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11月28日〜2026年5月6日、20代から描き続けてきた100点以上の作品や日本初公開の映像も

ジャック・スパロウ、ウィリー・ウォンカ、エドワード・シザーハンズなど、個性豊かなキャラクターを自在に演じ分けるだけでなく、俳優・プロデューサー・ミュージシャンとしてもさまざまな才能を発揮するジョニー・デップ(Johnny Depp)。そんな彼が、俳優として名が知られる以前から絵画を制作し続けてきたことを知っているだろうか。
一言では語り尽くせない謎めいたデップの内的世界が垣間見られる展覧会「A bunch of Stuff - Tokyo」が、「ニュウマン高輪」South2階の「"+Base 0"」で、2026年5月6日(水・祝)まで開催されている。
同展では、子どもの頃から絵を描くことが大好きだったデップが俳優としてブレイクする前の20代から現在までに手がけた100点を超える絵画やドローイングが展示。彼の精神世界に迫る、またとない機会となっている。
展示室は5つの異なるテーマを持つ空間で構成されている。その幕開けを飾るのは、「Buy the ticket take the ride(覚悟を決めたら、あとはやるだけ)」「Close your eyes and look at everything you can’t see(目を閉じ、見えない全てを見よ)」といった、デップが力強い筆致で画用紙に記したストレートな言葉の数々だ。
これらは、デップが敬愛するジャーナリストのハンター・S・トンプソン(Hunter Stockton Thompson)の言葉であり、まるでデップ自身が人生を歩む上で自分を励ますために反芻(はんすう)しているようにも感じられる。
核心となるメッセージを受け取った先には、彼のスタジオから実際に運ばれてきた私物のオブジェや家具、画材が配され、ボヘミアンシックな雰囲気をまとったスタジオ空間が広がっている。彼が人生の異なるステージで向き合ってきたテーマごとに設けられた空間を巡ることで、デップという人物の内側により深く触れていく体験となる。
代表的なシリーズ「Death by confetti(紙吹雪の死)」は、紙吹雪に埋もれそうな骸骨を描いた作品群で、過剰な称賛や名声の重圧に押しつぶされそうになる彼の心情を端的に表している。華やかなハリウッドの世界で長年活躍してきた彼が抱える危うさを、祝福と死という相反するモチーフによって示している点が興味深い。
目玉となるのは、「ブラックボックス」と名付けられた空間で上映される、日本初公開の映像作品だ。鑑賞者を包み込むように湾曲した大型スクリーンには、デップの絵画が映像化され、彼自身の声で人生や絵画についての思考が巡らされる。
今回の展覧会に合わせ、約8年半ぶりに来日したデップは、絵を描くことについて、「自分の脳の中にある物を、いったん目の前の現実から切り離して描く時間は逃避でもあり、とても瞑想(めいそう)的でした」と語った。デップにとって描くという行為は、この世界で自分を保つための一種のセラピーのようなものなのかもしれない。
「自分のことをアーティストだとは決して思っていなくて、僕は単に絵を少し描く人間なんです」とデップ自身が語るように、同展はアート展として鑑賞するのではなく、「ジョニー・デップ」という人物を、子どものように繊細な感覚を持つ一人の人間として改めて認識できる貴重な機会である。
入り組んだ迷路のような展示空間を歩くと、まるでデップの頭の中を追体験しているかのような感覚になる同展。彼の記憶の残像をたどる旅のように楽しむのがふさわしいだろう。
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