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酷暑もようやく陰りを見せ、2025年も徐々に秋の足音が近づいてきた。秋といえば読書の秋、食欲の秋、そして漫画原作舞台の秋……。「そんなの初耳だよ!」「聞いてないよ!」とにわかにダチョウ倶楽部と化す人もあろうが、とにかくそうなのである。秋こそ、2.5次元舞台を観るべき季節なのだ。
2003年、2.5次元舞台の先駆である『ミュージカル テニスの王子様』がスタートして以降、この日本独自のエンターテインメントは進化を遂げ、2023年には年間289万人を動員するビッグコンテンツに成長した。いまや2.5次元舞台は、漫画原作の実写映画と並び、あらゆる意味合いにおいて大衆の耳目を集めるカルチャーのひとつであろう。
今秋は『サイボーグ009』といったクラシックから、『チ。―地球の運動について―』など近年の大ヒット作まで、話題作がめじろおし。その中からおすすめの6作を紹介する。
舞台 サイボーグ009 -13番目の追跡者-
石ノ森章太郎による傑作SF漫画『サイボーグ009』を原作とする舞台化第2弾が上演される。同作は、累計発行部数1000万部を突破した石ノ森章太郎の代表作の一つで、悪の組織「黒い幽霊団(ブラックゴースト)」 の改造手術によってサイボーグと化した9人の戦士が、反旗を翻しブラックゴーストに戦いを挑むという物語だ。
昨年上演された前作は、照明や映像技術をフルに使って再現されたサイボーグ戦士たちのアクションシーンや、ラップやダンスなどエンタメ性の高いパフォーマンスが話題を呼んだ。演出は前作に引き続き、『進撃の巨人』のミュージカルなどを手がけてきた植木豪が担当する。
11月14〜24日/「品川プリンスホテル ステラボール」/
ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!

二ノ宮知子のクラシック音楽ラブコメディー漫画『のだめカンタービレ』を原作とする舞台作品が帰ってくる。
2023年に上演された舞台『のだめカンタービレ』は、ドラマ・劇場版でも主人公ののだめを演じた上野樹里が同役で出演したほか、世界的指揮者のフランツ・フォン・シュトレーゼマンを演じた竹中直人も続投。全公演が数分で完売するなど大きな注目を集めた。今回もメインキャストが再集結し、東京フィルハーモニー交響楽団によるフルオーケストラ演奏とともに、『のだめ』の世界を繰り広げる。
9月13〜15日/「東京ガーデンシアター」/
舞台 チ。―地球の運動について―

TVアニメの大ヒットも記憶に新しい、魚豊(うおと)の漫画『チ。―地球の運動について―』が初の舞台化。15世紀のヨーロッパを舞台に、当時異端と見なされていた地動説を研究する人々の信念と生きざまをめぐるストーリーで、演出はミュージカル『100万回生きたねこ』や百鬼オペラ『羅生門』を手がけたアブシャロム・ポラック(Avshalom Pollak)、脚本は『近松心中物語』の長塚圭史が担当する。
窪田正孝、三浦透子、森山未來など身体表現に定評のある豪華キャストが集結し、ライブパフォーマンスとして新たな『チ。―地球の運動について―』の物語を構築する。
11月には愛知・大阪・福岡のツアー公演も行われる。
10月8〜26日/「新国立劇場」中劇場 /チケットは発売中
ミュージカル『新テニスの王子様』The Fifth Stage

2.5次元ミュージカルの先駆にして今なお進化を続ける、許斐剛の大人気漫画『テニスの王子様』を原作とした「ミュージカル『新テニスの王子様』」の第5章がついに登場。本作の舞台は「U-17 WORLD CUP」の決勝戦、日本代表が強豪スペイン代表に挑む姿が描かれる。
演出・脚本は『テニミュ』の生みの親であり、これまで多数の公演を手がけてきた上島雪夫が担当。越前リョーマ役の今牧輝琉、跡部景吾役の高橋怜也をはじめとした『新テニミュ』シリーズでお馴染みのキャストに加え、新キャストとして遠山金太郎役に粟野准斗など気鋭のメンツも登場する。
舞台化困難と思われた原作をどう魅せるか、期待が高まる。
大阪・岐阜のツアーも開催。また、東京凱旋(がいせん)
10月3~13日/「Kanadevia Hall」/チケット発売は8月24日から
Bloody Love 歌劇 ババンババンバンバンパイア

映画やアニメにもなった奥嶋ひろまさの大ヒットギャグ漫画が「Bloody Love 歌劇『ババンババンバンバンパイア』」のタイトルで、初の舞台化。老舗の銭湯で住み込みアルバイトをする吸血鬼が、究極の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯の一人息子の純潔を守るために奮闘する姿を描く「BL(ブラッディ・ラブ)コメディー」だ。
脚本を『夢見る白虎隊』の渡辺雄介、演出は『モブサイコ100』や『青春鉄道』など、2.5次元舞台に笑いの新風を巻き起こしてきた川尻恵太が手がけた。主人公の蘭丸役は水江建太がつとめる。
9月20~25日/「東京国際フォーラム」 ホールC/
舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 ~奥の細道 地獄のランウェイ編~
累計発行部数690万部を突破した大人気ギャグ漫画「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和」の、これまで計4作上演された舞台版のうち、第3弾公演の「奥の細道 地獄のランウェイ編~」が復刻上演される。
1話完結のさまざまな原作エピソードをオリジナル脚本として再構成しており、クセの強すぎる原作キャラクターにも引けをとらないキャストたちの怪演が見どころだ。カオスな展開で客席を幾度となく爆笑させながらも、最後にはちょっぴり感動な、老若男女誰もが愉しめるコメディー舞台に仕上がっている。
演出・脚本は「ハイスクール!奇面組」や「コジコジ」など2.5次元舞台も多数手がけるなるせゆうせいだ。
10月31日~11月9日/「雷5656会館」ときわホール/
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