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スタジオジブリ作品の名場面を立体造型として表現する「ジブリの立体造型物展」が、「寺田倉庫 B&C HALL/E HALL」でスタートした。東京での開催は22年ぶりとなる。
「海を渡った熱風」をテーマにする本展は、海外のパートナーたちがどのようにジブリ作品を自国に届けていったのかをたどりながら、映画の名場面を立体で鑑賞できる。さらに、木製アートで表現した「あの」飛行艇も登場する。ここでは、ジブリファンだけでなく、立体造型物ファンや特撮ファンなども引きつける本展の魅力を5つ紹介したい。
1. 海外パートナーの熱意と苦労が分かるパネル展示
現在では世界的に愛されているジブリ作品だが、かつては国外において思うようにいかない時代があった。会場では、ジブリ作品の魅力を愛し、海外での上映を実現しようと奮闘してきた海外パートナーのストーリーを、パネル展示で紹介。ここは撮影禁止エリアなので写真は掲載できないが、それぞれの文章をじっくりと読んでほしい。

テレビ向けで低予算、質が低いイメージが強かったアニメーションのイメージを覆し、ジブリ作品が洗練された倫理観を持つ作家性の強いアート映画であることを、北米やヨーロッパ、アジアのパートナーたちは根気強く自国で伝え続けてきた。
大人も感動する希少な存在であるジブリ作品を、従来のやり方に当てはめるのではなく、芸術的な誠実さを守るために試行錯誤してきた各パートナーの苦労話、文化や戦略の違いは、とても興味深い。そして、ジブリ作品が世代や国を超えて、あらゆる種類の人に届くことが確認できる。
それぞれ全く異なるデザインや色合いの各国の映画ポスターも並び、着眼点や美意識の違いが垣間見えるだろう。
2. 名場面や愛すべきキャラクターが立体物として登場
3Dでジブリを味わえるのは、本展の醍醐味。冒頭は『となりのトトロ』から始まり、トンネルを抜けるとトトロの森へ出れる。ここではトトロが寝ている住居が忠実に表現されている。かわいらしい中トトロと小トトロもおり、シャッターが止まらないだろう。

『千と千尋の神隠し』のカオナシが暴れ出す宴会の場面は、ジブリならではの食事が丁寧に奥まで表現。カオナシが今にもこちらに迫ってきそうな狂気が潜む。


『ハウルの動く城』では、愛すべきキャラクターのカルシファーがベーコンエッグの置かれた暖炉で見守る。ほかにも、『もののけ姫』では大迫力のモロ、『ラピュタ』ではパズーがシータを救い出すシーン、『魔女の宅急便』のグーチョキパン店といった大型立体物や、キキが家族に宛てた手紙などのこだわりが詰まった小展示も並ぶ。映画の好きなシーンを思い出したり、話し合ったりしながら巡ってほしい。
3. 『耳をすませば』『君たちはどう生きるか』のフォトスポット
映画のワンシーンへ入り込めるフォトスポットは見逃せない。『耳をすませば』では、主人公・月島雫のように、電車で猫のムーンの隣に腰掛けよう。主題歌の「カントリー・ロード」が頭の中で聞こえてくるはずだ。

『君たちはどう生きるか』は、サギ男と向かい合った写真が撮れる。現場のスタッフが撮影してくれるので、一人で行っても安心だ。

『ハウルの動く城』は宮殿の階段を再現。荒地の魔女のセリフが流れ、映画のように魔女と上っている気分になれるだろう。
4. 特撮のレジェンド・伊原弘による飛行艇「サボイアS-21」
目玉は、何といっても『紅の豚』の主人公、ポルコ・ロッソの飛行艇「サボイアS-21」。これまで多数の特撮作品に携わった伊原弘が、映画の舞台である1920年代の飛行艇の制作方法を参考にし、木製作品として作り上げた。監督の宮﨑駿はこの飛行艇に乗った時、小さい声で「美しいですね」と感想を漏らしたという。

今映画から出てきたようなリアルさがあり、光沢のある赤と曲線のフォルムが本当に見応えがある。同作のファンにはたまらないだろう。


この空間には「ピッコロ社」を演出。周囲にはランチのパスタが置かれたロングテーブルや、フィオの作業場が事細かに表現されており、工場に遊びに来たような気分になれる。ジーナの庭や、ポルコとピッコロのおやじが登場する工場の精巧なミニチュアもあるので、じっくりと観察してほしい。
5. 思わず欲しくなるユニークなキャラクターグッズ
本展の後は、ジブリ作品を再び観たくなるだろうし、グッズも欲しくなるだろう。ショップでは、『紅の豚』のポルコのマスコットやスタイリッシュなデザインのハンドタオル、『ハウルの動く城』の犬のヒンのクリーナーといった、微笑ましくユニークなグッズを販売。ぜひ連れて帰ろう。


会期は2025年9月23日(火・祝)まで、チケットは日時指定予約制。展示以外に、宮﨑駿が監督や脚本だけでなくナレーションもする短編『空想の空とぶ機械達』(2002年)の特別上映もあるため、期待を膨らませて訪れてほしい。
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