SALT DYE
画像提供:ISSEY MIYAKE INC. | 展示風景
画像提供:ISSEY MIYAKE INC.

大阪、6月から7月に行くべきアート展

街を歩けばインスピレーションが生まれる、関西のアートシーン

Chikaru Yoshioka
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関西の街が創造のエネルギーに包まれる季節。各地で個性豊かな展覧会やアートイベントが開催され、古典から現代まで多彩な表現が交錯する。思いがけない作品との出合いが、新たな視点をもたらしてくれるだろう。

ふらりと立ち寄れば、日常が少し特別な時間に変わるはずだ。

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  • アート

「クリスタ長堀」の「滝の広場」で、「SUCHSIZE Osaka Art & Design 2026 at Crysta Nagahori~」の一環として、大西伸明による「Re-Mirroring Matter」が開催。日常にありふれた「モノ」を「型どる」ことで、その存在を改めて立ち上がらせる作品群を紹介する。

大西は、身近な物体の表面を樹脂の皮膜として剥ぎ取り、再び立体として再構築する独自の手法で知られる。精巧な彩色と、あえて露出させた樹脂の透明な質感との対比によって、鑑賞者の認識の境界を揺さぶる。これまでには、ミニクーパーやテトラポットといった大型作品から、さびくぎや枯れ枝、ツバキの葉といった小さなモチーフまで、スケールを横断しながら日常の風景を作品へと変容させてきた。

会場には、滝を借景にした電球の作品をはじめ、広場に点在するさまざまなモノたちが並ぶ。その多くはクリスタ長堀で実際に販売されている商品のようにも見えるが、透明な樹脂の内部に目を凝らすと、風景は別の姿を見せる。電球の中に映り込む「逆流する滝」のように、無意識のうちに見過ごしてきた現実を映し返すのだ。

  • アート

「いいもの」を探求し、独自の雑貨開発に取り組む「GOOD GOODS ISSEY MIYAKE」。今回、色紙を幾重にも重ねたような豊かな造形が特徴のシリーズ「IROGAMI」に、新たに「塩染め(SALT DYE)」という技法が加わった。「ISSEY MIYAKE KYOTO | KURA」では、この塩染めを施したテキスタイルの展示に加え、岡山県児島地域の風土と染色工程を記録した映像インスタレーションを上映する。

塩染めは、瀬戸内海に面した児島で培われてきた染色技術から生まれた手法。かつて塩田が広がっていたこの土地では、塩分を含む土壌を改良する過程で塩に強い綿花が育てられ、それが繊維産業と染色文化の基盤となっていった。

そうした土地の歴史を背景に、従来は染色の補助的役割を担っていた「塩」を表現の主役として捉え直したのが塩染めである。染料を含んだ塩を職人が布に振りかけ、擦り込むことで、偶発性をはらんだ唯一無二の表情が立ち現れる。

土地に蓄積された時間と、そこに重ねられる人の手。そのあわいに立ち上がる「塩の記憶」を、空間全体で体感してほしい。

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  • アート

桜・鯉・人物像・鹿などをモチーフに、自然の気配や生命の豊かさを描き出す現代美術家、塚本智也の個展が、「阪急うめだ本店 Contemporary Art Gallery」で開催。本展では「光の循環」をテーマに、光と影、色彩、そして生命の移ろいが絶えず巡る世界観を表現した作品を発表する。

塚本は、エアブラシによる極小のドットを幾重にも重ねることで点描のような効果を生み出し、ドリッピングと軽やかな筆致を融合させた絵画を手がける。赤・青・黄の三原色を何層にも吹き重ね、網膜上で混色させることで、図と地の境界を溶け合わせる独自の技法が特徴だ。

会場では、ドットやエアブラシによる色彩の重なりを通して、光の揺らぎや自然の中に息づく生命の流れを描き出す。鑑賞者それぞれの記憶や感覚に静かに触れ、穏やかな余韻を残すだろう。

  • アート

「モリムラ@ミュージアム」で、展覧会「別館―もうひとつの『驚異の部屋の私たち』」が開催。本展は、「大阪中之島美術館」で開催中の「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。―森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ―」に合わせた企画で、森村泰昌による新作の制作過程に迫る。

会場では、大阪中之島美術館で公開される『M式・大阪八景』の元となった森村作品を展示。本作は、大阪に生まれ育った森村が選んだ個人的な8つの風景で、観光都市としての大阪とは異なる視点から捉えた場所をロケ地としている。

