ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
Photo: Kisa Toyoshima2003年の作品『カップル』/ ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
Photo: Kisa Toyoshima

東京、10月から11月に行くべきアート展

この秋行きたいおすすめ展示を紹介

Naomi
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タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、10月から11月に行くべきアート展

東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。10月から11月にかけては、「東京都美術館」でのアメリカの写真家、アレック・ソスの展示や、「府中市美術館」でのミュシャ展など、見逃せないアート展示が盛りだくさん。リストを片手に芸術の秋を盛り上げよう。

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  • アート
  • 恵比寿

「東京都写真美術館」で、世界的に高い評価を受けてきたアメリカの写真家、アレック・ソス(Alec Soth)の展覧会「部屋についての部屋(A Room of Rooms)」が開催。初期の代表作から、今秋刊行予定の世界初公開となる最新作までを一挙公開し、ソスの30年に及ぶ表現活動の魅力に迫る。

ソスは、国際的な写真家集団「マグナム・フォト」の正会員であり、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした、物語を紡ぎ出す写真作品で知られている。本展では、「部屋とそこに暮らす人」をテーマに、世界各地で訪ねた人々の部屋の中で撮影したポートレートと、個人的な持ち物を写し出す。

「ポートレートや風景、静物などを定期的に撮影しているが、最も親しみを感じるのは室内の写真だ」とソスが述べるように、個々の空間で被写体から醸し出される親密さは大きな魅力となっている。

2024年10月12日(土)には、ソス本人が来日し、本展とこれまでの活動について語るアーティストトークが開催。定員は190人で、参加費は無料だ。また、2025年1月2日(木)・3日(金)は展示の入場が無料となっている。

貴重な機会を見逃さないように。

  • アート
  • 清澄

2023年、第1回目の展覧会が大きな反響を呼んだ、憲法とアートに焦点を当てた展示「日本国憲法展」が今年も開催。今回2度目となる本展は、日本国憲法の公布日である11月3日(文化の日)に合わせて、東京都内の「無人島プロダクション」「ミサシン ギャラリーMISA SHIN GALLERY)」「青山|目黒」の3会場で、会期を区切って行われる。

本展は、2019年に刊行された『日本国憲法』から着想を得たもので、 憲法の条文を、絵画・漫画・写真・オブジェなど、あらゆる美術作品とともに展示。条文と作品を同時に鑑賞することで、法律と美術をそれぞれ単体で捉えるのとは全く違う鑑賞体験ができる。

各会場での期間と、開館時間・休館日については公式ウェブサイトを確認してほしい。憲法の意義や内容をアートとともに考え直すきっかけとなる本展を、見逃さないように。

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  • アート
  • 府中

「府中市美術館」で、アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha、1860〜1939年)を特集する展示「アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界」が開催。版画や油彩画をはじめ、貴重な下絵などを公開する。

ミュシャは、世紀末パリを鮮やかに彩るポスターの数々を生んだデザイナーであり、壮大なテーマを重厚な油彩で表した画家だ。2つの顔を持つ芸術家であると捉えられているが、その両方に共通しているのは、どんな素材を扱っても「ミュシャ風」にする圧倒的な造形力である。本展では、そんなミュシャ最大の魅力である造形の力を解き明かしていく。

なお、期間中の2024年10月12日(土)~14日(月)は「市民文化の日」のため、誰でも無料で観覧ができる。ミュシャファンは見逃さないように。

  • アート
  • 神奈川

「横浜市民ギャラリーあざみ野」で、ドイツと日本を拠点に活動するアーティストユニット、SHIMURAbrosの個展が開催。現代的かつ挑戦的な内容を発信するため、さまざまなジャンルのアーティストに目を向けた展示「あざみ野コンテンポラリー」のシリーズだ。

ユカとケンタロウによる横浜出身の姉弟ユニット、SHIMURAbrosの創作の源泉は「映画」で、映画表現の本質である「光」を表現し、それを物質に変換することを試みている。本展では、活動初期の映画作品や、鑑賞者の移動によって映像的に変化してゆく光学ガラスによる彫刻シリーズ、2024年の最新作など、「光」を扱う実験的作品を一挙に紹介する。


会期中は、アーティストトークやゲストを招いた上映会など、関連イベントも開催を予定している。映画の歴史とそのメカニズムを踏まえ、人間の知覚の在り方を探求し続ける彼らの作品世界を楽しんでほしい。

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  • アート
  • 浦和

「埼玉県立近代美術館」で、美術家・木下佳通代(1939〜1994年)の初の大回顧展が開催。初期の油彩画から、1970年代の写真作品、 1980年代以降に軸足を置いた絵画作品、そして亡くなる直前に病床で描いた絶筆までの作品群を通して、木下の全貌に迫る。

京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)在学中から作家活動を開始した木下は、前衛美術集団「グループ<位>」と行動をともにし、一貫して「存在とは何か」という問いに向き合い続けた。

ものの存在と視覚の関係性を洗練された表現で提示する一連の作品は、国内外で高く評価され、1981年にはドイツで個展を実現。その後、乳がんによって55歳で亡くなるまで精力的に活動を続けた。

近年も国内外の展覧会でたびたび紹介され、再評価が高まる木下の制作の軌跡をたどってほしい。

  • アート
  • 六本木

六本木のギャラリー「スカイ ピラミデ」で、ニューヨーク在住のアーティスト、トニー・アウスラー(Tony Oursler)の個展「Transmission」が開催。テクノロジーやメディアがいかに人々の心理に影響を及ぼしているかを、絵画・立体・ビデオインスタレーション・パフォーマンスなどの表現によって示してきた、アウスラーのこれまでのキャリアを俯瞰(ふかん)する。

