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画像提供:エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社
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東京、6月に行くべき無料のアート展14選

草間彌生らのダイアローグ展、イギリスのアール・ブリュット、クィアカルチャーへのまなざしを軸にする写真展など

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アートにあふれる街、東京。本記事では、2025年6月に開催される注目の入場無料のアート展を紹介する。

草間彌生と3人の現代アーティストによるダイアローグ展や、イギリス、アール・ブリュットの現在地を紹介する展示、ニューヨークを拠点に国際的に活躍するホセ・パルラの個展などをピックアップ。新たなアートと出合いに街へと繰り出そう。

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  • アート
  • 表参道

表参道の「GYRE GALLERY」で、「創造と破壊の閃光」が開催。人格と行動が芸術と一体化しているといえるほど芸術に人生をささげてきた草間彌生と、3人の現代アーティストによるダイアローグ展だ。

絵画、彫刻、デザイン、ファッション、パフォーマンス、映画、小説など多様な分野で活躍してきた草間。現在も人間存在の本質的な主題に取り組み、生命の謳歌(おうか)を世界に向けて発信し続けている。

本展の草間と対話相手となる作家は、戦争経験をした草間と戦後高度経済成長による大量消費社会であった時代や精神を共有した三島喜美代。また、光と闇・生と死・自己消滅の草間の世界観と、谷原菜摘子の世界観「自身の負の記憶と人間の闇を混淆(こんこう)した美」が交錯する。

そして、種苗業を営む旧家に生まれた草間の自然観と通底する、坂上チユキのくさび形文字のような無数の形が一つの宇宙を形成する作品だ。

作品を通じた対話を垣間見てほしい。

企画:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)
©YAYOI KUSAMA

  • アート
  • 日本橋

日本橋の「西村画廊」で、9人の作家によるグループ展「SUMMER SHOW 25」が開催。舟越桂、押江千衣子、小林孝亘、曽谷朝絵、細江英公、デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)、町田久美、三沢厚彦、ブリジット・ライリー(Bridget Riley)の近作、新作を中心におよそ20点の作品を紹介する。

会場では、2024年3月に逝去した舟越の静寂で凛(りん)とした彫刻をはじめ、同じく9月に世を去った細江による三島由紀夫を耽美(たんび)的に撮り下ろしたオールドプリント、ライリーの白黒2色が交歓しながらたゆたう版画などが並ぶ。

また、ホックニーの1980年代のフォトコラージュ作品、町田のキャリア初期のペインティング、三沢の猫の木彫とドローイングなども展示している。

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  • アート
  • 京橋


「小山登美夫ギャラリー京橋」で、柏原由佳の個展「Changing in the Light – 光のなかで変わる」が開催。「やんばるアートフェスティバル2024-2025 山原本然」での出展作と、その後描いた最新作を発表する。

海や大地、自然の根源的なエネルギーを、透明感ある色彩により鮮やかに表現する柏原。作品には人間も動物も登場しないが、作家独自の視点を通すと気配や空気、光といった見えない何かの生命力が映し出されているようだ。異次元を垣間見たような不思議なパワーとざわめきを感じるだろう。

2025年、柏原は沖縄のさまざまな場所でスケッチをし、感じた記憶を頼りに3カ月間の滞在制作をした。そこで、原始の記憶と自分の内側の景色と、認識できていなかったもう片側の世界がつながり、光が差し、新しい世界が開いていくような衝撃的な体験をしたという。

柏原はこの経験により、心のままに描き、情報や常識に捉われない自分の感じる「見えない美しさ」を表現するようになった。自分は何者なのか、何のために生きるのかを知るために絵を描く。

柏原の熱く真摯(しんし)な姿勢は、自己の存在・思考・意識・周りのもの・人・環境・自然を新たな視点で捉え直すきっかけを与えてくれるだろう。

  • アート
  • 渋谷

「東京都渋谷公園通りギャラリー」で、11の作家が映し出すイギリス、アール・ブリュット(Art Brut)の現在地を紹介する「未知なる世界と出会うー英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」が開催。世界的に評価の高いレジェンドから、新進気鋭の作家まで、幅広い世代の多様な作品群が集合する。

