エリック・カール展
Photo: Keisuke Tanigawa | 絵本『ありえない!』の原画
Photo: Keisuke Tanigawa

東京、6月から7月に行くべきアート展

個性豊かな注目の展覧会を紹介

Chikaru Yoshioka
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東京では、国内外のアートファンが注目するイベントが常に充実している。美術館やギャラリーでは話題の展覧会が継続的に開催され、今の時代を映し出す多彩な表現に出合える。

厳選したアート展を紹介する東京、6月に行くべきアート展5選東京、6月に行くべき無料のアート展12選という記事も公開しているので、併せてチェックしてほしい。

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  • アート
  • 上野

1753年に開館したロンドンの「大英博物館」は、世界を代表するミュージアムの一つ。同館の日本美術コレクションは、海外では最も包括的なものの一つと評されるほど量・質ともに充実している。そのコレクション形成を支えてきたのは、ジャポニスムが流行した19世紀後半以来、海を隔てた異国の地・日本の文化に魅了された人々であった。

「東京都美術館」で開催される展覧会「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」では、4万点に及ぶ同館の日本コレクションから優れた作品を厳選して紹介。江戸時代の屏風(びょうぶ)・掛軸・絵巻の絵画作品と、喜多川歌麿・東洲斎写楽・葛飾北斎・歌川広重といった代表的な8人の浮世絵師による版画を中心に構成される。

さらに、近年の調査成果や収集の背景にも光を当てることで、同館が日本美術の収集・研究・保存の第一線で果たしてきた役割をたどっていく。今日まで受け継がれてきた、日本美術の名品を心ゆくまで堪能してほしい。

  • アート
  • 京橋

「アーティゾン美術館」で、昭和を代表する詩人であり美術批評家の瀧口修造(19031979年)に焦点を当てた展覧会「瀧口修造 書くことと描くこと」が開催。石橋財団が所蔵する瀧口作品163点のうち、半数あまりを一挙に公開する。

1920年代にシュルレアリスムの影響を受けて詩作を始めた瀧口は、その後、ポール・セザンヌ(Paul Cézanne)から同時代の美術に至るまで幅広い思索と著述を重ね、「書く」ことを通じて芸術と向き合ってきた。一方、1960年頃からは、自ら「デッサン」と呼ぶ造形作品の制作にも本格的に取り組むようになる。

一見すると異なる営みに見える「書くこと」と「描くこと」。しかし瀧口にとって両者は切り離されたものではなく、自然な連続性を持つ表現だった。本展では、初期の詩作や美術評論、展覧会の企画資料、他の作家との交流をたどりながら、「書く」行為から「描く」行為へと至る思考の軌跡を紹介する。

また、多彩な実験的手法による瀧口の作品に加え、パウル・クレー(Paul Klee)、マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)、ジョアン・ミロ(Joan Miró)ら関連作家の作品約140点も展示。1958年に初めて渡欧した瀧口は、パリでアンドレ・ブルトン(André Breton)やアンリ・ミショー(Henri Michaux)らと対面したのに加え、ミロやデュシャンとの交流はその後の新たな創作へと発展した。

詩人、美術批評家、そして表現者としての瀧口の多面的な活動を読み解く機会となりそうだ。

なお、本展の鑑賞料金で、同時開催の展覧会「エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」も鑑賞できる。

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  • アート
  • 箱根

「ポーラ美術館」で、開館25周年を記念し、新収蔵作品の中から映像作品2点を前期・後期に分けて紹介する企画「コレクション・シネマ」が開催。前期ではクリスチャン・マークレー(Christian Marclay)による最新映像作品、後期ではゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)による映像作品を、それぞれ初公開する。

時間芸術、とりわけ音楽や映像表現に取り組んできたマークレーの『ドア』は、古今東西の膨大な映画からドアのシーンを収集・編集した大規模なコラージュ作品で、10年以上をかけて制作された。ドアにまつわるシーンの数々が、別の映画のドアへと滑らかにつながり、映画史を横断しながら迷宮のような世界を立ち上げる。

一方、リヒターの『ムーヴィング・ピクチャー(946-3)京都ヴァージョン』は、過去の絵画作品を基に、映画監督のコリンナ・ベルツ(Corinna Belz)、作曲家のレベッカ・サンダース(Rebecca Saunders)、トランペット奏者のマルコ・ブローウ(Marco Blaauw)との協働によって制作された映像インスタレーション。13基のスピーカーによる音響と、生成と変容を続けるイメージが重なり合い、没入的な体験を作り出す。近年の制作における集大成の一つだ。

