六本木アートナイト
画像提供:六本木アートナイト実行委員会 | キム・アヨン『デリバリー・ダンサーズ・アーク:0°レシーバー』(六本木アートナイト)
画像提供:六本木アートナイト実行委員会 | キム・アヨン『デリバリー・ダンサーズ・アーク:0°レシーバー』(六本木アートナイト)

9月に開催される注目の芸術祭9選

六本木アートナイト・国際芸術祭あいち・ムーンアートナイト下北沢など

Chikaru Yoshioka
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地域やエリアの特色を生かしつつ、国際色豊かな現代アートやパフォーマンスが一同に集結し、芸術三昧の数日が送れる「芸術祭」。会期中は、ラーニングプログラムやアートトランスレーション、体験・参加型の作品も数多く実施され、現代アートになじみがない人やファミリーでも楽しめるプログラムが充実している。

ここでは、2025年9月に全国各地で開催される注目の芸術祭を紹介する。毎年六本木がアートに染まる3夜「六本木アートナイト」や、グローバルな現代美術を紹介する「国際芸術祭あいち」など、芸術祭巡りの参考にしてほしい。

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  • アート
  • 六本木

「都市とアートとミライのお祭り」をテーマとし、約30組のアーティストによる50以上のプログラムが展開する「六本木アートナイト2025」が、9月26日(金)〜28日(日)に開催。特定の国・地域に焦点を当て、そこで活躍するアーティストによる作品を披露する「RAN Focus」では、韓国にフォーカスする。

気鋭の韓国人アーティストら6組による多彩なプログラムが六本木の街を彩る。2025年に「LGグッゲンハイム賞」を受賞したキム・アヨン(Kim Ah-young)の『デリバリー・ダンサーズ・アーク:レシーバー』が「六本木ヒルズアリーナ」の巨大LEDスクリーンで上映。また、韓国の伝統音楽である国楽(クガク)に現代的な要素を取り入れたダイナミックなパフォーマンスで世界的に評価される、TAGOも登場する。

さらに、美術館や文化施設、大型複合施設、商店街など六本木全域を舞台に、インスタレーション・パフォーマンス・音楽・映像・トーク・デジタルアートなどが展開していく。プログラムの詳細やスケジュールは公式ウェブサイトチェックしてほしい。

今年も六本木が創造のエネルギーに包まれる特別な3日間。感性を刺激する出合いと発見に満ちた秋の街で、アートとともに過ごすひとときを楽しもう。

  • アート
  • 下北沢

「月」をテーマに、下北沢駅周辺の施設と店舗が一体となる地域参加型の新感覚アートフェス 「ムーンアートナイト下北沢」が9月19日(金)〜10月5日(日)に開催。秋の夜長にぴったりの幻想的な雰囲気の中で、街の魅力とアートの世界を同時に楽しめる。

会期中は、国内外のアート作品をはじめ、街に根ざした音楽・演劇・古着、スタンプラリー、コラボメニューなどを通じ、街に「シモキタ」らしい彩りを与える。

注目は、ヘッドホン・イヤホンを付けて夜の下北沢を歩く、音声とダンスのイマーシブシアター「猫町」。45歳で下北沢へ移住し、世田谷代田で晩年を過ごした詩人・萩原朔太郎の世界とリンクした物語や言葉を感じながら、現実と幻想の交わる街の姿を体験できる。

また、下北沢南口商店街振興組合による能公演、 月下の舞「融(とおる)」を同時開催。下北沢出身のシテ方観世流能楽師・北浪貴裕が出演し、世阿弥作の夢幻能の名作『融』の後半部分を上演する。能の幽玄な魅力が凝縮された作品を楽しんでほしい。

中秋の名月の夜にふと立ち止まり、街の魅力や芸術文化に出合おう。

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  • アート

愛知芸術文化センター」「愛知県陶磁美術館」と瀬戸市の街中を会場とする国際芸術祭「あいち2025」が、9月13日(土)〜11月30日(日)で開催。国内外からさまざまなバックグラウンドを持ち活動する、60組を超えるアーティストが参加する。

芸術監督は、シャルジャ美術財団理事長兼ディレクターであり、国際ビエンナーレ協会(IBA)会長のフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)。テーマを、モダニズムの詩人アドニス(Adunis)が、1967年の第三次中東戦争の後に書いた詩から取った「灰と薔薇のあいまに」とした。

