「超・日本刀入門」展
Photo: Naomi手掻包永(てがい・かねなが)作の国宝「太刀 銘 包永」(鎌倉時代、静嘉堂蔵)

東京、7月から8月に行くべきアート展

アートにあふれる街、東京で見逃せない展示を紹介

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東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。7月から8月にかけては、ファッションブランド「KENZO」の創始者・髙田賢三の大規模個展、ポール・マッカートニーが自ら撮影した写真展など、注目の展示が目白押し。ぜひチェックしてほしい。

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2024年7月6日(土)~9月16日(月・祝)、日本人としていち早くパリに進出し、ファッションブランド「ケンゾー(KENZO)」を立ち上げた、髙田賢三の大規模個展「髙田賢三 夢をかける」が開催。会場は初台駅から徒歩5分の「東京オペラシティ アートギャラリー」だ。

髙田が手がけたファッションを衣装展示するとともに、文化服装学院で過ごした学生時代やパリでの活躍、衣装のデザイン画なども公開し、多角的な視点で生涯の創作活動を振り返る。彼が残した華麗なる足跡とともに、世界に愛されるデザイナーの人生をひも解こう。

前半の展示では1970年のデビュー当時から話題となった、しぼりやちぢみ、つむぎや浴衣などの「日本のきれ」を用いた初期の作品を展開している。素材を生かしたドレスやパッチワークを取り入れたデザインなど、日本の生地とイメージをあらゆるところに取り入れていたという。

後半では、髙田賢三の代名詞ともいわれる、世界各地の民族衣装に着想を得た1970~80年代の「フォークロア」作品を一斉に展示している。自由を求め、社会が大きく変化した70年代はファッション業界でも「多様性」という価値観が普及し、時代の一大潮流となっていた。彼の残した作品も中国やロシア、アフリカなど、多彩な国をモチーフにしている。

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  • 六本木

ポール・マッカートニー(Paul McCartney)自らが撮影した、約250枚もの写真を展示する展覧会が、六本木の「東京シティビュー」で開催。2023年にロンドンの「ナショナル ポートレート ギャラリー」のリニューアルオープン記念展として開催され、アメリカでの巡回展を経て、ついに日本に上陸する。

本展で公開されるのは、今から約60年前の1963年12月から「エド・サリヴァン・ショー」でアメリカに凱旋(がいせん)した1964年2月までの約3カ月間の記録だ。1962年にデビュー後、瞬く間に世界的なスターとなったビートルズの絶頂期と重なる。

無料で利用できる音声ガイドは、なんとマッカートニー本人が担当。当時を懐かしむ彼の声を通して、当時の熱狂を追体験できるだろう。また、展覧会に登場する都市名がポール自身による手書き文字でデザインされたTシャツをはじめとしたグッズも販売される。日本限定発売のものや、数量限定のコンタクトシートなどもあるので、注目したい。

 

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  • 渋谷

1920年にフィンランド生まれたトム・オブ・フィンランド(Tom of Finland)は、ゲイアートの先駆者である。同性愛が厳しく罰せられた当時の社会的偏見に立ち向かい、70年代以降、世界的なゲイカルチャーの自由と誇りを象徴する存在となった。

フィンランドが描く男性像は筋肉質で自由奔放、そして官能的だ。それはゲイ男性の強さ・誇り性の解放を強調しており、ゲイコミュニティに自信と自己表現の重要性を高め続けた。同時に、当時の社会がゲイ男性に押し付けてきた弱々しいイメージとは異なる「ゲイの男らしさ」を表現することで、そのイメージをポジティブな男性像へと一新させた。

1991年にフィンランドが亡くなった後も、トム・オブ・フィンランド財団が全てのエロティック・アートの社会的・文化的メリットを伝え続けている。

今回は作品展示だけでなく、フィンランドの世界に没入できるVR作品「TOM House the VR Experience」が日本初公開されるのも注目だ。

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  • 丸の内

古墳時代には作られていたとされる、約1000年もの歴史を持つ日本の刀。「武士の魂」とも呼ばれる武器として、また美術品として長らく鑑賞されてきた。ここ10年ほどで熱烈な愛好家が急増し、その人気は定着しつつあるものの「見方が分からない」「どれも同じに見える」とも言われがちである。