アウスラーは、創造性・テクノロジー・サイエンスフィクション・ポップカルチャーの要素を組み合わせ、既存の信念体系を揺るがすことで、不安や恐怖を引き起こす「不気味なもの」などをテーマに作品を作り続けている。作品は、時にユーモアを交えてメディアを批判し、心理的に不安を与えると同時に詩的に心を揺さぶる没入型の環境を作り出す。

また、「映像イメージを箱型のテレビから解放した」アーティストの一人でもある。映像プロジェクションと彫刻が合わさった『Blue Mood』(1992年)では、人形の頭部だけが映像プロジェクションで映し出され、人を驚かせる魔法のような体験を与えている。

テクノロジーに向けた新たな創造への道筋を指し示すアウスラーのまなざしを感じてほしい。

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  • アート
  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、「マティス ― 色彩を奏でる」展が開催。アンリ・マティス(Henri Matisse)が生涯を通して描き続けた室内画の名品『リュート』をはじめとした絵画5点と、晩年の傑作品『ジャズ』を展示する。

「色彩の魔術師」と呼ばれ、鮮やかな色彩を大胆に用いて表現するマティスの作品は、見るものに強いインパクトを与える。また、感情を直接的に表現する制作スタイルは作品にダイナミズムを生み出し、色彩の配置やバランスは音楽のような視覚的なリズムを感じるだろう。

会期中は、赤ちゃんとの鑑賞会や、認知症や高齢の人を対象にした対話型鑑賞会など、誰もが楽しめるプログラムを実施予定。また、マティスの切り絵の技法を取り入れたワークショップも行われる。

会期が短いので、マティスファンは絶対に見逃さないでほしい。

  • アート
  • 八王子

「東京富士美術館」で、「サムライ・アート展 ─刀剣、印籠、武具甲冑、武者絵、合戦絵─」が開催。刀剣や甲冑(かっちゅう)をはじめとした武器や武具、武士の姿が描かれた絵画資料などを紹介し、「サムライ・アート」の魅力に迫る。


実戦で用いられながら、格式や権威を象徴する宝物として珍重され、サムライ・アートと称される武器や武具。会場では、武士の美意識や匠のこだわりを反映し、現代に伝わるこれら贅を極めた刀剣、刀装具、甲冑、兜が一堂に会する

また、現代の刀鍛冶や研ぎ師、刀装具の職人によって手がけられた美術刀剣も並び、1000年以上の伝統を有する美と技術が伝承された鉄の芸術品が堪能できる。

本展を通し、サムライ・アートの究極のこだわりの美が感じられるだろう。

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  • アート
  • 神保町

5人の写真家による写真展「紙の光 光のしるし」展が、「竹尾 見本帖本店」で開催。「光」に調和するファインペーパーを、色・張り・重みといったそれぞれの観点で、写真家自らが精選した作品が並ぶ。

参加作家は、「東京国立近代美術館」「グッゲンハイム美術館」「ポンピドゥーセンター」などに作品が収蔵され、現代美術の国際展にも数多く参加する野口里佳。また、この夏に「市原湖畔美術館」の展示に参加した石田真澄のほか、熊谷聖司、濱田祐史、山元彩香だ。

会場では、豊かな階調と濃度・鮮やかさを実現する印刷技術によって、写真家のとらえた光景を紙の上に繊細にしるす。また、本展のために制作した各写真家の作品集を限定販売する。

なお、本展は「DNPプラザ」会場でも同時開催を予定している。

  • アート
  • 六本木

「東京ミッドタウン デザインハブ」で、さまざまな時代のデザインを特集する「ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」展を開催。戦後の日本のデザインにおける豊かな流れに着目し、未来のデザインのルーツを探る試みだ。

展示作品は「グッドデザイン賞」受賞作品などの中から選定。再評価したいデザインや今後のスタンダードとしたいデザイン、未来へのヒントとなるデザインで構成される。

1950年代から現在までの各時代の8つのデザイン領域(空間・グラフィック・クラフト・インテリア・インダストリアル・ジュエリー・パッケージ・サイン)にわたるえりすぐりの代表的なデザインを、その時代背景とともに年代順に紹介。また、領域・時代も異なる約90点のデザインを、現代のデザインに必要な6つの視点で読み解いていく。

会期中は、関連イベントのトークセッションも開催予定。公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

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  • アート
  • 横須賀

猿島と横須賀市街地で、「SENSE ISLAND/LAND |感覚の島と感覚の地」が2年ぶりにリニューアル開催。2019年に猿島でスタートした夜間芸術祭が大幅にエリアを広げ、夜間だけでなく日中も楽しめるようになった。

「横須賀のまちと無人島猿島を舞台にした感覚/地層/アート」をテーマとした本芸術祭は、さまざまな歴史・文化・産業が集積する横須賀の「地層」に目を向け、アートによる時間と大地の可視化・文脈化を試みる。初開催から引き続き、総合プロデュースを齋藤精一が務め、今回はゲストキュレーターとして青木彬も参加。

