Ron Mueck
Photo: Kisa Toyoshima | Ron Mueck『若いカップル』(2013年)
Photo: Kisa Toyoshima

東京、5月から6月に行くべきアート展

個性豊かな注目の展覧会を紹介

Chikaru Yoshioka
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東京では、国内外のアートファンが注目するイベントが常に充実している。美術館やギャラリーでは話題の展覧会が継続的に開催され、いまの時代を映し出す多彩な表現に出合える。

厳選したアート展を紹介する東京、5月に行くべきアート展5選東京、5月に行くべき無料のアート展13選という記事も公開しているので、併せてチェックしてほしい。

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  • アート
  • 渋谷

PARCO MUSEUM TOKYO」で、展覧会「agnès b. on aime le graff!! _50年、ストリートとともに」が開催。自身をデザイナーではなく、スタイリストと称するアニエスベー(agnès b.)ことアニエス・トゥルブレ(Agnès Troublé)の、ストリートアートへの深い敬意と先駆的な視点に光を当てる。

ブランド創設以来、アニエスベーは一貫して「街」と向き合い続けてきた。1976年のパリ1号店オープン当初から都市の空気を取り込み、1984年にはいち早くアーティストに展示の場を提供するなど、半世紀にわたりストリートの表現者たちを支えてきた。

会場では、彼女が長年にわたり収集してきたコレクションから、FUTURA 2000、KRことクレイグ・コステロ(Craig Costello)、鈴木ヒラク、デニス・ホッパー(Dennis Hopper)など20人以上のアーティストによるグラフィティ作品を通して、ストリートアートの歴史を多角的にたどる。

さらに、アーティストとともに制作してきたアイコニックな「アーティストTシャツ」のアーカイブや未公開資料も展示。なお、本展は、フランスのルーベで開催された展覧会を起点とし、渋谷および台南への巡回を経て再構成されている。

  • アート
  • 横浜

KAAT 神奈川芸術劇場」で、劇場空間と現代美術の融合による新たな表現を探るシリーズ「KAAT EXHIBITION」の一環として、神奈川ゆかりの彫刻家・三沢厚彦と棚田康司による彫刻展が開催される。劇場で彫刻展が行われるのは今回が初の試みだ。

三沢は、樟から等身大の動物を彫り出す「ANIMALS」シリーズで知られ、棚田は一木造りによって、少年少女など境界に漂う存在を形にしてきた。本展では、彫刻と演劇という本来異なる領域の関係性を問い直し、その越境を試みる。

会場には、複数の動物の要素を併せ持つ三沢のキメラ像や、人間を超えた精霊や霊魂の姿を探る棚田の人物像が並ぶ。静的な存在である彫刻が、人が動き表現する「動」の場である劇場空間に置かれることで、場そのものの意味や在り方を浮かび上がらせる。

さらに特別パフォーマンスも上演予定。ポールダンサーやドラァグクイーン、車椅子ダンサー、バーレスクパフォーマーらが集う東京QQQによる「彫刻されるわたし。」、ふんどしパフォーマンスで話題を集める五十嵐ゆうやと仲間たちによる「彫刻される心・褌」は入場無料で鑑賞できる。加えて、山本精一と宮坂遼太郎による即興ライブも有料で開催される。

彫刻と身体表現が交差する、立体的な体験に注目したい。

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  • アート
  • 府中

「府中市美術館」で、近年海外での評価も高まっている画家・松本陽子による、美術館で初となる大規模個展が開催。本展では2025年から制作された新作が初公開されるほか、1950年代末の初期作品から最新作まで、厳選された作品群によって構成される。

松本の代名詞ともいえるピンクを基調とした絵画群は、1960年代末のアメリカ滞在でのアクリル絵具と、下地塗りを施さない綿のローカンヴァスとの出合いを起点に、その後の長年にわたる探究と実践の中で生み出されてきた。鮮やかで軽やかな色彩が重なり合い、動きと光に満ちた画面は、見る者を強く惹きつける。

2000年代には油彩画にも本格的に取り組み、緑や黒、青などを用いた豊かな表現へと展開。20265月に90歳を迎える現在も、制作は続けられている。

会場は大画面作品の迫力を存分に体感できる構成で、いずれも2メートルを超える大型作品が並ぶ空間は圧巻の一言。松本絵画の醍醐味をじっくりと味わってほしい。

  • アート
  • 代官山

代官山の街を舞台に、アートと音楽の都市型フェスティバル「DEFOAMAT」が開催。「Poetry and New Options――詩的で知的な体験を通じ、社会のオルタナティブな可能性を感じる」をコンセプトに、アート展示、音楽ライブ、トークイベント、マーケットなど多彩なプログラムを展開する。

アートセクションには、2022年の「ドクメンタ15」でアジア人として初めて芸術監督を務め、前回の「DEFOAMAT」で都市農業をテーマとするリサーチプロジェクトを発表したインドネシアのアートコレクティブ・ruangrupaが参加。また、日本を代表するアートコレクティブのSIDE COREも新プロジェクトを発表。そのほか、「代官山ヒルサイドテラスART FRONT GALLERY」「MIDORI.so」などを会場に連携プログラムが実施される。

音楽セクションでは、2026年516日(土)に代官山UNIT」「SALOON」で音楽ライブ、17日(日)に「代官山T-SITE」でDJライブを行う(どちらも有料)。

インドネシアの音楽デュオ・Senyawaが10年ぶりに来日。ルリー・シャバラ(Rully Shabara)憑依(ひょうい)的なボイスパフォーマンスと、ヴキール・スヤディー(Wukir Suryadi)による自作楽器の演奏が生み出す実験的サウンドが期待される。国内からは灰野敬二、2much crewの出演が決定している。

現在、クラウドファンディングを実施中。ライブチケットのほか、Tシャツやキーホルダーなど多様なリターンが用意されているのでチェックしてほしい。

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  • アート
  • 上野

アイルランドの首都ダブリンにある文化施設「チェスター・ビーティー」には、アメリカの鉱山事業で成功を収めたアルフレッド・チェスター・ビーティー卿(Chester Beatty、18751968年)が収集した美術コレクションが所蔵されている。1917年に来日したビーティー卿は日本美術にも深い関心を寄せ、とりわけ物語絵においてはヨーロッパ屈指のコレクションを築いた。

同コレクションは198889年に東京・神戸・名古屋で公開されたほか、狩野山雪の『長恨歌絵巻』などの重要作品は「在外日本古美術品保存修復協力事業」によって修復された。このように、日本とアイルランドは継続的な文化交流を行なってきた。

「東京国立博物館」で開催される本展「アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ」では、その中から厳選された日本の物語絵25件を紹介。名品を通じて、美術がつないできた日本とアイルランドの関係にも光を当てていく。

  • アート
  • 両国

2022年から休館していた「東京都江戸東京博物館」が、約4年ぶりにリニューアルオープン。再開館後初の特別展として、同館コレクションのみで構成される展覧会が開催される。えりすぐりの名品と初公開資料を軸に、都市「大江戸」の魅力を紹介する。

武士の都でありながら、多彩な町人文化を育んだ百万都市・江戸。本展では、甲冑(かっちゅう)や婚礼道具などの武家文化、相撲・歌舞伎・吉原と浮世絵などの町人文化、武家火消と町火消、多彩な文芸活動という4つのトピックスを通じて、その豊かな文化をひもとく。

会場には、甲冑やびょうぶ、婚礼道具、浮世絵、火消道具など約160件を展示。収蔵後初公開となる資料も多数並ぶ。歴史の知識を問わず、江戸のにぎわいを体感できる内容だ。

再開館を記念し、高校生以下の観覧料は無料。江戸博コレクションを存分に堪能しよう。

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  • アート
  • 丸の内

「東京ステーションギャラリー」で、20世紀前半のスイスで活躍した画家、カール・ヴァルザー(Karl Walser、1877~1943年)の個展が開催。約150点が日本初公開となる本展では、絵画をはじめ、挿絵や舞台美術、壁画など多彩な分野で活動したヴァルザーの全貌に迫る。

スイスのベルン近郊に生まれたヴァルザーは、1899年以降ベルリンを拠点とし、革新的な表現を志向したベルリン分離派に参加。象徴主義的な作品を数多く残し、鮮烈さの中にほのかな陰影と繊細な色彩を併せ持つその作品群は、どこか神秘的な気配を漂わせる。

1908年には東京や京都府の宮津などに滞在し、日本の風景や風俗を精力的に描いた。本展で紹介される水彩作品には、今なお鮮やかな色彩が息づき、芸者舞妓(まいこ)、歌舞伎役者、市井の人々の姿が生き生きと表現されている。

また、ドイツやスイスに残る壁画や、シェイクスピア作品を含む舞台美術のセットやコスチュームのデザイン、さらに装丁や挿絵に見られる巧みな線描も見どころの一つ。会期中は、2026年4月21日(火)にオープンする美術館隣接のカフェ「TOKYO STATION CAFE -THE NORTH DOME-」とのコラボレーションスイーツも登場する。

  • アート
  • 六本木

「森美術館」で、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術作家、ロン・ミュエク(Ron Mueck)の大規模個展が開催。初期作品から近作に至るまで、作家の制作活動全体を包括的に紹介する。

人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品。洗練され、生命感にあふれ、孤独、もろさや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現している。