特別展「超・日本刀入門 revive― 鎌倉時代の名刀に学ぶ」は、「入門」とタイトルに掲げられた通り、国宝や重要文化財を含む名刀の数々を通して、刀剣の種類、作り手や地域による特徴、鑑賞時に注目すべきポイントを丁寧に紹介する待望の展覧会だ。

展示室では刀剣とともに、運慶や快慶ら慶派の仏師が鎌倉時代に制作したとみられる、重要文化財「木造十二神将立像」が特別に公開されている。また、大人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボレーショングッズが販売されるほか、キャラクター「後家兼光」の等身大パネルと写真撮影できる

 

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  • 八王子

世界最大の美の宝庫「ルーヴル美術館」から、貴重な銅版画(カルコグラフィー)コレクションが八王子市夢美術館に集結する。

カルコグラフィーとはギリシャ語で「銅板に描かれたもの」を意味し、ルーヴルでは銅版画と原版を保存し、版画を掘る「カルコグラフィー室」を表す。その起源はルイ14世がフランス王家の偉大さを普及するため、建築物や芸術作品などを銅版画によって記録し、メディア媒体として機能させたことから始まる。

1797年には現在の国立カルコグラフィー室となり、版画技法の保存と名画の版画化に寄与した。さらに20世紀に入ると、現代作家による新作が加わることでコレクションはさらに充実し、その数は約1万3000点に上る。

会場では、ラファエロやダヴィンチ、レンブラントなどの絵画や絢爛な建築物の銅版画約100点が紹介される。現在まで受け継がれたカルコグラフィーの知られざる魅力を発見してみては。

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  • 谷中

谷中のコンテンポラリーアートギャラリー「スカイ ザ バスハウス」で、4年ぶりとなる森万里子の個展「古事記」が開催中だ。神話から着想を得た作品群によるインスタレーションや、イタリア・ベネチアで公開される新プロジェクトに関する展示が発表されている。

AR(拡張現実)を用いたミックスリアリティーの体験型インスタレーションKojiki Installationは、日本各地に存在する「磐座(いわくら)」を巡るフィールドリサーチに基づき制作されたもの。5分ほどの映像の中で森は、鏡と剣、勾玉(まがたま)という「三種の神器」の象徴とともに、磐座の前でまつりごとをするホログラフィックな巫女(みこ)として登場する(体験はギャラリーの公式ウェブサイトから要事前予約)。

神話にインスピレーションを得たフォトインティングUnityや、光のモニュメントOnogoro Stoneなど、未来の祭祀(さいし)遺跡を思わせるような空間が広がる。

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  • 銀座

「光」をテーマに世界活躍した写真家田原桂一(1951〜2017)が、1995に出版した写真集OPÉRA de PARIS本展では、その中から厳選した約30点を展示するとともに、2000冊限定で出版された貴重なOPÉRA de PARIS原本や、写真集をもとに制作した映像を紹介する。

作品は、田原がフランス政府の依頼を受けて、8年がかりで撮影したもの。パリ「オペラ座」の壮麗な建築やしつらえだけではなく、華やかな衣装や舞台装置など、オペラ座全体を記録したものだ。


田原は、日本の柔らかい光とは異なる、ヨーロッパの刺すような鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動をスタート。2006までパリを拠点に、写真や彫刻、インスタレーション、建築と幅広く活躍した。荘厳かつ息をむほどに美しい作品の数々を、ぜひ堪能してほしい。

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  • 六本木

コタロ ヌカガ(KOTARO NUKAGA)六本木」で、「物質性と言語」をテーマにしたグループ展を開催。キュレーションを担当したエステラ・プロバス(Esthella Provas)は現在、世界で最も影響力のある美術アドバイザーの一人と目される人物だ。

