかしくないという不合理な恐怖感があります。
私は以前、クロアチアを「世界で最も美しい国の一つです。素晴らしい自然と世界遺産、スポーツがあり、地震はありません!」と表現していたのですが、昨年マグニチュード5.3と6.4という非常に大きな被害を出した地震が発生しました。首都の中心部と、南方の地域に被害を与え、物的損害が大きく、8人ほどの死者が出てしまったのです。日本では同規模の地震が起きてもほとんど影響がなく、日本の防災力の高さを実感しました。
また、日本では街中にロボットが歩き回るなど、最先端のテクノロジーを有しているというイメージがあります。その一方で、ほかの国ではもう存在しないような非常に古いやり方も健在です。そのことを多くの人は見逃しています。それは、私がこの社会に身を置き、日常を知ることで分かったことです。
食に関しては、寿司、刺し身、天ぷらなど日本料理の一部は海外でもよく知られていますが、「和食」はそれよりもはるかに豊かで、地域によってその違いは顕著です。これも私にとってはうれしい驚きでした。