総作品数が約50点しかないミュエクの彫刻を11点揃える本展は、それだけで貴重な機会だ。うち6点が日本初公開で、中でも初期代表作『エンジェル』(1997年)は見逃せない。

展示の中心となるのは、巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されたインスタレーション『マス』(20162017年)。これまで世界各地で展示され、その都度会場に合わせて再構成されてきた作品で、同館でも約300平方メートルを使ったサイトスペシフィックな展示となる。

さらに、25年以上にわたりミュエクの制作現場を撮り続けてきたフランス人写真家のゴーティエ・ドゥブロンド(Gautier Deblonde)による写真と映像が並び、創作プロセスの舞台裏が垣間見える。

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  • アート
  • 白金台

1983年に「東京都庭園美術館」として開館して以来、旧朝香宮邸の建築に光を当てた展覧会を重ねてきた同館。今年は「アニマルズ」をテーマに、その魅力を改めてひもとく。

かつて白クジャクやツル、イヌ、ウサギなどが飼われていた朝香宮邸では、室内装飾にもシカや魚といった動物モチーフが随所に取り入れられている。会場では、作品や資料を通して、建物に息づく動物の存在に目を向ける。

併せて、展覧会によって限定公開される最上階の「ウインターガーデン」を公開。白と黒の市松模様の床が印象的な空間に実際に足を踏み入れ、細部まで鑑賞できる。さらに、普段は閉じられているカーテンを開け放ち、新緑の庭園を望む開放的な環境の中で、宮邸時代の家具や調度品によって当時の雰囲気を再現する。

アールデコと日本の意匠が融合した唯一無二の建築と、都心にありながら豊かな自然を併せ持つ同館ならではの魅力を堪能してほしい。

  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、アジア人で初めてパリ・オートクチュール正会員となり、日本のファッションをリードした森英恵(1926〜2022年)の回顧展が開催。オートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにする。

高度経済成長期の日本において、家庭と仕事を両立しながら活躍し、新しい女性像の象徴として受け止められた森。1961年には雑誌『装苑』で、快活さと向上心を備えた人物像「ヴァイタル・タイプ」を提唱し、晩年まで世界を股にかけて活動した。

会場では、1977年から膨大な数のオートクチュールコレクションから、テーマごとにドレスを展示。高品質な素材と卓越した技術を持って世界に挑んだ一点ものの作品群から、森の美意識と創造力の高さを体感できる。

また、多彩な衣装や資料を通して、森のアメリカ時代の活躍を網羅的に展示。まずは、森が日本の帯地や絹織物を用いて生み出した作品に注目したい。日本的美を体現する絹地に鮮やかな色彩のプリントを施したオリジナルの布地とともに、近年の調査で新たに確認された布の原画や試し刷りを紹介している。

そして、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」に所蔵されているドレスも日本初公開。伊藤若冲『月下白梅図』に着想を得て制作した1着を含む、計4点が出品される。

さらに、森がファッションを文化にするために力を注いだメディア発信にも焦点を当てている。森は1966年に『森英恵流行通信』を創刊。後に『流行通信』となり、日本を代表するファッション誌へと発展した。また1978年には表参道に「ハナヱ モリビル」を開設し、国内外のデザイナーが集う拠点を築いた。

デザイナーとしての表現だけではなく、生き方とその創造の根幹にまで迫るまたとない機会。会場でこそ味わえる体験が待っている。

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  • アート
  • 上野

「東京都美術館」で、20世紀のアメリカ具象絵画を代表する画家、アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth、19172009年)の回顧展が開催される。

ワイエスは、第二次世界大戦後に脚光を浴びたアメリカ抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップアートといった動向から距離を置き、91歳で没するまで、ひたすら自分の身近な人々と風景を描き続けた。

作品には、自分のいる側と向こう側を隔てる象徴として窓や扉といったモチーフが繰り返し登場。境界は西洋絵画史の中で古くから取り上げられてきたテーマだが、ワイエスにとってはより私的な世界とのつながり、あるいは境目として機能している。

本展は、その境界の表現に着目し、ワイエスが描いた世界を見ていこうとするもの。作家自身の精神世界が反映された作品群に浸ってほしい。

  • アート
  • 用賀

「世田谷美術館」で、1960年代以降の日本の前衛美術を語る上で重要な作家の一人、田中信太郎(19402019年)の回顧展が開催。アトリエに遺された約40点を中心に構成される本展では、書き留められた言葉とともに活動をたどり、静寂の奥に潜む創造の謎に迫る。

田中はネオ・ダダの一員として活動後、ミニマルアートを想起させる単純な形態へと転じ、抑制された表現で「もの派」とも関連付けられ、注目を集めた。1985年以降は平面と立体を組み合わせた作品へと展開し、独自の思想に基づく表現を生涯にわたり追求。「ヴェネチア・ビエンナーレ」など海外展にも多数参加している。

その後はアトリエを世田谷から日立へ移し、東京の美術界から距離を置いた制作へと移行。常に新たな表現を提示し続けた姿勢は、「視る」ことを基点に美術の本質を探究し続けていたといえる。

本展では、国内未発表となる1970年の絵画作品をはじめ、晩年に探求を続けた平面作品、最晩年まで制作された金属によるドローイングなどが登場。またヴェネチア・ビエンナーレ出品作など、今まであまり展示されてこなかった作品も紹介される。

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  • アート
  • 神谷町

「麻布台ヒルズ ギャラリー」で、韓国を代表するフォトグラファーのキム・ヨンジュン(Kim Yeong Jun)と、日本を代表するアートディレクターの吉田ユニによるコラボレーション写真展が開催。ともに数々の著名アーティストやブランドのビジュアルを手がけ、国内外で活躍する二人が、日韓のトップ俳優62人を撮影した作品群が展示される。

本展は「人間の最も本質的な美しさ」をテーマに、俳優たちをアートとして記録する壮大なプロジェクト。吉田が「花」をモチーフにディレクションを行い、キムが撮り下ろした。互いの美意識と視点が融合し、ポートレートを超えた「存在そのものの美」を描き出している。

本展での花は、美しさ・はかなさ・強さ・再生・感情・生命力など、人間の本質と重なる象徴として用いられ、俳優たちの表情や気配、内面はアートとして永続的に刻み込まれている。

  • アート
  • 銀座

Akio Nagasawa Gallery Ginza」で、森山大道の個展が開催される。

本展のタイトル「Another Country in New York」は、1974年に開催された「森山大道プリンティング・ショー」で制作されたセルフパブリッシングの写真集『Another Country in New York』に由来する。同ショーは、1971年に森山がニューヨーク滞在中に撮影した写真をコピーし、その場で製本・販売するという、現在でいうZINEのような形式で行われた実験的なプロジェクトだった。

そこで制作された同写真集は幻のコピーブックとして知られ、写真集史においても特異な位置を占めている。2013年にはAkio Nagasawa Publishingより復刻版が刊行され、さらに2025年には、その精神を現代に発展させた企画として、ニューヨークのギャラリーで来場者がプリントをコピーし、その場で製本する参加型ワークショップも開催された。

本展では、『Another Country in New York』シリーズのオリジナルプリントを展示するとともに、Akio Nagasawa Publishingから刊行された同名写真集も販売する。同書には、オリジナル版に未収録のコンタクトシートが多数収められている。

展覧会と写真集を通して、森⼭が捉えた1971年のニューヨークを体感してほしい。

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  • アート
  • 清澄

ページごとに紙のサイズが変わり、「あおむし」の食べた跡が穴で表現されている絵本『はらぺこあおむし』(1969年)は、現在でも世界中の子どもたちに愛されている。「東京都現代美術館」では、日本語版刊行50周年を記念し、アメリカを代表する絵本作家のエリック・カール(Eric Carle、19292021年)の回顧展が開催される。

会場では、『はらぺこあおむし』『パパ、お月さまとって!』『10このちいさなおもちゃのあひる』など27冊の絵本の原画に合わせ、グラフィックデザイナー時代の作品、アイデアの最初の構想段階で作られるダミーブック、コラージュに使用する素材など、約180点を紹介する。

原画の色鮮やかさ、デザイナーとしての造本の工夫、そして絵本に込めた子どもたちへの優しいまなざしを体験できるだろう。

  • アート
  • 銀座

「ギャラリー小柳」で、クリスチャン・マークレー(Christian Marclay)による個展「LISTENING」が開催。マークレーのオリジナルコラージュで構成される本展では、新作シリーズ「Concentric Listening」と「Eccentric Listening」を発表するほか、彼のアイコンといえるレコードジャケットを用いたシリーズ「Oculi」の最新作も展示される。

マークレーは1979年、レコードとターンテーブルを楽器として用いたパフォーマンスを開始し、実験音楽の分野で先駆的な存在となった。1980年代以降は即興的なパフォーマンスに加え、聴覚と視覚の関係を探る作品を、映像・写真・彫刻・絵画・版画など多様なメディアを横断しながら制作している。

コラージュは一貫してマークレーの創作の基盤にある。映像やサウンド、紙媒体の作品において、DJのように音楽や映画、漫画、雑誌などポップカルチャーの断片をサンプリングし、重ね合わせ、切り取り、再構成することで、新たなイメージを立ち上げてきた。

本展の新作シリーズは、「LISTENING」すなわち「聴く」という行為に焦点を当てている。音を聴く行為は、長年にわたりマークレーの創作活動を形作ってきた要素であり、音と映像の境界を曖昧にしながら、それらを一つの知覚の領域として提示してきた。

