キムチドリアンカルダモン
Photo: Kisa Toyoshima
Photo: Kisa Toyoshima

新大久保のガチ台湾フードコート「K, D, C,,,」でしかできない4のこと

牛肉麵、豆花、台灣茶、小吃など本格台湾料理が駅上に集結

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「新大久保の食」といえばまず上げられるのは韓国グルメだが、この街の食の得意分野はそれだけではない。大久保駅方面に足を向ければガチ中華、ネパール、タイ、ベトナムなど、街に漂う香りからして異国感漂う、現地人御用達のエスニック料理店も各種揃っていて、複雑な美食地帯を形成している。

その中に今年、新大久保駅の真上という好立地に新たなガチな台湾料理が集結したゾーンが誕生した。新大久保駅の駅ビル内の3、4階にある「キムチドリアンカルダモン(K, D, C,,,)」だ。「K, D, C,,,」は、「Kimchi, Durian, Cardamom,,,(キムチ、ドリアン、カルダモン)」の略で、新しい食を生み出すフードラボである。3階は誰でも気軽に利用できるシェアダイニングになっており、共用スペースのテーブル席を囲んで、4コーナーの厨房を有している。

通りに面して大きく窓を切り、新大久保駅ホームまで見通せる明るい店内。改札出て左手のエレベーターに乗れば直通できる手軽さもいい。2021年のオープン以来、店が入れ替わっていたが昨年以降、成り行きで台湾グルメの店が増えていき、2025年になってついに完全に台湾フードコートと化してしまった。フードコートとしては小ぶりだが、牛肉麵ほか小吃(軽食)各種、豆花、台灣茶いずれも本格派が、手軽に味わうことできる。味も高レベルで、下手な有名店よりガチ度は上だ。

新大久保駅の真上のこんな穴場が潜んでいることがまだあまり知られていないのは奇跡に近い。各店の主人が商売を超え、台湾の食文化の素晴らしさを伝えようと、真摯に志している点もすばらしい。新大久保の台湾美食、ぜひ試してみてほしい。

各店舗の営業日時は変わることがあるので、訪れる前に公式Instagramで確認してほしい。

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山海豆花

「K, D, C,,,」の台湾化のきっかけを作った店。以前は新宿駅近くの高級フードコートで営業していたが閉鎖に伴い2023年移転。台湾に何店舗もある新進気鋭の豆花の姉妹店で、その美味さは日本よりむしろ台湾で知られている。

店主のYoShi優喜は日本人。サーフィンを愛し、台湾台東の波に魅入られて移住、その後縁あって台北で仲間と豆花作りを手がけ始めた。日本の寄せ豆腐の要素を加味した繊細な食感のオリジナル「豆花」(880円から、以下全て税込み)は現地で好評を持って受け入られ、現在に至っている。

東京の山海豆花では、現地に負けぬクオリティーで日本バージョンを提供。絹ごし豆腐を彷彿させる品のいいなめらかな口触りが魅力。冰(冷や)と熱(温か)があり、定番の茹でピーナツなど9種類のトッピングから3種類を好きに選べる。シロップは濃い目で4種の黒蜜ミックス。さらに同フードコートに移転したことで、鹹酥雞(台湾からあげ)、地瓜薯條(さつまいもフライ)、などの豆花以外の軽食も手がけるようになった。

店の一押しは特製の「甜甜圈(台湾ドーナツ)」(400円)だ。地元では定番の懐かしいスイーツの一つ。山海豆花の甜甜圈は、下揚げしてあるものを注文を受けてから2度揚げ、特製のミルクシュガーパウダーをふりかけて完成。さっぱり軽く揚がっていて美味。現地よりイケているかもしれない。

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HIKARI光

2軒目は主食としてがっつりいけるご飯物・麵物を供している台湾料理店「HIKARI光」。看板商品は「牛肉麵」(1,300円)。現地定番の醤油ベースの牛肉入り汁そばだ。麵は平たい乾麺を用いるのが「光スタイル。紅燒=醤油味と清燉=塩味が選べるが、まず試すべきは紅燒牛肉麵だ。

味付けは日本人向けに少しまろやかにしているそうだが、台湾の風味はしっかり保っている。ことにスープがウマい。しっかり煮込んでほろほろの大粒の牛すね肉ともよくマッチしている。つゆだくな「滷肉飯(豚肉ぶっかけめし)」(800円)、や「雞肉飯(鶏肉のぶっかめし)」(800円)なども提供している。ビールも提供、油豆腐(台湾風厚揚げ)などのつまみ系もあり。

店主の張杰旻(チョウ・チエミン)は、台湾中部の台中出身。台中には、地元菓子メーカーが営む大箱のアイスクリーム店「宮原眼科」がある。おいしさとスタイリッシュな店構えで駅前名物となっているここの2階に「醉月樓」という高級台湾料理レストランも入っているが、張はここで料理長を勤めていた経歴の持ち主だ。

その後、来日してフランス料理店で腕をふるうなど、幅広く研鑽を積んだ末、故郷の台湾そのもの味を日本で伝えるべく光を開いたという。

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茶禄

3軒目に加わったのが、台湾茶の「茶禄- Cha Lu -」だ。都内で台湾茶を味わえる店は珍しくなくなったが、「茶禄」は台湾茶の秘める魅力を引き出してみせる。店主の鄧閎熙(テン・ホンシ)は、台湾茶を代表する「凍頂烏龍茶」の名産地・南投の出身。幼い頃から茶に親しんできた上に、祖父が凍頂烏龍茶の品質向上に努め世に広めた立役者だ。母親は高度な茶教室を主催、父親は茶商というハイブレッド。そんな家柄もあって、台湾茶に注ぐ情熱はずば抜けている。