パフォーミングアーツでは、国内外の先鋭的な演劇、ダンスなどの舞台芸術作品を、愛知芸術文化センターを中心に上演。さらに、さまざまな専門家を招いたトークイベントやディスカッション、ワークショップなどのアクティビティ「ラーニング・ラーニング」を実施予定だ。

  • アート
  • 天王洲

天王洲エリアで、国内のアートシーンを盛り上げるイベント「TENNOZ ART WEEK」が今年も開催される。

会場は、「寺田倉庫」「テラダ アート コンプレックス(TERRADA ART COMPLEX)」「ワット ミュージアム(WHAT MUSEUM)」「ピグモン トーキョー(PIGMENT TOKYO)」「ワット カフェ(WHAT CAFE)」「ボンデッドギャラリー(BONDED GALLERY)」の6カ所。9月11日(木)から9月15日(月・祝)まで、エリア全体でアートと出合える。

見どころの一つは、アーティストのナイル・ケティング(Nile Koetting)によるパフォーマティブインスタレーション作品『Blossoms – fulfilment』だ。寺田倉庫の環境に呼応して展開する同作は、サイトスペシフィックの要素を持つ没入型の作品。パフォーマンス・映像・サウンドといった多様なマテリアルを組み合わせて空間全体を異世界に変容させるケティングは、鑑賞する行為そのものをメタ的に問い直す。

また、写実的な表現を用いて絵画の表面の裏側を描き出すことを探究する画家・諏訪淳による、約3年ぶりの大規模個展「きみはうつくしい」にも注目したい。コロナ禍以降「人間を描きたいという気持ちを失ってしまった」と語る諏訪が自宅で描き続けてきた「人型」の静物画を通して、彼の人間観が浮かび上がるだろう。

体験イベントも企画されている。東洋美術の伝統的な画材を用いて、江戸時代の絵師の技法が体験できるワークショップは、伝統への理解を深める絶好の機会となるだろう。

そのほか、テラダ アート コンプレックスに入居するギャラリーによるグループ展や、新進気鋭の工芸作家3人による展覧会、キュレーターに板橋玲子を迎えた約15人のアーティストによる展覧会も開催される。

若手から、伝統的な技法を受け継ぐ作家まで、ジャンルも世代も超えた多彩な表現が一堂に会する5日間。アートに染まる天王洲に、足を運んでみては。

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岡山市で、コンセプチュアルアートの国際展「岡山芸術交流」が、9月26日(金)~11月24日(月・祝)に開催。31組のアーティストや音楽家、建築家、デザイナー、科学者、作家、思想家たちが世界中から集結し、現代アート・パフォーミングアーツ・建築・デザイン・音楽・ファッション・映画・科学など多分野にわたって「岡山の街自体を作品にする」仕掛けを行う。

アーティスティックディレクターは、現代のフランス美術を代表するアーティスト、フィリップ・パレーノ(Philippe Parreno)。彼が提唱したタイトル「The Parks of Aomame 青豆の公園」は、村上春樹『1Q84』の登場人物・青豆雅美にインスピレーションを受けた。

「屋外の都市空間を多く活用し、岡山の街自体が作品へ」という構想から、今年から全ての会場・作品で鑑賞料が無料。体験型の作品も多数登場し、現代アートに馴染みがない鑑賞者やファミリー層も気軽に楽しめる。

本芸術祭の「顔」として登場するパレーノの『Membrane』は、塔状の「しゃべる」巨大立体作品。俳優の石田ゆり子が「声」を担当し、AIによって日々鑑賞者に語りかける。イギリス人アーティストのライアン・ガンダー(Ryan Gander)による体験型プロジェクトは、市内各所にひそかに置かれた3種の言葉を記したコインを鑑賞者が探して歩くというものだ。

さらに、映画『ザ・バットマン』『猿の惑星:新世紀』などのプロダクションデザイナーでもあるジェームス・チンランド(James Chinlund)がLEDで装飾した、路線バス型の作品約60台が岡山の街を走る。光るバスを見つけたら、バスに乗り込み、街の風景を堪能してほしい。

そのほか、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の「大屋根リング」を手がけた建築家・藤本壮介や、「第144回芥川賞」を受賞した小説家の朝吹真理子が公式カタログを執筆する。