本展を通して、マークレーの現在地を感じてほしい。

※12〜19時/休廊日は日・月曜・祝日/入場は無料

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  • アート
  • 乃木坂

TOTOギャラリー 間」で、建築家・山田紗子の初個展が開催。ギャラリー空間を「環境」と捉え、自然、生物、ランドスケープなどが複雑な旋律を奏でながら共鳴する独自の世界を表現する。

自由な造形や大胆な構成、鮮やかな色彩、生命感あふれるインスタレーションなどを通じて、建築に新たな息吹を吹き込む山田。「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)では休憩所の設計を手がけ、樹木群と人工物が溶け合う環境を実現させた。近年は、観光牧場のリニューアルや公共図書館のプロポーザル最優秀者にも選ばれている。

山田は、野生動物を記録する映像ディレクターを母に持ち、大自然の中で命を営む生き物たちの情景を観ながら育った。彼女のルーツには、絶え間なく風景が移り変わる悠久の時間の中で多様な生命が奏でる、無数の歌声が響く大地がある。

「いくつもの歌が同時に響くような建築」を掲げる山田は、要素同士がぶつかり合いながら新たな調和を生むポリフォニー(多声音楽)の在り方を空間として立ち上げる。日々複雑さを増す世界を多声的と捉えて肯定しつつ、躍動感のある豊かな環境の創出を目指す。

なお、2026年5月29日(金)には山田による講演会も実施されるので、チェックしてほしい。

  • アート
  • 神泉

古くから多様な民族が行き交ってきた中央アジアでは、シルクロードの要衝として、オアシス都市を中心に豊かな工芸美術が生み出された。8世紀以降に広まったイスラム文化の影響は、抽象的で装飾性の高い文様として結実し、テキスタイルをはじめ木工や金工、陶器など多様な分野に受け継がれている。機械では再現しがたい精緻さと華やかさを備えた手仕事は、今なお強い魅力を放つ。

ウズベク人に伝わる刺繍布「スザニ」や衣装にはミステリアスな文様と豊かな色彩が広がり、女性たちの手によって布一面に施された刺繍(ししゅう)が特徴。一方、砂漠地帯で遊牧生活を営んできたトルクメンは、重量感のある銀製ジュエリーで身を飾る習慣を築く。これらは単なる装飾品ではなく、厳しい環境を生き抜くための知恵や祈りを宿した存在でもある。

「渋谷区立松濤美術館」で開催される「中央アジアの手仕事 華麗なる刺繍とジュエリー 広島県立美術館コレクションより―」では、国内有数のウズベクおよびトルクメンの染織・ジュエリーコレクションを誇る「広島県立美術館」の所蔵品を紹介。民族ごとに受け継がれてきた刺繍布や装身具を通して、中央アジアに花開いた繊細かつ華麗な手わざを堪能してほしい。

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  • アート
  • 原宿

Galerie GEEK/ART(ギャラリー ギークアート)」で、陶芸作家・中村真由美による個展「Opera」が開催。ぐい呑(の)みや茶器、花器、陶板など新作約30点を通して、生命力をダイナミックに宿した生きる喜びの表現が立ち上がる。

中村はこれまで、「自在の花」シリーズで内面の不安や弱さを肯定へと包み込み、「Universe」シリーズでは分断や孤独を溶け合う色彩で希望へと昇華させ、「宙に花」ではその2つの世界観を融合させてきた。制作の節目ごとに自身や社会と向き合い、その思いを陶に託している。

本展では、これら3つのシリーズが交差する。「心の奥にある衝動、歓喜や祈りが色や形となって咲きあふれる瞬間を表現した」という作品群は、幾層にも重ねられた釉薬(ゆうやく)の色彩や、薄く伸ばされた花びらのレリーフが重なり合い、陶という枠を超えた重厚感が漂う。

心の中の宇宙が開き、歌い、踊り始めるようでもある、新しい春の「Opera」を垣間見ては。

  • アート
  • 六本木

Yutaka Kikutake Gallery Roppongi」で、片山真理の個展が開催。イギリスの「ヴィクトリア&アルバート博物館」に新たに収蔵された作品を含む新作群を、日本で初めて発表する。

精巧に手縫いされた布のオブジェを起点に、自身の身体性を中心的なモチーフとして、写真・映像・アートプロジェクトなど多領域にわたる作品制作を続ける片山。その作品は自伝的でありながら、社会が個人に課す「役割」や「かたち」が、私とあなたの境界、そして正しさをいかに形づくるのかを問いかけ、普遍的な共感を呼び起こしてきた。

本作「tree of life」は、片山自身が構築した鏡張りの空間で、自ら被写体となって撮影した10点に及ぶ写真作品だ。手縫いのオブジェに囲まれ、鏡面に反射するその輪郭は曖昧さを増し、そこに映るのが鏡像なのか実像なのかも判然としない。天と地、現実と虚像、内と外、自己と他者。鏡が生み出す反射はあらゆる境界を揺るがし、イメージが無限に増殖していくような感覚を立ち上げる。

キャリア初期から片山が抱き続けてきた、デジタルイメージの可塑性や複製性、終わりのない更新性への意識を深く反映した本作は、彼女がたびたび語る「所有されない身体」への希求にもつながっている。

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  • アート
  • 六本木

「フジフイルム スクエア」で、1970年代から活動を続ける写真家・潮田登久子の写真展「マイハズバンド」が開催。1970年代後半から1980年代にかけて撮影され、約40年の時を経て発表された同シリーズから、ゼラチン・シルバー・プリント作品約30点を展示する。

1978年に写真家の島尾伸三と結婚した潮田は、翌年から豪徳寺の古い洋館で家族と暮らし始める。古い洋館の2階中ほどにあった15畳程度の一室が家族の住居。風呂なし、台所は共有という環境の中、潮田は夫と幼い娘との日常を淡々とフィルムに収めていった。

それらのネガやプリントは長らく忘れられていたが、引っ越しの整理中にたまたま発見され、2022年に写真集『マイハズバンド』として刊行。国内外で大きな反響を呼び、再評価の契機となった。

写されているのは、家族の姿だけでなく、食器やカーテンといった身の回りの事物や日常の風景。作品は、どこか非現実的な気配をまといながらも、不思議な既視感を呼び起こす。

発表を前提とせずに撮られ、長い間熟成されていた写真は、記録であると同時に、撮影者の無意識な感情を率直に反映している。写真が内包する本質が、時間を超えて鑑賞者の前に立ち上がっていくだろう。 

  • アート
  • 東新宿

20264月、「新宿歌舞伎町春画展 WA」の第2回目として「北斎・英泉 艶くらべ歌舞伎町花盛り」が開催される。

大胆に、奔放に、そして妖しく。葛飾北斎(1760〜1849年)は春画においても一切の制約を感じさせない自由な筆致を見せた。一方、渓斎英泉(1791〜1848年)は退廃的で妖艶な表現を特徴とし、北斎の画風に影響を受けながらも、それをかみ砕き、自らの艶を切り開いていった。同じ時代を生き、互いに刺激を与え合いながらも、双方の艶へのまなざしは決定的に異なる。

「艶くらべ」と題された本展では、「浦上蒼穹堂」の代表・浦上満の春画コレクションから、北斎と英泉を軸に、春画および春を感じさせる浮世絵が一堂に会する。江戸の春が、時代も場所も超え、歌舞伎町で再び花開く。

なお、本展は18歳未満は入場不可なので注意してほしい。

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  • アート
  • 汐留

「パナソニック汐留美術館」は開館以来、20世紀のフランスを代表する画家ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault、18711958年)の作品を中心に収集を続け、現在では約270点に及ぶコレクションを所蔵している。近年は、ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreauのアトリエで学んだ初期の貴重な作品群が充実し、そこにモローの作品も新たに加わった。

本展「ジョルジュ・ルオー アトリエの記憶」では、そうした新収蔵作品を軸に同館のルオーコレクションを紹介。名作が生まれた創作の場「アトリエ」に焦点を当て、初期から晩年に至る代表作をたどる。

会場では、ルオーが晩年に使用していた画材や机を用いてアトリエの一部も再現。家族でさえ立ち入りを制限されていたという、聖域であるアトリエの記憶をたどる。さらに、収蔵作品としては初公開となる『モデル、アトリエの思い出』にも注目したい。

なお、2026518日(月)の「国際博物館の日」は、500円(税込み)で入館できる。

  • アート
  • みなとみらい

「横浜美術館」で、明治末から大正初期にかけて活躍した画家・今村紫紅(18801916年)の大回顧展が開催される。公立美術館では初、実に42年ぶりとなる本展では、初公開作品約40点を含む約180点が一堂に集結。国指定重要文化財も揃い、その全貌に迫る。

平安時代以来の「やまと絵」の伝統を学び、若くして歴史画で高い評価を得た紫紅は、やがて日本画の革新を志す。琳派の伸びやかな表現に加え、中国・江南地方の絵画に影響を受けた南画、西欧の印象派など、多様な要素を取り込みながら、風景画に強烈な個性を発揮した。

代表作である国指定重要文化財『熱国之巻』や『近江八景』に見られる大胆な筆致と構図、明るい色彩は、その個性を象徴するもの。35年という短い生涯の中で築かれた創作の軌跡を、紫紅自身の言葉を章題に据えた4章構成でたどる本展は、その全体像を捉える決定版といえる。見逃せない機会となりそうだ。