ゲストキュレーターは、イギリスを拠点にアール・ブリュットと、アウトサイダーアート分野のキュレーターやギャラリストとして活躍する、ジェニファー・ギルバート(Jennifer Gilbert)。マッジ・ギル(Madge Gill)やスコッティ・ウィルソン(Scottie Wilson)といった作家が参加し、緻密で繊細、かつエネルギッシュさを放つ表現が一堂に会する。

出展作品は、白黒とカラフルな作品に分けて公開。白黒の作品が並ぶクラシカルな雰囲気の部屋では、女性モチーフのほか、優美で有機的な形や線が印象的な作品が展示される。

カラフルでポップな印象を受ける部屋では、不思議な生き物や、どこか懐かしいカメラなど、多彩なモチーフが並ぶ。印象の異なるそれぞれの展示室で、想像力をかきたてる作品群を楽しんでほしい。

なお、6月21日(土)には、ギルバートによるオープニングトークが開催。イギリスでの「アール・ブリュット分野」の状況や作家支援活動について話す予定だ。

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  • アート
  • 銀座

「Akio Nagasawa Gallery Ginza」で、宝石や水晶、鉱物を軸に、立体作品や絵画を制作する福王寺朱美による個展「FUTURE ZEN」が開催。2021年に発表された「FUTURE ZEN」シリーズから、ペインティングと立体作品を展示する。

宝石商の父の遺志を継ぎ、1980年から宝石鑑定士をしながら、日本画家の福王寺一彦のアシスタントとして美術界に関わった福王寺。1997年にはジュエリーブランド「AHKAH」を創業、2018年にはAHKAHがTASAKIグループに入り、2021年に美術家としてデビューする。

本シリーズは、複雑化する社会や加速度的に膨張する情報の渦中で、人々が見失いがちな自己の内奥に息づく静けさへとまなざしを向けるもの。福王寺は「鑑賞者がその内なる平穏に触れ、自らの存在の根に立ち返ることで目醒め、それぞれの未来が輝いてゆく契機となることを願っている」(原文ママ)と語る。

立体と平面、両面から展開されるそのビジョンが示す、作家ならではの「禅」の形を体感してほしい。

  • アート
  • 京橋

アーティストの熊倉涼子と山﨑愛彦による2人展「Links, Embed Images」が、京橋の「ギャラリー アンド ベーカリー トーキョー(Gallery & Bakery Tokyo)8分」で開催。会場では、山﨑による3メートル級の大作も登場する。 


熊倉と山﨑はともに1990年代前半生まれのデジタルネイティブ世代で、制作プロセスにデジタル的な思考や手法を用いる。同時に、芸術表現としては伝統的な部類に属する「絵画」形式にこだわり、作品を制作する。

本展タイトルには、Adobe Illustratorの画像配置機能に由来する「Links, Embed Images」を採用。リンクと埋め込みというテクノロジー概念が、両アーティストの絵画におけるイメージの扱い方・姿勢と重ね合わせられている。

歴史の中で形成されてきた図像や多様な描写法を取り入れ、多視点的・多層的な構成によって「見ること」の本質を問いかける熊倉。また、SNS上に日々共有される画像群を起点とし、デジタル時代における絵画の意味と存在感を探る山﨑による共振と問いかけを、垣間見てほしい。

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  • アート
  • 青山

「Akio Nagasawa Gallery Aoyama」で、イタリア・ベネチアを拠点にする現代美術作家、小池健輔の個展が開催される。

国際的に高い評価を受けている小池は、世界各地で展覧会を開催。写真や絵はがきといったビンテージ素材を用い、「何も加えず、何も取り除かず(No More, No Less)」という哲学の下、カットと再構成のみで新たなイメージを生み出す独自のコラージュ作品を制作する。

本展では、これまで⻄洋の古写真を使用してきた小池が、初の試みとして、日本の明治期の古写真を素材に新たに制作した作品を発表。緻密で詩的な作品は、視覚の錯覚と現実の境界を問い直し、既存の記憶やイメージに新たな物語を与えるだろう。

  • アート
  • 銀座

「資生堂ギャラリー」で、資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラム「shiseido art egg」に入選した平田尚也の個展が開催される。

