1. かんたんなゆめ
    Photo: Keisuke Tanigawa寿里
  2. あずきとこおり
    Photo: Keisuke Tanigawa堀尾美穂
  3. パティスリー イーズ
    Photo: Kisa Toyoshima大山恵介
  4. アス
    Photo: Keisuke Tanigawa

東京、注目の若手パティシエがいる店7選

恵比寿・六本木などの激戦区から松原の隠れた名店まで

編集:
Genya Aoki
寄稿:
Tokyo Halfie
Sahoko Seki
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スイーツは心の栄養である。と同時に、多くの食がそうであるように芸術の一種だ。ここでは、今東京で注目すべき新進気鋭のパティシエとショコラティエの面々を紹介したい。

ミシュラン星付きフレンチの元パティシエによる珠玉のフレンチトーストから始まり、若き和菓子アーティストや「アシェットデセール」の新鋭、「物語」を紡ぐ美しいケーキ、日本橋という街の印象をも塗り替えた独創的なパティスリーの旗手、夜に通い詰めたいスイーツ店、小さな贅沢が詰まったブラウニーまで、その存在感の出し方も多種多様である。

これからのホリデーシーズン、はたまたバレンタインなど甘い菓子がおいしい季節に、ぜひ、東京のフードシーンの一躍を担うであろう多彩な才能をぜひ感じてみてほしい。

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ミシュランの星付きフレンチレストランの「フロリレージュ」で活躍したパティシエの堀尾美穂による、旬の素材を使ったかき氷とフレンチトーストの専門店。

かき氷への情熱はフロリレージュから始まる。6年間パティシエとして勤めていた堀尾は、同店で不定期に開催していたかき氷のポップアップイベント「ガリガリレージュ」を任せられた。

フレッシュフルーツのシロップや濃厚なクリーム、エスプーマ(泡)、ゼリーなど、パティシエだからこそ提供できるスタイルのかき氷が話題になり、予約枠は解放日に一瞬で埋まるほどの人気を得た。

その後、台湾で自身のかき氷専門店のオープン予定していたが、コロナ禍で断念。2022年、今の店で再チャレンジを果たした。バーカウンター席では、堀尾がかき氷を作る様子を最前列で見ることができ、食べる前から胸が踊る。

Photo: Keisuke Tanigawa | 「あずき」のフレンチトースト

かき氷だけではなく、小豆を練り込んだブリオッシュのフレンチトーストもぜひ味わってみてほしい。コクのある黄身を使ったアパレイユ(卵液)に一晩漬け込んだパンは、注文を受けてから弱火でゆっくり焼き始める。出来上がったフレンチトーストは表面がカリッとしつつ、中はとろみがあり、クレームブリュレのような食感が特徴的だ。

シグネチャーの「あずき」と季節毎のフレーバーがあり、どれも充実したお茶のセレクションと相性が良い。濃厚なスイーツにはすっきりとした風味の「かりがね茶 山笑う」とのペアリングが絶妙だ。

7席の小さな店なので、公式ウェブサイトで予約してから訪れることをおすすめしたい。

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  • 恵比寿

デザートのみのコースを提供する「アシェット・デゼール」の店「アス(As)」で腕を振るうのは、南青山の人気パティスリー「アン グラン(UN GRAIN)」などで経験を積んだ青木繁だ。

店舗は、日本でアシェット・デゼールが流行する先駆けとなった「ヤマ(Yama)」があった場所を引き継ぐ形で居抜きした。聞けば、独立に際してヤマのシェフである勝俣孝一に提案され、運命を信じてオープンを決意したという。

店名の「As」は、シェフの名前の頭文字と「明日元気になれるデザート」という意味を込めたもの。天然大理石のカウンターは6席並び、季節のフルーツを使った菓子を目の前で作り上げる様子が堪能できる。

Photo: Keisuke Tanigawa

デザートコースの内容はその時によるが、4、5品ほど。旬のフルーツに合わせて、毎月メニューをアップデートしている。パーツを組み合わせて作るデザートは形や表情がそれぞれ違うため、あえて不ぞろいな「Sghr(スガハラ)」のガラス皿に盛り付けられている。

フィナンシェやパイ、クレープやミニパフェなど、小麦ベースのスイーツをフィーチャーしているのにも関わらず、さまざまな季節のフレーバーをクリエーティブに統合しており、さらりと完食してしまう。

一年の中で特に人気は「栗と柑橘のコース」。主役は、熟成した「しまんと地栗」のモンブランである。マロンクリームのコクととスーパーラフランスのさっぱりとした甘さが同時に味わえる絶品だ。

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  • 六本木

2021年、六本木に「バー感覚で夜にデザートを楽しむ」というコンセプトを軸にオープンした「パティシエール マヨ(Pâtissière Mayo)」。

シェフパティシエの宮田真代が、注文を受けてからまるでカクテルを作るバーテンダーの様に目の前でさまざまなデザートを作ってくれる姿が印象的で、「できたてしょーとけーき」や、旬の食材をふんだんに使ったパフェが人気を博して、満席状態が続いている人気店だ。

