ネザーランド・ダンス・シアター NDT 2 来日公演
画像提供:Dance Base Yokohama 『FOLKÅ 2024』 ©Rahi Rezvani | ネザーランド・ダンス・シアター NDT 2
画像提供:Dance Base Yokohama 『FOLKÅ 2024』 ©Rahi Rezvani

東京、この秋行くべきダンス公演6選

ダミアン・ジャレ✖️名和晃平からNDT2による3作品、ピナ・バウシュの最晩年作品まで

Chikaru Yoshioka
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舞台全域を支配する非凡な表現力と存在感を持つダンサーや、圧巻のダイナミズムで瞬きできないほど忘我の境地にさせる群舞。その時間だけしか起こらない、ステージのみの世界を目撃するダンス公演は、身体を使った表現活動が生命力に満ち、特有の魅力がある。

本記事では、この2025年9月から11月にかけて、国際的にセンセーションを巻き起こし続けるダンスカンパニーの来日公演を紹介。卓越した身体能力と奇想天外な世界観で描き出すピーピング・トムや、革新的な表現で世界に衝撃を与え続けるNDT2、ピナ・バウシュの最晩年作品の日本初上演など、見逃せないものばかりをピックアップした。

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  • ダンス
  • 三軒茶屋

世界中に熱狂的なファンを持つベルギーのダンスカンパニー、ピーピング・トムが2年半ぶりに来日。洋上の客室で、男女が織り成す不吉な一夜を、卓越した身体能力と奇想天外な世界観で描き出す話題作『トリプティック』をを「世田谷パブリックシアター」で上演する。

人智(じんち)を超えたムーブメントと独創的なスタイルで、数々の衝撃作を生み出す同カンパニー。ダンサー・俳優・オペラ歌手ら、国籍も世代も多様なアーティストたちによる驚愕(きょうがく)のパフォーマンスは、伝説の舞台としてダンス史に名を刻む。

不穏に閉ざされた客船を舞台にし、過去へと追い詰められる男たちと、狂気にとりつかれた女たちが繰り広げる『トリプティック』。ダンサーたちによる目を奪われるようなステージは、ダンスや演劇といった枠を超えて、スリリングな感動を呼び覚ます。各パートをつなぐ大がかりな舞台転換も、見どころの一つだ。

究極にスキャンダラスなダンスエンターテインメントを、見逃さないように。

  • ダンス
  • 横浜

ポルトガルを拠点に活躍する気鋭の振付家、マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラ(Marco da Silva Ferreira)によるフィジカルシアター作品『CARCAÇA -カルカサ-』が、「KAAT 神奈川芸術劇場」で上演。10人のダンサーと2人のミュージシャンが限界まで身体を鳴らし、ポルトガルの歴史とアイデンティティーを鮮やかに描き出す。  

「CARCAÇA」とは、はるか昔に絶滅した動物の骸骨を意味するポルトガル語。この言葉を歴史や記憶の象徴と捉え、フェレイラは今のポルトガル、そして世界を鮮烈にあぶり出す。

アフロ、ブレイキング、フラメンコ、ヴォーギング、クドゥーロといった、エネルギーあふれる多彩なステップが、身体そのものが叫び出すかのように踊り継がれ、やがて舞台は一変。力強い歌と踊りで、独裁政権や植民地支配の記憶が浮かび上がる。社会や歴史への鋭い批評性を内包しながらも、観る者の心を揺さぶり、圧倒的な熱量を持つ傑作だ。

グルーヴ感あふれるダイナミックなダンスが、現在と未来の世界を躍動的に浮かび上がらせる本作。ステージに響き渡る満身の一作を、ぜひ目撃してほしい。

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  • ダンス
  • 三軒茶屋

現代サーカス界をリードする存在として異彩を放つ演出家・振付家のラファエル・ボワテル(Raphaëlle Boitel)ダンスカンパニー、カンパニー・ルーブリエが、6年ぶりに世田谷パブリックシアターに登場。これまでの彼女の作品にはなかった「言葉」が役割を持った、秘密と不穏な影をまとった家族の物語を描き出す。

世界各国の観客を魅了し続ける同カンパニー。。演劇・ダンス・音楽・映画などの要素をボーダーレスに取り込んだ総合芸術としての現代サーカスと、光と音、オリジナルの装置によって生み出される唯一無二のパフォーマンスが特徴だ。

