アート&カルチャー

東京で話題の展覧会やダンス公演情報から、定番のギャラリーや美術館の紹介

パルコミュージアムトーキョーで新作含むグループ展が開催
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パルコミュージアムトーキョーで新作含むグループ展が開催

2020年7月4日から、渋谷のパルコミュージアムトーキョーで現代アートギャラリーナンヅカ(NANZUKA)のキュレーションによるグループ展『GLOBAL POP UNDERGROUND』が開催中。出展作家は空山基をはじめ、田名網敬一、YOSHIROTTEN、ピーター・ソール(Peter Saul)ほか、国内外から総勢21人のアーティストの作品がそろう。 コロナ禍での新作 渋谷パルコ1階のスペイン坂広場に巨大な『セクシーロボット(Sexy Robot)』のパブリックアートを設置したことでも話題を読んだ空山基は、今回、コロナ禍のなかで制作を進めた新作の絵画を出展。インタビューでは「未知のウイルスの前では文化も革命もなすすべがない」と触れ、死と天命について改めて考え制作したという。また、パルコ1階のパブリックアートは、渋谷という街の大通りにあることで、若者に向けて観てもらいたいと語った。    新作『Sex Matter (C)』を前にインタビューに答える空山基     空山基『Sexy Robot_Floating』   グローバル規模で幅広い作家陣がそろうグループ展   左から、ジョイス・ペンサート『Underground Mickey』2019、エリック・パーカー『Lovery』2019、ピーター・ソール『Untitled』2019   本展は、2019年にニューヨークとロサンゼルスにあるジェフリー・ダイチ(Jeffery Deitch)ギャラリーで開催された『Tokyo Pop Underground』のコンセプトを受け継ぎ、アンダーグラウンドを切り口に再構成した展示となっている。 出展作家は冒頭に挙げた4人のほか、梅沢和木、オリバー・ペイン(Oliver Payne)、キャサリン・バーンハート(Katherine Bernhardt)、ジェームス・ジャービス(James Jarvis)、谷口真人、山口はるみなど、若手中堅作家からも幅広く、国籍も年齢もさまざまにそろう。   左から、佐藤 貢一『Gaijin & Tetsujin』2020、佃弘樹『Untitled』2020、クリスチャン・レックス・ ヴァン・ミネン『#DEADASS』『ABANDON HOPE』2020   2020年に制作された新作も多いため、同時代を生きるアーティストが放つ現在の表現を確認しに行ってみてはいかがだろうか。また7月11日(土)には、自宅に居ながら会場の様子を3Dビューで鑑賞できるオンライン展示も開催予定だ。 『GLOBAL POP UNDERGROUND』2020年7月4日(土)〜7月26日(日)10時00分〜21時00分(入場は閉館の30分前、最終日は18時まで)入場無料 オンライン展示※7月11日(土)公開予定。詳細は公式サイトで後日発表。 詳細はこちら 関連記事 『空山基の全長7メートルのセクシーロボットが渋谷パルコに登場』 『ヨックモックミュージアムが南青山にオープン、ピカソの陶芸など公開』 『ビリー・アイリッシュと村上隆がユニクロのTシャツでコラボ』 『東京都美術館が7月1日に再開へ、コロナ対策も』 『「Tokyo Music Evening Yube 〜⾳楽の⼒で、みんなにエールを!!〜」第3弾が7月14日配信』

初の外国人ディレクターで横浜トリエンナーレが7月17日開幕
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初の外国人ディレクターで横浜トリエンナーレが7月17日開幕

ヨコハマトリエンナーレ2020組織委員会は2020年6月22日に記者会見を開き、横浜美術館館長の蔵屋美香が見どころとなる作品を紹介した。7回目となる今回は新型コロナウイルス感染症の流行のため、会期をずらして7月17日(金)〜10月11日(日)に開催を予定している。 タイトルは「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」。アーティスティック・ディレクターには、初の外国人となるインドの3人組アーティスト集団、ラクス・メディア・コレクティヴ(Raqs Media Collective)を迎える。タイトルの「AFTERGLOW」は、ビッグバン後の宇宙に発せられて今に至るまで降り注ぐ光、時空を超えて広がる光のイメージを指す。 会見では、五つのソース(考えの源)と呼ばれるキーワード、「独学」「発光」「友情」「ケア」「毒」が紹介された。従来のように一つのテーマを決めてアーティストが作品を制作するのではなく、アーティストと観客がこのソースを共有して考えながら展覧会を作っていこうという点が特徴だ。ラクスは身体や思考は制止するのではなく、自由に動かす中で初めて自由な発想が生まれてくると考えているため、このような流動的な方針を採用したという。   ラクス・メディア・コレクティヴ (撮影:田中雄一郎、写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会)   作品紹介では上記のソースのうち、特に「毒」との関連が強調された。「世界の中にも人の心の中にも、嫌なもの、毒は否応なく存在する。それを排除せずに共存し、それと付き合う中でいかに自分を輝かせるかを考えるためのもので、直接の着想源は、太陽光に含まれる放射線から身を守るためにサンゴが美しい殻を発達させることから得たのだという。 「この「毒」は去年の11月に発表されたが、現在の私たちが直面している新型コロナウイルス感染症という毒と付き合いながら生きる中で、どうやって自分を輝かせるかといった課題のようにも聞こえてくる。アーティストは時に未来を予見してしまうようなテーマを引き当てることがある」と蔵屋は語る。   インゲラ・イルマン 《ジャイアント・ホグウィード》(部分) 2016 / 2020 ( Photo by Sebastian Dahlqvist )   紹介された作品の中でも、特に知っておくべきは、インゲラ・イルマン『ジャイアント・ホグウィード』とエヴァ・ファブレガス『ポンピング』だろう。 イルマンの作品は、光毒性を持った美しい花を咲かせる植物ジャイアント・ホグウィードを巨大化させた造形を布などで制作。大きな書屋物の間を歩きながら光や毒について、そして毒が実は美しいということを考えてもらいたいという。 またファブレガスは鑑賞者の身体を包み込むようなインスタレーションを通して、人間の身体や欲望、情動が産業デザインからどのような影響を受けるのかを探究している。この作品では、シリコンなどの柔らかな素材をもとに、健康器具などの形を着想源としている。ファブレガスは、ここで健康器具のように私たちが気持ち良く感じる形状を社会が受け取り、産業システムに組み込まれることについて考えているという。   エヴァ・ファブレガス 《ポンピング》2019   ちなみに、ラクスはファブレガスの作品の形状から人体の腸を連想した。ソースの毒との共存という考えを踏まえるならば、腸は、臓器という意味では閉じられた環境だが、無数の細菌のすみかである点ではほかの生物に開かれており、それらと共存する場所でもある。このような自由な連想や解釈を広げていくことが