参加アーティストは、アメリカ・ネバダを拠点とするアマドゥール(Amadour)、メキシコを拠点にするステファン・ブルッケマン(Stefan Brüggemann)と、ホセ・ダヴィラ(Jose Dávila)、そして東京を拠点とするマイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホー(Michael Rikio Ming Hee Ho)、ニューヨークやベルリンなどで活躍するリクリット・ティラヴァーニャ(Rirkrit Tiravanija)の5人だ。

急激に情報化が進む現代社会。情報ではない物質性や言語というものが、現代アートのコンテクストにおいてどのように機能するのか、また相互に作用するのかについて、多様なバックグラウンドを持つ作家らの作品を通して考察する好機となるだろう。

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  • 板橋区

イタリアのボローニャで1967年から毎年開催されている「ボローニャ国際絵本原画展」は、児童書のトレンドを知る機会として、また新人イラストレーターの登竜門として世界的に知られるコンクールだ。2024年は81の国と地域から3520の応募があり、日本人4を含む32の国と地域の78が入選した。

会場ではその入選作品が全て展示され、多くの絵本好きが訪れる板橋区が「絵本のまち」として知られるようになったきっかけが、1981年にスタートした本展だった。

2004年には、ボローニャ市から寄贈された約2万冊の絵本を収蔵する「いたばしボローニャ子ども絵本館」が開館。毎年8月に寄贈された絵本を展示する「ボローニャ・ブックフェアinいたばし」も開催されている。

新たな絵本との出合いを探しに訪れてみよう。

 

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  • 銀座

JAGDA(ジャグダ、日本グラフィックデザイ協会)は、1978年に設立された日本で唯一のグラフィックデザイナーの協会である。代会長だった亀倉雄策(1915〜1997)の名前を冠する「亀倉雄策賞」は、1999年の創設以降、同協会の発行する年鑑の出品作品から、年齢やキャリアを問わず最も輝いている作品とその制作者に授与されている。

第26回となる今回、亀倉雄策賞を受賞した北川一成によるアートプロジェクトのデザイン「KAMIZU(かみづ)」は、やおよろずの神などをモチーフにしたアイテムやイベント展開などを通じて、日本文化の持つ精神性や価値、思想などを広く伝えていく取り組みだ。

同時に展示される「JAGDA新人賞」は、今後の活躍が期待される39歳以下のグラフィックデザイナーに贈られる。「横浜トリエンナーレ」の総合デザインを手がけた岡﨑真理子と坂本俊太、山口崇多(やまぐち・あがた)の3が受賞した。

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  • 両国

2024年7月3日、20年りにデザインが刷新された日本の紙幣。千円札には「グレートウェーブ」の名前で世界的に知られる浮世絵師、葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が採用された。

本展は、作品が誕生した背景をはじめ、図柄がどのように広がり、現代までいかに長く愛されてきたかという歴史をたどりながら、世界的な名作の魅力を知ることができる。数え年で19歳の頃から絵師として活動していた北斎だが、冨嶽三十六景を描いたのは、なんと70代の時だった。


20代で「浮絵うきえ」と呼ばれる遠近感を強調した浮世絵を数多く描き、40代では洋風風景版画を制作していた北斎。冨嶽三十六景が世に出ると瞬く間に人気となり、同時代の絵師が影響を受けて描いた浮世絵が多数登場したという。たった一つの名作を軸にした歴史の変遷が興味深い展覧会だ。

 

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  • 丸の内

ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon、1934〜2005年)は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストだ。世界中で高い評価を得たその活動は、版画や水彩画、ポスター、文学作品の挿絵や舞台美術など多岐にわたる。

日本では30年ぶりの大回顧展となる本展は、初期のドローイングから、水彩画、版画、ポスター、晩年の立体作品まで、約230点を紹介する。色彩豊かで幻想的な詩情あふれる作品が多く、一見すると美しく爽やか、ユーモラスにさえ感じられるフォロンの作品だが、環境破壊や人権問題など厳しい現実への静かな怒りや告発が表現されている。

環境や自由への高い意識を持ち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術。デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある今こそ、改めて見直したい。

 

 