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  • アート
  • 原宿

「ライカギャラリー表参道」で、ポルトガル出身の写真家、テレサ・フレイタス(Teresa Freitas)による写真展が開催される。

色彩を主題に、ストリートやドキュメンタリー、ファインアートの領域を横断しながら独自の視覚言語を築いてきたフレイタス。彼女の作品は、色を単なる装飾としてではなく、空間を構築し、知覚を導くための根源的な力として捉える点において、現代写真に新たな視座を提示している。

本展では、異なる地域で撮影された写真を組み合わせたシリーズを紹介。「東」と「西」という大きな概念的枠組みを背景に、遠く離れた場所のイメージを並置することで、文化的な差異を強調するのではなく、色彩や光、形によって生まれる視覚的な連続性を浮かび上がらせる。

色彩がもたらす新たな知覚の在り方に触れられるだろう。

  • アート
  • 新宿

SOMPO美術館」で、「印象派の先駆者」と称される画家、ウジェーヌ・ブーダン(Eugène Boudin18241898年)の展覧会が開催される。日本では約30年ぶりとなる本展には、フランスから油彩・素描・パステル・版画など約100点が来日。初期から晩年に至る画業をたどりながら、自然の一瞬を捉え続けた制作の軌跡にも迫る。

空や雲、海景、牛の群れなどを、みずみずしい色彩と軽やかな筆致で描き出したブーダンの作品は、故郷のノルマンディーをはじめとする各地の光と大気の移ろいを繊細に捉えている。戸外制作を重視し、変化し続ける自然現象と向き合うその姿勢は、若きクロード・モネ(Claude Monet18401926年)に大きな影響を与え、やがて印象派の誕生へとつながった。

会場では、「海景」「空」「風景」「建築」「動物」「人物」「素描」「版画」という8つの切り口から作品を紹介し、その多彩な表現を読み解く。印象派誕生から150年の節目に、フランス近代風景画の礎を築いたブーダンの魅力に改めて触れたい。

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  • アート
  • 神谷町

Gallery & Restaurant 舞台裏」で、アーティストユニットの「キュンチョメ」による個展「あいまいな地球に花束を」が開催。人間中心主義を超えた「新しい愛のかたち」を探求し、想像力とユーモアに満ちた作品を発表し続けるキュンチョメが、東京初公開の映像作品などを展示する。

ホンマエリとナブチによって結成されたキュンチョメは、東日本大震災を契機に活動を開始。本展の作品では、地球に向けた長い時間軸のまなざしと、愛や平和への希求が通底する。不完全さや「あいまいさ」を祝福する視点から、世界との新たな関係を結び直す、詩的でユーモアに満ちた空間を創出していく。

映像作品『Ghost in the Sea』では、人の形をしたビニール片が海を漂い、分解されることなく魚の群れの中をさまよう。その光景は、まるで自然環境と人間の関係性を暗示しているようだ。

また、タイトル作『あいまいな地球に花束を』では、世界各地の人々が記憶だけを頼りに描いた、不正確な地図を提示。正しさで輪郭を定めるのではなく、不完全さをそのまま受け入れることで、二項対立をほどくための視点を示している。

地球に身を委ねる感覚や、誰かの中にある曖昧な世界像に思いを巡らせる時間、あるいは、人間の寿命よりもっと長く存在し続けるものに寄り添う時。会場で、この「あいまいな地球」に満ちる思いを感じてほしい。

  • Things to do
  • 西麻布

KARIMOKU RESEARCH CENTER」で、テーマ「Survey 03FORM FOLLOWS FEELINGS」を掲げた展覧会「間の音ー Between Space & Sound ー」が開催。ニューヨークを拠点に活動するオーディオデザイナーのデヴォン・ターンブル(Devon Turnbull)と、彼が率いる高忠実度スピーカーシステムで知られるブランド「OJAS」との協働プロジェクトの成果を発表する。

ターンブルは工場を訪れ、日本の高度な木工技術と自身の音響哲学の親和性を見いだした。合板を主材としてきたOJASのスピーカーに精緻な加工技術を掛け合わせ、新たな音響表現と工芸的品質が結実。本展では、「Sanjo」「Rokujo」「Nurikabe」3つのスピーカーに加え、木製ホーンスピーカーやチェアシステムを展示する。

会場は3フロアの構成。茶室を思わせる空間での瞑想(めいそう)的なリスニング体験や、ダイナミックな木製ホーンを備えた試聴室を展開し、さらに仕上げの違いによって生まれる表現の変化も提示する。

加えて、レコード店「春の雨 cafe & records」によるセレクト盤の販売や、雑誌「MJ無線と実験」のアーカイブ展示も実施。多角的なパートナーシップを通して、ターンブルの重層的な世界観を立体的に浮かび上がらせていく。

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  • アート
  • 下北沢

DDDART」で、蜷川実花のアーティストブック刊行を記念した展覧会「mirror, mirror, mirror mika ninagawa」が開催。書籍というフォーマットに結実した表現の軌跡を、改めて展示空間の中で再構成を試みる。

本書は、蜷川の創作活動の核にある「破壊、再生、また破壊」をテーマに制作された。7つの冊子に加え、ポスターやステッカー、ポストカードなどを収め、風呂敷状の表紙で包み込んだ合本仕様。ページネーションやコラージュ、カラーコピーといった多様な手法を通して、デビュー初期から最新作までの作品群を解体し、再構築する。

展覧会では、このアーティストブックを起点に、蜷川の表現史と現在地を一つの空間として提示。十数年を実際に過ごした蜷川ゆかりの地・下北沢に立ち上がるのは、アーティストブック、オブジェクト、空間表現が交差するクロスメディア的領域だ。

手作りで、実験的でカオス、そして商業性から距離を取った構成の中に、彼女の創作のエネルギーがにじみ出るだろう。

  • アート
  • 京橋

京橋の「CREATIVE MUSEUM TOKYO」で、アーティストの空山基による自身最大の回顧展が開催。1970年代後半から現在までの代表作を通じて、空山が築き上げてきた芸術的進化と創作の歩みを総観する。

空山は、常々自身の作品コンセプトを「光」「透明」「反射」だと語ってきた。それは、空山が絵の具という制限された素材を駆使して、光を描くという挑戦を繰り返してきた軌跡でもある。

空山が描く人物や動物、恐竜などのロボット作品は、生物の身体性を超えた未来という仮想の物語を提示する。そこには、既存の生命体と機械文明が融合した世界の美学が広がり、知性・身体・時間といったテーマが交錯。鑑賞者の想像力と創造性を自然と刺激していく。

本展では、空山が1978年にウイスキーの広告のために最初に描いたロボット作品や、恐竜、ユニコーンなど幅広くロボット造形を追求した最新のキャンバス作品、デザインを手がけた「aibo(アイボ)」の原画や、エアロスミスのアルバムジャケットとして知られる代表作が並ぶ。

さらに、SF漫画の『攻殻機動隊』に登場する草薙素子にインスパイアされた新作も登場。空山が半世紀にわたり追い求めてきた表現の核を圧倒的なスケールで体感できるだろう。

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  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、1980年代後半~2000年代初頭のイギリス美術に焦点を当てた展覧会が開催。「テート美術館」の所蔵作品から、約60人の作家によるおよそ100点の作品を通じて、1990年代のイギリス美術の革新的な創作の軌跡を検証する。

19791990年のサッチャー政権下、失業率の悪化など社会が緊迫すイギリスでは、美術の枠組みを問い直し、実験的な表現に挑む作家たちが次々と台頭した。1988年にはダミアン・ハースト(Damien Hirst)がロンドン東部の倉庫街で「フリーズ」展を企画し、同世代の作家たちとともに新しい素材や方法を用いながら、積極的に発表の場を切り開いていく。

彼らは「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれ、その自由な活動によって、1990年代のイギリスのアートシーンは世界的に注目を集めるようになる。

本展では、ハースト、ジュリアン・オピー(Julian Opie)、ルベイナ・ヒミド(Lubaina Himid)、スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen)、トレイシー・エミン(Tracey Emin)、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)など、世界のアート史に名を刻むアーティストの作品が集結する。

UKカルチャーがあふれた黄金期の息吹。当時のイギリスで起こったアート・音楽・ファッションの革命的ムーブメントの核心を体験できるだろう。

  • アート
  • 日本橋

「西村画廊」で、舟越桂(19512024年)の展覧会が開催。会場では、舟越が晩年まで手元に置いていた『言葉をつかむ手』(2004年)と、人間の英知を象徴する「本」に見立てた青いガラス板を額に掲げる『青の書』(2017年)の2体の像に加えて、ほとんどが初公開となるドローイング20点も紹介する。

人間という存在を多様にかたどった彫像の数々によって、彫刻史に消えがたい足跡を残した舟越。木彫彩色の半身像に大理石の目をはめ込む古典的な技法で生み出された作品は、時代の精神を宿した、既視感のない表現として国内外で高く評価された。さっそうとしながら孤愁を秘めたたたずまい、凛(りん)とした静けさ、繊細な知性をにじませる遠いまなざし――その叙情的で中性的な人物像は、彫刻表現の新たな地平を軽やかに切り開いた。