メトロポリタン美術館の分館、メット・ブロイラーが閉館
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メトロポリタン美術館の分館、メット・ブロイラーが閉館

予算難に悩まされているメトロポリタン美術館は、2020年7月に分館であるメット・ブロイヤー(The Met Breuer)を閉館することを発表した。アートネットの記事によると、建物は今後、アッパーイーストサイドにある拠点の拡張計画を進めているフリック・コレクションが、工事中の仮展示スペースとして使う。 メット・ブロイヤーの閉館は、MoMA、グッゲンハイム、ホイットニーに匹敵するような、20世紀と21世紀のアートを扱う中心的な存在になろうとしていたメトロポリタン美術館のチャレンジの終焉(しゅうえん)を意味する。同美術館がこの建物を借りたのは2015年。 ミートパッキング地区へ移転したホイットニー美術館の後に入り、ブルータリズムを代表的する建物をデザインしたマルセル・ブロイヤーにちなんで、メット・ブロイヤーと名付けた。しかし、8年間のリース期間の途中で財政難に陥り、フリック・コレクションにまた貸しせざるを得なくなった。 メット・ブロイヤーでは、これまでケリー・ジェームス・マーシャル、ダイアン・アーバス、ヴィヤ・セルミンスなどのアーティストによる企画展や回顧展を開催。3月のロックダウンにより9日間のみの公開だったが、ゲルハルト・リヒター展が最後の展覧会となった。ささやかれた再開や延長は実現には至らず、そのまま閉館となってしまった。 メトロポリタン美術館では、五番街沿いにある本館を8月には再開すると発表しているが、正確な日程はまだ決まっていない。 原文はこちら 関連記事 『デルタやアメリカンが国内線で酒類提供を中止』 『ポストコロナに対応した「新しい旅のエチケット」が発表』 『オーストラリアの観光客受け入れは2021年以降か』 『観光庁の「Go To トラベルキャンペーン」の概要が発表』 『おんぼろから最先端に、ラガーディア空港ターミナルBがリニューアル』

ヨックモックミュージアムが南青山にオープン、ピカソの陶芸など公開
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ヨックモックミュージアムが南青山にオープン、ピカソの陶芸など公開

薄い生地をクルっと巻いて焼き上げた菓子『シーガル』で有名な洋菓子メーカー、ヨックモックが2020年10月25日(日)、青山本店にほど近い南青山6丁目に、ヨックモックミュージアムを開館する。 ヨックモックミュージアムのコレクションは、パブロ・ピカソのセラミック(陶器)作品を中心としている。ピカソは、第二次世界大戦後の1947年に本格的にセラミック制作に着手し、1973年に死去するまでフランス南部のヴァローリスにあるマドゥーラ工房でラミエ夫妻と協力しながら、数千点にも上る作品を制作した。 ヨックモックグループが30年以上かけて収集してきたコレクションは500点以上に及び、わん、水差し、食器、大皿といったエディションとして生産された容器のほか、大型の作品も含まれているという。 ミュージアムでは、『菓子とアートのコラボレーション』や『アートセラピーを応用したアートセッション』などの独自の教育プログラムを実施。これらのプログラムには、ヨックモックの創業者である藤縄則一の「菓子は創造するもの」という思いを受け継ぎ、ピカソの豊かで自由な発想が投影されている。オープン記念企画展では、企画展示を通してピカソの研究者による最先端の成果も紹介する。     ヨックモックミュージアム   建築、展示デザインを担当した栗田祥弘建築都市研究所は、ピカソとヨックモック、どちらのファンにも驚きと発見に出合える場を提供することを第一に構想したという。建物は、建物は地下1階から2階までの3層構造。屋根はピカソがセラミック制作をしていたコートダジュールの瓦へのオマージュで、床や壁は陶芸窯で使われている耐熱レンガをイメージした。 素材には、セラミックや菓子と同様、焼き物にこだわっている。2階の展示室は、中庭などからの自然光をふんだんに取り入れた開放的なスペースとして作品のポテンシャルを引き出すことが意図され、地下の展示室は、企画に沿って絵画や版画なども併せて紹介できるように光を調整した。 ハナミズキを植えた中庭には、カフェ ヴァローリスもあり、グッズショップやライブラリーも併設されている。美術館に入館しなくても利用できるのはうれしい。 このカフェでは、ヨックモックのパティスリーブランド、アン グランのミニャルディーズ(ひとつまみサイズの菓子)も提供するほか、アートを短時間で楽しめるクラフトキットにドリンクと焼菓子が付いたアートキットメニュー『Art for café』(1,500円)も用意されている。 ヨックモックの菓子とドリンクで憩いながら、日常の中で気軽にアートに触れ、クリエーティブワークが楽しめる。さらに、「アート×菓子」のアートセッションやイベントも企画しているという。都会の真ん中の小粋でおいしいアート空間は、さまざまな形で日常に寄り添ってくれそうだ。 ヨックモックミュージアムの詳しい情報はこちら テキスト:長谷川あや 関連記事 『作品購入してアーティストを支援できるDearArtが開設』 『「絵とことば」をテーマにした新感覚の美術館がオープン』 『ニューウェイブバンド、DEVOがフェイスシールドをリリース』 『ユニクロが夏の人気商品「エアリズム」のフェイスマスクをリリース』 『フレーミング・リップスが巨大バルーンを使って「隔離ライブ」を披露』

「絵とことば」をテーマにした新感覚の美術館がオープン
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「絵とことば」をテーマにした新感覚の美術館がオープン