各会場では、国内外13組のアーティストによる作品展示と、5組のパフォーマンスアーティストによる多様なパフォーマンスイベントが行われる。

会期中のイベントチケットは9月中旬以降に販売開始で、市街地会場でのアート作品の鑑賞は無料だ。点在するアート作品を通じて、日常とは異なる特別な横須賀を感じてほしい。

  • アート
  • 六本木

「アートは心の健康を保証するもの」という言葉を遺した、女性彫刻家のルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)。六本木ヒルズのシンボルとも言える、クモのパブリックアート『ママン』の作者であり、没後もなお世界各地で注目されているブルジョワの大規模個展が「森美術館」で開催される。

パリに生まれ、抑圧的で男性中心主義的な父親が支配する複雑な家庭環境で育ったブルジョワは、結婚を機にニューヨークへ移住。40代から本格的に彫刻制作に取り組んだ。

家族についてや女性であること、男性への恐れ、母や子どもへの愛情など、自身の複雑な感情や苦悩を創作活動へと昇華させていった。ブルジョワの展覧会が国内で開催されるのは27年ぶり。しかも今回は、20代後半から30代に手がけていた絵画作品がアジアで初公開される。

98歳で亡くなるまで創作活動を続けたブルジョワの半生を、じっくりとたどってみよう。

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  • アート
  • 京橋

この秋オープンする「ギャラリー アンド ベーカリー トーキョー(Gallery & Bakery Tokyo)8分」で、最も勢いのある若手アーティスト、友沢こたおの新作個展「Fragment」が開催。会場では、展示壁の高さを生かした油彩画を展示・販売する。

1999年、フランス・ボルドーで生まれた友沢は、2024年に東京藝術大学大学院美術研究科を修了。在学時から久米桂一郎賞や上野芸友賞の受賞をはじめ、国内外の展覧会やアートフェアに参加し、世代を代表するアーティストの一人となった。

スライム状の物質と有機的なモチーフを組み合わせた独創的でリアリティーのある人物を描く友沢の作品は、観る者に強いインパクトを与える。シンプルな画面構成でありながら、質感や透け感、柔らかさまでも油彩で写実的に表現している。

開館時間・休館日はまだ未定なので、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

  • アート
  • 神奈川

「川崎市岡本太郎美術館」で、淺井裕介と福⽥美蘭による展覧会「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」が開催。アートシーンの第⼀線で活躍する2⼈の現代作家が、岡本太郎と関連づけた⾃作を展⽰する。

淺井は、展覧会が開催される各地で採取した⼟を絵の具にし、現地の⼈々と協⼒して⼤規模な作品を制作するなど、⼟地に根ざした作品や神話的世界を⼿がけることで知られている。本展では、川崎市内で採取した土を絵の具として使用した巨大な新作を発表する。

福⽥は、芸術や⽂化、現代社会への批評的まなざしを可視化する作家だ。今回は、福⽥が言う「⽣真⾯⽬」な岡本太郎に、全点新作で挑む。 

また常設展示室では、淺井と福田がそれぞれ独自の視点で選んだ岡本太郎作品をコメントとともに展示する。互いに触発し合うことで⾒えてくる、3者それぞれの新たな⼀⾯を楽しんでほしい。

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  • アート
  • 原宿

「マホ クボタ ギャラリー(MAHO KUBOTA GALLERY)」で、ニューヨークを拠点にするアーティスト、ブライアン・アルフレッド(Brian Alfred)の最新の展覧会「Golden Hour」が開催。アーティストが自身の旅の中で捉えた、個人的な瞬間を深く探求した作品群が並ぶ。

タイトルの 「Golden Hour」は、日の出直後や日没前の、光の質が暖かく、魔法のような輝きで周囲を一変させる時間帯のことを指す。この光は、人生における影響力のある一瞬であり、はかない美しさそのものであるという。

作品は、アルフレッドの感情を凝縮した視覚的な日記の一ページであり、親密な体験のスナップショットだ。光と反射の相互作用により、瞬間の物理的な美しさが際立ち、その時間の流れの速さをも暗示する。

本展を通して、鑑賞者が内観し、日々の体験における無常の美を受け入れるきっかけとなることをアルフレッドは願っている。

  • アート
  • 文京区

「印刷博物館」で、活版印刷からデジタルフォントへと文字印刷の橋渡しを担った写真植字を特集する「写真植字の百年」展を開催。 発明から100年を記念し、その歴史・役割・仕組み・書体デザインについて紹介する。

写真植字とは、写真の原理を応用して文字を印字、組版をする技術だ。1枚の文字盤からあらゆる文字を作り出せる写真植字の登場は、それまでの活版印刷の煩雑さを解消する革新的な出来事であった。戦後の普及とともに写真植字機の技術はより改良され、さまざまな機能が加えられていく。その使いやすさから、印刷業の職場環境が大きく改善され、さらに、美しく多様な書体の開発が広告や書籍を彩るようになる。

なお、文化の日の11月3日(日・祝)は入場が無料となる。この機会に、デザインや出版業界に大きな変革をもたらした写真植字の世界をのぞいてみてほしい。

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  • アート
  • 駒込

「東洋文庫ミュージアム」で、東洋学にまつわる時空を超えたアジアの面白さと豊かさに焦点を当てる「知の大冒険—東洋文庫 名品の煌めき—」展が開催。蔵書を通じてアジアの多様な人々・言語・生活・歴史・宗教・自然との出合いを、旅をするように体験できる。

