「キムチドリアンカルダモン(K, D, C,,,)」に「山海豆花」「HIKARI光」に次いで3軒目に加わったのが、台湾茶の「茶禄- Cha Lu -」だ。都内で台湾茶を味わえる店は珍しくなくなったが、「茶禄」は台湾茶の秘める魅力を引き出してみせる。店主の鄧閎熙(テン・ホンシ)は、台湾茶を代表する「凍頂烏龍茶」の名産地・南投の出身。幼い頃から茶に親しんできた上に、祖父が凍頂烏龍茶の品質向上に努め世に広めた立役者だ。母親は高度な茶教室を主催、父親は茶商というハイブレッド。そんな家柄もあって、台湾茶に注ぐ情熱は図抜けている。
「茶禄」の供する台湾茶(1杯580円から、以下全て税込み)。はハイレベルである一方、飲むスタイルは柔軟で「キムチドリアンカルダモン」ではカジュアルに味わえる。実家経由で手に入る高品質の茶葉を、たとえテイクアウトの紙コップ1杯であっても、注文を受けてから茶壺(小ぶりな急須)を使い、淹れたてを供してくれる。抜けの良いあざやかな味わいと奥深い余韻に驚嘆することだろう。
オーソドックな茶だけではない。日本酒と焼酎の利き酒師の資格を有し、バーテンダーの経験も積んだ鄧は、新スタイルの台湾茶の開発にも余念がない。甘みの乗った旬の金鑽パイナップルを台湾から取り寄せ、細かく刻んで氷で割った四季春茶と合わせた「金鑽四季鳳梨茶」なども季節限定で提供している。台湾パイナップルの自然な甘みと、四季春茶のほのかな苦みが複雑に組み合わさる。クラブソーダで割った冷茶をシャンパングラスに注ぐことで爽快感が増す一杯など、見た目にもこだわった品々はもはやカクテルを味わっているかのようだ。
絶妙なペアリングのセンスは、食の合わせにも発揮されている。茶に合わせた甘味、小吃(軽食)類をはじめ、小吃の店「天天飽」が協力、料理の相性を考慮した「お茶付き小吃コース」(1,680円から)なども楽しめる。天天飽はほかの店とかぶらない小吃が並ぶ。一押しは「飯糰(台湾式おにぎり)」(690円)で、味ボリューム共に申し分ない。