多くの企業や店舗が営業を再開し、東京はいつもの街並みを取り戻しつつある。それに合わせて、これまで開業することができなかった新しいヴェニューや文化施設のオープンラッシュとなっているようだ。原宿駅前にできた新しいIKEAをすでにチェックしたなら、次の週末は立川にオープンした新感覚の美術館を訪れてみよう。 もともと2020年4月にオープンする予定だったプレイ ミュージアムは、子どもから大人まで楽しむことができる新感覚の美術館だ。立体的な作品に触れたり、ワークショップに参加することでユニークなアート体験をすることができる。館内は渦巻きのような構造で、屋内に公園が併設されていたり、ゆったりくつろげるカフェやアートグッズをそろえるショップなどもある。   Photo: Play_2020/Facebook   プレイ ミュージアムでは企画展示と常設展示の二つを同時開催。常設展示では有名な絵本作家の作品を展示し、企画展示では「絵とことば」をテーマに新しい視点を持ったクリエーターたちを紹介する。博物館のショップやカフェでは、展示と関連したオリジナルグッズやカフェメニューを扱う。   Photo: Play_2020/Facebook   常設展にはオープン記念として、世界的に有名な作家であり子ども向けの絵本 『はらぺこあおむし』 で知られるエリック・カールが登場。カールのオリジナルイラストや映像などでいっぱいの空間を探索することができる。一方、企画展では日本のアーティストデュオTupera Tuperaによる、『tupera tuperaのかおてん.』を開催中。「顔」をテーマに、平面、映像、立体とさまざまな表現の作品を展示し、来場者には「かおシール」が配られる。シールを顔や体に貼り付ければ、来場者もアートワークの一部になることができるというユニークな内容だ。   博物館のカフェでは、 「はらぺこあおむし」をモチーフにしたかわいらしいサンドイッチや、Tupera Tuperaの「顔」型のカレーライスなどを提供中       Photo: Play_2020/Facebook   博物館の屋内公園は6月19日(金)にオープンを予定。子どもが楽しめる7の異なるプレイゾーンがあり、週末にはライブパフォーマンスも行われる。 子どもも大人も楽しめるプレイ ミュージアムの入館料は一般1,500円、大学生1,000円、高校生800円、小、中学生500円。屋内公園へのアクセスは、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、しばらくの間は入場を制限しており予約が必要だ。 詳しい情報は公式サイトをチェックしてほしい。 関連記事 『3〜5月オープンの商業施設、店舗の注目ヴェニュー6選』 『作品購入してアーティストを支援できるDearArtが開設』 『営業再開のサンシャイン水族館でゾウギンザメの赤ちゃんが一般公開』 『日本初となる都心型店舗のイケアがウィズ原宿にオープン』 『ザ・ペニンシュラ東京が再開を発表、宿泊にはさまざまな特典も』

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「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎」7月12日オンラインで開催
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「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎」7月12日オンラインで開催

新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年2月以降、日本の伝統芸能の一つである歌舞伎界でも劇場公演の中止や延期が相次いだ。歌舞伎座は8月1日(土曜)から再開を予定しているが、幕間無しの短時間上演や座席数の半減など感染対策をふまえた開幕となっている。そんななか、歌舞伎俳優の中村壱太郎企画による、業界の枠を超えた『ART歌舞伎』のオンライン配信が2020年7月12日(日)に開催を決定した。 各界からプロフェッショナルが集結 中村壱太郎が新たに基盤を作り上げた本作の特徴は「伝統芸能×デジタル配信技術×アート」の融合。注目クリエーターの演出と共に、伝統芸能を現代の表現に沿ってアップデートする試みだ。   左:中村壱太郎、右:尾上右近   演者を彩る各業界から、ヘアメイクは映画『ヘルタースケルター』 を手がけた冨沢ノボル、スタイリングは人気アイドルのスタイリストとしても活躍する里山拓斗、ヘッドピースの製作は、アパレルブランドやクリエーターとのコラボレーションが注目の、花にまつわる創作を手掛けるエデンワークス(edenworks)が担当。全て本作のために作られている。   左上:中村壱太郎、右上:尾上右近、左下:花柳源九郎、右下: 藤間涼太朗    日本の伝統芸能を守り続ける歌舞伎界からも大物が集結。歌舞伎俳優の尾上右近、日本舞踊家の花柳源九郎、藤間涼太朗が出演。音楽は、中井智弥(箏、二十五絃箏)、浅野祥(津軽三味線)、藤舎推峰(笛)、山部泰嗣(太鼓)、友吉鶴心(琵琶)といった、国宝級の和楽器奏者たちが参加している。   左上:中村壱太郎、右上:尾上右近、左下:花柳源九郎、右下: 藤間涼太朗   逆境を跳ね返す、伝統芸能の枠を超えたコラボレーション 歌舞伎をはじめ、あらゆる舞台芸術の上演が苦しい状況に直面するなか、新たな方法を検討した中村壱太郎と尾上右近は以下のようにコメントしている。 「僕ら2人の生きがいである『踊り』、そして『魅せること』に特化した作品を創りたいという思いから、現代に生きる魅力的なアーティストの皆さま表現を身にまとい、今できる最大限の表現をここに詰め込みました。『ART歌舞伎』の字のごとく、美しくアートな世界を十分に味わっていただきたく思います」 伝統芸能の枠を超えるコラボレーションは、さまざまなカルチャーシーンへと裾野を広げている。逆境の時代をはね返す新時代の歌舞伎を、まずはオンラインで楽しんでみてはいかがだろうか。 「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎」  配信公演日程配信日時:2020年7月12日(日)19時30分から約80間を予定チケット金額:3,000円(ローチケ powered by Zaiko)(e+「Streaming+」) アーカイブ配信日程配信期間:2020年7月13日(月)19時30分〜7月19日(日)23時00分 ティザー映像はこちら詳細はこちら テキスト:西山綾加 関連記事 『歌舞伎座が8月1日に異例の4部制で再開』 『2020年10月、オノ・ヨーコとジョン・レノンの展覧会が六本木で開催』 『ソーシャルディスタンスに対応したライブ会場がイギリスに誕生』 『初の外国人ディレクターで横浜トリエンナーレが7月17日開幕』 『東京、ホテルのワーケーション4選 ラグジュアリー編』

歌舞伎座が8月1日に異例の4部制で再開
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歌舞伎座が8月1日に異例の4部制で再開

3月から公演を中止してきた歌舞伎座は2020年8月1日(土)から再開し、『八月花形歌舞伎』を開催すると発表した。公演は8月1日〜26日(水)、4部制を採用している。 演目と主な配役は以下の通り。 ・第1部(11時から)は『連獅子』で片岡愛之助、中村壱太郎 ・第2部(13時45分から)は『棒しばり』で中村勘九郎、坂東巳之助 ・第3部(14時15分から)は『吉野山』で市川猿之助、中村七之助 ・第4部(19時から)は『与話情浮世横櫛(よわなさけうきよのよこぐし)』で松本幸四郎、片岡亀蔵 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、いずれも幕間なしで各公演は短時間で終わるものとなっている。 チケットは1等席が8,000円、2等席5,000円、3等席3,000円で桟敷席や幕見席は販売しない。座席数も前後左右を開けた配置とするため、通常の1808席から半分以下の823席とする。 なお、歌舞伎座独自の主な新型コロナウイルス感染症対策は以下の通り。 ・大向こうや掛け声を控えるよう求める ・出演者へのプレゼント、手紙、面会は控える ・劇場の客席は原則、前後左右を空けた席配置とする ・ブランケット、座布団、オペラグラスの貸し出しを一時的に休止する ・幕間がない公演のため、必要な水分補給を除き劇場内での飲食を控える 詳細な感染症対策と今後の変更などは公式サイトで確認してほしい。 歌舞伎座再開についての詳しい情報はこちら 関連記事 『豊島区立トキワ荘マンガミュージアムが7月7日にオープン』 『初の外国人ディレクターで横浜トリエンナーレが7月17日開幕』 『東京都美術館が7月1日に再開へ、コロナ対策も』 『ザ・ペニンシュラ東京が再開を発表、宿泊にはさまざまな特典も』 『再開発に沸く日本橋兜町に注目のパティスリー イーズがオープン』