  • アート

「浅国際フォトフェスティバル2025 PHOTO MIYOTA」が9月30日(火)まで、、長野県・御代田町で開催。全16作家による約300点の作品を通して、観客を本芸術祭のテーマ「UNSEEN WORLDS まだ見ぬ世界へ」へと誘う。

テクノロジー、自然、社会、そして個人の内面。国際色豊かな写真家たちは、既存の枠を超え、まだ我々が知らない世界を力強く、そして鮮やかに描き出す。

自然の中に潜む異質な美を捉えるフランスのエルサ・レディエ(Elsa Leydier)や、チェルノブイリの原発事故に焦点を当てた小原一真。スティーブン・ギル(Stephen Gill)は、レンズにアリを忍ばせたり、鳥の動きを感知した自動シャッターで動物の生態を見せたりしてくれる。

また、地元野菜が買える農家直売所や、縄文文化に触れられる町営施設、龍神伝説にちなんだ公園など、御代田町ならではのユニークな屋外スポットに作品が展示される。町を巡りながらアートを楽しんでほしい。  

長野県浅間山麓の自然の中で、五感で感じられるアートフォトを通じ、見えるものと見えないものが交錯する瞬間を体験しよう。

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  • アート

滋賀県近江八幡市を舞台に「BIWAKOビエンナーレ2025」が、920日(土)~1116日(日)で開催。総合ディレクター・中田洋子のキュレーションの下、国内外から約70組のアーティストが集結する。

既に多くの歴史的な建物を失ってしまった今、本ビエンナーレでは、その保存と継承の方法をアートの力で再生。空き家や古民家を公開空間としてよみがえらせることで、「日本人の持つ美意識の回復」を目指す。

テーマは、「すべては流転の波の中、形を変えながら永遠の時を刻んでいく」という「流転」。作品展示は、近江八幡旧市街地を中心に、琵琶湖を見下ろす眺望に恵まれた聖徳太子ゆかりの霊場「長命寺」、そして琵琶湖に浮かぶ有人島の沖島の3エリアという、歴史・自然・文化が交差する風景の中で展開される。

1日で一つの地域を深掘りしたり、地域を横断して異なる世界観を楽しんだりと、近江八幡で心に残るひとときを過ごそう。

金沢と富山を舞台に、「GO FOR KOGEI」が10月19日(日)まで開催される。18組のアーティストが参加し、アート・⼯芸・暮らしが融合する展⽰を展開する

テーマは、約100年前に⺠藝運動を提唱した柳宗悦の⾔葉から「⼯芸的なるもの」。さまざまな素材を扱う現代アーティストや⼯芸作家、職⼈が素材・技法と向き合う態度から⽣まれるさまざまな実践を通して、それらが作り出す多様な暮らしの姿を提案していく。

アリ・バユアジ(Ari Bayuaji)、桑⽥卓郎、サエボーグ、坂本森海、清⽔千秋、清⽔徳⼦+清⽔美帆+オィヴン・レンバーグ(Øyvind Renberg)、髙知⼦、舘⿐則孝、葉⼭有樹、松本勇⾺、吉積彩乃、上出惠悟、コレクティブアクション、相良育弥、寺澤季恵、中川周⼠、三浦史朗+宴 KAIプロジェクト、やまなみ⼯房がアーティストとして参加する。

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群馬県中之条町の5つのエリアで、国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ」913日(土)〜1013日(月・祝)で開催。「中之条市街地」「伊参」「四万温泉」「沢渡暮坂」「六合」の広大なエリアで、多彩なアート作品の展示、音楽、パフォーマンス、マルシェなどが展開する。

雄大な山々に囲まれた風景や「ラムサール条約湿原」、長い歴史を持つ温泉郷、養蚕天蚕文化、伝統が受け継がれる民俗行事や祭事など、中之条町では美しい里山文化に触れることができる。

アーティストは、そんな特色の山村地域に開かれたアーティスト・イン・レジデンスで滞在制作を行い、その成果を発表。国内外から創造的、革新的なアイデアやプロジェクトを持つ多分野のアーティスト147組が集結する。

夏のアート情報なら……

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  • アート

胸に響き、心に刻まれる作品との出合いは、日常に新たな視点や余白、奇妙さ、神秘性などをもたらす。この夏もそんな忘れがたいアートと巡り合うべく、本記事では2025年8月に都内で開催する入場無料の展示を届ける。

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