資料の多くは、災害や戦争などの危機的状況を乗り越えて継承されてきたもの。まずは、『甲骨卜辞片』『コーラン』など東洋の文字と言葉を通じて、紀元前から今日まで東洋で生み出されてきた数々の文字に触れていく。また、『史記』『山海経広注』『ガンダーラの仏教寺院』 などの地理書や探検記を通じて、古の航海者が星を目印にしたように、アジアの寄港地観光を楽しむ。

さらに、マルコ・ポーロ の『東方見聞録』『大地図帳』『ロビンソン・クルーソー』『世界周航画集』など、西洋人による書物を通じて、東西世界の交わりを探る。最後に、国宝『毛詩』、重要文化財『論語集解』『解体新書』『アヘン戦争図』 などを通じて、日本の周囲の世界の記録をひもとき、日本の変化の道のりをたどる。

これらの経緯を知ることで、これまで聞いてことがあった書物や資料も、きっと見え方が変わるだろう。気になる言葉に出会ったらぜひ立ち寄ってみてほしい。

  • アート
  • 神泉

「渋谷区立松濤美術館」で、さまざまな年代の「空」に焦点を当てた展覧会が開催。「空」の表現の変遷を通じて、そこに映し込まれる意識の揺らぎを浮かび上がらせる。

近世まで「空」を現実的に描こうとする意識が希薄であった日本美術の中では、空が「余白」のような位置づけであった水墨画や、金雲などが描かれた障屛画(しょうへいが)を紹介。写実主義の西洋美術の中からは、風景画で名を成すイギリスのジョン・コンスタブル(John Constable)などを中心に、西洋美術と日本美術の視点を比較する。

明治以降は、西洋画教育や気象観測の導入を受け、変化する雲や陽光を写しとろうとする画家が登場。また、自画像に、個性的な色合いの雲を描き込んだ萬鉄五郎(よろず・てつごろう)など、空に自身の心象を託すようにもなった。

江戸時代には、天体観測の様子が描かれている葛飾北斎の『富嶽百景』《浅草鳥越の不二図》などから、宇宙の認識が見てとれる。さらに、池田遙邨(いけだ・ようそん)が1923年の関東大震災時の体験をもとに描いた『災禍の跡』などを通して、カタストロフィーによってあらわになる空の姿も追う。

現代からは、最新のデジタル技術によって一瞬をとらえるAKI INOMATAなど、空を主役に据えることで、アート自体を揺さぶろうとするアーティストたちに注目する。本展を通じ、あらゆる空の表現と出合ってほしい。

 

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  • アート
  • 丸の内

「東京ステーションギャラリー」で、イギリスの生活文化に大きな変化をもたらし、デザインブームの火付け役にもなったサー・テレンス・コンラン(Sir Terence Conran、1931〜2020年)を特集する。「Plain, Simple, Useful(無駄なくシンプルで機能的)」をモットーに、デザインが暮らしを豊かにすると信じ、デザインによる変革に突き進んだコンランの人物像に迫る日本初の展覧会だ。

1970年代から展開した「ザ・コンランショップ」におけるセレクトショップの概念で、世界のデザイン市場を激変させたコンラン。このほか、家具のデザインやロンドンの倉庫街を一新させた都市の再開発、さらにはレストラン事業を手がけ、「モダン・ブリティッシュ」という料理スタイルをイギリスに定着させた。また、1989年には世界初の「デザイン・ミュージアム」の開館を実現させている。

会場では、パターン・デザインした食器やテキスタイル、家具デザインのための模型、ショップやレストランのためのアイテム、愛用品、著書、写真、映像など300点以上の作品と資料が一堂に集まる。コンランファンは絶対に訪れてほしい。

  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、パフォーマンスアーティストの荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅ・えい)を特集する展覧会が開催。荒川との共同作業によってさまざまなアーティストが描いた絵画や、展示空間にコンセプチュアルかつ祝祭的なパフォーマンスを組み入れて表現した作品などを紹介する。

1977年に福島県で生まれた荒川は、1998年からニューヨーク、2019年からはロサンゼルスを拠点にし、国際的に活動する。同美術館において、開館以来初となるパフォーマンスアーティストの個展である本展では、荒川とその協働者によるライブパフォーマンスが定期的に行われる。

また、公募で集まった65歳以上の参加者が出演する、同館で撮影された新作映像にも注目だ。振付家・舞踊家のピナ・バウシュ(Pina Bausch)が65歳以上の参加者と作り上げた作品『65歳以上の男女によるコンタクトホーフ』から想起されている。さらに、「国立新美術館に来る観客と出会いたい」と言う荒川は、「短くも親密な」展覧会ツアーも会期中に行う。

観客の前で生成中に成長する、荒川のユーモラスなパフォーマンスアートの世界へ足を運んでみてほしい。

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  • アート
  • 初台

「東京オペラシティ アートギャラリー」で、松谷武判の全貌を紹介する大回顧展が開催。半世紀以上パリを拠点に制作し、今なお走り続ける松谷の国内初の美術館個展だ。

1937年生まれの松谷は、1963年に戦後日本の前衛芸術を牽引(けんいん)「具体美術協会」の会員となり、当時の新素材である接着剤を使ったレリーフ状の作品を発表。1966年からパリに拠点を置き、当時現代アートの最前線であった版画制作に取り組み始める。やがて、接着剤による造形に鉛筆の黒鉛を重ねた漆黒の作品で新境地を開く。

87歳になる現在も、さらに自由で大らか、密やかな繊細さをもってパリで旺盛な制作を続ける。近年では、2017年の「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」、2019年のパリ「ポンピドゥー センター」での回顧展など、改めて国際的な評価を高めている。