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  • 表参道

戦後ドイツ美術の第一人者であり、「社会彫刻」の実践者として知られるヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys、1921〜1986年)に焦点を当てた展覧会。6人の現代美術作家によるダイアローグ形式の作品構成を通して、「いまなぜヨーゼフ・ボイスなのか」を問いかける。

参加作家は、「カスヤの森現代美術館」の設立者でもあるコンセプチュアルアーティストの若江漢字(わかえ・かんじ)や写真家の畠山直哉など。若江はボイスと深い交流があったことでも知られており、また畠山も来日時のボイスのポートレートを撮影した経験がある

そのほか、国内外で写真や彫刻などを発表する磯谷博史、画家の加茂昂、動物たちとの共作を通して人と生き物の関係性を再考するAki Inomata、ドイツ・ミュンヘン美術アカデミーで学んだ経験を持つ武田萌花ら、若い世代のアーティストの作品にも期待したい。

 

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  • 品川

「テラダアートコンプレックス(TERRADA ART COMPLEX)I」の3階から「テラダ アート コンプレックス(TERRADA ART COMPLEX)II」の1階に拡張移転した「コタロ ヌカガ(KOTARO NUKAGA)天王洲」。記念すべき最初の展覧会に、真鍋大度(まなべ・だいと)と石橋素(いしばし・もとい)が主宰するクリエティブコレクティブ「ライゾマティクス(Rhizomatiks)」を迎えた。

アートギャラリーで大規模展を行うのは初めてだというライゾマティクスは「AIと生成芸術」をテーマに、「創造的思考プロセス」自体を作品化することを本展で試みている。

AIモデルがどのように学習し、新しいイメージを生成するかを可視化。また、大企業が提供するAIサービスに内在している、倫理的または社会的規範によって起きるバイアスのかかったイメージの操作からの解放についても考察がなされるという

 

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  • 恵比寿

「東京都写真美術館」が所蔵するコレクションの中から、時代・地域を横断する14人の作家の名品で構成されるコレクション展が開催される。ウジェーヌ・アジェ(Eugène Atget)、マン・レイ(Man Ray)、アンドレ・ケルテス(André Kertész)、マイナー・ホワイト(Minor White)、奈良原一高(ならはら・いっこう)など、国内外の巨匠から現代作家までが名を連ねている

作品を評価してきた批評家たちの言葉も紹介することで、カメラを通した作家のまなざしと批評家の言葉、そして鑑賞者自身の経験や思考を重ねながら、作品を多層的に「見る」機会となることが意図された展覧会だ。

また、夏休み期間にも重なることから、Gakkenとコラボレーションした子ども向け「夏休みワークシート」を無料で配布する。スマートフォンの浸透によって、誰もが今や生活の一部となった「撮る」「見る」という行為に、改めて向き合ってみたい。

 

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  • 六本木

シンガポール出身のアーティスト、ザイ・クーニン(Zai Kuning)の個展が「オオタファインアーツ」で開催される。

1964年生まれのザイは、彫刻、インスタレーション、絵画、実験音楽、パフォーマンスなど多岐にわたる表現媒体で創作を続けている。生と死が深く影響し合うテーマに目を向け、東南アジアにおける海洋民族文化の衰退や森林の焼失、ミャンマー西部のイスラム少数民族であるロヒンギャ難民危機、中東のガザ情勢など世界的な社会問題を作品に映し出してきた。

日本でも、2019年に参加した宮城県石巻市の「Reborn-Art Festival」で、東日本大震災に思いを寄せる作品などを制作した。

両親、そして盟友でもあるコントラバス奏者の齋藤徹が相次いで死去した2010年代後半からは、​​死についての考察をさらに深めている。

日本で8年ぶりとなる本展では、2023年に重度の糖尿病と診断されたことにより、自身の死についても向き合うこととなったアーティストの、さらに著しくテーマ性が表された作品を垣間見ることができるだろう。

 

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  • 丸の内

100万年にも及ぶ「海の人類史」に着目して、人類最古の渡海の歴史から革新的技術を用いた現代の海運業まで、人間と海との関係を見つめ直す展覧会が開催される。人類の海に対する挑戦史を、学問とアートを融合させた「インターメディアテク」独自の手法で展開するものだ。