また、大正から昭和にかけて大阪で活躍した画家・木谷千種による、『浄瑠璃船』を題材に制作されたセルフポートレートに関する制作の軌跡にも焦点を当てる。原寸大の屋形船を製作し水上に設置して行われた大規模な撮影の過程に関わる実物や、使用された着物など、制作の痕跡を示す要素が並ぶ。

そのほか、釜ヶ崎で撮影された映像作品『なにものかへのレクイエム(人間は悲しいくらいにむなしい 1920.5.5-2007.3.2)』を久しぶりに公開するほか、既に失われた風景の中で撮影された作品も初公開される。大阪中之島美術館の展覧会とあわせて鑑賞したい内容だ。

なお、開館日は金・土・日曜日・祝日のみなので注意してほしい。

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  • アート

HOSOO GALLERY」で、京都・西陣のテキスタイルブランド「HOSOO」とアーティストのシアスター・ゲイツ(Theaster Gates)によるコラボレーション展が開催される。本展では、2024年から協働を重ねてきた両者が、織物や衣服を芸術的実践として探求してきた成果を紹介。その対話から生まれた新作群が一堂に並ぶ。

陶芸や彫刻、音楽、パフォーマンス、建築的介入など多領域にわたる活動で知られるゲイツは、失われつつある空間や歴史、儀礼に新たな価値を見いだしてきた。一方、1688年創業のHOSOOは、伝統を背景にしながらも革新的なテキスタイル制作に取り組んでいる。

本展の核となるのは、アフリカの伝統衣装「ダシキ」と日本の「着物」という異なる文化から着想を得た「Dashikimono(ダシキモノ)」。民族的ルーツや1960年代のブラック・パワー運動とも結びつくダシキと、着物の構造が交差し、新たな衣服の形態が提示される。

また、ゲイツの重要なモチーフである陶の「Vessel(器)」も登場。衣服と器を通して、儀礼や工芸、共同体の歴史が身体のメタファーとして立ち上がる。さらに、黒人解放運動の記憶を織り込んだ帯のシリーズも公開。日本の伝統的な装束である帯を、記憶と追悼の媒体として捉えた作品だ。

アフリカと日本、それぞれの服飾文化の系譜を横断しながら、工芸への敬意とともに、文化的に重要なアーカイブに光を当てる試みの本展。ゲイツの実践を貫く「社会を動かす力」が体現されている。

  • アート

「兵庫県立美術館」で、同館の館長も務めた神戸市出身の美術評論家・中原佑介(19312011年)を特集する。戦後美術を国内外にわたって見つめ続けた中原の言葉をたどりながら、ゆかりの深い同館収蔵作品を紹介。併せて、中原の日本近代に関する著作を手がかりに、近代洋画コレクションも展示する。

1955年、23歳で発表したデビュー作『創造のための批評』以降、中原は『美術批評』をはじめとする美術雑誌や新聞で数多くの展評や作家論、芸術論を執筆してきた。また、『ナンセンスの美学』『見ることの神話』などの著作も多数残している。本展では、そうした著作とともに、彼が論じた作家の作品や、当時実際に目にしたと考えられる館蔵作品を紹介する。

旧制第三高等学校理科から京都大学理学部へ進学し、ノーベル物理学賞受賞者・湯川秀樹の下で理論物理学を研究した後、美術の道へ進んだ中原。その異色の経歴を背景に、彼の文章には「物質」というキーワードがたびたび現れる。本展では、代表的な仕事である著書『現代彫刻』や、第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ)「人間と物質」などを手がかりに、20世紀以降の多様な彫刻作品を通して、中原が捉えた「物質」の概念にも迫る。

なお、第2日曜日は鑑賞が無料だ。

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  • アート

「心斎橋PARCO」で、彫刻家・デザイナーとして国際的に活躍した五十嵐威暢(19442025年)の企画展「A–Z Homage to Takenobu Igarashi」が開催。本展では、1994年に彫刻家へ転身する以前の、デザイナーとしての五十嵐によるアルファベット作品に焦点を当てる。

サントリーや明治乳業、「カルピス」などのロゴデザインを手がけ、立体的なアルファベット作品によって世界的な注目を集めた五十嵐。独自の手法で数字を表現したポスターカレンダーでも高い評価を得て、その名を国際的に知らしめた。