自らの身体と五感を働かせ、驚きに満ちた作品を生み出し続ける豊かな創造性を見逃さないでほしい。

  • アート
  • 六本木

六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」で、私たちの身の回りから宇宙までを見渡し、さまざまな「ゴミうんち」をテーマに扱うユニークな企画展が開催される。

いわゆる自然界においては、ほとんどのうんちやゴミが循環する仕組みだが、人間社会では大きな問題となっている。文化的にも、どこか見たくないものとして扱われる存在だ。ごみ捨て場や水洗トイレは、まるでブラックボックスのように、私たちが忘れるための装置としてすら機能してきたと言えるだろう。

本展では、ゴミやうんちを含む世界の循環を「pooploop」と捉えている。これまで人間がどこか目を背けてきてしまった存在を、すぐに燃やしたり流したりしてしまわず、もう一度向き合い考えるきっかけにしたい企画展だ。

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  • 汐留

「パナソニック汐留美術館」で、「ベル・エポック―美しき時代」展が開催。フランス・パリが芸術的に華やいだ、19世紀末から1914年ごろまでの「ベル・エポック」の時期から、1930年代に至るまでの美術や工芸・舞台・音楽などの幅広いジャンルの文化の在りようを、重層的に紹介する。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec)によるポスター、エミール・ガレ(Émile Gallé)やルネ・ラリック(René Lalique)らの工芸作品のほか、芸術家同士で交わされた手紙や書籍なども展示。当時のパリの空気が伝わってくるようだ。

また、当時はパリでフェミニズム運動が高まりを見せ、社会的自立を目指す女性たちも登場した時期でもある。放射線の研究でノーベル賞を2度も受賞した物理学者のマリー・キュリー(Marie Curie)や、伝説的な舞台女優のサラ・ベルナール(Sarah Bernhardt)らを紹介し、当時のファッションや装飾芸術にも注目する。

  • アート
  • 六本木

江戸を拠点に独自の風俗画を描いた絵師、英一蝶(はなぶさ・いっちょう・1652〜1724年)の没後300年を記念した企画展が、六本木の「サントリー美術館」で開催される。最新研究を踏まえた過去最大規模の大回顧展だ。

菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、ユーモアあふれる戯画から、狩野派絵師としての高い技量をうかがわせる謹直な作品まで幅広く描いた一蝶の活動を、包括的に紹介する。特に注目したいのが、近年発見され、本邦初公開となる仏画「釈迦十六善神図」で、非常に精巧で美しい名品だ。また、「多賀朝湖(たがちょうこ)」と名乗っていた時代に描かれた「雑画帖」が、一蝶展で初めて三十六図全て展示される。

本展を通して、一流絵師としての一蝶の画業をたどりながら、俳諧師であり、吉原の遊郭で宴席を盛り上げる太鼓持ちでもあったユニークな人となりにも触れてほしい。

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  • 日本橋

文明の十字路とも呼ばれるアフガニスタン・ヒンドゥークシュ山脈に位置する「バーミヤン遺跡」は、ユーラシア各地の文化が行き交った地域にあったが、2001年3月、イスラム原理主義組織・タリバンによって爆破されてしまった。

渓谷の崖面には、岩石を切り開いた石窟や2体の大仏が彫られ、その周囲には太陽神や弥勒の姿が壁画で表現されていた。今回、かつて日本の調査隊が撮影した写真や調査資料から、壁面の新たな描き起こし図が完成した。

本展ではその原図を展示し、壁画に表された太陽神と弥勒の世界に迫る。また、中央アジアで発展した弥勒信仰が東アジアへと伝わって多様な展開を遂げる様子や、インド・ガンダーラの彫刻と法隆寺をはじめとした奈良の古寺などに伝わる仏像や仏画の名品も多数展示する。

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  • 上野

植物を中心とした緻密な描写と独特な色彩で、唯一無二の絵画を遺した孤高の天才画家・田中一村(たなか・いっそん)。近年、再評価の声が高まっていた中での待望の大回顧展が、上野の「東京都美術館」で開催される。

わずか7歳から南画を描き始め神童と言われ、東京美術学校(現東京藝術大学)へ入学するも、2カ月で退学してしまう。その後、独学で絵を描き続けた一村は、独自の画風を追究するあまり中央画壇からは評価されず、50歳で奄美大島へ移住。

地元の紬(つむぎ)工場で染色工として働いては資金をため、絵画制作に没頭する暮らしを晩年まで続けた。本展は、奄美大島の「田中一村記念美術館」が全面協力し、幼年期の作品から最晩年に奄美で描かれた傑作まで、200点を超える作品と多くの新資料から一村の生涯に迫る。

2024年最も注目されている展覧会の一つを見逃さないでほしい。

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  • 箱根

2024年8月1日(木)に開館55周年を迎える「彫刻の森美術館」で、記念展として2024年3月に逝去した彫刻家の舟越桂(ふなこし・かつら)の展覧会が開催。最期まで展覧会の実現を望んだ作家の意思と、遺族の意向を尊重しての開催となる。

デッサンやメモなど、日々の創作活動を垣間見ることのできる展示物にも着目したい。実際の制作に使っていた手製の作業台や、デッサン用の一本足の椅子なども展示され、生涯を通じて人間とは何かを問い続けた舟越の作品の変遷や、創作の源となる視線に迫る内容だ。

