1. Irregular Rhythm Asylum
    Photo: Kisa Toyoshima
  2. ロンリネス ブックス
    Photo: Kisa Toyoshima
  3. 新宿眼科画廊
    画像提供:新宿眼科画廊
  4. Kosaten
    Kosaten

東京、学びのクィアスポット7選

書を捨てず町へ出よう、プライド月間を契機に訪れたい場所

編集:
Hisato Hayashi
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タイムアウト東京 > Things to do > 東京、学びのクィアスポット7選

テキスト:ヒラマツマユコ、Honoka Yamazaki

6月がプライド月間(Pride Month)と称されるようになった発端を、聞いたことはあるだろうか。1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」で度々起きていた警察の踏み込みに対し、同性愛者やトランスジェンダーの人々が立ち向かい、5日間に及ぶ暴動に発展した(*1)。それをきっかけに、同性愛者をはじめとするLGBTQ+の人たちが、自らの権利について声を上げ始めた(声を上げやすくなった)ことに由来し、6月をプライド月間と呼ぶようになった。毎年6月、聖地ニューヨークを筆頭に各地でプライドパレードが開催されているのも、そのためだ(*2)。

今こそ、積極的に学ぶ時

さらにストーンウォール・インでの出来事をけん引したとされるのが、勇敢なブラック&ブラウンの二人であったことを知っているだろうか(*3)。2020年に改めて注目を集めたブラック・リヴズ・マター(Black Lives Matter、以下BLM)の動きのなかで、当事者以外にもできることとしてドネーションなどの直接的支援があるが、「歴史を知ること、学ぶこと」が求められている状況について考えたい。

今回は苦境の中で立ち上がった先人たちに敬意を表し、そしてプライド月間を祝し、クィアを入り口に「学び」を得られる場所をクィアスポットとして、いくつか紹介する。人種差別をはじめ、あらゆる差別と暴力の歴史について、ともに学ぶ機会となることを願って。

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生きた本棚が作るゲイコミュニティー

マー様に会いに

2021年、惜しまれながら閉店したブックカフェ「オカマルト」。ドラァグクイーンのマーガレットとして知られる小倉東(おぐら・とう)が運営するゲイ雑誌や同性愛の研究書など、ゲイやクィアカルチャーの資料を集めた膨大なコレクションの一部が公開されていた。

2023年、新宿二丁目の「レインボーブリトードウモ」に場所を移し、毎週木・金・土曜の15時から「オカマルト ReBIRTH」として復活。マーガレット自らもてなす、茶と菓子、本を楽しみながら優雅なひとときを過ごしたい。

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  • ショッピング
  • 書店
  • 丸の内

アジアのクィアの歴史を知る

新宿・大久保のとあるマンションの一室に住所非公開で開かれている、書店兼ライブラリーの「ロンリネスブックス(loneliness books)」。そこにはオーナーの潟見陽がセレクトした、日本、韓国、台湾、香港など、アジアを中心とした2000冊以上もの雑誌やZINEなどの書籍が置かれている。

言語が分からなくてもデザインで社会問題を知れるような、アート性、メッセージ性に富んだ作品が多い。そのほかアジアのクィアの歴史が記録された古本や雑誌を所蔵し、アーカイブにも務めている。

店舗は事前予約制。書店としてだけでなく、本を読んだり映画を鑑賞したり、ライブラリーとしての使い方もできる。さまざまなルーツを持つ人たちが交わる大久保の街を歩き、ロンリネス ブックスでセクシュアリティー、ジェンダー、人種、階級など、さまざまな属性が交差したアイデンティティーに目を向けよう。

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  • アート
  • 新宿

開かれたアートスペース

新宿眼科画廊は、1960年代前半に存在していた新橋の「内科画廊」をオマージュし、2004年に「目の保養になる場所」として開かれたアートスペース。

定期的にジェンダーをテーマにした展覧会を開催し、LGBTQ+を「」(カギカッコ)でくくらない、当たり前の存在になるための場所として、あらゆる「ヒト・モノ・コト」が一つの空間に集まり、社会とアートをつないでいく。そして、従来のギャラリーの常識にとらわれない、新しい可能性を模索する場所だ。

