「アーティゾン美術館」で、オーストラリア各地で躍動する複数の女性アボリジナル作家に焦点を当てた、日本初の展覧会が開催。オーストラリア現代美術の現在地を、世代と地域を超えた7人と1組の作家から読み解く。
近年の国際的な現代美術の動向とも呼応し、オーストラリア先住民によるアボリジナルアートは、改めて世界的に注目を集めている。オーストラリア現代美術では多数の女性作家が高い評価を得ており、その多くがアボリジナルを出自の背景とする。
現代アボリジナルアートの特徴の一つに、制作手法やテーマ、そして素材の多様性が挙げられる。バティック、ジュエリー、編み物、土地神話物語を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を、女性作家たちは芸術表現に昇華させた。
また、社会問題、環境問題、過去の歴史、失われた文化の復興などの幅広いテーマを扱い、イギリスの脱植民地化の言説が進むオーストラリアで、アートを通して積極的にその実践を試みている。
オーストラリア現代美術の方向性を握る、複層的で多面的な現代のアボリジナルアートの「いま」に迫る本展。その多様な創作活動を垣間見てほしい。