また本展を機に、写真集『おもちゃのいいわけ』が27年ぶりに増補新版として刊行される。舟越が自身の子どものためだけに製作した玩具やオブジェを集めた写真集で、ぜひ手に取ってほしい名著である。掲載された品々が本展に展示されるのもうれしい。

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  • 乃木坂

「TOTOギャラリー・間」で、展覧会「大西麻貴+百田有希 / o+h展:⽣きた全体――A Living Whole」を開催。2023年の「日本建築学会賞」や「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」の日本館キュレーションなどで注目を集め続ける大西麻貴と百田有希のこれまでの仕事を、模型や言葉、インスタレーションなどで紹介する。

建築事務所を共同主宰する大西と百田は、公共建築から住宅、福祉施設まで幅広く手がける若手建築家だ。建築をつくることを、その建築を含む「生きた全体」を考えることだと捉え、多様な背景や特性を持つ人々の声や、その土地に伝わる物語にまで耳を傾ける。各存在のかけがえのなさを大切にし、寛容で多様な社会の理想形を、建築を介して示そうとしている。

本展を通して、そのまなざしと世界観を感じてほしい。

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  • 駒場東大前

1895年生まれの静岡県出身の染色家、芹沢銈介の生誕130年を記念して、「芹沢銈介の世界」と題された展覧会が「日本民藝館」で開催される。

芹沢は、沖縄の染物である紅型(びんがた)との出合いを契機に、型染めを中心とした染色の道を歩み始めた。型染めとは、小刀を使って型紙に彫った文様を布地に染め出す技法で、手作業だからこそ出せる温かみのある線が特徴だ。

文字をはじめ、植物や風景を鮮明で軽快な色彩と形で表現した作品を、芹沢は生涯にわたって数多く生み出した。これらの色と形は、まさに芹沢を象徴するものであり、その魅力は色あせることなく、今日も多くの人々に愛され続けている。

また、芹沢は世界各国の美術工芸品のコレクターとしても知られており、柳宗悦が生涯にわたりその審美眼に深い敬意を抱いていたほどである。本展ではそのコレクションの一部を公開する。芹沢自身が自らの収集を「もうひとつの創造」と称していたように、彼の収集品全体には、芹沢が異国のプリミティブな線や形に魅了され、それらが彼の個性や創造性と深く響き合っていたことが色濃く表れている。

本展は、芹沢の作品とその収集品を通じて、その歩みを追うものであり、今なお続く影響力を感じられる機会となるだろう。

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  • 丸の内

「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」展が「静嘉堂文庫美術館」で開催される。静嘉堂文庫美術館は、三菱第2代社長・岩崎彌之助と第4代社長の岩崎小彌太によって、明治から昭和にかけて収集された約1400点の茶道具の収集品を所蔵している美術館だ。

コレクションの中核をなすのは、仙台藩主の伊達家や加賀藩主の前田家などの大名家旧蔵品。本展では、江戸初期の大名茶人で「綺麗さび」と称される美意識をもって茶道具に新たな評価を与えた小堀遠州や、茶器研究の出版など多彩な活動によって名を残した出雲藩主の松平不昧(まつだいら・ふまい)ゆかりの茶道具も公開される。

千利休が活躍した安土桃山時代以前から評価の高い「唐物茶入」や、著名な「墨蹟(ぼくせき)」など、名品が一堂に会するこの機会。貴重な作品を間近で鑑賞し、「眼福」のひとときを楽しんでみては。

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  • 八王子

累計900万部を超える「だるまさん」シリーズをはじめ、子どもたちに広く愛される絵本を生み出した作家、かがくいひろしの没後初の回顧展が八王子市夢美術館で開催される。

50歳で遅咲きの作家デビューを果たしたかがくいは、子どもたちを笑い転げさせる作品を次々と生み出したものの、わずか4年で急逝した絵本作家である。彼の絵本は、大笑いした後に心が温かくなる作風で、多くの読者に読まれ続けている。

かがくいが特別支援教育に携わっていたことはあまり知られていないが、本展では、その点にも注目する。障がい児教育現場での経験が、彼の絵本の原点となったことが明らかになるだろう。

今もなお子どもたちに愛され続ける、彼の創作の原点に触れてみてほしい。

  • アート
  • 千葉

千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」で、50年に渡りドイツを拠点に活動する西川勝人の日本初の回顧展が開催。1980年代から最新作までの彫刻・写真・絵画・ドローイング・インスタレーション・建築的構造物の約70点を通して、常に静けさという特質を保持し続ける西川の美学に触れる。

西川はシンプルな構造と簡素な素材を用い、光と闇、その間に広がる陰影に心を配った多様な技法を用いた作品制作をしてきた。木や石こうを用いた、抽象的なフォルムを持つ白い彫刻は、表面に淡い陰影を宿し、ただ静かに存在する。会場では、そんな西川作品を自然光・外光・照明・間接光と、さまざまな光のもとで公開し、光と作品、空間との関係性を再考する。

なお、会場構成と作品選定は、建築にも携わる西川本人によるものだ。作品に通底する清らかな静寂が広がる空間で、ゆったりと過ごしてほしい。

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  • アート
  • 広尾

「山種美術館」で、日本画家の福田平八郎(1892〜1974年)の没後50年を記念し、画業をたどる特別展を開催。 初期から晩年に至る名品の数々を一堂に会するのと同時に、福田に影響を与えた古典として、琳派の良品も並ぶ。