会場では、AからZまでのアルファベットを題材にした彫刻やグラフィックデザイン作品をはじめ、旧渋谷PARCOから移設された「A」と「O」のネオンサイン、本展に合わせて制作された五十嵐ロゴの積木ベンチなどを展示。心斎橋PARCO全体を舞台に、五十嵐の創造性に満ちた作品群を紹介する。

  • アート

「ライカギャラリー京都」で、ポルトガル出身の写真家、テレサ・フレイタス(Teresa Freitas)による写真展「Colour Matter(s)」が開催される。本展では、色を装飾としてではなく、空間や知覚を形作る要素として位置づけたシリーズを紹介。出来事の記録にとどまらず、世界がどのように視覚的に構成されているかを探る作品群が並ぶ。

色彩を主題に、ストリート、ドキュメンタリー、ファインアートの領域を横断しながら独自の視覚言語を築いてきたフレイタス。その作品は、色を空間を構築し知覚を導くための根源的な力として捉え、現代写真に新たな視点を提示している。

光と色が呼応し、遠く離れた場所同士が静かに結びつく瞬間、フレイタスの写真は地理や文化の境界を超え、視覚的な連続性の中に世界の新たな輪郭を浮かび上がらせる。

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20266月に90歳を迎える横尾忠則は、2023年から2025年にかけて新たな取り組みに着手した。「連歌」になぞらえて「連画」と名付けられた連作は、故郷・兵庫県西脇で同級生たちと撮影した記念写真を起点に始まり、64点におよぶ作品へと展開。「横尾忠則現代美術館」で開催される「横尾忠則 連画の河」では、その大作群がフロアを埋め尽くす。

「連画」とは、文字通り連続する絵画であり、「連画の河」シリーズは作品同士が緩やかにつながり、全体で一つの作品ともいえる。一枚の絵から得た着想が次の作品へと連鎖し、風景が次々と展開していくのが特徴。150号サイズを中心とした画面には、年を重ねるごとに一層明るく鮮やかさを増した色彩と、自在さを増した絵具の表現が現れている。

本展では、1970年に写真家の篠山紀信が撮影した横尾と同級生たちの集合写真を特別公開。『記憶の鎮魂歌』では、その写真に写る10人に加え、既に亡くなった友人たちの姿が描き加えられ、横尾自身も亀の姿で登場する。

会場は制作順に沿ってそのプロセスをたどる構成で、まるで画家とともに大河をゆったりと下るような体験をもたらす。衰えることのないその創造力に触れてほしい。

  • アート

「アニエスベー京都BAL店」で、写真家の小浪次郎による個展「I.D 1986」が開催。本展は、2025年に東京の「AGNÈS B. GALERIE BOUTIQUE(アニエスベー ギャラリー ブティック)」で好評を博した展示の巡回展となる。

小浪はこれまで、自身の制作と並行しながら、多様なクリエーターやファッションブランドとの協働を重ねてきた。その活動に一貫するのは、被写体と向き合う瞬間を鋭く捉える感受性であり、私写真・ファッションフォトを問わず、作品には常に生の強度が刻み込まれている。

自らの指紋ともいえるタイトルを冠した本展では、初期の作品から、ストリートで多くを学んだ東京でのシリーズ、そして現在の拠点であり多様な人々が交差するニューヨークで近年撮影された作品まで、50点以上を紹介する。

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森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわが、「大阪中之島美術館」に集結。国際的に活動しながら時に交錯してきたこの3人が、なぜ集うのか。そのタイトルは何を意味するのか。そして「消滅せよ。」の先にあるものとは何か――問いが重なり合う中で、本展「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。— 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ —」は展開される。

展示は、新作を中心に構成される一方で、作家それぞれのこれまでの活動を凝縮した「驚異の部屋」としても機能する。森村の呼びかけにヤノベとやなぎが応答する形で、時に協働し、時に衝突しながら、絶対的に孤独な表現者としての個々の作品世界が、美術館という舞台でぶつかり合う。

さらに、本展のために制作された新作が多数登場し、作家たちが今考える表現を提示。また、3人が初めて取り組む共同制作も披露される。未だかつてない展覧会として、見る者の想像力を刺激するだろう。