祖先たちの海の開拓史を解き明かす第1部は、約100万年前に始まったと考えられる人類最古の渡海を紹介。その後、展示内容は約3万8000年前本格的な海洋航海をした「最初の日本列島人」に移行しながら、精巧な漁具を用いて巨大マグロさえも捕らえていた3000~2000年ほど前の縄文時代へとつながる。

第2部では、現代における最前線の海運業を展示。海上安全や環境保全の取り組みに加えて、帆船を発展させることで造る水素エネルギープラント構想など、船の設計に関する最新技術を披露する。

アカデミズムとアートの雰囲気が合わさった会場で、人類と海との深い歴史や関係性に思いを馳せてみては。

 

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  • 目黒

生誕130年を迎える「童画家」の武井武雄(1894〜1983年)の展覧会が「目黒区美術館」で開催される。版画家やデザイナー、教育者としても活躍した武井の活動を多面的に紹介する。

長野県出身の武井は「子どもの心にふれる絵」の創造を目指し、童話の付属品でしかなかった挿絵を「童画」と名付け、一つの芸術ジャンルとして確立させた人物だ。郷土玩具収集にも打ち込み、初めて郷土玩具を体系的に紹介する「郷土玩具 東の部西の部」(1930年)を出版した。

本展では、幻想世界を描く童画、多種の技術を用いた版画、加えて装丁・ 函(はこ)・本文・絵で構成される総合芸術として「本の宝石」とも呼ばれる刊本作品などを通して、武井の豊かな創作活動を振り返る。

会期中は、武井の作品を数多く収蔵する長野県の「イルフ童画館」館長による講演会など、さまざまな視点から武井の世界に迫るイベントも開催予定している。ぜひチェックしてほしい。

 

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  • 葉山

独学で油彩画を始めた石田尚志は、自身が描く絵画を撮影し続けて制作する映像作品で国内外で知られている。最近の主な展覧会として「シャルジャ・ビエンナーレ13」の「Tamawuj」(2017年)や「あいちトリエンナーレ」(2016年)などあり、「イメージフォーラム・フェスティバル1999」での特選や2007年「五島記念文化賞」の美術新人賞などの受賞歴を持つ。近年は映像制作や空間インスタレーションの作品を経て、改めてキャンバスに向かい絵画を制作している。

本展は近年の作品を中心に、10代前半の油彩画から最新作を通して、「画家」としての石田を俯瞰(ふかん)するもの。貴重な大規模個展で、40メートルのロール紙に描かれた初期作『絵馬』(1990年)は、今回初公開される。これは石田が1995年から手がけている『絵巻』シリーズの原点となるもので、石田作品の特徴の一つを表している。

また、サイトスペシフィックな新作が公開制作されるのも注目だ。葉山の一色海岸に面する展示室で不定期に行われるので、ぜひ訪れてほしい。

 

 

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  • 汐留

20世紀のデンマークを代表する家具デザイナー、ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm、1929〜1980年)は、石や金属などの硬質な素材を取り合わせた椅子やソファ、テーブルなどを数多く世に送り出した。

汐留の「パナソニック汐留美術館」で開催される本展は、半世紀を経てもなお愛される、彼の代表的な作品が一堂に会する貴重な機会だ。素材の特性を生かしたミニマリズムを極めた作品は、洗練された不朽の名作として、特に建築やデザインの分野で高く評価されてきた。今回、国内の美術館で本格的に紹介するのは初めての機会となる。

会場構成は、パリを拠点に世界的に活躍する建築家の田根剛との協働。展示される家具は、椅子研究家の織田憲嗣による「織田コレクション」が中心となり、実際にケアホルムデザインの椅子に座って体験できるコーナーも設置されるという。

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20世紀を代表するイタリアの巨匠、ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico、1888〜1978年)の過去最大規模とも言える回顧展が、上野の「東京都美術館」で2024年8月29日(木)まで開催されている。