第18回目の公募プログラムでは、独自の視点で今日の世界を見つめ、時代が抱える不安や困難に真摯(しんし)に向き合い、そこから新しい価値観や美意識を表現しているかをポイントとして審査。入選アーティストは、作品テーマや表現を深めながら制作に取り組み、一つの個展としてまとめ上げる。

平田は、デジタルテクノロジーにより身体そのものの仮想化が進む現在、アバターを通して我々の身体性やアイデンティティーを探求。本展では、「身体という表面に宿る魂の在りか」を探る考察を試みる。

社会のさまざまな変化と向き合いながら、我々の在り方を見つめ直した作品は、鑑賞者に新たな気づきをもたらすことだろう。


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  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、ニューヨークを拠点に国際的に活躍するアーティスト、ホセ・パルラ(José Parlá)の個展が開催。備前焼の作品や、日本のアーティストやファッションデザイナーとのコラボレーション作品などを展示し、パルラの包括的な活動とルーツをたどるとともに、東京をテーマとした新作1点を含む合計18点の作品を紹介する。

マイアミ生まれのパルラは、アメリカ、プエルトリコ、キューバといった多様な移民文化に囲まれて育った。そうした環境は、都市生活や芸術に対する理解に深く影響を与え、彼の作品に大きなインスピレーションをもたらしている。

特に世界中を移動する中で出合った都市や多様な表現との対話は、異なる抽象表現を交差させたパルラの独自の視覚言語の探求を促してきた。作品は、言語やアイデンティティーといった概念、さらには場所や空間の定義そのものに対して、詩的な問いを投げかけている。

本展では、「Home Away from Home」と題し、一つに限定される「ホーム」ではなく、記憶、移動、人とのつながりによって形成され、常に変化し続ける風景という視点から展開する。

  • アート
  • 六本木

「スカイ ピラミデ(SCAI PIRAMIDE)」で、ドイツ・デュッセルドルフを拠点に活動する現代芸術家・竹岡雄二の個展が開催。1984年以来の代表的な「台座彫刻」に加え、空間に合わせた新作を含む彫刻10点とドローイングを一挙に公開する。

作品を乗せる台座そのものを彫刻にするというラディカルな方法論によって、竹岡は、美術史や美術館が体現してきた西洋近代美術の枠組みそのものに目を向けてきた。厳格なミニマリズムの彫刻言語に基づき選び抜かれた素材・形態・配置は、展示空間に緊張感をもたらすと同時に、我々の知覚を既成概念から解き放つ余白を宿している。

テラコッタの円盤の上に白い化粧板の台座が置かれた、初期作品の『無題』は、作品と台座の主従関係をユーモラスに覆している。

本展のタイトル「everything for freedom」は、竹岡がこれまでの芸術実践を通じて導き出した答えだ。同時に、世界の構造が変動し、確立された価値観が試される現在、彫刻を超えて人としての根源的な自由を問い続ける、竹岡の新たな宣言ともいえるだろう。

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  • 本郷

「トーキョーアーツアンドスペースレジデンス」の成果発表展、「リンガ・フランカ」が開催。東京や世界の街を舞台に滞在制作を行った7人のアーティストが参加する。

1期の517日~622日(日)と、第2期の75日(土)~810日(日)に分かれている本展。第1期では、「分断を越えて」というテーマの下、ボリャナ・ヴェンチスラヴォヴァ(Borjana Ventzislavova)、カルメン・パパリア(Carmen Papalia)、久松知子らが作品を展示し、第2期では、AKONITO、綾野文麿、金サジ、小宮知久、チェン・ズ(陳哲)らが参加する。

レジデンス滞在中に、異なる文化的背景を持つ人々と交流を深めながらリサーチを進め、その経験を凝縮させてきた彼らの視線や、現実への挑み方を垣間見てほしい。

  • アート
  • 神楽坂

神楽坂のアートギャラリー「エイトエイコ(eitoeiko)」で、幼少時に日本から米国に移住し、現在までロサンゼルスで制作する入江一郎の個展「ナポリタン・コレクション」が開催される。