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「美術館『えき』KYOTO」で、不思議な世界観とモノトーンの緻密な線描で知られ、世界中に熱狂的なファンを持つ絵本作家、エドワード・ゴーリー(Edward Gorey1925–2000年)の個展が開催。主著や未刊行作品の原画に加え、ポスターや出版物なども紹介し、その作品に込められた秘密のメッセージに迫る。

日本でも『うろんな客』『不幸な子供』などの翻訳絵本で親しまれてきたゴーリーは、自身でテキストとイラストを手がけた主著(Primary Books)で知られる。その活動はそれにとどまらず、挿絵や装丁、舞台美術、さらには演劇やバレエのポスターまで幅広く手がけ、多彩な才能を発揮した。

優雅さと不穏さが同居する、大人のためのおとぎ話。その独自の世界に、ぜひ足を踏み入れてみたい。

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ISSEY MIYAKE SEMBACREATION SPACE」とISSEY MIYAKE GINZA | CUBEで、「132 5. ISSEY MIYAKE『西村陽一郎 光がふれる、折りとかたち』展」が開催。本展は、202651日(金)に発売される「132 5. ISSEY MIYAKE」の新アイテム「NO. 6 TRANSLUCENT」にフォーカスする。

ブランドの基盤となる折り構造「NO. 6」に透過という要素を掛け合わせた本シリーズを、写真家・西村陽一郎が「フォトグラム」と「スキャングラム」という二つの技法で可視化。衣服に宿る不可視の構造に光を当てた。

印画紙の上に被写体を置いて感光させるフォトグラムでは、透過性のある生地ならではの構造線や光によって現れる形が、抽象的な像として立ち現れる。一方、プロダクトの設計段階で制作される模型をスキャナ上に置き、透過光によって捉えるスキャングラムでは、折り構造の純粋な構成が精緻に描き出される。

両者が映し出すのは、衣服の姿を超えた、線・面・層が織り成す形の風景。光を通して折りと形の奥行きに迫る、静かな発見に満ちているだろう。

  • アート

「SUCHSIZE(サッチサイズ)」で、早川祐太と大西伸明による展覧会「drifting elements」が開催される。

量子物理学者のカレン・バラッド(Karen Barad)が提唱した「エージェンシャル・リアリズム」は、世界を独立した個体の集合ではなく、分かちがたく絡み合う「現象」として捉える視点だ。本展に参加する早川と大西もまた、物質や出来事と交差する制作プロセスを通して、そうした複雑な関係性を可視化してきた。

展覧会は、万物が相互に関係しながら立ち現れるという視座を軸に構成。人間だけでなくあらゆる存在を「エージェント(行為する主体)」として捉え直し、人間中心の視点から離れた新たな世界との関わり方を探る試みだ。

早川は、近代的な「個の表現」から距離を置き、「自然現象の構成に参入する」ことで彫刻を立ち上げる。一方、大西は版画技法を応用した精密な型写しと着彩によって、日用品の形態を徹底的に写しとる。

作品、メディウム、現象、そして鑑賞者が交差する本展のダイナミズムは、見る者の解釈によって多様に変化していく。鑑賞者自身もまた、この世界のもつれの一部として、新たな意味を立ち上げる存在となるはずだ。

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  • アート

長らくヨーロッパの個人が所蔵していた伊藤若冲の『果蔬図巻』が、2023年にその存在を確認され、日本へと里帰りを果たした。現在は「福田美術館」のコレクションに加わり、大きな注目を集めている。

同館で開催される「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」では、約1年に及ぶ修理を経た『果蔬図巻』と、その翌年に描かれた重要文化財『菜蟲譜』を並べて公開。さらに、最初期の『蕪に双鶏図』や、2025年に新たに収蔵された『老松白鶴図』など、新出作品10点を含む約40点を通して、若冲の画業を初期から晩年までたどる。

併せて、与謝蕪村、円山応挙、長沢芦雪ら、同時代の京都で活躍した画家たちの優品も並ぶ。若冲に親しんできた人はもちろん、美術に馴染みのない人にとっても、その独自の芸術世界と魅力に触れられるだろう。 

  • アート

「京都dddギャラリー」で、デザイナーの原研哉による「原画展 DRAW原研哉は描いている」が開催。初のスケッチ集『DRAW』から、心に浮かんだ造形をすくい上げるように描かれたドローイングや、「だったりして」と思考を飛躍させる素描、展示構想や設計の過程で生まれたラフスケッチなど、多彩な原画を一挙に公開する。