「美術手帖」を大人読み、2019年分を期間限定で無料公開
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「美術手帖」を大人読み、2019年分を期間限定で無料公開

外出自粛でオンラインの演劇や映画などのアートに触れる機会が増えた人もいるかもしれない。だが、自宅ではアート系の書籍に触れる機会は限られている。だからこそ、読書をしたいと思う向きもあるだろう。 そんなアート好きには、アート界をけん引する雑誌、『美術手帖』をおすすめする。現在、同雑誌は2019年刊行分のバックナンバーの全ページを無料公開中だ。 バックナンバーは全6号。『100年後の民藝』(4月号)や『塩田千春』(8月号)などの興味深い特集号や、インカ・ショニバレCBE(6月号)や宮永愛子のインタビュー(12月号)、「目[mé]が考える宇宙アート」(10月号)といった、ほかではまず読めないであろう記事が盛りだくさんとなっている。 公開期間は6月14日(日)まで。詳細は公式サイトから確認してほしい。 美術手帖無料公開の詳しい情報はこちら 関連記事 『ゴダール作品をオンラインで、独立系配給会社が配信を開始』 『奥渋谷の書店、SPBSがクラウドファンディングを開始』 『ニューヨーク近代美術館が無料で学べるオンライン講座を提供』 『ルイ・ヴィトン財団が公開、バスキアの回顧展を振り返るビデオツアー』 『モネのアトリエや寝室をのぞく? バーチャルで訪れるピンクの邸宅』

設計者が語るバンコクの新空中庭園、チャオプラヤースカイパーク
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設計者が語るバンコクの新空中庭園、チャオプラヤースカイパーク

2020年6月末、バンコクのチャオプラヤー川に高架式の庭園と歩行者専用の橋を兼ねた、チャオプラヤースカイパーク(Chao Phraya SkyPark)がグランドオープンする。このプロジェクトは、1990年代に高架鉄道のために途中まで作られ、その後は荒れ果てたままだった「未完の橋」を再生したもので、都市における緑の公共空間に新たな次元をもたらし、さらに、バンコクの人々が自然を享受する方法を変える可能性も持っている。 同プロジェクトを共同で担当したのは、建築設計事務所のUDDC(Urban Design and Development Center)、ランドスケープ設計のエキスパートであるランドプロセス(Landprocess)、そしてデザイン会社であるN7A アーキテクツ(N7A Architects)。タイムアウトバンコクでは、UDDCのトップであるニラモン・セリサクンにインタビューし、このような野心的なプロジェクトを構築する上での課題、また新しい緑地に期待することを聞いた。 ー荒れ果てた鉄道橋を空中庭園のある橋にするというアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか? 全てのきっかけは、バンコク250というプロジェクトです。私たちは地域の声に耳を傾けました。そのなかで、ブッパラーム地区のリーダーであるプラディット・ホイコントンが、完成に至らなかったラヴァリン・スカイトレインのことを教えてくれたのです。 彼は、この再生プロジェクトが成功すれば、経済、文化、観光などさまざまな面でバンコクとトンブリの間に大きなつながりが生まれるだろうと指摘してくれました。私と私のチームはこれを貴重な機会だと思い、着手したのです。    Chao Phraya Sky Park   ーインスピレーションはどこから生まれましたか? 実は、川に空中庭園の橋を架けることは、19世紀から世界中の建築家の大きな夢だったのですが、誰も成功していません。ロンドンではテムズ川で、ニューヨークではエコパークのあるピア35で、ワシントンD.C.ではアナコスティア川で計画がありましたが、実現しませんでした。それでも、私たちの中では夢と希望があったので、似たような工事で成功したプロジェクトの調査、検討を開始しました。 ニューヨークにある全長1.45マイル(約2.3キロ)の高架公園であるハイラインや、パリ・バスティーユ・ヴィンセンヌ線の線路をパリの職人のための公共空間へ変えたヴィアドゥック・デ・アーツなどは、私たちの大きなインスピレーションの源となった改造建築物です。これらのプロジェクトは、既存の構造物をより機能的な緑地に転換した好例でもあります。 ー今回のプロジェクトの最終的な目標や期待されていることは何だったのでしょう 私たちの最大の目標は、バンコクの緑豊かな公共空間を改善することです。バンコクとトンブリの間の徒歩や自転車のルートを整備し両地区の橋渡しをして、地域社会における所得分配の改善を支援することでした。 橋の上では、両地域が協力してエンターテインメントイベントを開催することも可能です。双方をつなぐ空間であるため、文化的な面だけでなく、社会的、経済的な機会も生まれます。 ープロジェクトで経験した課題や限界はありますか? 一番の難関は工事です。車両や機械を鉄道橋に乗せることができないので、作業工程はアリがゆっくりと砂糖を集めているようなものでした。また、安全基準上、橋の上に乗せる物の総重量にも制限がありました。 ーほかにはどんなことが期待できますか? まず、私は心を込めて、バン