優しい人柄だけではなく、髪の毛の色は季節のフルーツに合わせているのもチャームポイントだ。

「パティシエール マヨ フラット(Pâtissière MAYO flat)」は新規の客でも「ふらっと」立ち寄れるようにと、2023年8月、同店の真下にオープンしたテイクアウト専門店である。素材のおいしさを生かした「季節のジェラート」と手土産に最適な「焼き菓子」を販売している。

Photo: Keisuke Tanigawa | 「栗マロン」

食感が滑らかなジェラートはフレーバーによりミルクと卵黄ベースを使い分けていて、余韻が長く楽しめるように酒を隠し味に入れるなど、その工夫はさまざまだ。シーズナルな国産最高峰の南瓜「栗マロン」を使用した「冷たいのにホクホク」した味わいを楽しめる。空いていれば3階のテラス席で味わうこともできるほか、宅配も受け付ている。

毎日14時から23時まで営業している理由も意図的だ。子ども連れの親から、近くでディナーした後の締めのデザートまで、さまざまなシーンにおすすめしたい店である。

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  • 世田谷区

松原の街に心地よく馴染むパティスリー。日本人ショコラティエの第一人者、川口行彦による「オリジンヌ カカオ」でシェフパティシエ兼シェフショコラティエを務めた清水佑紀が、妻とともにオープンした。

学生時代はサッカー選手を志した清水だが、怪我をして断念したのをきっかけに人生を大きく方向転換。書店で職業探しを始めて、直感で決めたパティシエという仕事と真摯に向き合ってきた。一つの店舗に5年いれば長いと言われる業界で、6年半、7年と2店舗で経験を積んだ。

独立後、まずはオンライン販売のみの店をスタート。そこで大人気となった濃厚しっとりのブラウニー「リフェショコラ」は唯一店名が冠されており、わざわざこのためだけに訪れる人がいるほどだとか。

Photo: Kisa Toyoshima | 「リフェショコラ」

ザクザクと食感楽しいショコラクランブルと、対照的にしっとりとした生地が口の中で贅沢に溶け合い、品のある塩気と濃厚さが後を引く。朝の焼きたては一段と香りが豊かで、買わずにはいられなくなるだろう。

自慢は2種のムース、クリーム、スポンジまでチョコレート尽くしでありながら軽やかな味わいの「エクチュア」などの生菓子も注目だ。

隣接した自然豊かな赤松公園で、ちょっとご褒美な散歩を楽しみたくなる一軒である。

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  • 渋谷

若き和菓子アーティストの寿里が手がけるモダンな和菓子店が、奥渋エリアにある。公園の近くの小さな高台に位置し、ピンクの建物とネオンライトの看板はインパクト絶大な外観も印象的だ。

寿里は高校から専門学校のパティシエ科専攻で製菓衛生師の資格を取得。卒業後は飲食店舗の立ち上げなどを行なっていたが、「日常でもカジュアルに和菓子を楽しんでほしい」と思い、専門学校時代に出会った練り切りの魅力を広めたいと、渋谷のおでん屋「そのとうり」に間借りする形で2019年7月にオープンした。

続いて、日本橋にある2年半限定の物件へ移転し、18時から23時を営業時間とする「和菓子バー」を手がけた後、現在の店に引っ越したのは2023年3月のことだ。

寿里が作る和菓子は、ほかでは食べられない独創的なものばかりで、甘さも控えめ。「和菓子」のハードルを下げ、みんなの日常に入っていける肩肘張らない和菓子屋を目指している。

Photo: Keisuke Tanigawa

看板商品の練り切り「嬉々(キキ)」(480円、税込み)は、クリームチーズとレモンの皮を練り込んだ白あんがベースのほんのり甘いレモンチーズケーキのようなフレーバー。寿里の故郷である宮崎県の銘菓「チーズ饅頭」にインスパイアされたメニューだ。繊細なグラデーションが特徴的なデザインは常時4種類展開で、季節に合わせて毎月変えている。

洋の要素を取り入れたようかんやもなかなどは6種類ほどあり、茶やコーヒー、そしてワインや日本酒との相性も抜群だ。

秋冬限定の「栗の実」は、栗の甘露煮を塩あんと黒糖ようかんで包み、ケシの実を塗した絶品。思い出に残っている旅先の風景を和菓子で表現した「きのうみた景色」など、クリエーティブな発想も素晴らしい。美しい和菓子を手に取って、彼女の世界観を味わってほしい。

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  • パティスリー・洋菓子屋
  • 世田谷区

数々の人気洋菓子店で腕を磨いた寺﨑貴視によるパティスリー。「出したい場所より住みたい場所に店を出せ」という恩師の言葉を胸に、雰囲気のある東松原の商店街を選んだ。かつては小説家を志していたという寺﨑が自店のテーマに選んだのは「物語」。生産者から店、そして選んでくれた客とのつながりをストーリーと定義する。

潔い白を基調とした店内は、まるでギャラリーのような、物語のクライマックス直前の舞台にふさわしい空間。色鮮やかに輝くチョコレートの隣には、随時10種類ほどのケーキが並ぶ。ケーキには、着想を得た小説の作品名が冠されることも度々ある。