無印良品のアートディレクションをはじめ、企業のアイデンティフィケーションや展覧会のプロデュースまで、構想力を軸に幅広く活動する原。本書では「スケッチというのは、頭の中に去来している不安定な着想を、この世界の次元に引っ張り出す営みである」と語っている。

ポスターから未来構想に至るまで、手を動かし描くことで生み出されるクリエーティブの原像を、間近で体感してほしい。

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  • アート

「京都府立堂本印象美術館」で、唯一無二の動物表現で高い人気を誇る日本画家・竹内浩一の個展が開催。本展では、初期作品から代表作、新作までを含む約50点が一堂に会し、その画業の全貌に迫る。さらに、猫をモチーフとした抽象作品や、禅僧のかさを描いたドローイングなど、本展のために描き下ろした作品も初公開される。

京都の型染友禅を家業とする家庭に生まれた竹内は、当初テキスタイルデザイナーとして活動していた。25歳の頃、京都画壇の重鎮である山口華楊に師事し、日本画家としての道を歩み始める。洗練された色彩と繊細な心象表現で注目を集める一方、次第に内面的な葛藤を深めていった。

そうした中で出合った禅の教えや、高い精神性を持つ中国・宋時代の絵画が新たな表現の扉を開く契機となる。淡くデリケートな色調に、生きとし生けるものへの深いまなざしを重ねることで、独自の表現世界を確立。真摯(しんし)に描かれた動物たちは、悲哀とユーモアを併せ持つ豊かな情感を宿し、それこそが竹内芸術の魅力だ。

本展で、その世界観をより深く味わってほしい。

  • アート

グラングリーン大阪」内の文化装置「VS.(ヴイエス)」で、東京開催でも好評を博した体験型展覧会「NAKED meets ガウディ展」が開催。大阪会場では、「サグラダ ファミリア」エリアのイマーシブ体験がさらに進化して登場する。

本展は、アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí)の没後100年と、サグラダ ファミリアのメインタワー「イエスの塔」の完成という歴史的節目を記念して開かれる公式展覧会。クリエーティブカンパニーのNAKEDが、ガウディ財団から正式なオファーを受け、世界で初めて同財団と公式ライセンス契約を締結した。

東京会場では、ガウディの手記や書簡、制作道具など学術的にも貴重な資料の展示に加え、自然観や造形思想を追体験できる体験型アートが大きな反響を呼んだ。建築やアートのファンはもちろん、ファミリー層や若年層まで幅広い来場者を集め、累計17万人を動員している。

ガウディ建築の源泉に迫る展示と、アートテクノロジーや空間演出を融合させた本展。ガウディの精神を「見る」だけでなく「体感する」ことができるこの機会を、見逃さないでほしい。

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  • アート

イッセイ ミヤケが手がけるメンズブランド「IM MEN」による2026年春夏コレクション「DANCING TEXTURE」の着想源となったのは、日本の陶芸家・加守田章二(19331983年)の作品だ。「京都国立近代美術館」で開催される「加守田章二とIM MEN」では、同コレクションを象徴するオリジナルテキスタイルによるピースに加え、同館所蔵の加守田作品を展示し、さらにゆかりの土地や人々の記憶、IM MENの制作工程を記録した映像作品も上映される。

現代日本陶芸に多大な足跡を残し、挑戦的で自由な加守田の作品群は、今なお鮮烈な存在感を放つ。それらと出合った瞬間、IM MENのデザインチームは「この陶器を衣服として着てみたい」と直感したという。

加守田作品の既存の構造から解放されたフォルムや奥行きのあるテクスチャー、手間を重ねて生み出されるディテール。土と布という異なる素材の間を往還しながら、今回の衣服表現は生まれた。

時代や文化の隔たりを超えて、強いエネルギーを内包する創作は、人の感覚を刺激し心を揺り動かす。ものづくりに携わる者とそれを愛でる人々の間に生まれる関係性と、そこから広がる無限の可能性に触れてほしい。

  • アート

1936年に開館した「大阪市立美術館」は、2026年で開館90周年を迎える。本展「全力!名宝物語 大阪市美とたどる美のエピソード」では、館蔵・寄託の名宝を中心に、美術館を巡って紡がれてきた物語や、美術に託された思い、そして美術の成立から未来への展望までをたどる。

東洋美術の殿堂として世界に知られる同館は、今もなお大阪の地に確かな存在感を示している。歴史は保存されることで未来の礎となり、「物語」として形を変えながら語り継がれていく。