インタビュー・アーカイブス

インタビュー:野村萬斎
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インタビュー:野村萬斎

ある時は占術・呪術を使いこなす怜悧な陰陽師(映画『陰陽師』)、またある時は、智も仁も勇もないが人々に愛されるでくのぼう(映画『のぼうの城』)。多彩な顔を見せる野村萬斎だが、その根幹にあるのは、14世紀に確立され、現存する最古の演劇であり、ユネスコの世界無形文化遺産でもある狂言だ。祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事し、3歳で初舞台を踏んだ彼は、その600年の伝統を引き継ぐ。「(島国である)日本を訪れる方は、奇異な国だと思われるのではないでしょうか。大陸ではせめぎ合いがあり、前の民族の歴史を否定して発展してきたので、記録は残っていても、どのように上演されたかがわからない。ギリシャ悲劇などがそうですよね。その意味で、ずっと続いて来た狂言が、演劇的に最古だと言われるのでしょう」。 とは言え、昔と寸分違わぬことをしているわけではない。「文化は生き物と一緒。時代に適応して変わってきました」と萬斎は言う。これは狂言が今も直面する課題につながるだろう。時代の変化の中でも変えたくない、狂言のコアとは何か? 英語の読者も多いタイムアウト東京のために、彼は、28歳のころイギリス留学で磨いた英語も交えながら語ってくれた。「シェイクスピアの“thou”や“thy”のように、狂言にも今では使わない言葉が出て来たり、韻を踏むなどの文語的な表現が使われたりします。そのことが多少取っつきにくさを催すわけですが、では言葉を分かり易くすればいいのかというと、それでは文章の音律が崩れる可能性がある。シェイクスピアの弱強5歩格と同じで、狂言にも独自の朗唱術があり、これを実現するために古典的なスタイルが必要なわけです。どの国でもそうであるように、言葉は情報を伝えるものですが、そこには音が付随する。日本語本来の音の面白さと動きの様式美は、我々がこだわるアイデンティティです」。 その魅力を、古来の日本語になじみのない外国人や若者にどう伝えていくかは悩みどころ。例えば狂言の冒頭の言葉として有名な「このあたりの者でござる」。「英語では“I am the residence of this house”と訳されることが多いですが、このあたりとはもっと広い意味だから、最近、私は“I am a local here”としています。しかし、主語が曖昧なのも日本語特有で、実際には“We are~”かもしれないし、もっと言えば“This is~”とするべきかもしれない。つまり、出て来た人物は皆様と同じ人間であり、今生きているあなたを象徴する存在である、というニュアンスなのだと思います。要するに、鏡の構造ですね」。シェイクスピアも『ハムレット』の中で、芝居が自然を映す鏡であるという演劇観を示している。「狂言が複雑な構造ではなく単純な鏡だからこそ、生きながらえたと言えるでしょう。話し言葉なのでだいたい分かりますし、海外の方でも、あらすじを読んでいただけば、シチュエーションから感じ取れる曲もあります」。 喜劇的な要素が強い狂言は、海外公演でも観客を沸かせる。「笑いが人と人をつなぐ有効手段であることは、海外公演でもつくづく感じます」と萬斎もうなずく。と同時に、萬斎やその父で人間国宝である万作の狂言の笑いには、ただ楽しいだけでなく、気品が漂うのも特長だ。「父は、狂言は、喜劇でありながらも美しい、面白い、おかしいの順であるべきだと申しております。これは他者との関係・距離感に関係しますね。美は、もしかしたらひとりでもなし

梅若玄祥と野村萬斎が語る、能と狂言の世界
ステージ

梅若玄祥と野村萬斎が語る、能と狂言の世界

能楽堂に行ったことはあるだろうか。主に能や狂言が上演されるその劇場は、極めてシンプルで特殊な空間だ。「橋掛かり」という通路から現れた演者がたどり着く「本舞台」は30平方メートル余りの広さで、後ろに松の絵が描かれた板があるのみ。しかしそこはあらゆる世界、あるいは広大な宇宙になる。そんな能楽堂にデビューするなら、親しみやすい題材による新作能と新作狂言が相次いで上演されるこの12月は絶好の機会だ。ここでは新作能『マリー・アントワネット』主演の梅若玄祥のインタビューと、新作狂言『鮎』主演の野村萬斎の記者会見でのコメントをもとに、それぞれの公演を紹介。さらに玄祥から、初めて能楽堂へ行くタイムアウト東京の読者に向けてアドバイスももらった。

インタビュー:平山素子
ダンス

インタビュー:平山素子

難解でとっつきにくい印象のある、コンテンポラリーダンス。しかし近年、学校教育に取り入れられたり、日本の芸能界にも経験者が目立つようになり、徐々にではあるが一般的な人気を集めつつある。そんなコンテンポラリーダンス界に、常に新たな革新を迫りつつも、純粋に人間の身体への興味を掻き立てる振付でシーンに刺激を与え続けてきたのが、平山素子だ。2016年3月25日(金)からの3日間に上演予定の最新作、『Hybrid -Rhythm & Dance』の稽古を行っている平山に、作品の会場でもある新国立劇場で話を聞いた。

インタビュー:デヴィッド・ルヴォー
ステージ

インタビュー:デヴィッド・ルヴォー

江戸時代の浄瑠璃作者、近松門左衛門によって書かれ、今も文楽や歌舞伎で上演されている『心中天網島』。1969年には篠田正浩監督によっても映画化されたこの名作が、『ETERNAL CHIKAMATSU ―近松門左衛門「心中天網島」より―』として生まれ変わる。演出は、ウエストエンドやブロードウェイで活躍する英国人演出家デヴィッド・ルヴォー。日本では1993年に30代でT.P.T.(シアタープロジェクト・東京)芸術監督に就任し、20作以上を演出している。

インタビュー:ソフィ・エブラード
アート

インタビュー:ソフィ・エブラード

ソフィ・エブラード(Sophie Ebrard)は1976年フランス生まれ。広告業界で10年のキャリアを積んだ後、写真家へと転身。ポルノ作品のディレクター、ガズマン(Gazzman)との出会いをきっかけに、4年間にわたり世界中の撮影現場を撮りおさめた作品『It’s Just Love』をアムステルダムの自宅を展覧会場に発表した。 同作を『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017』のサテライトエキシビション『KG+』のプログラムのひとつとして、日本で初公開。本展は、けしていやらしいものではなく、詩的なストーリーさえも垣間見える作品として昇華されている。待ち合わせの場所に現れた彼女は、印象的な赤いリップと明るい笑顔で日本での展示について、彼女なりのポルノを撮るということについて、インタビューに答えてくれた。

Tokyo Insider

Tokyo Insider #15 カナイフユキ
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Tokyo Insider #15 カナイフユキ

今回は、イラスト、コミック作家として、また文筆家として活躍するカナイフユキが登場。 カナイがZINEを作り始めたのは2014年からだと言う。柔らかな色彩とアンニュイな表情のイラスト、作者自身が投影された物語が話題を呼び、2019年末には、これまでに発表された3作をまとめた『LONG WAY HOME』を刊行している(2015年から2017年にかけて制作した『HOME』『WAY』『LONG』に加筆を加えた合作。オンライン購入はこちらから)。 自身の物語を、また社会の狭間にある問題を、作品とともに喚起しアーティストとして活躍を広げる彼に、東京でおすすめのショップを聞いてみた。 関連記事 『ニューノーマルの時代を考える、Netflix配信中のドラマ5選』 