生涯にわたり、舟越は半身像と全身像を155点制作。初期の着衣像から、後年に「心象人物」と呼んだ、人体の形を超えて人間存在を豊かに表した作品、さらには人間世界を静かに見つめる半人半獣・両性具有のスフィンクスまで、その造形は絶えず展開を続けた。そこには、人間に対する思考やイメージの深まりが一貫して反映されている。

本展のドローイングは、木炭だけで勢いよく描かれた作品から、色鉛筆や水彩で細密に描き込まれたもの、代表作まで多彩に展示。一部には今回展示される2体の彫刻のためのドローイングも含まれ、彫刻との視覚的なつながりの中で、その魅力は一層際立つ。尽きない深みで観る者を魅了する舟越の世界を堪能してほしい。

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  • アート
  • 品川

KOTARO NUKAGA 天王洲」で、飯川雄大による個展が開催。鑑賞者の介入によって作品が成立し、展示空間に思いがけない風景を生み出す大規模なインスタレーションが展開される。

飯川はこれまで、多彩なアプローチで私たちの知覚の不確かさや日常のささいな違和感を視覚化してきた。2007年から継続して発表している「デコレータークラブ」シリーズをはじめ、公共空間や展示の仕組みに目を向け、観客の身体感覚や想像力、そして場の偶発性によって変容する作品群は、国内外で高く評価されている。

飯川が一貫して重視しているのは、鑑賞者自身が「同時に起きていることに遅れて気付く」という、他者とは共有しにくい体験。作品には、巨大な存在が風景に擬態して入り込んだり、作品が予期せぬ変化を遂げたりと、「場」と「観客」の行為によって異なる出来事が生まれる。

本展では、情報の曖昧さや私たちの感覚の不完全さを、欠落ではなく「想像のための余白」として捉え直す。鑑賞者の動きがきっかけとなり、小さな変化や偶然が連鎖して日常の輪郭が静かにずれていく瞬間を生み出していく。

なお、本展は「KOTARO NUKAGA Three」の2拠点で開催され、飯川の作品をより多角的に体験できる。さらに、同時期に開催中の「水戸芸術館現代美術ギャラリー」「Art Center NEW」「gallery αM (ギャラリー アルファエム)」とも連動。鑑賞者が複数の会場をつなぐことで、美術館やギャラリーの枠組みを超えた試みも実施されるので、チェックしてほしい。

  • アート
  • 表参道

「エスパス ルイ ヴィトン東京」で、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジー(Rina Banerjee)による展覧会「You made me leave home…」が開催。インスタレーションや彫刻、絵画など、厳選した19点の作品を紹介する。

本企画は、「エスパス ルイ ヴィトン」の20周年および「フォンダシオン ルイ ヴィトンによる「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラム10周年を記念したもの。バネルジーは、約30年にわたる創作活動を通じて、現代社会における重要なテーマを探求してきた。本展では、地球規模の移動や植民地主義の遺産といったテーマの作品群を届ける。

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  • アート
  • 埼玉

開館1周年を迎える「ハイパーミュージアム飯能」で、日本発のポップカルチャー「KAWAII」の第一人者・増田セバスチャンによる大規模展「KAWAIITOPIA -GO TO HEAVENHELL-」が開催される。

見どころは、宮沢湖に出現する巨大なピンクの島「KAWAII-CORE ISLAND」。実際に島へと入り込むと、来場者にはアーティストからの最後の問いかけが待ち受けている。

入り口では、「私たちの皮膚の下には、カラフルな血が巡っている」をテーマにしたシリーズ作品の巨大タワー「Polychromatic Skin -Gender Tower-」が登場。ジェンダーをはじめとする無意識の固定観念を揺さぶり、それを超えてつながっていく可能性を提示する。

さらに館内では、増田の原体験をたどる没入型企画が展開され、葛藤の先にあるKAWAIIの本質に触れられる。生まれつき難聴の増田は、小学生で聴力を得るまで視覚を中心に世界を捉えてきた。その経験は強烈な色彩体験として記憶に刻まれ、作品世界の原点となっている。

そのほか、限定ポップアップストアや撮影ブースも設置。「KAWAIITOPIA」に上陸して、KAWAIIカルチャーを多角的に体感しよう。

  • アート
  • 上野

ルネサンス以降、西洋美術において作者の姿はしばしば作品として表されるようになり、とりわけ自画像は一般的な画題として広く定着していく。「国立西洋美術館」で開催される展覧会「アーティスト・バイ・アーティスト――西洋版画に見る芸術家のイメージ」では、自画像を含む芸術家の表象の変遷を、版画を中心とした約50点の作品を通してたどる。

造形作品に作者の姿が表れる背景には、社会における表現者の地位や在り方の変化がある。中世には匿名の職人に過ぎなかった彼らも、16世紀以降、制作行為を学問や科学と結びつけることで、創造の主体としての「芸術家」へと位置づけられていく。さらに19世紀には、芸術家は思考する「個」としての自覚を深め、孤高で苦悩する表現者として捉えられるようになる。

本展は、およそ18世紀までの芸術家のことを呼ぶ「オールドマスター」を扱う第1章と、19世紀以降の近代画家を扱う第2章で構成。各章は、集合的な芸術家像や理想像を扱う「制作する芸術家」と、個別の風貌を写す「自画像と芸術家像」の2つのセクションから成る。

多彩なイメージを通して、芸術家とは何者かを改めて問い直し、創造と自己表現の歴史を見つめる機会となるだろう。なお、2026年5月10日(日)・19日(火)、6月14日(日)は本展及び常設展の観覧が無料だ。

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  • アート
  • 初台

東京オペラシティ アートギャラリー」で、「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」が開催。理性によって分断された現実を超え、新たな現実の可能性を探求する芸術運動・シュルレアリスム(超現実主義)の多様なジャンルの優品を一堂に集め、その広がりと社会への浸透を提示する。

シュルレアリスムには、違和感のある風景や夢幻的なイメージといった一定の表現傾向が見られるが、単なる様式ではなく、世界の変革を目指す共通の精神に基づくあらゆる創造行為を指す。そして、「日常を変えること」と「世界を変えること」を不可分なものとして捉えていた。

本展では、絵画、オブジェ、写真といった美術領域にとどまらず、広告、ファッション、インテリアなど日常生活へと拡張していったシュルレアリスムの展開を横断的に検証し、その発展と変遷をたどる。

会場には、サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)、マックス・エルンスト(Max Ernst)、ルネ・マグリット(René Magritte)といった代表的作家の名品が大集結。とりわけ、マグリットの象徴的モチーフである山高帽の男を描いた『王様の美術館』や『レディ・メイドの花束』は注目作だ。

さらに、シュルレアリストたちと交流のあったデザイナー、エルザ・スキャパレッリ(Elsa Schiaparelli)による作品群も紹介される。ショッキングピンクのドレスをはじめ、独創的な意匠が施された香水瓶やジュエリーなど、多彩なデザインが並ぶ。

その革新的な視覚表現と広範な影響で、誕生から約100年を経た現在においてもなお、新鮮な驚きをもって受け止められている世界を堪能してほしい。

  • アート
  • 上野

NHKの長寿番組「日曜美術館」は、1976年の放送開始以来2500回以上を重ね、2026年に50周年を迎える。これを記念し、「東京藝術大学大学美術館」では、番組が紹介してきた「美」の魅力に迫る展覧会が開催。西洋・日本の絵画や彫刻、浮世絵、びょうぶ、土器、伝統工芸などジャンルを横断する名品約120点を集め、5章構成で紹介する。

会場では、これまで番組に出演してきた人々の言葉を過去の放送から厳選して上映し、高精細映像とともに日曜美術館が紡いできた歴史をたどる。作品がどのように語られ、伝えられてきたのかを、当時の映像や言葉を通して追体験できるのも見どころだ。

大江健三郎が語るフランシス・ベーコン(Francis Bacon)、モデルであった矢内原伊作の視点から読み解くアルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)など、多彩なゲストによる言葉と古今東西の作家と作品を紹介。さらに、村上隆、大野一雄、井浦新らの言葉とともに、縄文土器・土偶や伊藤若冲、曾我蕭白、葛飾北斎といった日本美術の名品が新たな輝きを放つ。

また、「作家の生き様と美~アトリエ&創作の現場」と題し、制作の現場を捉えた貴重な映像も公開。作中の作家の言葉・作品が生み出される瞬間を、作品とともに味わえる。この機会を見逃さないでほしい。

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  • アート
  • 品川

KOSAKU KANECHIKA」の天王洲および京橋の2会場で、平松典己による個展が開催される。作家の現在進行形の試みを紹介する本展では、天王洲ではドローイング約10点、京橋では絵画を中心に約10点を展示する。

平松は、あらかじめ特定のモチーフを定めることなく制作を開始し、抽象的な背景や即興的な筆致、重なり合う色彩によって生まれる混沌(こんとん)の中から、偶然と必然が交差する瞬間を探る。個人的な記憶や体験、想像、さらには美術史的な引用を横断しながら、人物などの具体的なイメージを事後的に立ち上げていくプロセスが特徴だ。

本展では、その表現を多角的に読み解く。タイトルの「汗と涙」は、これまで以上に身体的な実感を伴う制作の熱量を示すもの。静かに積み重ねられた判断とその痕跡が、試行錯誤の対話の果てにどのような像として結実するのかが問われる。

  • アート
  • 六本木

21_21 DESIGN SIGHT」で、スープを入り口に衣食住の根源を見つめ直す企画展「スープはいのち」が開催。衣服や住まいといった身体の外側の環境と、食という内側の環境を「身体を包む行為」として捉えてきたデザイナーの遠山夏未がディレクションを手がける。

