1. Hajime Sorayama Space Traveler
    Photo: Nanzuka UndergroundHajime Sorayama – Space Traveler
  2. 草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界
    Photo: © YAYOI KUSAMAYayoi Kusama’s Self-Obliteration/Psychedelic World
  3. へザウィック・スタジオ展:共感する建築
    Photo: Timothy Schenck, courtesy Heatherwick Studio'Little Island' (2021), New York

東京、5月から6月に行くべきアート展

アートにあふれる街、東京で見逃せない展示を紹介

Naomi
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Time Out Tokyo Editors
Naomi
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東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。5月から6月にかけては、久しぶりのオールナイト開催となる「六本木アートナイト」や、セクシーロボットなどで知られる空山基の新作個展、革新的なプロジェクトを手がけるデザイン集団「へザウィック・スタジオ」展など、注目の展示が目白押しだ。

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  • アート
  • 東銀座

目には映らない深度で女性を描く具象画家、カリム・B・ハミド(Karim B Hamid)の日本初となる個展が、銀座の「メグミ オギタ ギャラリー」で開催。ハミドはフランシス・ベーコンやルシアン・フロイドをほうふつとさせる、伝統と革新を融合させた手法で独自の作品を生み出してきた。

歴史やメディアにおいて女性が極めて表面的に表現されることを受け、様々な情報源を参照しながら、ゆがめられ、誇張された女性像を描く。本展では、過激さと神聖さ、荒々しさと繊細さを調和させた、ペインティングの新作11点を展示する。こんなにもユニークで魅力あふれる人物画には、めったにお目にかかれないだろう。

  • アート
  • 早稲田

草間彌生ファン待望、初披露の作品が拝める展示が、新宿の「草間彌生美術館」で開催。草間の作品は、反復の制作原理や、鏡の反射と光の明滅などを使った独創的な表現が、観るものを魅了する。本展では、創作を始めた当初からテーマにしている「自己消滅」に加え、作品にあるサイデリック性に着目する。

注目は初公開となる、1960年代後半にニューヨークの個展で発表した、六角形のミラールームのシリーズ最新作。また、「ハプニング」などの記録動画を用いた映画や関連資料も紹介し、芸術にムーブメントを起こした草間の軌跡を振り返る。

そのほか、活動初期のドローイング(線画)をはじめ、帰国後に描いた鮮やかな色彩のアクリル絵画や大型の立体作品、ブラックライトを使ったインスタレーションなども展示。チケットは完全予約制で、公式ウェブサイトのみの販売となる。草間ワールドに心酔しよう。

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  • アート
  • 原宿

ロックバンド、BOREDOMSのメンバーとして、国内外で活躍する∈Y∋(アイ) の2年ぶりとなる個展が、原宿の「ブロックハウス(BLOCK HOUSE)」2階にある「ハルカイト バイ アイランド(HARUKAITO by island)」で開催。本展では、熱海の自然の中に滞在して描き出した、自身初となるキャンバス作品を発表する。

熱海市の地層や岩盤から発掘される、「ウアナタマイル」というケムオーグ(chemorg)物質の結晶をイメージして制作。ケムオーグとは、ケミカルとオーガニックの交差角観察結果による、ケモッグ指数値が高い状態を意味する。

そのほか、ウナタマイルの採掘音が収録されたCDも同時リリースされる。常識にとらわれない、∈Y∋の感性に触れよう。

  • アート
  • 恵比寿

日本国内初となる深瀬昌久の大回顧展が「東京都写真美術館」で開催中。深瀬は「ニューヨーク近代美術館」での企画展「New Japanese Photography」を皮切りに、世界各国で作品を発表、1960〜70年代の日本写真界を切り拓いた写真家だ。

本展は全8章、117点もの作品と当時の雑誌資料などで構成されている。妻や家族などの身近な存在にカメラを向け続け、自身のプライベートを晒すような作品群は、のちに「私写真」と呼ばれ、後の写真家たちが目指す表現へとつながった。

被写体に対する愛ある眼差しとユーモラスな軽やかさを混在させながら、唯一無二の表現へ昇華させた深瀬の歩みを辿れば、自らの日常の見え方も変わるかもしれない。

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  • アート
  • 渋谷

国内外のアール・ブリュット(専門的な美術教育を受けていないなど、独自の発想や表現から生まれたアート)の動向と、その作家たちを紹介する展覧会が、「東京都渋谷公園通りギャラリー」で開催している。