Tokyo Insider #14 食品まつり
Things to do

Tokyo Insider #14 食品まつり

今回は、名古屋出身のトラックメイカーの食品まつりが登場。 食品まつりは、2012年にニューヨークの先鋭的なレーベルOrange Milkから発表したデビュー作『Shokuhin』以降、アルバム『Ez minzoku』(2016年)『Aru otoko no densetsu』(2018年)などのほか、EPも多数リリースしている。国内でのカルト的な人気はもとより、『Boiler Room』『Low End Theory』への出演など、海外での評価も非常に高いアーティストだ。 無類のサウナ好きとしての彼の一面は、先日掲載されたインタビュー『サウナと創作』でも語られているが、ここでは彼が東京で行きつけにしている店を紹介する。

Tokyo Insider #13 newsynco
ナイトライフ

Tokyo Insider #13 newsynco

今回は、イギリス人アーティストのnewsyncoが登場。 newsyncoは、現在ロンドンの服飾大学に通い、音楽活動もする20歳のアーティストだ。ポップ、オルタナティブロック、映画音楽、グラム、テクノなどさまざまなスタイルから影響を受けたジャンルにとらわれない音楽を発表している。 

Tokyo Insider #12 RYUZO
音楽

Tokyo Insider #12 RYUZO

今回は、京都出身のラッパーでプロデューサーのRYUZO(リュウゾウ)が登場。渋谷の行きつけを案内。

東京、定番の美術館

東京国立近代美術館
アート

東京国立近代美術館

皇居の横に建つ日本で最初の国立美術館は、20世紀の始まり以降の日本美術を集めたもう1つのMoMA。企画展もさることながら常設展も充実している。横山大観や上村松園など13の重要文化財を含む12000点を超える国内屈指のコレクションから約200点を入れ替え展示している。建物は1969年に谷口吉郎により設計され、2002年に増築、改築が行われた。皇居の堀と石垣の横にあるので、春には花見、秋には紅葉を楽しむのに最高の場所。東京駅からの、皇居を見ながら同館へいたる散策ルートもおすすめだ。

東京都現代美術館
アート

東京都現代美術館

絵画、彫刻、ファッション、建築、デザインなど幅広く現代美術を紹介、展示する美術館。2019年3月末、約3年の大規模改修工事を終えてリニューアルオープン。併設する美術図書室に子ども向けのライブラリーを備えたり、一新された飲食店で季節に応じた離乳食を提供するなど、より親子で楽しめる施設へと生まれ変わった。 国内外から集められた5400点ものコレクションは今でも好評だが、ここに多くの人々を呼び寄せるのは、魅力的な企画展の数々だろう。また、美術関連図書資料27万冊を誇る美術図書室を備えており、充実した映像ライブラリー、雑誌やカタログのコレクションも見逃せない。

森美術館
アート

森美術館

森美術館の成功の秘密は、並はずれた人気を博している六本木ヒルズの中に位置し、森タワーの53階にあること。52階の展望台 東京シティビューもあわせて訪れれば、バーやカフェ、パノラマ式のデッキからのすばらしい眺望も楽しめる。夜遅くまで開いているので、ますます足を運びやすい。展覧会は意図的に変化をつけてあり、過去の催しにはビル・ヴィオラのビデオアートや現代芸術におけるユーモアを巡る展覧会もあった。東京シティビューからの眺めは厳密にいうと360度ではないし、東京都庁舎の無料の展望台に比較すると高価ではあるが、とにかく眺望はほぼ間違いなくこちらのの方がすばらしい。 特集記事 東京でしかできない88のこと 六本木でしかできない101のこと

三鷹の森ジブリ美術館
アート

三鷹の森ジブリ美術館

『となりのトトロ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』など、日本で最も人気のあるアニメーション作品を生み出してきた、宮崎駿が館主を務める三鷹の森ジブリ美術館。トトロが出迎えてくれる入口や、屋上には佇む巨神兵などジブリの世界を楽しめる。また、ミニシアターが館内にあり短編アニメーションが上映されている。2016年5月から、オープン以来初の長期休館が決定。期間中には、展示物などをほぼすべて撤去し、大規模なリニューアルを行うようだ。 関連記事『東京でしかできない88のこと』

アーティゾン美術館
アート

アーティゾン美術館

1952年に開館したブリヂストン美術館が、改称して2020年に開館。故・石橋正二郎が収集した作品をコレクションの母体としている。 ルノワールやコローといったヨーロッパの絵画のほかに、雪舟や青木繁といった日本美術史上重要な作品も収蔵。新築された建物は、横15メートルの継ぎ目のない展示用ガラスケースなどが特徴だ。

すみだ北斎美術館
アート

すみだ北斎美術館

※2016年11月22日オープン 生涯のほとんどを墨田区で過ごした江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎に関する美術館。葛飾北斎が残した名作の展示はもちろん、常設展示室では、北斎の生涯に沿って人物像や「すみだ」との繋がりを紹介する。作品だけではなく、門人の露木為一が残した絵をもとに忠実に再現した北斎のアトリエを再現したスペースなども設けらている。 関連記事『幻の肉筆画を公開、すみだ北斎美術館がオープン』 特集記事 『両国、ご近所ガイド』