美術もまた、そうした「物語」を映し出し、時代や人々の息遣いを視覚的に伝えてきた。美術館の歩みは、そこに収蔵された美術品そのものによって雄弁に語られている。

各コレクションの代表作を通して、時に力強く、時に繊細に人々とともに歩み続けた美術館の歴史物語を体感してほしい。

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  • アート

「大阪市立東洋陶磁美術館」で、特別展「MOCOコレクション オムニバス初公開・久々の公開― PART2」が開催。同館のコレクションから、初公開または久々の公開となる作品をオムニバス形式で紹介する。

会場に並ぶのは、中国・韓国・日本の焼き物による茶道具を中心に、書画の掛軸や茶杓(ちゃしゃく)、釜なども含む「松惠(しょうけい)コレクション」。江戸時代以前の焼き物の茶道具や、近代陶芸家による茶碗(ちゃわん)などを公開する。

また、輸出用の古伊万里や、民藝運動を主導した陶芸家・濱田庄司の作品を含む「堀尾幹雄コレクション」、明時代に中国・景徳鎮窯で日本向けに制作された古染付(こそめつけ)や、朝鮮時代の文房具の水滴コレクションも紹介される。

各コレクションの特色をじっくりと味わってほしい。

  • アート
  • コンテンポラリーアート

「エスパス ルイ ヴィトン大阪」で、1980年代以降、現代アートの世界で唯一無二の地位を築いてきたアメリカ人アーティスト、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)の個展「JEFF KOONS PAINTINGS AND BANALITY – SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」が開催される。

本展は、パリの美術館「フォンダシオン ルイ ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)」の所蔵作品を世界各地の「エスパス ルイ ヴィトン」で公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行われるもの。国や地域を超えて作品を届けるという同プログラムの趣旨の下、国際的な文脈の中でクーンズ作品に触れられる展覧会だ。

会場では、クーンズのキャリアを象徴する代表的なシリーズから厳選した彫刻作品および絵画作品、計7点が登場。入場無料なので、この機会を見逃さないように。

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  • アート

「あべのハルカス美術館」で、「ブルックリン博物館」が誇る古代エジプトコレクションからえりすぐりの名品が集結する「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が開催。人間のミイラ2体をはじめ、動物のミイラ、彫刻、ひつぎ、宝飾品、土器、パピルスなど約150点の遺物を通して、高度な文明を築いた人々の営みに迫る。

謎に満ちた歴史を旅する案内人は、気鋭のエジプト考古学者・河江肖剰。人々はどのように暮らし、何を食べ、何を畏れていたのか。どのような言語を話し、何を書き残したのか。ピラミッドはなぜ、どのように築かれたのか。ミイラに託されたメッセージとは何か――。これまで見過ごされがちだった視点から、最新技術によるピラミッド研究の成果まで、映像や音声を交えて紹介する。

会場では古代エジプト語の呪文を音声で再現し、来場者を3000年の時空へと誘う。知への探求心を呼び覚ます空間へ、今こそ飛び込もう。

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「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA」で、シンガポール出身のアーティスト、ロバート・ザオ・レンフイ(Robert Zhao Renhui)による個展が開催。本展では、オーストラリア領クリスマス島、シンガポール、東京、インド・ハンピ、タイ・プーケットでの長期プロジェクトに基づく作品群を通じて、近年の活動を包括的に紹介する。

写真や映像、インスタレーションなど多様なメディアを用い、人間と他の生物、自然との関係を探究してきたザオ。人為的な管理の下で形成された環境と、そこに生きる生物を継続的に観察しながら、自然と人工が複雑に絡み合い変容していく過程を丁寧に描き出し、批判的に考察する作品を手がけてきた。

会場の「京都市立芸術大学」は、氾濫を繰り返し、戦後の大規模な河川改修事業によってようやく現在の制御された姿となった鴨川、そして江戸時代に運河として開削された高瀬川という2つの河川に隣接している。こうした歴史を背景に、ザオは本展を「アフター・コントロール」と名づけた。

展示室の外には、再開発が進む中で新旧の建築や空き地が混在する風景が広がる。その景観と、ザオの視点で捉えられた多様な生物の姿が響き合い、自然と人間の関係、さらには地球上の生態系の未来へと思考を促していく。