今回がシリーズ3回目で、1960〜80年代生まれの国内の作家5人のグループ展となる。食べた料理や見た風景、自然など、日常の身体感覚の記憶から生まれた絵画や刺しゅう作品を、「作家のあるひとときの記憶の世界」として紹介している。

ユニークな展示空間に配置された作品の中には、よく見ると「エアキャップ」やカレンダーの紙、CD、ベニヤ板など、身近な素材を用いたものもある。日々忙しく過ごす日常から離れ、ただようように、自由に作品を楽しんでほしい。

  • アート
  • 建築
  • 六本木

世界各地で革新的なプロジェクトを手がけるデザイン集団「へザウィック・スタジオ」の主要プロジェクト28件を網羅できる展示が日本初開催。現在ロンドンを拠点とし東京の「麻布台ヒルズ(低層部)」やロンドンのグーグル新本社など、10カ国で30以上ものプロジェクトを進めている。

会場は「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻的空間を体感する」「都市空間で自然を感じる」「記憶を未来へつなげる」「遊ぶ、使う」の6セクションで構成。展望台の吹き抜け空間を生かした高さ4メートルを超える原寸大模型や、日本ののれんや垂れ幕に着想を得たユニークな展示デザインなど見どころ満載だ。

へザウィック・スタジオが生み出した、斬新なアイデアの詰まった建築の数々を堪能してみては。

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  • アート
  • 神泉

不思議な世界観と、緻密に描き込まれたモノクロの線画で世界中に熱狂的なファンを持つ、絵本作家のエドワード・ゴーリー(Edward Gorey)。「うろんな客」「不幸な子ども」など、翻訳された絵本の出版が続いており、日本国内での人気が高まっている。

彼が晩年に暮らしていた、アメリカ・ケープコッドの記念館「ゴーリー・ハウス」での展示を再構成した「渋谷区立松濤美術館」で開催中の展覧会では、「子ども」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを軸に、約250点の作品を展示している。

2000年に亡くなるまでの間、ゴーリーは絵本作品にとどまらず、挿絵、舞台と衣装のデザイン、演劇やバレエのポスターなど、多彩な才能を発揮した。彼の豊かな人生を巡る「旅」のような展覧会を目に焼き付けたい。

  • アート
  • 日本橋

「日本橋高島屋S.C.」の本館4階にある「高島屋史料館TOKYO」は、1970年創設の「高島屋史料館」(大阪)の分館として2019年に開館。日本橋の近代建築や百貨店の歴史など、さまざまなテーマで企画展を開催している。

「ショッピングモールは、カルチャーを育む土壌、文化的象徴でさえあるのかもしれない」。そんなテーマから企画された本展は、膨大なテキストとともに、映画やドラマ、ゲーム、漫画など、モールを舞台にしたさまざまなジャンルの作品を紹介しながら、「街」「内と外の反転」「ユートピア」「バックヤード」といったキーワードで、その文化的価値を探る。

監修したのは、写真家でフリーライターの大山顕。展示を見た後は、ショッピングモールの見え方も変わるかもしれない興味深い内容だ。

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  • アート
  • 乃木坂

「愛」をテーマにした「ルーヴル美術館」のコレクション展が開催。同館の膨大な所蔵品から約70点を厳選し、西洋における愛という概念の発展をたどっていく。

フランソワ・ブーシェやジャン=オノレ・フラゴナール、フランソワ・ジェラールなど、名だたる巨匠の愛にまつわる絵画が登場する。人間が持つ根源的な感情について学ぶ機会になりそうだ。

チケットの料金は未定。最新情報は公式ウェブサイトでチェックしよう。

  • アート
  • 清澄

東京・清澄白河の「東京都現代美術館」で開催中のMOTコレクションは今回、1980年代以降の作品のみで構成されている。掲げられたタイトルは、1階が「被膜虚実(ひまくきょじつ)」、3階が「Breathing めぐる呼吸」。いずれも私たちの身体や感覚を想起させる言葉だ。

新たに収蔵された三上晴子の貴重な作品や、百瀬文と潘逸舟の映像作品のほか、15年振りに展示された石原友明のインスタレーション「約束」、平川典俊やホンマタカシの写真作品、名和晃平のPixCellシリーズなど、多彩な現代美術の表現を辿ることができる。

また、今年生誕100年を迎えるサム・フランシスの大きな絵画のシリーズ(寄託: アサヒビール株式会社所蔵)は、鑑賞者を包み込むように広い展示室の四方の壁に展示。贅沢な空間を味わえる貴重な機会だ。

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  • アート
  • 神谷町

19世紀後半、かつて「太陽の沈まない帝国」とも呼ばれた、イギリス・ヴィクトリア時代。この繁栄期に、64年もの長きにわたって王位にあったのが、ヴィクトリア女王である。