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連載:東京を創訳する

東京を創訳する 第24回
Things to do

東京を創訳する 第24回

旅行のひとつの楽しみは、その土地の人との思い出深い交流である。ちょっとした買い物で店員としたやりとりや、食べ物屋で隣り合った地元の人との会話など、旧跡を訪ねた感動とは違うものがある。しかし、そうした普通の人との交流はできても、パリやニューヨークに行って、そこの「セレブ」やその生活を「観光」するのは難しい。それは無理に近い。でも、ロンドンでバッキンガム宮殿に行ったりするのは、その建物を見るためだけでなく、エリザベス女王が現れないとしても、宮殿の上に王室旗がはためいていれば陛下がそこにいるのだな、といった興味が湧くからだろう。 東京を訪れる外国人旅行者は、東京ではそうした「上流」の人とはどんな人で、どこにいて、何をしてるのだろう、とは考えないだろうか?他方、「普通の日本人」は東京の盛り場で何をしているのかと思ったりしないか?そう考えて、今回からは、観光では会えないような東京の上流や、「下流」というよりは庶民の人たちがどこで何をしているのかを半年ほどシリーズで書いてみる。 実は、この「High Life - Low Life」というのは、イギリスの雑誌コラムからのパクリである。1990年代は、High Lifeは上流階級出身のTakiという人が、Low Lifeの方は、ロンドンで有名な酔っ払いのエッセイスト、ジェフリー・バーナードという人が書いて人気を集めていた。僕自身はもちろん上流階級ではなく、盛り場に詳しかったりしているわけでもまったくないが、多少、今までに見知ったことを書こう。まずは上流から。 欧米に行くと上流の人たちというのが確かにいる。アメリカの古い大金持ちや、大統領の係累(けいるい)。ヨーロッパだったら貴族という階層があって、城に住んでいたりする。では、それにあたる人々とは日本、特に東京では誰なのか。答えは簡単。東京のど真ん中、広大な皇居に住んでらっしゃる天皇とそのご一家だ。ほかにも、皇居からそう遠くない繁華街の赤坂に「御所」という広い敷地があって、天皇の男系親族の数家族が「宮家」(prince)として住んでらっしゃる。そのあたりのことは英国のロンドン、タイのバンコクの王族の事情と変わらない。ただ、日本の社会で「上流階級」、というと何か外国とはニュアンスが違う。天皇や皇族は「階級」ではない、というか、ある意味で、もっと飛び抜けているというか。そのあたりの理屈も追々書くことにする。 天皇、皇族とその生活はこのタイムアウト東京のテーマになるのか。ぶっちゃけていえば、「天皇」は「観光」の対象になるのか?(日本人の読者にはやや無礼な、と気になる人もあろうが、今後このシリーズでは許してほしい)もちろんなる。好奇心と興味の湧く文物はすべて観光の対象だ。まず、天皇と会うことはできなくても拝見するチャンスはある。毎年2回、天皇誕生日(12月23日)と、1月2日には、皇居で一般参賀という機会があって、天皇ご一家がみなの前に姿を現すのだ。正月などは、毎年数十万人が集まるところを見ると、少なくとも日本人にとってこれは、一種の「観光」だろう。 ご一家は見られなくても皇居だったらいつもそこにある。日本一大きな城だから見応えはある。ただその皇居も、元はといえば天皇の「御所」ではなく、将軍であった徳川家の御城だった。天皇代々の御所は京都にある。最近のことだが、いまの皇居に天守閣を建てて観光の目玉にしようという案が出て、国会で議論にすらなった。その

東京を創訳する 第23回『初夏』
Things to do

東京を創訳する 第23回『初夏』

東京を訪れるベストシーズンは、5月から6月の初夏である。その理由は3つある。 第1に、気温は高いが盛夏の35度といった暑さではなく、風が吹けば心地良い、夜は時に肌寒くなるくらいの、温帯の夏である。旅行の装いも軽くなるし、身が軽ければ心も軽くなる。 第2に、昼間が長い。何十年もサマータイムの導入が叫ばれているがなかなか実現しない日本で、昼間(daytime)でもなく夜(night)でもない、宵(evening)の美しさと心地良さを味わえるのは、この時期だけである。灯刻となり、さて今から何を食べよう、どこに飲みに行こう、と考えるのは旅の大きな楽しみだが、初夏はそれをゆっくり算段することができる。夜が長いのだ。 第3が、意外に気づかれないのだが、旅行に最適なのに、その割にはすいている。4月は桜の狂想曲で、外からの旅行者よりもまず日本人が浮き足立っていて、どこに行っても混むし、気ぜわしい。桜に興味のある外国人旅行者だったらよいが、日本人の浮かれ具合に巻き込まれ、スケジュールが立てにくいのはやっかいだ。その桜が終わっても、4月末から5月第1週のゴールデンウィークという旅行シーズンが来る。この時期は、外国からの旅行者にとっては、興味深い行事や催しものがある訳ではない。ただ列車やホテルが取りにくくなるだけだから、避けた方がよい。ゴールデンウィークが終わると、気温が高くてもあまり蒸さない、心地よき初夏が来る。この時期に日本を旅する楽しさを逃がす手はない。最近北米の旅先で聞いた話だが、日本に来て2週間くらいサイクリングをする、というツアーがあるようだ。少しハイエンドな感じだが、東京のホテルに集合し、飛行機で出発地点に向かう。自転車とそのガイドさんが待っており、サイクリング旅行が始まる。私の聞いた場所は、能登半島と瀬戸内である。その行程に老舗旅館や、美術館が組み入れられていて、元気で好奇心の旺盛なシニアにうってつけだろう。ゴルフもこの時期にプレーするのが最高だ。日本のゴルフ場は、その数が飽和状態にあることからさまざまな工夫がなされているところも多く、ハワイでのゴルフとは違った味わいのゴルフ旅行ができるだろう。 さて、話の焦点を東京に合わせると、私の初夏の好みは、ショウブと大相撲である。ショウブは堀切菖蒲園など名園が沢山あるようだが、それはタイムアウト東京でチェックするとして、個人的には明治神宮御苑が好きだ。6月の開花の時期をうまく見計らうと、鳥居をくぐって進む参道は木々の深い緑が美しく、小道に入ってからしばらくして、ふと現れる菖蒲園は、見渡す限り濃紺から白までさまざまな色が彩なす、大輪の花が満開となっているだろう。この時ばかりは薄曇りくらいがよく、雨が降っていたらそれはむしろ好都合、興を添える。その点は風と雨が大敵の桜と違って、水と縁あるショウブならではの持ち味かも知れない。 大相撲は行けばすぐに見られるものではない。東京の夏場所は、5月の15日間と限定されて、そもそもチケットが取りにくく、外国から訪れる観光客には難しい見物であろう。しかし、そう諦めたものでもない。両国の国技館に行くと、やってくる力士、「場所入り」をする相撲取りの姿を見ることができる。そのため国技館の周りには、ファンがたくさん群がっている。番付の下の方にいる若いのから、次第にランクが上の力士が現れ、最後は横綱である。そこに何時間もいるわけにもいかないので、小一時間くらいの見物を勧めるが、相撲取りは見ると聞くとでは大違いだ。単なる肥満の人とは大違いである。その若くはち切れた大きな姿を見るだけでも

東京を創訳する 第22回『早春 - 花見』
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東京を創訳する 第22回『早春 - 花見』