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「国立国際美術館」で、現代日本を代表する画家の中西夏之(1935〜2016年)による初の回顧展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」が開催。半世紀以上にわたる制作の軌跡をたどり、その特異な絵画理念と実践に迫る試みだ。

中西は、絵画という営みを根底から問い直してきた。絵画はいかにして立ち現れるのか、その存在する場所はどこにあるのか。こうした問いに貫かれた作品は、具象や抽象といった既存の枠組みに収まらない。自明とされてきた前提を括弧に入れ、新たに「絵画」を立ち上げ直すことこそが、彼の狙いだったといえる。

画家を志しながらも、1960年代前半には前衛美術家集団「ハイレッド・センター」で活動し、絵画から離れた中西。その後、舞踏家・土方巽との出会いを契機に本格的に絵画へ回帰する。

こうして生まれた作品は、絵画という営みそのものを考えさせるものとなった。「反芸術」の下で評価されてきた離脱期に対し、1960年代後半以降の絵画実践はまだ十分に理解されていない。本展では、彼がなぜ絵画に向かったのか、そして絵画をどのように捉えていたのかを問い直す。

かつて中西は、絵画を「緩やかに見つめるためにいつまでもたたずむ装置」と語った。オレンジや黄緑、紫を多用し、長い筆で遠くから描かれた彼の絵画もまた、その装置の一つだろう。この言葉を手がかりに、中西の絵画の在り方を改めて考えていく。彼の絵画が開く世界を、静かに感じ取ってほしい。

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「国立国際美術館」で、「コレクション3」が開催。特集展示「反射する都市」と通年展示「コレクション・ハイライト」の2部構成で展開される。

多くの作家が、街や都市生活を主題に作品を制作してきた。それらを現在の視点から見直すことで、都市景観に映し出された社会や経済の状況、さらには豊かさや快適さへの欲望、未来への期待や不安といった同時代の内面が浮かび上がる。本展では、戦後間もない1950年代の作品から2020年代まで、約110点を通して作品が映し出す時代の姿をたどる。

高田冬彦による映像インスタレーション『Cut Suits』2023年)は、6人の男性が互いのスーツにハサミを入れていく作品。オノ・ヨーコが1964年に行った『Cut Piece』へのオマージュであり、笑顔で優しくスーツを切り合う姿は遊び心と官能性を帯び、スーツに象徴される男性性や都市労働者としての役割からの解放を思わせる。

通年展示では、ポール・セザンヌ(Paul Cézanne)やマックス・エルンスト(Max Ernst)ら19世紀末から20世紀初頭の作品をはじめ、近現代美術の諸相が浮かび上がる。近年収蔵されたヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)や村上隆、モーリーン・ギャレス(Maureen Gallace)、マリア・ファーラ(Maria Farrar)の作品に加え、エリザベス・ペイトン(Elizabeth Peyton)の絵画も並ぶ。

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「大阪中之島美術館」で、洋画家の髙島野十郎(18901975年)による過去最大規模となる回顧展「没後50 髙島野十郎展」が開催。代表作『蝋燭』『月』をはじめ、初公開作品を含む160点超が一堂に集う。

卓越した技量と緊張感に満ちた独自の写実表現で知られる髙島。本展では、「孤高の画家」と称されてきたそのイメージを手がかりに、彼の芸術がいかに形成されていったのかを丁寧にたどる。 

併せて、作品における仏教的思想や、青年期から滞欧期にかけての初期の画業にも目を向け、これまで十分に紹介されてこなかった側面にも光を当てる。さらに、芸術観の背景や同時代の動向を探ることで、美術史の中にその画業を改めて位置づけていく。

「孤高」という言葉の奥にある、その素朴な人間像に触れる機会となるだろう。

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「国立民族学博物館」で、企画展「ドルポ――西ネパール高地のチベット世界」が開催。西ネパールのダウラギリ山系北西部に広がる高地「ドルポ」を舞台に、そこに暮らす人々の生活世界と、時代のうねりの中で変わりゆく姿を多角的にひもとく。

ドルポは国境を挟んでチベットとつながるチベット文化圏に属し、チベット仏教やそれ以前のポン教の信仰、ヤクのキャラバン交易など、独自の文化を育んできた地域。乾いた大地には僧院や仏塔が点在し、「天界」を思わせる風景が広がる。標高32004200メートルの村々では、農牧とチベットとの交易を基盤とする暮らしが続いてきたが、近年は中国(チベット)側から道路が延び、急速な変化に直面している。