「茶禄」の供する台湾茶(1杯580円から、以下全て税込み)。はハイレベルである一方、飲むスタイルは柔軟で「キムチドリアンカルダモン」ではカジュアルに味わえる。実家経由で手に入る高品質の茶葉を、たとえテイクアウトの紙コップ1杯であっても、注文を受けてから茶壺(小ぶりな急須)を使い、淹れたてを供してくれる。抜けの良いあざやかな味わいと奥深い余韻に驚嘆することだろう。

オーソドックな茶だけではない。日本酒と焼酎の利き酒師の資格を有し、バーテンダーの経験も積んだ鄧は、新スタイルの台湾茶の開発にも余念がない。

甘みの乗った旬の「金鑽パイナップル」を台湾から取り寄せ、細かく刻んで氷で割った四季春茶と合わせた「金鑽四季鳳梨茶」なども季節限定で提供している。台湾パイナップルの自然な甘みと、四季春茶のほのかな苦みが複雑に組み合わさる。クラブソーダで割った冷茶をシャンパングラスで提供することで、爽快感が増す一杯など、見た目にもこだわった品々はもはやカクテルのようだ。

天天飽

小吃の店「天天飽」が新しく加わった。茶禄と組んで鹹豆漿(シェンドウジャン)または 刈包(グアバオ)にペアリングさせた日替わり茶のセット(980円から〜)なども楽しめる。

天天飽には単独で注文できるメニューももちろんある。フードコート内の他店と被らない小吃を提供。店主の渡邊匡彦(わたなべ・まさひこ)は台湾人の母親を持ち、一押しは母方の故郷、台湾南部の高雄の名店で学んだ「飯糰(台湾式おにぎり)」(690円)。揚げパンや肉そぼろ、ピーナッツ粉など7種の具を、もち米で包み込んだ品。見た目は素朴ながら、もち米の適度にもっちりした、さまざまな具材が織りなす味わいは日本人には新鮮でクセになる。ボリュームともに申し分ない。自家製豆乳も美味である。

もっと日本の台湾を探索したいなら……

  • Things to do

人気海外旅行先ランキングでは例年上位に君臨するほど、ファンが多い台湾。台湾の魅力はたくさんあるが、やはりグルメは外せない。

サクサクとした食感がやみつきなる台湾からあげ「大鶏排(ダージーパイ)」や、甘くてジューシーなフルーツがたっぷり乗った「台湾かき氷」など、バリエーションは多彩だ。

そんな台湾の魅力をたっぷり詰め込んだイベントが、5〜7月にかけて各所で開催される。中には夜まで開催されるイベントもあり、赤いランタンが醸し出す雰囲気は現地の夜市さながらだ。

ぜひ気になるイベントを見つけて、プチ台湾旅行に出かけてみては。

  • Things to do

日本における台湾人気が止まらない。往来をコロナ禍にふさがれ、現地を気楽に訪れることができない飢えが拍車をかけるのか、台湾関連のフェスティバルは都内各所で次々に開催され、軽食やスイーツを供する店が着実に増えている。

台北から現地直送の本格店が上陸する一方、イメージ優先の「台湾風カフェめし」を出す店がもてはやされ、今や玉石混交の状態だ。「哈台族(ハータイーズー=台湾マニア)」のはしくれとして、台湾人も通う現地そのままの味や雰囲気が味わえる場所を都内から厳選し、台湾(具体的に台北)旅行気分で散策できるルートを組んでみた。台湾と変わらぬ夏の暑さが続く近頃の東京。台湾気分で楽しく乗り切ろう。

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鹹豆漿(シェントウジャン=塩っぱい豆乳スープ)や蛋餅(ダンビン=台湾式クレープ)をはじめ、飯糰(ファントゥアン=台湾式おにぎり)、三明治(サンミンチー=台湾サンドイッチ)、肉包(ロウパオ=肉まんなど本格的な台湾朝食を提供する店が、ここ最近、東京でも増えてきている。

現地の味を忠実に再現した本格メニューが楽しめるとあって、台湾ラバーや在京台湾人が足しげく通う店も多い。ここでは、そんな本格的な台湾朝食が楽しめる都内の店を紹介しよう。

「ご飯食べた?」を意味する「呷飽没?」があいさつになってしまうほどおいしいものであふれる台湾。気軽に旅ができない今、台湾ロスに陥っている人も多いだろう。

そんな人の願いをかなえるべく、ここでは「東京の台湾」をピックアップ。本場の味が楽しめる料理店はもちろんのこと、現地感のある内装でプチ旅行気分に浸れる一軒や話題の新店、隠れた名店などをタイムアウト東京の台湾出身スタッフ、ヘスター・リンとともにセレクトした。台湾の豆知識も時々交えたヘスターのコメントとともに紹介するので、台湾の情報収集としてもぜひ活用してほしい。

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  • レストラン

2025年1月17日(金)、中目黒に台湾居酒屋「熱炒 虎打楽(ルーチャオ ホダラ)」がオープンする。オーナーはかねてから日本好きだという台北出身の莊偉中(以下、ブライアン)と徐安昇(以下、ショーン)の2人。これまで、福岡県小倉市発祥の老舗ウナギ処「田舎庵」や、オリジナルの京うどんの店を台北に出店するなど、日本の食文化を台湾へと普及してきた2人が、初の試みとして、台湾独自の「熱炒(ルーチャオ)」というカルチャーを日本へ運ぶ。

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