虎ノ門の「大倉集古館」で開催される本展は、ヴィクトリア女王が治世した時代の英国王室にまつわる宝飾品をはじめ、当時台頭してきた資本家層など多くの人々を魅了した、ヨーロッパのアンティークジュエリーを中心に展示。併せて、英国上流階級のライフスタイルを彩ったドレスやレース、銀食器など、華やかで優雅な世界を紹介する。

本展はこれらのコレクションで知られる、那須高原「穐葉アンティークジュウリー美術館」が、特別協力。時代をへても色あせない品々に、誰もがきっと魅了されるだろう。

  • アート
  • 芦花公園

石黒亜矢子は、化け猫や妖怪、想像上の生き物を、日本画を想起させる流麗な筆致で描きだす絵描きであり、絵本作家だ。その画業の最初期の妖怪画から、絵本原画、描きおろしの新作約20点を含む、500点あまりを展示する大規模な初個展が開催される。

石黒は、1973年千葉県生まれ。絵本「ばけねこぞろぞろ」(あかね書房)、「いもうとかいぎ」(ビリケン出版)や、画集「石黒亜矢子作品集」を出版するほか、京極夏彦「豆腐小僧双六道中ふりだし」(講談社)や、町田康「現代版 絵本御伽草子付喪神」(講談社)などの挿絵・装画も手がける。

愛猫家としても知られる石黒が描く、不思議で、色彩豊かで愛らしい、ユーモアたっぷりの生きものの姿。老若男女が楽しめるのも大きな魅力だろう。

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  • アート
  • 箱根

神奈川県箱根町に開館し、2023年秋に10周年を迎える「岡田美術館」。これを記念し、伊藤若冲と田中一村の名品が並ぶ特別展が開催されている。

江戸時代に京都で活躍した"奇想"の絵師・伊藤若冲(1716~1800)と、昭和に独自の絵画表現を確立し、奄美大島の自然を描いた作品で知られる田中一村(1908~77)。近年、急激に人気と知名度が高まった二人は、意外にも共通点が多い。生涯独身、描くことだけを生き甲斐で、写生を徹底したことや、あでやかな彩色、画面に行き渡る緊張感など、作風においても似通う点が認められる。

本展は、若冲が精力的に描いた30代末頃~40代の着色画と、一村の奄美大島在住時代の代表作、それぞれの墨絵、同じ種類の鳥を描いた絵など、二人の作品を中心に、同時期に活躍した画家の作品や伝統的な花鳥画の屏風絵など、約40件が楽しめる。

  • アート
  • 上野

20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス。それまで伝統だった写実絵画と異なり、色彩そのものが独自の構成要素となり得ることを示した「帽子の女」(1905年)は、前衛芸術の展覧会「サロン・ドートンヌ」で発表され、批評家によって「フォーヴ(野獣)」と評された。

20代で法律家から画家の道に転向し、油彩画、彫刻、ドローイング、そして切り紙絵や建築に至るまで、84年の生涯を通して色彩とフォルムへの関心を持ち続け、感覚を頼りにその力を追究した。

世界有数のマティス・コレクションを有するフランスの「ポンピドゥー・センター」から、約150点もの作品が来日する本展。マティスの作品だけで構成される、豪華かつ貴重な機会だ。

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  • アート
  • 表参道

ニューヨークのMoMAで開催されていた回顧展も記憶に新しい、ドイツ人フォトグラファーのヴォルフガング・ティルマンス。彼の作品を30数点保有するフォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから、選りすぐられた作品が、表参道の「エスパス ルイ・ヴィトン 東京」で楽しめる。

ティルマンスは、1980年代から身近な友人たちのスナップ写真などを雑誌「i-D」で発表。80年代後半以降は、肖像画、静物画、風景画といった伝統的なジャンルに立ち戻りつつも、コピー機での拡大印刷や暗室での抽象表現など、写真印刷技術の実験も行ってきた。同世代の若者やカルチャー、セクシャルマイノリティに目を向けた作品などで注目され、近年は社会問題へのアクションや音楽活動にも注力している。

ぜひ会場で、作品から放たれるメッセージを受け取ってほしい。

もっとアート散歩をするなら

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  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

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  • アート

 

現在横浜のアーティストやコミュニティーのグループは、大きな美術館にとどまらず、以前にはあまり関心を持たれていなかった地域をクリエーティブなアートの中心地へと変えている。本記事では横浜のアートシーンとして最適な、いくつかのスポットを紹介していく。

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