Photo: Kisa Toyoshima |「Black Rabbit of Inle」

「Black Rabbit of Inle(ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち)」は、コーヒーとヘーゼルナッツのタルト生地に、シナモンが香るバナナやクルミのビスキュイなどが重なる、冒険物語の名にふさわしくワクワクするケーキだ。購入した人が過ごす時間を経て、一つの物語は終わる。「小説家のセンスはなかったみたい」と謙遜する寺﨑だが、形を変えて夢はかなったようだ。

食材には故郷である宮城県のものをよく使うというが、「実は宮城にはしばらく帰っていない」と話す。「もっと店が多くの人に知ってもらえるようになるまでは」と、新たな夢とともに洋菓子を作っている。商品を「作品」と表現し、丁寧に言葉を紡いでいるSNSにも注目してほしい。

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  • 茅場町

日本橋兜町を金融街から感度の高いカルチャースポットへと変貌させた立役者の一人、大山恵介によるパティスリー。土・日曜日にはゴーストタウンとなる街で物件を見た時は「絶対に無理」とちゅうちょしたが、数々のレストランで経験を積んだ大山が考えたのは、地元のケーキ屋ではなく、目的来店型のミシュラン店のような店だったという。

スイーツの業界で生きる決意をしながら、修行の舞台にレストランを選んだ彼らしい、ライブ感あふれるオープンキッチンは、「見える価値」を最大限に表現した造りだ。

グリーンを基調とした一見パティスリーには見えない外観、美しいケーキが一つずつ凛(りん)とたたずんだショーケース、通常スイーツには使われにくい食材をさり気なく取り入れた商品、程よいタイミングで魅力が投稿されるSNS……店のどこをとってもほかとは一線を画す。全て彼自身が考え尽くした新ジャンルとも言える店だろう。

Photo: Kisa Toyoshima

もちろん1,000円ほどのケーキは抜群のおいしさ。アマゾンカカオのガナッシュを忍ばせ、京都のアラビカ豆でエスプレッソを1杯ずつ抽出して作られた香り高いティラミスも人気だ。食材の変わった組み合わせに注目されがちだが、必要だから入れているだけだと大山は話す。

例えばショートケーキに入れるワサビは辛くしたいわけではなく、清涼感が入ることで生クリームのミルキーさがより感じられるから入れる。探究心と発想力には驚くばかりだ。知っていると誰かに自慢したくなる店だろう。

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もっと東京でスイーツを楽しみたいなら……

  • レストラン

東京のかき氷シーンは、年を重ねるごとに盛り上がっているといっても過言ではない。多くの店が個性を打ち出すべく、ティラミス、アボカド、トマトなどこれまでかき氷には使用されてこなかった食材や斬新な素材の組み合わせなどを駆使し、新しいメニューを次々に生み出している。

一年中かき氷が食べられる店が増えたとはいえ、ベストシーズンは。ここでは、タイムアウト東京エディターで、かき氷を愛してやまないケイラ イマダ(@kakigori_kaila)一部監修のもと、暑い日にはしごしてでも巡ってほしい店を紹介する。

  • ショッピング

もしウィリー・ウォンカが東京でチョコレート工場を始めていたら、彼は今頃休暇を取っているかもしれない。東京のチョコレートシーンは競争が激しく、有名なフランスのサロン・デュ・ショコラでは日本のチョコレートメーカーが最優秀賞を取得し、海外のエキスパートとも肩を並べているからだ。ここでは、情熱的なショコラティエが届ける、複雑な風味のカカオを使ったチョコレートショップを中心に紹介する。

バレンタインシーズンの直前に、恋人に贈るにも自分を甘やかすにもおすすめしたいチョコレートショップを厳選した。シングルオリジンのシンプルなチョコレートバーもよし、アソートスイーツの詰まったぜいたくなギフトを奮発するのもよし、豪勢なデザートを注文してその場で味わうのもいいだろう。

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デザートを探しているなら、パフェほど満足度の高いものはないだろう。パフェは、美しさとおいしさを兼ね備えたスイーツだ。かつてはシンプルなフルーツパフェだったものが、季節の食材やチョコレートなどのスイーツが何層にも重なり、まるで芸術作品のようなものまで味わえるようになった。

東京には、定番のフルーツやパティシエ自慢の逸品など、目にも鮮やかなパフェを堪能できる専門店が数多くある。ここでは、甘いものが好き

  • レストラン
  • パティスリー・洋菓子屋

日本におけるケーキの定番といえば、やはりショートケーキ。海外にも「ショートケーキ」は存在するが、我々が知る、スポンジ、生クリーム、イチゴのケーキは日本独自のスタイルだ。日本人にとってなくてはならない存在のため、フランス仕込みの本格的なパティスリーでも多くの店が日本式のショートケーキを作っている。

アーモンドを練り込みキルシュを染み込ませた生地に、カスタードとバタークリームを合わせた「ムースリーヌ」を挟んだフランス式のショートケーキ「フレジエ」も魅力的だが、ここでは日本式に限定して紹介する。イチゴのシーズンである冬から春にかけてのみ販売する店も多いので、注意してほしい。

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