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ミナ ペルホネンが生み出すテキスタイルの大合奏「つぐ minä perhonen」

ブランド創設30周年、バタフライエフェクトは100年後の世界をどう変える?

Chikaru Yoshioka
編集
Chikaru Yoshioka
Editor/Writer
つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima
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テキスト:岸本麻衣

30年間続けてきた営みを、ここから100年先まで継いでゆく。静かで強い決意が感じられる「ミナ ペルホネン」の展覧会「つぐ minä perhonen」が始まった。

2026年2月1日(日)まで「世田谷美術館」で開催される同展覧会では、ブランド創設30周年を迎えてこれまで生み出されたテキスタイルの数々が、どのようなアイデアから生まれ、誰の手をわたって作られたか。さらには、暮らしの中で服として大切にされたその先までも見ることができる。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

タイトルの「つぐ」は、「継ぐ、注ぐ、接ぐ、告ぐ、次ぐ」とさまざまに読み解ける。それを表すかのように、展覧会ではあらゆる「つぐ」がちりばめられた。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

まず、見えてくるのはブランドを代表する図案の一つである「tambourine(タンバリン)」をはじめとしたテキスタイルの森「chorus(コーラス)」。空間いっぱいに広がる約180種のテキスタイルは、それぞれが独立して生まれたわけではないと、創設者でデザイナーの皆川明は話す。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima皆川明(左)と田中景子

「それぞれのテキスタイルは派生するように少しずつつながっています。継がれていくことを私たちも感じました」

確かに、それぞれのテキスタイルは色味やモチーフ、あるいは技法や反復のルールにおいて、少しずつ連なりを見せている。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima
つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

続く「score(スコア)」では、テキスタイルが生み出されるまでに使われた道具と材料が、完成したファブリックと並べて紹介。ここでも、それぞれのテキスタイルは独立した形ではなく、一つの大きな楽譜のように連ねて表現されている。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

印象的だったのは、次の「ensemble(アンサンブル)」。出来上がった原画を実際にテキスタイルとして表現する工場での営みが紹介されるのだが、図案が意図するものを職人がデザイナーとの幾重にもなる対話からくみ取って、染料を注ぎ、針の動きを決め、綿密に織り上げる様子はまさに合奏そのものだ。

機械が奏でる均一で規則正しいリズムが心地よく響くのは、原画の手触りを最大限に生かす「職人の技」がしっかりと伝わってくるからだろうか。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima
つぐ minäperhonen
Photo: Kisa Toyoshima

工場の様子をなるべくそのままのスケール感で表現した展示も面白く、湿度や温度まで伝わってくるようだった。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

2階は、デザイナーであり、現在は代表も務める田中景子や、ミナ ペルホネンを囲む人々のインタビュー映像が並ぶ。映像の中で田中は「それぞれが、自分が関わったその時から、100年先までブランドをつなげるつもりでいます」と告白する。

その言葉は決して大げさではなく、一人ひとりの思いと行動によって続いてゆくであろうと思わせるのが、最後の「remix(リミックス)」だ。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

本展のために特別に行われたプロジェクトで、デザイナーと依頼者の対話によって再構築されたミナ ペルホネンの服を紹介する。暮らしの中で大切にされてきた服は、これまでの面影を残しつつ、新たなピースを接いだ「特別な日常着」へと生まれ変わった。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

たくさんの「つぐ」が表現された今回の展覧会。私たちはミナ ペルホネンの服からどんな100年後を思うだろうか。

つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima
つぐ minä perhonen
Photo: Kisa Toyoshima

会場の一角では、「humming(ハミング)」と名付けられたアトリエも再現。会期中は、皆川と田中が実際にここで仕事をする公開アトリエが予定されている。暮らしの中でデザイナーは何を考え、手を動かすのか。2人の後ろ姿から感じられるものがあるかもしれない。

日程は特設ウェブサイトで発表されるので、ぜひチェックしてほしい。

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