およそ70年にわたり多様なテーマで表現し続けたデ・キリコの画業を、初期から晩年まで、約100点以上の作品を通して網羅的に紹介する。世界各国の美術館や個人コレクションの絵画、彫刻や舞台美術の仕事などもまとめて展示される、非常に貴重な機会だ。

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  • 上野

国内外の現代美術において、書への注目度が年々高まる中、長年にわたり書の美を追求してきた書家の石川九楊(いしかわ・きゅうよう、1945年~)が、「上野の森美術館」を会場に2カ月にわたって大規模な個展を開催する。

会期の前半、6月に開催する「【古典篇】遠くまで行くんだ」では、代表作「歎異抄」「源氏物語」はじめ「李賀詩」「徒然草」「方丈記」「良寛詩」など、日本・中国の古典文学を題材にした作品群を展示。後半の7月に開催する「【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ」では、書は「文字を書くのではなく、言葉を書く表現」と考える石川が研究した、「言葉の表現」としての書を紹介する。

「書は『筆蝕(ひっしょく)』の芸術である」として、書の構造や歴史を読み解き、評論家としても活躍してきた石川。書の創作活動と、日本語論・日本文化論などの執筆活動の双方で最前線の取り組みを続けてきた。会期中には、筆蝕を計測・解析・数値化し音楽にした作品の演奏会や、石川が登壇する講演会も開催される。

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南青山の「スパイラル(SPIRAL)」で、ソビエト時代のバルト三国に暮らした人々を活写する展覧会「Human Baltic われら バルトに生きて」が、2024年6月9日(日)まで開催中だ。1960年代から1990年代にかけて制作された作品を中心に構成された本展では、宗教や性がタブー視されたソビエト連邦の占領下にありながら、ヒューマニズムを貫こうとした写真家たちの実践の数々を知ることができる。

バルト三国と聞いて、まず何を思い浮かべるだろうか。最も北に位置するエストニアは、IT先進国として耳にする機会が増えた国だ。南側の隣国ラトビアは、手編みのミトンなどのクラフトが日本でも一部で高い人気を得ている。かつて栄えたリトアニア大公国の名前を歴史の授業で聞き知った人は多いだろうが、アート好きならむしろフルクサスの創始者ジョージ・マチューナス(George Maciunas)や、映像作家で詩人のジョナス・メカス(Jonas Mekas)の出身地として、最南のリトアニアを認識しているかもしれない。

バルト海沿岸のこれらの国について親しむ経験を日本で得ることは難しいが、まさに本展はそうした機会を提供してくれるものだ。ソビエトによる支配に静かに抗いながら独自の写真表現を続けた、本展で紹介される17人の作品は、数多くの文脈をはらんでおり、一見して分かりにくいものもある。会場で配布されている冊子には、本展キュレーターらによる詳細な解説も収められている。本記事も同解説に寄るところが大きいので、ぜひとも会場で手に取って作品鑑賞の手引きとしてほしい。

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世界最大規模を誇る総合印刷会社であるTOPPANグループが、第一線で活躍するクリエーターとともに新たな印刷表現を探るプロジェクト「グラフィックトライアル(GRAPHIC TRIAL)」が、「TOPPAN小石川本社ビル」内の「印刷博物館 P&Pギャラリー」で今年も開催中だ

毎回、オフセットなどの印刷技術を基本としながらも、さまざまな加工や表現を実験的に取り入れた試みで、印刷ファンのみならずデザイン好きに驚きを与えてくれる意欲的な展示を行っている。

18回目となる今回は「あそび」をテーマに、日比野克彦、岡崎智弘、津田淳子/大島依提亜(いであ)、生島大輔という4組のクリエーターが参加する。いずれも「ポスター」というメディアの限界を軽やかに飛び越えるような、まさに遊び心にあふれたアイデアを惜しみなく披露している。

2024年7月7日(日)まで。入場は無料だが、地下の印刷博物館展示室には別途入場料が必要となる。

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  • 青山

「プラダ 青山店」で、アメリカの映画監督でアーティスト、作家でもあるミランダ・ジュライ(Miranda July)の都内初開催の個展「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」か行われている。