本作『Ombres Portées/キャストシャドウ』では、クラウド・スウィング、コントーション、アクロバット、エアリアルなどの迫力あるサーカスアクトに言葉が交錯する。新境地の美しさに、きっと言葉を失うだろう。

  • ダンス
  • 池袋

世界で脚光を浴びる振付家のダミアン・ジャレ(Damien Jalet)と、京都発の彫刻家である名和晃平によるコラボレーション作品『Planet[wanderer]』が「東京芸術劇場」で上演。2016年秋に京都で世界初演を迎え、2020年に「ローレンス・オリヴィエ賞」の最優秀新作ダンスにノミネートされた『VESSEL』に続く作品だ。

日本最古の書物『古事記』の2つの世界、すなわち「黄泉の国(死者の世界)」と「高天原(神の住処)」を描いた『VESSEL』。それに対し、本作は3つ目の世界である「葦原中国」、つまり私たちが生きる世界を舞台にしている。

本作では人間がアシのように、力ともろさ、調和と生存、破壊と進化の間に揺れ動く様子が表現されている。副題の「wanderer」は、「Planet(惑星)」の語源となるギリシャ語に含まれる「さまようもの」という意味とも呼応する。

日本の彫刻家と欧州の振付家の共同作業ならではの、唯一無二の世界観を目に焼き付けよう。

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  • ダンス
  • 横浜

オランダ・ハーグを本拠地とし、世界で最も人気の高いコンテンポラリーバレエカンパニーの一つ、ネザーランド・ダンス・シアター(NDT 2)の来日公演が、この秋KAAT 神奈川芸術劇場で開催。世界のダンス界をリードする振付家と、エネルギッシュなダンサーによる唯一無二の3作品が上演される。

えりすぐりの若きダンサーたちの驚異的な身体能力と表現力を大きく解き放つのは、舞台芸術の最前線を切り開く気鋭の振付家たち。現代社会を映し出す強いコンセプトと、それを鮮やかに体現するダンサーならではの、多様な身体言語と独創的な世界観が繰り広げられる。

日本での本格的な紹介となるマルコス・モラウ(Marcos Morau)は、視覚を圧倒する身体へのアプローチを提示。ボティス・セヴァ(Botis Seva)は、ヒップホップのダイナミズムを大胆にシアターピースへと昇華させ、ダンスの可能性を拡張する。そして、日本でも高い人気を誇るアレクサンダー・エクマン(Alexander Ekman)は、ユニークかつ洗練された構成で観客を作品に巻き込む。

また、18歳以下なら誰でも対象となる、S席・B席への無料招待も実施。今までダンス公演に接点がなかった人も、国際的に活躍するプロフェッショナルなカンパニーの公演を鑑賞してみては。詳細は公式ウェブサイトを確認してほしい。

なお、本公演は、1124日(月・休)に「愛知県芸術劇場」でも上演予定。躍動する身体・進化する衝撃・革新的な表現で、五感を揺さぶるダンスを体感しよう。

  • ダンス
  • 大宮

彩の国さいたま芸術劇場」で、ピナ・バウシュ(Pina Bausch、1940〜2009年)による最晩年の作品『Sweet Mambo』が日本初上演する。ヴッパタール舞踊団の、2017年の『カーネーション-NELKEN』以来、8年ぶりの来日だ。

ダンスと演劇が共生する「タンツテアター」の手法により、20世紀のダンス・演劇を変えた振付家のピナ。ヴッパタール舞踊団はダンスと演劇との既成の概念を超えた、斬新かつ衝撃的な話題作を次々に発表し、舞台芸術界に多大な影響を与えた。ピナの逝去後も舞踊団は遺志を継ぎ精力的に活動を続け、新たな作品を創作・上演している。

今回、ピナの最晩年の作品を、年齢や経験を重ねた初演時のダンサーたちが踊り継ぐ。喜びや渇望、誘惑、失望、悲しみ、そして優しさ。ピナとともに年月を過ごした、最愛のダンサーたちによる愛にあふれたステージを心に刻んでほしい。

今後の予定を立てるなら……

  • アート

東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。パフォーマンスやワークショップも数多く展開する「日常のコレオ」から、集団的な撮影行動「8・6広島デー」を紹介する写真展日本上陸60周年を迎えるガチャガチャまで、今月も注目の展示が盛りだくさんだ。

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