同時開催の「モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 ― モネと21世紀のアート」展と併せて楽しんでほしい。

  • アート
  • 鎌倉

「神奈川県立近代美術館 鎌倉別館」で、50年以上にわたり、ジャガイモを版に用いる薯(いも)版画を独学で探求してきた山室眞二の展覧会が開催。ジュール・ルナール(Jules Renard)の『博物誌』に倣い、「かまくら博物誌」をテーマに植物や小さな生き物たちを描いた作品群や、切手を模した作品や自筆の画文集、挿絵や装丁を含む造本作品などを通して、山室の幅広い創作活動を多角的に紹介する。

生ものであるジャガイモを版として用いる薯版画は、数時間しか使えない版を丹念に重ねながら生み出される。作品には、植物や虫、鳥など、鎌倉で出合った身近な存在が数多く登場し、それらを慈しむ作家のまなざしと、薯版への探求心が息づいている。

会場では、志村ふくみの言葉から着想を得た新作『志村ふくみの言葉 百葉筥』も展示。山室と親交の深い志村の100歳を記念して制作された100枚組の作品で、志村の著作から引用した言葉とイメージを、10センチメートル四方の紙に薯版で刷り重ねている。志村による糸や裂の小片も用いられ、山室の版表現と志村の言葉や素材が響き合う特別な作品だ。

小さなジャガイモから広がる豊かな表現を楽しんでほしい。

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  • アート
  • 初台

NTTインターコミュニケーション センター[ICC]」で毎年開催されている「ICC アニュアル」は、メディアアート作品を中心に、現代のメディア環境における多様な表現を紹介する展覧会。今年度の「ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる」では、歴史と技術、メディアの関係に焦点を当てる。

現代のメディア環境では、生成AIなどの技術発展により、情報はかつてない速度と規模で生み出され、流通している。その過程で情報はアルゴリズムによって選別・再編成され、何が記録され、どのように共有されるのかという枠組みそのものが変化しつつある。歴史や記憶もリアルタイムに更新され、時に政治的・経済的な力学の下で書き換えられる可能性もはらんでいる。

会場では、歴史と技術、メディアの関係に着目し、それらが記録や記憶の形成にどのように関わってきたのかを考察するとともに、「遺す/残す」という行為そのものを問い直す。記録メディアに内在する選別や排除の構造、デジタル環境におけるイメージの流通とその背後にある力学、さらに西洋近代以降の知覚の枠組みからこぼれ落ちてきたコミュニケーションのありようなど、多様な視点から読み解く作品を紹介する。

また、歴史に直接言及しない作品も含め、記憶の継承に新たな視点をもたらす表現を通して、メディアと歴史の関係を多角的に捉える。本展は、何が遺され、残されたものをどのように受け止めるのかという問いを通して、歴史と記憶の在り方を改めて見つめ直していく。

  • アート

横浜のベイエリアに、没入型アートミュージアムTHE MOVEUM YOKOHAMA(ザ ムービアム ヨコハマ)」が、6月28日(日)までの期間限定で誕生した。

かつて倉庫として使われていた天井高約10メートル、広さ約1800平方メートルの巨大空間を舞台に、オーストリアを代表する二大巨匠、グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)とエゴン・シーレ(Egon Schiele)による絵画の世界の一部になったかのような没入体験ができる。

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  • アート
  • 銀座

この秋、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」の中央に位置する吹き抜け空間に、イギリスを代表する世界的な現代美術家のジュリアン・オピー(Julian Opie)の最新作「Marathon. Women.」が登場。同空間初の「動き」のある本作は、作家自身にとっても初めての、「宙に浮かぶ」映像の大型インスタレーションとなる意欲作だ。

シンプルな表現で伝統的モチーフを描くスタイルが、アート界だけでなく広いカルチャーシーンでも高く評価されるオピー。本作は、空間に浮かぶように設置されたLEDサイネージを舞台に、カラフルでシンプルな線で描かれたランナーたちの姿がそれぞれのスピードで駆け抜けていく。

展示環境そのものに強い関心を持ったオピーが、にぎやかな空間において意味を持ち、かつ自然に溶け込むような作品を目指して制作した。スクリーン上を果てしなく走り続ける動きを、4フロアから多角的に鑑賞できる。

なお、展示期間は2026年秋までを予定している。「走る」という人間の本能的な動きが空間全体に浸透し、圧倒的な躍動感と没入感をもたらすだろう。

もっとアート散歩をするなら……

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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