水と食材を火にかけるという最小の行為から生まれるスープには、素材に宿る力や熱の移ろい、土地の歴史、身体の感覚、器や食空間のたたずまいなど、多様な層が同時に息づく。外側と内側の世界が溶け合い、小さな器の中に「生きる環境そのもの」が立ち上がる構造を、衣食住を支える「包まれる身体」という共通原理として、遠山は提示する。

本展では、水や塩、野菜といった素材の気配や、熱による変化、器や空間との呼応、「食べる」という所作の繊細な動き、さらには記憶や香りといった目に見えにくい要素を手がかりに、生活環境を「包む」という視点から再考。抽象的な構造としての衣食住と、人間の身体に残る野生的な感覚の間に潜むデザインの働きを浮かび上がらせる。

会場では布や音によるインスタレーション、香りの作品、写真、スープにまつわる資料などを展示。動詞を軸に構成されたゾーンを巡ることで、始まりへの回帰から再生、分かち合いへと至る、命の循環を体感できる。作品に対応するレシピを収集しながら鑑賞に関与する仕掛けも用意され、持ち帰った後も「味わう」「作る」といった行為へと体験が接続されていく。

スープという最小の食を起点に、身体や環境、記憶や時間が折り重なる中で、鑑賞者は五感を通して新しい視点や気づきを見いだすだろう。

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  • アート
  • 京橋

「アーティゾン美術館」で、「オルセー美術館」から印象派のクロード・モネ(Claude Monet、18401926年)の作品が一挙に来日する展覧会が開催。モネの作品41点を含む約90点に、国内所蔵作品を加えた総数約140点により、風景画家としての魅力をひもとく。

自然光の移ろいに魅せられたモネは、その一瞬の美を捉えることを生涯にわたり探求した。本展では、ル・アーヴル、アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユ、ジヴェルニーといった創作の重要な舞台を軸に、年代順に画業の展開をたどる。

さらに、同時代の絵画や写真、浮世絵、アール・ヌーヴォーの工芸作品との関係から創作の背景を読み解くとともに、映像作家のアンジュ・レッチア(Ange Leccia)によるモネへのオマージュとして制作された没入型作品も紹介。多様な視覚表現を交差させることで、モネの創作に新たな視点を提示する。

晩年の『睡蓮』の連作へとつながるテーマや技法の変遷にも光を当て、風景画の革新に挑み続けたその歩みを浮かび上がらせる本展。ぜひ訪れてほしい。

  • アート
  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、「ポーラ文化研究所」の設立50周年を記念した展覧会が開催。現代の装いの源流ともいえる近代の化粧や美意識の変遷をたどりながら、今とこれからの美を問い直す。 

ポーラ文化研究所は1976年の設立以来、化粧を人々の営みの中で培われてきた文化と位置づけ、資料の収集と保存・調査研究・公開普及に取り組んできた。

日本の化粧文化史は、呪術的な要素が強い元始化粧期、中国の影響を受けた大陸伝来化粧期、日本独自の化粧が整えられた伝統化粧期、文明開化から昭和戦前までの近代化粧期、戦後から現在に至る現代化粧期の大きく5つに区分される。中でも約900年続いた伝統化粧期に対し、近現代はわずか約200年ながら、その変化の速度は著しい。

化粧の持つ社会性や、豊かで奥深い化粧文化の世界を垣間見ては。

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  • アート
  • 銀座

「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」で、「TDC 2026 TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2026」が開催。1990年から続く、文字や言葉の視覚表現に焦点を当てた国際賞「東京TDC賞」の受賞作・ノミネート作を中心に、特に評価の高かった約120点を紹介する。

今回は国内外から3605作品が集まり、メインカテゴリーでは30人の審査員による長期審査を実施。さらにタイプデザイン部門、オンスクリーン部門の専門審査を経て、487の入選作、11の受賞作、63のノミネート作品が選出された。

文字の視覚表現という根底にあるテーマにふさわしい、最前線の作品を堪能してほしい。

  • アート
  • 京橋

Gallery & Bakery Tokyo 8分」で、奥田雄太の新作個展「With Gratitude」が開催。春の訪れを感じる、鮮やかでみずみずしい花束の新作群を発表する。

近年、絵の具の流動や重なりといった「偶然性」を取り入れた花のシリーズを中心に制作する奥田。力強いストロークによる絵の具の動きと、ペンによる繊細な線描が同一画面で構成される表現が大きな魅力だ。

幼少期から、奥田がモチーフとして描いている花は、  感謝や思いを他者に伝える象徴的な存在として、 自身の中にあり続けてきたものだという。色彩豊かな花々は、 感情を押し付けたり、 言葉で説明したりすることなく、 鑑賞者に静かな余白と、 感覚的な肯定をもたらす存在であってほしいと奥田は考える。

作品が生み出す華やかな空間へと足を運ぼう。

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  • アート
  • 六本木

幕末から明治期にかけて活躍し、現在も国内外で高い人気を誇る絵師・河鍋暁斎(18311889)。神仏画・戯画・動物画・妖怪画、さらには世相を映した風俗画まで、その画題は多岐にわたり、いずれにも卓越した画技と機知に富んだ発想が発揮されている。

即興で絵を描く席画を得意とし、書画会でもその場で揮毫(きごう)するなど人気を博したが、1870年、酔って描いた絵が問題視され逮捕・投獄される。翌年の放免後はさらに制作に励み、画業は全盛期を迎えた。

開国後は欧米でも注目を集め、フランスの美術品コレクター、エミール・ギメ(Émile Guimet)が著書で紹介したことで、その名は海外にも広まった。さらに、建築家のジョサイア・コンドル(Josiah Conder)らが弟子入りするなど、国際的な交流も生まれている。

「サントリー美術館」で開催される本展「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」では、代表作を含む約110点を展示。日本初公開となる肉筆画や、保存状態に優れた版画など、半数以上が初出品となる作品群を通して、暁斎の多彩な創作世界を紹介する。

  • アート
  • 青山

AGNÈS B. GALERIE BOUTIQUE」で、東京を拠点に活動するストリートアーティスト・TENGAoneによる個展が開催。本展では、アーティスト自身の原初的な体験を起点に、鑑賞者がその感覚を追体験できるようなインスタレーションを中心に、平面作品や彫刻作品を交えて構成される。

TENGAoneは幼少期から、米軍基地周辺の街を訪れる機会の中で、駐在する兵士たちを通じて日本に持ち込まれたアメリカンスタイルのグラフィティ文化に触れてきた。14歳でグラフィティを始めて以来、スプレーペイントを軸に、商業施設や公共空間でのミューラル制作からスカルプチャー、グラフィックデザインまで、領域を横断しながら活動を続けている。

近年は、ポップなキャラクターを現代社会の混乱や矛盾を映す「肖像」として描く一方、段ボールのように見える木材を精巧に彫り出したフェイク段ボールの彫刻作品でも注目を集めている。

本展は、命の価値と生きる力を問い直す試みだ。

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  • アート
  • 六本木

KOTARO NUKAGA 六本木」で、メキシコ人アーティストのステファン・ブルッゲマン(Stefan Brüggemann)による個展が開催。本展では、近作のドローイングシリーズを日本で初めて包括的に紹介する。

ブルッゲマンは、ネオン、ヴィニールレタリング、金箔(きんぱく)、スプレーペイントなど多様な素材を横断しながら、言語とイメージの関係性に着目。自ら「コンセプチュアル・ポップ」と呼ぶ手法を通じて、現代社会におけるテキストの過剰と意味の空洞化を可視化してきた。

本展では、ロンドン、イビサ、メキシコシティの3拠点のスタジオで制作されたドローイングを展示。白や色付きのA4用紙に、グラファイトやオイルスティック、油性マーカー、メタリックマーカーで描かれた作品群は、思考や衝動の痕跡を直接紙上に刻んだシリーズとして立ち上がる。

そこに表れているのは、ブルッゲマンの「書く/描く」身体の極限的な記録。作家はあえて手で書く行為へ立ち返り、人間の身体が言葉に与える重みや震え、温度を紙の上にとどめる。こうして一枚の紙に凝縮されたドローイングは、探究のプロセスそのものをダイレクトに映し出されるのだ。

  • アート
  • 六本木

「東京ミッドタウン デザインハブ」で、サインデザイン分野では初となる展覧会が開催。「過去・現在・未来」という時間軸を軸に、サインデザインが社会の中で果たしてきた役割と、その進化の軌跡をひもとく。

都市や建築、公共空間、商業施設、文化活動など、あらゆる場面において、人と人、人と場所、人と社会を結びつけてきたサインデザイン。その本質は、「環境における新しい価値観を、情報によって創出する」ことにある。

会場では、人類が古来より用いてきた情報伝達手段としてのサインを、11のコンテクストに分類。時代を象徴する77のプロジェクトに焦点を当て、コンセプトや写真、映像、模型、モックアップなど多角的な資料を通して読み解いていく。

さらに、サイン関連企業10社が同一形状の矢印サインに挑戦した展示では、それぞれの技術開発のプロセスと熱意を壁面展示として紹介。加えて、五十嵐威暢が手がけ、かつて「松本PARCO」の外壁に掲出されていたネオンサイン「P」の実物も公開される。