最新作「F.A.M.I.L.Y. (Falling Apart Meanwhile I Love You)」は、大型のモニターを使用したマルチチャンネルビデオインスタレーション。ジュライからInstagramを介して与えられる一連のプロンプトに、7人の見知らぬ相手が返信したリアクション動画、ジュライが無料編集アプリ使って取り込んで完成させた

1年にもわたるコミュニケーションを経て完成し本作は、新しい身体言語を通じて、親密さと境界線を模索するユニークな作品と言える。

なお、ミラノにあるプラダ財団の展示スペース「オッセルヴァトリオ(Osservatorio)」でも、ジュライの個展「Miranda July: New Society」が2024年10月14日(月)まで開催中だ。

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  • 原宿

東京・外苑前の「ワタリウム美術館」で、独自の創作活動を続ける美術家・梅津庸一が手がけるコレクション展が開催中だ。

本展は、美術館の前身である「ギャルリー・ワタリ」時代(1972~88年)に、初代館長だった和多利志津子(わたり・しずこ、1932~2012年)が収集したものの、ほとんどが未公開だったコレクション群を軸に、現代作家を含む44人の作品で構成している。

猪熊弦一郎、瀧口修造、篠田桃紅、駒井哲郎、宇野亞喜良ら、幅広い作家の知られざるコレクションを鑑賞できる、豪華かつユニークな機会ながら、梅津は本展に際して、「アーティストキュレーターとして振る舞うのではなく「エキシビションメーカー」の精神に立ち返りたい」「いま一度、美術のいち観客でもある自分が観たいと思える展覧会と出会い直したい。」とコメントしている。

展示方法にも工夫が凝らされている。美術館でぜひ体感してほしい。

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  • 早稲田

越路吹雪(こしじ・ふぶき、1924~80年)は、宝塚歌劇団のトップスターとして活躍し、退団後は「シャンソンの女王」と呼ばれた伝説のスターだ。その生誕100年を記念した企画展が、東京・新宿の「早稲田大学演劇博物館」で開催されている。

越路は宝塚時代からおしゃれに関心が高く、1953年に初めての海外旅行でフランスを訪れ、パリの舞台やファッションに刺激を受けた。後年に開催していた自身のリサイタルでは「イヴ・サンローラン」のオートクチュールドレスを着こなすなど、憧れの存在であり続けた。本展では、彼女の舞台衣装やアクセサリー、愛用した香水などとともに、当時の映像やポスターなどの資料も展示されている。

1928年に開館した「早稲田大学演劇博物館」は、100万点にもおよぶ国内外の演劇・映像コレクションを所蔵する、非常に珍しく貴重なミュージアムだ。早稲田大学の構内にあり、誰でも訪れることができる。

※10~17時、火・金曜は19時まで)/入場は閉場の30分前まで/休館日は5月29日、6月5日・19日、7月3日・17日/料金は無料

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  • 原宿

原宿にある浮世絵専門のミュージアム「太田記念美術館」で、歌川国芳(うたがわ・くによし、1797~1861年)のによる団扇絵(うちわえ)だけを特集した企画展を開催する。

江戸時代も現代も、暑さをしのぐ道具であり、役者や俳優などを応援するための推し活グッズでもあったうちわ。そのための浮世絵は人気が高く、実用品としてぼろぼろになるまで使われていた。現存する数は少ないものの、本展では国芳が手がけた団扇絵を、前・後期で全作品展示替えし、計220点を展示する。うち、約100点が初公開だ。

役者絵や美人画、謎解き尽くしのユニークなものから、店の宣伝用に作られたものまで、江戸時代の庶民の暮らしや娯楽が伝わってくる。目にも楽しくて涼しげな、人気絵師・国芳の団扇絵の世界を存分に楽しんでほしい。

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シカゴのサウスサイド地区を拠点に活動する現代美術家であるシアスター・ゲイツ(Theaster Gates)のアジア最大規模にして、日本初となる個展が六本木の「森美術館」で開催中だ。ゲイツは、陶芸作品や彫刻を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で、国際的に高く評価されている人物である。