本展では、ドルポを丹念に歩いてきた写真家・稲葉香の作品をはじめ、川喜田二郎率いる1958年の探検隊、田村善次郎率いる1968年の調査隊が収集した民具や写真、記録資料を紹介。研究者と話すイベント、食文化を体験するワークショップ、映画会など、関連イベントも多数実施されるので、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

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60年に及ぶ画家人生の中で、多様な主題に取り組んだピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir。その作品全てに共通するのは、温かく愛情に満ちたまなざしだ。「山王美術館」で開催の「生誕185 ルノワール展」では、初公開作品12点を含む、同館のコレクション約50点を一堂に公開する。

ルノワールにとって、生きることは描くことであり、描くことは喜びそのものであったといえる。晩年には、困難の多い人生においてこそ、絵画は「愛すべきもの」「愉しく、美しいもの」でなければならないと語った。本展では、風景やバラ、アネモネといった花々を描いた作品をはじめ、静物、裸婦、装飾画まで幅広く紹介する。

見どころは、生命感あふれる裸婦像『噴水による浴女』(1914年)。「自然の中の裸婦」という伝統的なテーマを探求し続けたルノワールにとって、本作は新たな表現への到達点といえる。以降に展開された、さまざまな赤の色調に満ちた、生命の輝きを思わせる裸婦像も併せて並ぶ。

さらに、印象派時代の女性像から、「印象主義の行き詰まり」を経て古典へと回帰したアングル様式の時代、南仏で「自然の中の裸婦」という主題に取り組み始めた時期、そして晩年に開花する豊潤な色彩の作品群まで、画業の軌跡を全5章でたどっていく。

光と色彩、生きる喜びにあふれたルノワールの世界を堪能してほしい。

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「京都国立近代美術館」で、近代日本美術史における巨匠として知られる竹久夢二の展覧会「モダン都市生活と竹久夢二―川西英コレクション」が開催される。

夢二は、大正・昭和期の少年少女や美術愛好家、そして若き芸術家たちにとって、「巨匠」というよりも、より身近な存在であるイラストレーターやデザイナーでもあった。生前に販売された絵はがきや封筒、千代紙、風呂敷といった多彩なグッズの数々は、その親しみやすさを今に伝えている。

創作版画家の川西英もまた、夢二の絵と詩に魅了された一人。彼が収集した膨大な版画コレクションの3分の1以上を、夢二の版画・書籍・関連グッズが占めている。

本展では、大正期のモダンな大衆文化を象徴するスターとして幅広い人々に親しまれた夢二の作品を展示。さらに、夢二に憧れた川西や恩地孝四郎をはじめとする昭和期の画家・版画家たちによる作品も並び、都市生活やモダンな景観、前衛性と遊び心あふれる表現の世界を堪能できる。

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「大阪浮世絵美術館」で、企画展「浮世絵やまとなでしこ」が開催。伊東深水をはじめ、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重、三代豊国など、名だたる浮世絵師たちが描いた美人画を中心に、江戸から昭和にかけての浮世絵版画を紹介する。そこに表されるのは、日本の女性の優雅さや強さ、そして内面に宿る美しさだ。

鏑木清方に師事し、美人画家として名を馳せた深水の肉筆画『通り雨』は本展初公開となる。にわか雨の中、傘を差す一人の女性を描いた本作は、色香と気品が静かに溶け合う、見応えある一作だ。

また、美人画に限らず、風景画や物語絵に登場する女性を含む全56点が並び、当時の暮らしや文化、社会の空気を多角的に感じ取ることができる。さらに北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は常設展示。展示室内には柵を設けず、無料貸し出しのルーペを使って、刷りの技法や細部の表現を間近で鑑賞できるのも魅力だ。

浮世絵師たちのまなざしが捉えた「やまとなでしこ」の姿を、ぜひ会場で確かめてほしい。

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毎年、タイムアウトで発表している世界で最もクールな街」ランキング。世界中のライターや編集者により推薦されたエリアは、文化・コミュニティー・住みやすさ・ナイトライフ・飲食・街のにぎわいなどの基準で評価される。2025年度版では、東京・神保町が堂々の第1位に輝き大きな話題となったが、大阪・中津も世界ランキングで8位に躍進し、その魅力が世界に認められた。

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