サインデザインが持つ多面的な魅力と、その可能性を体感できる機会となりそうだ。

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  • アート
  • 谷中

SCAI THE BATHHOUSE」で、1960年代中盤から60年以上にわたり活動を続け、コンセプチュアルアートの地平を切り開いてきた美術家、ダニエル・ビュレン(Daniel Buren)の個展が開催。新作群と、会場建築や高い天井から差し込む自然光の移ろいといった環境の諸要素が共鳴し、作品と空間が相互に作用し合う構成を生み出す。

1966年にパリで結成したグループでの活動や、1960年代半ばに街路空間で行われた無許可のポスター掲示は、ビュレンの既存の美術制度に一石を投じる批評的かつ哲学的、そして挑戦的な姿勢を示してきた。

自身が「ゼロ度の絵画」と名づけた、現在も発展を続ける8.7センチメートル幅の白とカラーのストライプは、『Les Deux Plateaux(二つの台地)』(1985〜86年)、通称「ビュレンの円柱」をはじめ、場の構造を問い直すサイトスペシフィックな作品やパブリックプロジェクトの基軸として、世界各地で展開されている。

本展では、新作『Prismes et mirroirs : Haut-relief (プリズムと鏡 :高浮き彫り)』シリーズ6点を中心に構成。インダストリアル・カラー・パレットから選ばれた色彩が、「Prisme」と呼ばれる凸状の形態に施され、鏡面状の支持体上に配置される。近年、作家は「光」や「反射」といった現象へのアプローチをより深め、作品とそれが置かれる環境との関係性を考察し続けている。

かつて京都で「借景」の思想に触れ、制作概念を深化させたビュレン。国際的な活動を展開する中で国内でも数々のコミッションワークを実現してきたその実践が、再び日本の地において新たな文脈を問い直す。

  • アート

新宿歌舞伎町で、「『小さな愛の物語―豆判春画の世界―』新宿歌舞伎町春画展WA 橋渡し回」が開催。昨年、会期を延長するほど好評を博した「歌舞伎町春画展WA」の第2回に当たる「北斎・英泉 艶くらべ ー歌舞伎町花盛りー」のプレイベントだ。

本展では、江戸時代に庶民から大名まで幅広く親しまれてきた「豆判(まめばん)春画」約100点を展示。第1回に引き続き、Chim↑Pom from Smappa!Groupの林靖高がキュレーションを手がける。会場となるのは、ホストクラブの「BOND」だ。

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  • アート
  • 銀座

「銀座メゾンエルメス ル フォーラム」で、アルメニア/リトアニア出身のアーティストで作曲家でもあるアンドリウス・アルチュニアン(Andrius Arutiunian)による日本初個展「Obol」が開催。ゲストキュレーターには、オルタナティブなキュラトリアル実践で注目を集める「The 5th Floor」のディレクター・岩田智哉を迎える。

アルチュニアンは、2022年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」で「アルメニアパビリオン」の代表を務めたほか、世界各地の国際展に参加し、音と時間を軸にした実践を展開してきた。音楽を「ゆがんだ時間の建築」と捉え、ヴァナキュラーな行為や思弁的儀礼、政治的同調と音の調和の関係性を探究し続けている。

本展でアルチュニアンが描き出すのは、冥界の未来的ビジョンだ。文明が神話や儀式を通じて今世と来世の生を統御してきた歴史を参照しつつ、秘教的文献や神話の断片、トランスや消失の象徴が「地下レイヴの美学」を媒介に立ち上がる。

展示は「冥界者のためのクラブ」として、時間、未来、神話を巡る問いを投げかける。作品世界に静かに身を委ねる時間となるだろう。 

  • アート
  • 上野

「国立西洋美術館」で、リトアニアを代表する国民的芸術家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(Mikalojus Konstantinas Čiurlionis、18751911年)の日本で34年ぶりとなる回顧展が開催される。祖国・リトアニアにおける生誕150周年の祝賀ムードを引き継ぎ、「国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)」が所蔵する絵画やグラフィック作品、約80点を紹介する。

チュルリョーニスは、絵画と音楽という2つの領域で類まれな才能を示し、35歳の若さで亡くなるまでのわずか6年ほどの画業で、300点以上もの作品を手がけた。世紀末のアールヌーヴォーや象徴主義、ジャポニスムといった国際的な芸術潮流と響き合いながら、作曲家ならではの感性と、当時ロシア帝国の支配下にあったリトアニアのアイデンティティーを反映した作品群は、唯一無二の個性を放っている。

見どころは、人間の精神世界や宇宙の神秘を描いた幻想的な作品の数々のうち、日本初公開となる謎に包まれた最大の代表作『レックス(王)』。また、音楽形式を取り入れた連作や、自身の手になる楽譜、展示室に流れる旋律を通して、優れた作曲家でもあった画家の個性と感性を体感できる。

日本ではめったに見られない作品が来日する本展。再評価の機運が高まるチュルリョーニスの世界を堪能してほしい。

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  • アート
  • 恵比寿

複数の写真と短文を組み合わせて物語を描く「フォトエッセー」の第一人者として、確固たる評価を築いた写真家のW. ユージン・スミス(W. Eugene Smith)。第二次世界大戦中はグラフ誌「ライフ」の特派員として沖縄やサイパンなどの激戦地を取材し、戦後も『カントリー・ドクター』『慈悲の人 シュヴァイツァー』『水俣』など、人々の生活に寄り添った作品を発表した。

1954年にライフ誌を離れたスミスは、ニューヨーク・マンハッタンのアパート、通称「ロフト」へ移住。そこはセロニアス・モンク(Thelonious Monk)やマイルス・デイヴィス(Miles Davis)といったジャズミュージシャンをはじめ、サルバドール・ダリSalvador Dalí)、ロバート・フランク(Robert Frank)など、ジャンルを超えた多彩な芸術家が集う創造の拠点となる。頻繁に行われたジャムセッションや交流の様子は、スミス自身によって記録された。

「東京都写真美術館」で開催される「W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」では、「ロフトの時代」とその前後の作品を中心に紹介。報道写真家としてだけでなく、写真表現の可能性を追求した芸術家としての側面にも光を当てる。報道と芸術の融合を目指したスミスの試みを、新たな視点から再考する機会となるだろう。

なお、2026年317日(火)~45日(日)は、「ウェルカムユース 2026」キャンペーンで18歳以下の入場が無料なので、見逃さないように。

  • アート
  • 江東区

日本で約40年にわたって活動し、家具やテキスタイルのデザインで知られるノエミ・レーモンド(Noémi Pernessin Raymond18891980年)。建築家である夫のアントニン・レーモンド(Antonin Raymond)を支えながら仕事に携わり、濱田庄司やイサム・ノグチら多くの芸術家と親交を結んだ。日本の暮らしに息づく美や、伝統的な空間と生活文化の価値を深く理解し、建築やインテリアの分野で数多くの作品を残している。

ノエミの仕事は、アントニンの建築や日本の風景と調和しながら、日常の空間に芸術的な彩りを添えるものだった。その役割は主にインテリアデザインに限られるとされてきたが、実際にはレーモンド設計事務所による建築作品全般に深く関わり、自ら住宅設計も手がけていた。

GALLERY A4」で開催される本展では、ノエミが住宅設計において用いた手法に着目し、当時の日本の建築デザインに与えた影響を考察する。見どころは、建築設計からインテリアまでを一貫して手がけた港区の「旧カニングハム邸」(1954年)、および大田区の「旧伊藤邸」(1963年を、貴重な写真資料や図面とともに詳しく紹介する点。また、ノエミがデザインしたテキスタイルや習作、スケッチブック、自画像などの実物資料も多数並ぶ。

さらに、オリジナルの家具をはじめ、椅子やテーブルなども紹介されるほか、「旧伊藤邸」の暖炉回りを実寸大で再現し、ノエミによるファイヤーツールも併せて展示される。近年公開され話題を呼んでいる武蔵野市にある「旧赤星鉄馬邸」(1934年を含め、レーモンド設計事務所による住宅や教会建築など約14事例も紹介予定だ。

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  • アート
  • 銀座

「資生堂ギャラリー」で、日本を代表するグラフィックデザイナーの仲條正義(19332021年)による個展「うたう仲條 おどる仲條文字と画と、資生堂と」が開催。企業文化誌「花椿」をはじめ、資生堂の広告ポスターや資生堂パーラーのパッケージ、さらには貴重な原画など約200点の作品を紹介する。

仲條は長年にわたり同社のデザインおよびアートディレクションに携わる一方、「松屋銀座」や「東京都現代美術館」のロゴデザインなどでも知られ、鋭敏な時代感覚とアバンギャルドな精神に裏打ちされた独自の造形世界を築き上げてきた。とりわけコンピューターによるグリッドデザインが主流となった2000年代以降、自由な構成や手描きの要素を取り入れたその表現は改めて注目を集め、次世代のデザインに影響を与え続けている。

本展では、仲條のライフワークともいえる「花椿」約350冊を手に取って閲覧できるライブラリーコーナーを設置。ページの展開や構成も含め、彼の真骨頂ともいえるグラフィカルなエディトリアルデザインを肌で感じられるだろう。