福田は、大正期に徹底した観察にこだわった写実的な作品を制作していたが、昭和期には単純な色面と豪快な構図による独自の作風を確立した。本展では、写実の極みである大正期の代表作『牡丹』から、造形の特徴を見事に捉えたタケノコと装飾的なタケの葉が融合した『筍』などを公開する。

琳派からは、伝 俵屋宗達の『槙楓図』をはじめ、酒井抱一の『秋草鶉図』【重要美術品】、鈴木其一の『四季花鳥図』などの優品が勢揃いする。

自身の表現手法を「写実を基本にした装飾画」と語った福田の作品と、意匠性に富んだ琳派が交わる特別な空間に足を運んでほしい。

 

  • アート
  • 用賀

20世紀に活動した革新的な画家、北川民次(1894〜1989年)の生誕130年を記念する展覧会「北川民次展―メキシコから日本へ」が「世田谷美術館」で開催される。20歳で渡米した北川は、キューバを経由してたどり着いたメキシコで新進画家・教育者として活躍。その後、メキシコで盛んだった「壁画運動」に影響を受け、メッセージ性の強い作品を生涯を通じて作り続けた。

はっきりとした輪郭線、簡略化された細部、デフォルメされた形態、そしてシンプルな構成が特徴で、社会に対する北川の鋭い視線が画面に常に注がれている。帰国後は、東京・池袋を経て愛知・瀬戸に居を構え、陶器生産の活気溢れる瀬戸の人々とその生活を終生温かく見つめ、共感を持って描いた。一方、絵画を通して社会批判をする先駆的な画家として一つの道を切り開き、安保闘争や公害問題などの多くの問題を議題とした作品制作に挑み続けた。

約30年ぶりの回顧展となる本展では、北川の油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点に加え、1920~30年代メキシコの多様な芸術動向に関する資料や当時交流した芸術家たちの作品も展示される。北川の軌跡を多角的に紹介する本展で、彼の芸術とメッセージを再発見してみては。

 

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  • アート
  • 竹橋

テクノロジーの登場は、美術の歴史に大きな変化をもたらした。ビデオやカメラの普及もその例外ではない。最新の機器を巧みに手にし、社会に問いを投げかける発信者となった女性アーティストたちは、どのようにして自身の違和感を記録し、メッセージを発信したのか。

「国立近代美術館」で開催される「フェミニズムと映像表現」は、1970年代から現代までの女性作家による映像作品を4つのキーワードに分けて紹介する。フェミニズムと映像作品というテーマを通じて、時代によって移り変わる女性と映像の関係を丁寧にひもといていく。

展示作家には、テレビの料理番組をパロディー化した『キッチンの記号論』で家庭内労働や家父長制への違和感を示したマーサ・ロスラー(Martha Rosler)や、都市の雑踏の中で直立不動に立ち、自らを異質な存在として際立たせたキムスージャ(Su ja Gim)をはじめ、塩田千春、ジョーン・ジョナス(Joan Jonas)、出光真子など、フェミニズムと映像を語る上で欠かせないアーティストたちが名を連ねる。

自分の体や存在を取り戻すことを試みた女性アーティストたちの作品を通じて、現代におけるフェミニズムの新たな視点を考察する機会となるだろう。

  • アート
  • 銀座

アートディレクター兼グラフィックデザイナーである上西祐理の現在地を紹介する展覧会「Now Printing」が、ギンザ グラフィック ギャラリーで開催される。

上西は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、電通に入社し、11年間の勤務を経て2021年に独立した。その後デザインスタジオ「北極」を立ち上げ、ポスターやロゴなど単体の仕事から、ブランディングやキャンペーン、映像、空間、本、雑誌など仕事は多岐にわたる。

上西の代表作の一つである「世界卓球2015」のポスターは、高速に球が行き交う卓球の動的瞬間を見事に紙面に定着させ、デザイン界にその存在感を見せつけた。「強いワンビジュアルを作ること」が得意だと語る上西は旅行が好きで、旅先で見つけたものをじっくり観察することが彼女のデザインの源になっている点にも注目したい。

本展は、ギャラリーの1階に新作の印刷物が展示され、地階にはこれまで上西が携わった仕事のアーカイブが並ぶ。さらに、上西が旅で見つけた「お宝」も登場する予定だ。

上西の創造の源泉を垣間見られる貴重な機会を見逃さないように。

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  • アート
  • 乃木坂

日本を代表するアーティスト・田名網敬一の世界初となる大規模回顧展が「国立新美術館」で開催。本展では田名網の半世紀以上に渡る創作活動を紐解くキーワードとなる「記憶」を辿って、その作品の全貌に迫る。総数約500点と膨大な数の多彩な作品が一堂に会する。

新作のペインティング、立体作品、アニメーションに加え、1960年代後半から70年代初めにかけて制作された貴重なグラフィックデザインやイラストレーション、80年代にかけて制作された極彩色の木彫シリーズのほか、近年スタジオで発見された最初期のポップアート作品も展示される。

「POP」 の文脈における日本の先駆者の全軌跡を、ぜひ生で体感してみてほしい。

 

  • アート
  • 江東区

江東区にある「Gallery A4」は、「社会のダイバーシティを考える」シリーズとして点字に着目した展示を開催。小さな6つの点の組み合わせで、英語や数字、楽譜なども表現できる点字の世界をのぞく。