「4月は残酷な季節」とは、イギリスの詩の有名な一節だが、文学的解釈は別にして、まずはイギリスの天気の不安定さを言っているに違いない、と思う。4月、うららかな日差しに家庭菜園の手入れを始めると、突如黒雲が湧き、霰(あられ)が降ってくる。あの激変は手が付けられない。東京の3月も似たところがある。3月の初めはまだ、雪が降ったり、厳冬の気温となったりするのに、月末には桜が咲いて、浮かれ気分になる。その一月の変化の大きさは一年の中で最も激しい。 花の薫りは、まずは2月に梅が届けてくれるが、そこから冬が居座る。一体いつ春が、と思うと突然、「春一番」という名の暖かい風が吹いて、冬の縛(いまし)めがほどけだす。そうすると、3月には、地球上で日本列島だけの気候現象、「桜前線」が南から上がってくる。桜が開花した土地を線で結ぶ前線だ。世界にどんな大ニュースがあっても、NHKのトップニュースはどこそこで桜が開花した、という桜便りである。そんなことでいいのか、もっと大事な問題があるだろう、と思う向きもあろうが、3月半ばを過ぎれば、もはや「桜」にかなう話題は無い。 昔からそうか、といえば、4、50年前はそんなでもなかった。全共闘という古風な運動をしているとき、花見をしようと言い出したりする僕は「右翼」と批判された。戦前、桜のぱっと散るところが軍人の潔さの比喩になったりしたからだ。今はそうした政治的反省など気にすることなく、いつでもどこでも、桜を愛でない人は日本人でないと思われる。常にあまのじゃくな僕は、そういう押しつけは全体主義的だと感じて、いまでは桜の話題をいぶかしく思っているのだが、ここでは素直になって、東京の花見はどこがいいか、という定番の話題に進もう。 どこがいい?いや、そんなことは僕が書くまでも無く、テレビや雑誌、新聞で特集が組まれている。そこを参考にした方が良い。それほど、桜フィーバーは、現代の日本に定着している。しかし言っておくが、半世紀昔の若い頃、市ヶ谷の土手伝いで桜吹雪の下を歩いたりしても、同好の鑑賞者とすれ違ったりしなかった。みな先を急いでいた。「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!」も、あまりに有名な文学的一節(梶井基次郎『桜の樹の下には』)だが、屍体でなくても「馬糞」は桜によく効くらしい。生まれた家の近くにある世田谷の馬事公苑に行くのは僕の年中行事で、そこに咲く重たいほどの花の下枝に感激したりしたが、誘う相手はあまりいなかった。 学校というものはどこでも桜の名所になるが、特に何も埋まってなくても、桜はすごい。たとえば、僕の元の職場の東大駒場キャンパスも、グラウンドを囲む土手に見事な桜並木がある。そこで、大学に勤め出した1980年代に、僕がゼミ生を誘って花見をしたのだが、夕暮れは予想より寒く、段ボールで囲いをしながら持ち込みのおでんを震えながら食べるはめになった。そう、実は桜が花開く頃は、まだまだ寒いのだ。花が咲いていて豪奢(ごうしゃ)なもんだから、つい暖かいと誤解をするのだ。地方のお城の花見など、桜の花冠の下で売られている定番はおでんだ。そこで、花見は寒いからやめた方が良いとまで言わないが、寒さには十分注意をするように、とガイドをしておく。酒盛りに参加するときはコートを忘れず、幹事は地面に敷くものの断熱に留意されたい。 などと、桜について書いていると、つい興奮をする。何しろ、最初に生まれた子に「桜

東京を創訳する 第21回 「初春 - 日本が一番日本の日」
Things to do

東京を創訳する 第21回 「初春 - 日本が一番日本の日」

1月1日は、1年の内で東京が一番、日本らしくなる日である。 始まりは、前日の大みそかからだ。12月31日は正月の準備に一家は集まり、年越し蕎麦を食べ、みなで延々、4時間半の歌番組、NHK『紅白歌合戦』を見る。この50組近くの歌手が集まる騒がしい番組が23時45分『蛍の光』の大合唱で終わると、突如、テレビからは静寂の中、「ゴーン」とお寺の鐘の音が響いてきて、次の番組『行く年来る年』となる。日本のどこか、暗い中に雪が白く輝く寺社の参道に、人々が無言で集まって来ている。東京の私たちは、「寒そうだね」と心でつぶやきながら、1年の終わり、大晦日の24時を待つ…。 ただし、必ずしもこうとは限らない。人によっては大晦日に恒例の格闘技やカウントダウンコンサートに出かけたり、家にいても部屋で片付けものをしたり、テレビを見るとしてもほかの番組にチャンネルを合わせたり、そもそも団らんには加わらず、借りためてあった連続ドラマのDVDを長時間見続けたりしている。そんな人もたくさんいる。 しかし、そういった人も、「今夜は世間では、定番の紅白と、その後のかったるい番組を見ているんだろうな」と思ったりする。そのくらい12月31日の夜は、典型的な「日本らしい」日なのである。おそらく、2、30パーセントの東京人は、いま書いた通りのことを、そっくりそのまましている。 西洋のクリスマスが家族行事であることと同じである。ただ、日本の正月は、12月28日には仕事を終えて、元旦、1月1日の後、3日まで、同じようなおせち料理の日々が続き、それに飽きた頃にやっと4日の仕事始めとなる。 では、日本人は元旦に何をするのか。朝、みなで集まって「明けましておめでとう」と言い合い、「おせち料理」を食べる。これだけ。この「おせち」は、まさに「The 日本」の食べものである。日本人だって普段は食べない日本料理を食べる。食べるどころか、正月以外は見ることすらない奇妙な「ちょろぎ」という食材も出てくる。みな、作り置きのコールドディッシュであるが、雑煮だけは温かいスープである。なかには青菜とニンジンと、そして餅が入っている。スープがおすましか味噌仕立てか、餅が丸いか角なのかは地域によって異なる。東京はおすましに角もち。異なる地方の人同士が夫婦となると、この相違は、結婚生活を脅かしはしないが、彩を添える論争の種となる。 ただしこのおせち料理、どこかのレストランで食べようとすると、普段のメニューにはない。サンクスギビングの七面鳥料理がレストランのメニューではないように。正月の三が日にホテルに泊まったりすると、ホテルの催し物の中で食べられたりするかもしれないが。 ということで、元旦に東京を訪れた旅行客は、人通りの少ない東京の街を変だなと思ったら、日本人はみな、家の中でそんなことをしているのだ、と納得すればよい。街の店はみな閉まり、レストランで営業をしているところも少ないのだ。 では、そうやって、正月は何もしないのかといえば、1つだけ「日本人の義務」がある。初詣である。『行く年来る年』で、凍てつく深夜、黙々と人々が集まっていたのはその「初詣」に向かう光景なのである。東京でも、正月の三が日、あるいはその1週間くらいは、寺社に、昨年の感謝と今年の幸せを願って、出かけていく。それは半端ではない数である。毎年、東京の明治神宮と浅草寺には、それぞれ300万人が集まる。ほかにも中小の寺や神社は数限りなくあるから、1000万人ほどの東京人は、計算上ほとんど全員、1つあるいは2つくらいの初詣を済ませることになる。 では、正月に日本

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