本展では、常滑の陶工や酒蔵、京都の老舗企業ともコラボレーションした大型インスタレーションや、陶芸家・小出芳弘が遺した2万点以上の作品群などを展示。また、ゲイツが運営するシカゴのアートスペース「Stony Island Arts Bank​」の中のライブラリーから、約2万冊を移送・再現展示したブックラウンジなども見逃せない。毎週日曜日の14~17時にはオルガン奏者が演奏するパフォーマンスも行われる。

世界で注目を集めるブラックアートの魅力を知れると同時に、陶芸や建築、アートスペースの立ち上げ、映像や音楽といった多角的な実践を幅広く紹介。手仕事への称賛、「民藝(みんげい)」への共感や思い、人種や政治への問い、文化の新たな融合をうたう現代アートの意義など、ゲイツの活動の中にある、重層的に存在するさまざまなテーマや考え方に思いを馳せてみては。

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大正ロマンを象徴する画家で詩人の竹久夢二の生誕140年・没後90年を記念した企画展が、目黒の「東京都庭園美術館」で開催される。

夢二は画業にとどまらず、詩や童謡の創作、封筒や絵はがきなどのデザイン、本の装丁や楽譜の表紙絵など、多彩な芸術活動を展開した。「あらゆる図案、文案、美術装飾」を請け負う「どんたく図案社」の企画や、生活と美術を結ぶことを理念とした「榛名山美術研究所」の建設など、生涯を通じて人々の暮らしを彩ることに関心を向けていた。

東京都庭園美術館は1933(昭和8)年に完成しているが、建築や室内装飾には、夢二が活躍していた過去時代の意匠や空気感がそこはかとなく感じられる。暮らしの中の美を体現する邸宅空間で、夢二の作品世界を堪能できる貴重な機会だ。また、会期中にきものを着て来館すると当日券を100円引きで購入できる。

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「走泥社(そうでいしゃ)」は、1948年に京都で結成され、50年にわたって活動した前衛陶芸家集団だ。伝統的な陶芸にとらわれず、実用性を伴わない「オブジェ焼」と呼ばれる作風で、戦後日本の陶芸界で中心的な役割を果たした。

1998年に解散してから本格的に走泥社を検証する本展は、日本の陶芸界に特に大きな影響を与えた1973年までの前半25年間にフォーカス。当時の陶芸界に影響を与えたパブロ・ピカソやイサム・ノグチの作品画像や、同時期に同じ京都で前衛運動を展開した「四耕会(しこうかい)」などの動向も交え、前衛陶芸が生まれた時代全体を振り返る。

昨年、京都からスタートした巡回展も、岐阜・岡山を経て、今回の虎ノ門「菊池寛実記念 智美術館」が最後になる。現代陶芸を専門とする私設館ならではの趣ある空間での展示は、これまでに各地で展示を観た方にも、改めて足を運んでほしい機会だ。

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六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」で、デザインエンジニアの山中俊治がディレクターを務める企画展が開催。最先端の研究や科学と、デザインの出合いによって芽生えつつある「未来のかけら」を探る。

山中は、2008年から慶應義塾大学で、2013年からは東京大学で教壇に立ってきた。本展では、これまで大学の研究室でさまざまな人と協働して生み出してきたプロトタイプやロボットと、それらの原点である山中のスケッチを紹介する。

また、専門領域の異なる7組のデザイナー、クリエーター、科学者や技術者らとコラボレーションした作品も展示する。荒牧悠 +舘知宏、A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects、東京大学 DLX Design Lab+東京大学池内与志穂研究室など、多彩なメンバーが揃う。

キリンの解剖で知られる農学博士の郡司芽久と、「第25回文化庁メディア芸術祭」アート部門優秀賞受賞経験もあるエンジニア集団「nomena」の協働にも注目したい。 なお、会期中はオンライン上の架空のギャラリー「ELEMENT GALLERY」でも、同展の関連展示が開催される。

もっとアート散歩をするなら……

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  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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