会場では、点字の基本的知識や点字を作る日本点字図書館の活動のほか、点字器の体験コーナーなどを紹介する。注目は、10歳ごろで失明した全盲の美術家・光島貴之による滞在制作だ。作品に触り、作家がとらえた街の質感を感じてみてほしい。

暮らしを支えるだけでなく、本の中の想像の世界や家の外に広がる世界へと導く点字に触れることで、社会のさまざまな見え方を楽しんでみては。

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  • アート
  • 原宿

公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトで近年注目を集めるアートコレクティブ「SIDE CORE」の展覧会が、外苑前の「ワタリウム美術館」で開催する。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志で、映像ディレクターとして播本和宜が参加する

「都市空間における表現の拡張」をテーマに活動しているSIDE COREは、これまでにも東京の地下空間をスケートボードで疾走する作品などを展開してきた。公共空間のルールをひもとき、思考の転換、隙間への介入、表現やアクションの拡張を目的に、ストリートカルチャーを切り口とした作品に定評がある。今回の大規模個展でも、彼らが軽やかに都市の暗部を開拓していく作品群に期待が高まる。

なお、本展は美術館内部だけではなく、周辺環境への展開が予定されている。アートを通じて都市への想像力を広げる体験をしてみては。

  • アート
  • 恵比寿

「東京都写真美術館」で、日本を代表するメディアアーティストであり、絵本作家でもある岩井俊雄の展覧会が開催。岩井のメディアアートや絵本原画をはじめ、インスタレーション作品や、同美術館が収蔵する映像装置を紹介する。

岩井はパラパラマンガや19世紀の映像装置への関心、そして現代のテクノロジーを創作に取り入れたことで、独自のメディアアートを確立した。また、人気絵本『100かいだてのいえ』シリーズの作家としても知られている。

注目は、鏡の世界に入り込む立体作品『巨大かがみの100かいだてのいえ』や、メディアートの先駆的作品『時間層』シリーズの一挙公開だ。8月17日には岩井による「かがみの100かいだてのいえをつくろう!」のワークショップも行う。 (8月1日までに要申し込み)

子どもから大人まで楽しめる夏休みにぴったりの本展に違いない。

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  • アート
  • 清澄

1990年代半ば以降の日本現代美術における重要な蓄積として、質・量ともに知られる「高橋龍太郎コレクション」と、1995年に開館した「東京都現代美術館」。ほぼ同時期に形成されたコレクション群から構成する企画展が開催される。

団塊世代の先駆けともいえる1946年生まれのアートコレクター・高橋龍太郎は、1960年代の全共闘運動など、文化と政治が交差した時代を東京で過ごした経験を持つ。大学卒業後は、精神科医としてデイケアをはじめとする地域医療の推進に尽力してきた。

本展では、会田誠、加藤泉、草間彌生、鈴木ヒラク、奈良美智、村上隆ら、時代に対する批評精神あふれる作家たちの代表作とともに、戦後世代のコレクターの目が捉えた現代日本の姿をたどる。同館がこれまで体現してきた美術史の流れに、個人コレクターの「私観」を導入しつつ、批評精神にあふれる日本の現代美術の重要作品を総覧する、ユニークな機会となるはずだ。

  • アート
  • 清澄

開発好明(かいはつ・よしあき)は、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーション、記憶や時間などをモチーフに、パフォーマンスやインスタレーションなども含む多彩な作品を発表してきた作家である。そんな彼が、都内の美術館では初めての大規模な個展を、清澄白河の「東京都現代美術館」で開催する。

キャリアの最初期となる「ドクメンタ9」でのゲリラパフォーマンスや、1995・1996年に日本を巡った展覧会「365大作戦」など、初公開を含む意欲的な初期活動の写真、映像、実物資料の数々など、約50点の作品やプロジェクトを通して、30年以上におよぶ「ひとり民主主義」の活動を体感できる機会だ。

会期中は、ほぼ毎日、開発本人が展示室で過ごし、トークイベントやライブパフォーマンス、ワークショップなどを多数開催するという。100人の講師陣によるユニークな授業を100回行う「100人先生」など、日々動きと変化、出合いと対話が起こる場を創出する。また、8月の毎週金曜日は21時まで開館、17時以降は学生無料、一般・65歳以上は2割引(要証明)になる「サマーナイトミュージアム2024」が実施される。

その日限りの出来事を目撃しに、何度でも足を運びたくなる展覧会となるだろう。

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  • 上野

建築家の堀口捨己(ほりぐち・すてみ、1895〜1984年)没後40年に当たる今年、「国立近現代建築資料館」で初の本格的な回顧展「建築家・堀口捨己の探求 モダニズム・利休・庭園・和歌」が開催。日本初の本格的な近代建築運動である「分離派建築会」を始めた堀口の、生涯にわたる活動を包括的に紹介する。

会場では、代表建築作品の原図を含む約200点の展示資料をはじめ、1920年代に欧州視察した際の写真、分離派建築会展資料、茶室・庭園の実測研究資料、和歌、手紙などを展示。さらに、茶の湯にも通じた堀口の「後藤勘兵衛茶室 (現・太閤山荘擁翠亭)」を原寸に拡大した模型の内部に入ることができる。

100年前にまでさかのぼる資料を通して、建築の進む道を示した堀口の世界を体感してほしい。なお、土・日曜日・祝日は「旧岩崎邸庭園からのみ入場でき、庭園の入園料400円(税込み)が必要となる。

もっとアート散歩をするなら……

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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