佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)
[左]だんご3兄弟(NHK「おかあさんといっしょ」 より)[上]フレーミー[下]ぼてじん(上下ともにNHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館
[左]だんご3兄弟(NHK「おかあさんといっしょ」 より)[上]フレーミー[下]ぼてじん(上下ともにNHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館

東京、6月に行くべきアート展5選

佐藤雅彦、安藤照、ライアン・ガンダーなど

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ここでは、2025年6月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介したい。「横浜美術館」での佐藤雅彦の世界初の大規模個展のほか、国内でも高い人気を誇るライアン・ガンダー、女性アボリジナル作家に焦点を当てた日本初の展覧会など、注目のものをセレクトした。

新たなアートと出合う6月を過ごしてほしい。

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  • 京橋

「アーティゾン美術館」で、オーストラリア各地で躍動する複数の女性アボリジナル作家に焦点を当てた、日本初の展覧会が開催。オーストラリア現代美術の現在地を、世代と地域を超えた7人と1組の作家から読み解く。

近年の国際的な現代美術の動向とも呼応し、オーストラリア先住民によるアボリジナルアートは、改めて世界的に注目を集めている。オーストラリア現代美術では多数の女性作家が高い評価を得ており、その多くがアボリジナルを出自の背景とする。

現代アボリジナルアートの特徴の一つに、制作手法やテーマ、そして素材の多様性が挙げられる。バティック、ジュエリー、編み物、土地神話物語を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を、女性作家たちは芸術表現に昇華させた。

また、社会問題、環境問題、過去の歴史、失われた文化の復興などの幅広いテーマを扱い、イギリスの脱植民地化の言説が進むオーストラリアで、アートを通して積極的にその実践を試みている。



オーストラリア現代美術の方向性を握る、複層的で多面的な現代のアボリジナルアートの「いま」に迫る本展。その多様な創作活動を垣間見てほしい。

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  • みなとみらい

「横浜美術館」で、佐藤雅彦の40年にわたる創作活動の軌跡をたどる世界初の大規模個展が開催。よく知られたテレビ番組やCM、キャラクターから、ビジュアルデザインやコピーライティング、漫画、ゲーム、楽曲、映画、教科書、膨大な著書まで、佐藤が表現者・教育者として世に送り出してきたコンテンツを一堂に紹介する。

「ピタゴラスイッチ」「バザールでござーる」「だんご3兄弟」「モルツ」「ポリンキー」など、時代を超えて話題作、ヒット作を送り出し続けた佐藤。創作の根幹には、「作り方」「分かり方」についての独自の理論やアイデアが蓄積されている。

本展では、多様な作品の創作プロセスを紹介し、その独創的なコミュニケーションデザインの考え方や理論をひもとく。あらゆる物事にじっくりと対峙(たいじ)すること、自分なりの考え方を整理整頓すること、そこから表現を生み出すことの大切さ・面白さを広く伝えていく。

どの世代の人でもなじみ深いもの、記憶に残っているものが必ずある佐藤の手がけた作品。 「これ懐かしい」から始まり、「これも同じ人が作ったものだったのか」、さらに「え、こんなものも作っているの?」と、会場で発見と驚きを繰り返すだろう。

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  • アート
  • 箱根

イギリスのサフォークを拠点に活動し、国内でも高い人気を誇るライアン・ガンダー(Ryan Gander)の個展が、箱根の「ポーラ美術館」で開催。日本初公開の最新作を含め、館内のさまざまなスペースで、全18点におよぶ作品の数々を紹介する。

日常の中に潜む物語や多層的な意味を、知的な遊び心と鋭いユーモアを交えながら表現するガンダー。人間の言葉を話すカエル、読めない時計や仮想の国旗、ある兄弟の偽りの歴史など、作品は極めて具体的でありながら、捉えどころのない神秘に満ちている。

「アートの目的はコミュニケーションではなく、触媒として曖昧さを提供すること」と作家が語るように、作品の意味は固定されていなく、解釈と連想のプロセスによって、新たな物語が創造される。

見どころは、家族とともに生み出された作品の数々。ガンダーの子どもたちの声が作品に使用されていたり、ガンダーの父親による手書き文字が描かれていたりする。

また、ガンダーが生み出した新たな動物たちにも注目だ。館内のさまざまな場所にすみついた、不思議な動物たちを探しに行ってほしい。

  • アート
  • 神泉

渋谷駅前のモニュメント『忠犬ハチ公像』の初代作者、安藤照(1892〜1945年)の個展が、「渋谷区立松濤美術館」で開催。没後80年を記念した本展は、彼の彫刻家としての活動を網羅的に紹介する初の展覧会だ。

数々の彫刻家がしのぎを削った昭和時代の彫刻界で、活躍を期待された存在であった安藤。1921年の彫刻家としてのデビューから、数々の賞を受賞し、早くから頭角を現した。

1934年には『忠犬ハチ公像』、1937年には『西郷隆盛像』と、現在も語り継がれるモニュメントを制作し、彫刻家としての地位を築く。しかし、その道半ばの1945年5月、渋谷区代々木の自宅兼アトリエが空襲にさらされ、安藤もその犠牲となった。

本展では、誰もが知る『忠犬ハチ公像』の影に隠れ、これまで語られる機会の少なかった安藤の生涯について迫るもの。戦火を逃れた現存作品約30点や関連する作家の作品が集合する。

激動の彫刻界、そして戦争に向かう不安定な時代の中でも「ただ黙々と仕事をして居ります」 と語った安藤の作品は、時世の雰囲気に逆らうかのごとく、素朴で静寂だ。激しくうつろう社会を生きる現代の我々にとって、時代と黙然と戦った安藤の彫刻は新鮮に映ることだろう。

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  • 上野

「上野の森美術館」で、美人画、役者絵、風景画などの各分野で、浮世絵の頂点を極めた5人の絵師を紹介する展覧会が開催。「浮世絵5大スター」である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の代表作を中心に、約140点が一堂に会する。

歌麿は、女性の理想像を追求しながら色香を見事に表現し、写楽は役者の演技の一瞬を劇的に捉えた役者絵で人気を博した。

また、『冨嶽三十六景』をはじめ、風景・花鳥・人物と森羅万象を描き続けた北斎。そして、広重は江戸後期の浮世絵に新風を吹き込んだ風景画を描き、国芳は豊かな発想力と斬新なデザインで武者絵の世界を切り抜いた。

江戸時代を彩った彼らの豪華な競演。じっくりと堪能してほしい。

6月の予定を立てるなら・・・

  • 音楽
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初夏の東京では、街のあちこちで心地よい音楽が響き始める。ディープにレゲエに触れる「ジャマイカフェス」や、肉料理と昭和ポップスが楽しめる「ニクオン」、上質なジャズとクラフトビールが楽しめる「NIHONBASHI PUB & JAZZ 音食酒祭」など、気軽にふらりと立ち寄れる催しが目白押しだ。

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