日本で親しまれているナポリタンスパゲティは、太平洋戦争終戦後、横浜の「ホテルニューグランド」の総料理長・入江茂忠によって考案された。一方で、ナポリタンといえば、米国ではパスタではなく、アイスクリームの代名詞だ。

本展では、入江が言葉遊びを調味料に、さまざまな名画と映画俳優、ミュージシャン、漫画のキャラクターなどの雑多なモチーフをマッシュアップしている。名画に見られる芸術の普遍性の中にも、時代によって多様に捉え方が変化していく流動性が潜んでいることを示す。

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  • 渋谷

クィアカルチャーへのまなざしを軸に、アートとファッションをはじめ、多様なカルチャーを横断的に探求する台湾発の気鋭のフォトグラファーでアーティストの、マンボウ・キー(登曼波)による個展が開催。写真、映像、音楽といった表現を用いて、制作活動を行うキーの全てを総覧する。

思春期、父が秘蔵していた自撮りのセックステープを偶然発見したキー。この体験を契機として、自身のアイデンティティーおよび家族関係の深層に迫る探求を開始した。2019年には、アジアで初めて同性婚が合法化された台湾で、代表作『Father’s Videotape』を発表する。

本展は、父から譲り受けた50本以上のビデオテープの中から見つけた、「居家娛樂」という言葉を出発点に構成。テープは、1980年代から2000年代にかけての父親の性、娯楽、旅、そして「大陸の夢」を記録したもので、私的記録にとどまらず「誰かに見せること」を意図していた。

キーは、これらのビデオテープを客観的な視点と介入の視点を交え、時代背景を解体。そして現代を交差させ、家族、ジェンダー、セクシュアリティー、クィアアイデンティティーといった、個人的かつ社会的なテーマを探求している。

さらに、ファッションフォトグラファーとして「Vogue Taiwan」や「Marie Claire」などで撮り下ろしてきた作品の発表のほか、日本初となる写真集も刊行予定だ。

なお、LGBTQ+コミュニティーをたたえ、差別や偏見のない社会を築くことを目指した啓発活動とイベントの期間である「グローバルプライド月間」として、入場は無料だ。

  • アート
  • 六本木

六本木にある飲食併設のギャラリー「アートかビーフンか白厨」で、気鋭のインディペンデントキュレーターでアーティストの半田颯哉がキュレーションする、6人の作家によるグループ展「“Deconstructive Decoration” by Souya Handa」が開催される。

本展では、装飾という要素の持つ、規範や権力にあらがう「ちから」に焦点を当て、花をモチーフとする作品を展示。出展アーティストは、遠藤文香、門倉太久斗(22世紀ジェダイ)、戸田沙也加、半田颯哉、みょうじなまえ、山本れいらという若手の気鋭アーティストだ。

6人が織り成す空間を堪能してほしい。

もっと読みたいなら……

  • アート

近年、美術館や博物館の入館料が上がりつつある。有料ならば確かにすばらしい体験ができると分かっていても、やはり無料で良い作品を見たいもの。

そのような需要に応えてくれるような美術館やギャラリーが東京には一定数ある。今回セレクトするのは、質の高い国内外の作家を紹介する「資生堂ギャラリー」や明治期洋画の重鎮、黒田清輝の作品を展示する「黒田記念館」から、「目黒寄生虫館」や「おりがみ会館」といった変わり種まで16館だ。

開館時間が変更になっている場合もあるので、事前に公式ウェブサイトを確認してから訪れてほしい。

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

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  • トラベル

野外アートミュージアムでの芸術鑑賞は、まるで宝探しのようだ。庭園や森の中を散策しながら自然に溶け込んだアート作品を見つけていくのは、わくわくするし開放感もある。岩場や池の中など広大なスペースに展示された作品は、アーティストたちの創造力をダイナミックに広げ、美術館とは違った楽しみ方を提供してくれる。また公園のような役割もあり、子ども連れにもぴったりだ。

ここでは、アートと四季の移ろいを同時に体感することができる屋外アートミュージアムや、博物館を紹介。足を運んだら時間は気にせず、広々とした敷地内に点在するアート作品を眺めながらのんびりと過ごそう。たくさん歩けるよう、履き慣れた靴で行くといい。

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