仲條デザインの本質の一端に迫ろうとする試みの本展。普遍的な美をすくいあげ、新たな形で表現し続けていた仲條の前衛的であり、かつ色あせない世界を体感するはずだ。

  • アート
  • 天王洲

「寺田倉庫 G1-5F」で、妖怪美術と最先端の映像・立体造形が融合するイマーシブ体験型デジタルアートミュージアム「動き出す妖怪展 TOKYO」が開催。江戸・明治期の絵師による「百鬼夜行絵巻」「百物語」「鬼」「てんぐ」「かっぱ」「付喪神(つくもがみ)」など、日本の妖怪美術を基盤に、時代を超えて愛される妖怪たちがダイナミックに動き出す。

妖怪画や戯画に描かれたユーモラスな姿が、3DCGやプロジェクションマッピング、ホログラフィックスクリーンといった最先端のデジタル技術によって躍動。立体造形と映像演出の融合により、リアルな妖怪世界とともに、細やかな表情や質感まで間近に感じられる。

さらに、日本初の古書博物館「西尾市岩瀬文庫」や小豆島の「妖怪美術館」の協力により、妖怪文化や歴史、現代ポップカルチャーへの影響も解説。鑑賞にとどまらず、妖怪と写真や動画を撮影したり、妖怪絵巻の一部となって異世界へ迷い込むような体験も味わえる。

ノンバーバル(非言語)で直感的に楽しめるコンテンツを中心に、座って鑑賞できるスペースも用意。子どもからシニア、外国人まで、妖怪の世界で心を躍らせる時間が待っている。

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  • アート
  • 京橋

「アーティゾン美術館」で、語りの場をテーマにした展覧会「カタリウム」が開催。国宝2点、重要文化財7点、重要美術品5点を含む約56点の作品が集結する。

「カタリウム」とは、「語り」と空間を意味する「-arium」を組み合わせた造語。作り手が作品に込めた思いを語る瞬間や、アトリエで思索を深める画家の独白、さらには作品を前にした鑑賞者の感想まで、作品を前に展開する語りに耳を傾け、その場をイメージしている。

会場には、今村紫紅による「山幸海幸」の神話を題材にした屏風や油彩、日本画のほか、ベン・シャーン(Ben Shahn)の版画集が並ぶ。さらに、因陀羅の『禅機図断簡』や『鳥獣戯画断簡』など、かつては一巻の巻物だった作品の断簡も紹介される。

中でも注目したいのが、徳川時代に「天下祭」として栄えた「日枝神社山王祭」を描いた『江戸天下祭図屛風』。1998年にその存在が明らかになった、謎に包まれた一作だ。また、重要文化財の『平治物語絵巻 常盤巻』は、2年にわたる修復を経て公開される。

時代もジャンルも異なる作品が織り成す、にぎやかな「語りの場」。作品同士、そして鑑賞者との間に生まれる声に、ぜひ耳を傾けてみてほしい。

  • アート
  • 原宿

革新的なアイデアと作品によって、アート・建築・デザインの領域に刺激と影響を与え続けた20世紀を代表するアーティスト、ドナルド・ジャッド(Donald Judd、1928~1994年)。1970年代、彼はメキシコ国境にほど近いテキサス州マーファを拠点とし、町に残る建物を生活と制作の場として再生した。

そこで自身の作品をはじめ、ダン・フレイヴィン(Dan Flavin)、ジョン・チェンバレン(John Chamberlain)、イリヤ・カバコフ(Ilya Kabakov)らの作品を恒久的に展示するため、チナティ財団を設立。アート・建築・土地の融合と調和を目指したその空間は、半世紀を経た現在も、意図された姿のままマーファに存在し続けている。

「ワタリウム美術館」で開催される本展「ジャッド|マーファ 展」では、1950年代の初期絵画から、196090年代にかけての立体作品を紹介するとともに、マーファに残された空間について、ドローイングや図面、映像、各種資料を通して多角的に読み解いていく。そこから浮かび上がるのは、展示を「その場限りのパフォーマンスにしてはならない」という、アートと展示空間の完全性を巡るジャッドの揺るぎない信念だ。

さらに、ワタリウム美術館の創設者・和多利志津子が1978年にジャッドを日本へ招聘(しょうへい)し、開催した「ジャッド展」の貴重なドキュメントを紹介するコーナー展示も設けられる。

生涯を通して、アートと芸術表現の重要性について訴え続けたジャッド。その思考と実践を改めて見つめ直す機会となるだろう。

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  • アート
  • 目黒

1920年代のパリと1950年代以降のニューヨーク、そして1935年からは目黒区自由が丘にアトリエを構え、国内外で創作活動を展開した画家・岡田謙三(19021982年)。その画風は、これら3つの都市での経験を通して形作られていった。「目黒区美術館」では、地域ゆかりの芸術家でもある岡田の個展が開催される。

1924年に渡仏した岡田は、第一次世界大戦後、世界中から芸術家が集い活気に満ちていたパリで多くの刺激を受ける。1927年の帰国後は、戦前から戦後へと移り変わる時代の中で、それまでの技巧や様式から距離を取り、新たな表現を模索する実験的な制作を重ねていった。

1950年に渡米すると、ニューヨークで抽象表現主義の画家たちと交流しながら、淡い色面を重ねる独自の抽象表現を確立。平穏でありながら力強さをたたえたその画風は、パリ、ニューヨーク、目黒での長年の試行錯誤の結晶といえる。

本展は、3つの都市での経験を軸に、具象から抽象へと移り変わる岡田の画業をたどるもの。2メートルを超える大作をはじめ、画材や素材、コラージュやフロッタージュなどのエスキース、さらに交流関係を伝える写真資料なども展示され、岡田の人物像と制作の現場に迫る内容となっている。

  • アート
  • 丸の内

「三菱一号館美術館」で、「トワイライト、新版画小林清親から川瀬巴水まで」が開催される。

最後の浮世絵師の一人と呼ばれる小林清親が1876年に開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画に大きな変革をもたらした。たそがれ時の表情や闇にきらめく光を描いた作品群は「光線画」と呼ばれ、深い陰影によって江戸の情緒を鮮やかに捉えている。

この視点は、失われゆく江戸の面影を惜しむ人々の感傷や、それを記録しようとする写真の意欲とも重なっている。一方で、文明開化によって変貌していく都市を楽天的に描いた開化絵とは、一線を画す表現でもあった。

明治末期に浮世絵の復興を目指したこの新版画は、技術だけでなく清親らが画面にとどめようとした情趣を引き継ぎ、新たな日本の風景を切り開いていった。本展では、清親から吉田博・川瀬巴水に至る風景版画の流れを、「スミソニアン国立アジア美術館」の「ミュラー・コレクション」を通してたどる。

見どころは、アメリカ建国250周年記念の年に里帰りしたコレクション、明治期の視覚を変革した写真と伝統的浮世絵の関わり、そして清親が見せた浮世絵最後の輝きとその継承だ。作品を通して、時代の空気を感じ取ってほしい。

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  • 渋谷

「東京都渋谷公園通りギャラリー」で、「ふれあうやきもの」展が開催。国内4つの福祉施設で「やきもの」の制作にさまざまな形で関わる7人の作り手による作品を、「粘土とふれあう」「人とふれあう」という2つの視点から紹介する。

会場には、花瓶やつぼといった実用的な器から、「ガネーシャ」や動物をかたどった造形作品、オブジェ的な作品まで、個性豊かな陶芸作品62点が集結。福祉施設で制作を行う5人の作家と、その活動を支える2人の陶芸家による多彩な表現が並ぶ。

また、本展のために新たに撮影した特別映像も限定公開。作家インタビューや制作過程を通して、やきものが生まれる背景や、人との関わりが丁寧に紹介される。

さらに、出展作家の植田佳奈による公開制作を交流スペースで実施。象嵌(ぞうがん)の技法を用いて多彩な質感を生み出す制作の現場を間近で見ることができるほか、アーティストトークや、植田と吉成洋平による「さわれる作品」の展示も予定されている。

  • アート

横浜のベイエリアに、没入型アートミュージアムTHE MOVEUM YOKOHAMA(ザ ムービアム ヨコハマ)」が、2026年3月31日(火)までの期間限定で誕生した。

かつて倉庫として使われていた天井高約10メートル、広さ約1800平方メートルの巨大空間を舞台に、オーストリアを代表する二大巨匠、グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)とエゴン・シーレ(Egon Schiele)による絵画の世界の一部になったかのような没入体験ができる。

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  • 銀座

この秋、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」の中央に位置する吹き抜け空間に、イギリスを代表する世界的な現代美術家のジュリアン・オピー(Julian Opie)の最新作「Marathon. Women.」が登場。同空間初の「動き」のある本作は、作家自身にとっても初めての、「宙に浮かぶ」映像の大型インスタレーションとなる意欲作だ。

シンプルな表現で伝統的モチーフを描くスタイルが、アート界だけでなく広いカルチャーシーンでも高く評価されるオピー。本作は、空間に浮かぶように設置されたLEDサイネージを舞台に、カラフルでシンプルな線で描かれたランナーたちの姿がそれぞれのスピードで駆け抜けていく。

展示環境そのものに強い関心を持ったオピーが、にぎやかな空間において意味を持ち、かつ自然に溶け込むような作品を目指して制作した。スクリーン上を果てしなく走り続ける動きを、4フロアから多角的に鑑賞できる。

なお、展示期間は2026年秋までを予定している。「走る」という人間の本能的な動きが空間全体に浸透し、圧倒的な躍動感と没入感をもたらすだろう。

もっとアート散歩をするなら……

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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