  • Things to do
  • 新宿二丁目

アナキズムがテーマのインフォショップ

「イレギュラー リズム アサイラム(Irregular Rhythm Asylum)」は、アナキズムとDIYをメインテーマに、社会運動や対抗文化に関する書籍やZINEやグッズを取り扱う店。オンラインショップと店舗があり、新宿御苑前駅から徒歩5分ほどに位置する店舗には、展示やイベントのためのスペースも併設されている。

アナキズムとDIYがメインテーマというだけあって、人種差別、クィア、フェミニズムなど、あらゆる問題に向き合える濃いラインアップだ。

BLMに関しては、逮捕者や黒人トランス女性の移動を支援するためのTシャツ、ポスターの販売や、抗議運動の歴史的、思想的背景をより深く理解するためのパンフレットの配布なども行っている。

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  • Things to do
  • 西荻窪

人と人との違いを歓迎し、排除をしない交流所

上石神井駅から徒歩15分、杉並区善福寺に位置するコミュニティスペース「Kosaten(あなたの公-差-転)」。

「すべての人を排除しない」ことを理念としており、食料に困っている人向けのパントリーや、日本在住の外国人や、外国がルーツの人たちが悩みを共有したり相談できる「ボーダークロッシング・ドロップイン・センター」などの取り組みが行われている。

2023年春、杉並エリアでの入管法改悪反対アクションには運営としても関わり、日本在住の外国人、移民、難民の救済や居場所づくりに深く関わりたいという気持ちを感じられる。

スペース運営のためのドネーションは公式ウェブサイトから。

  • ショッピング
  • 中野

中野ブロードウェイならではの品ぞろえ

サブカルチャーの聖地「中野ブロードウェイ」の中にある書店。ZINEや一般流通に乗らない書籍、グッズなどを多く取り扱い、不定期で展示やイベント開催なども行っている。

アートやサブカルチャーに関する商品が多いなか、LGBTQ+関連書籍が集められたコーナーもある。田亀源五郎著書の存在感が大きいのは、さすが中野ブロードウェイとも言うべきか。カルチャー好きに向け広く構えられた間口は足を踏み入れやすく、手に取りやすいラインアップも魅力だ。

※写真はアメリカの西海岸でLGBTQ+のためのユニークな活動に取り組むアーティスト、Jeffery Cheung企画展示の際のもの。

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  • LGBT
  • 新宿二丁目

新宿二丁目のコミュニティセンター

二丁目の情報拠点として、2003年から親しまれている「akta(アクタ)」。HIV(エイズ)をはじめとする性感染症の予防や検査、サポートなど、セクシュアルヘルスに関する情報を多く集めており、当事者からも需要の多いコミュニティセンター兼フリースペースだ。

スペースの貸し出しによりイベントや学習会もしばしば開催され、クラブイベントや店のフライヤーも多く設置しているため、気軽に立ち寄ることができる。

オンラインの情報発信にも力を入れており、YouTubeで「akta channel アクタ チャンネル」を配信するなどコンテンツも充実。aktaの活動支援の詳細は、公式ウェブサイトをチェックしよう。

コロナ禍でも学ぶ

インターネット上での買い物や情報収集にはそろそろ飽きてきた、そんな人も少なくないだろう。それでも学びを止めてはいけない。筆者も含め、オンラインとリアルに最大限アクセスして学んでいきたい。

(*1)「ストーンウォール・イン」での出来事、通称「ストーンウォールの反乱」については諸説あり。
今年で50周年「ストーンウォールの反乱」とは
プライドパレードの発祥を知ってる?今こそ知りたいプライドの歴史

(*2)2020年のニューヨーク・プライドは、パレードをはじめとするイベントが新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止した。

(*3)昨今の情勢を踏まえ、ここではあえて人種カラーの表記をした。気になった人は以下のリンクを筆頭に、彼女たちやLGBTQ+内における人種問題についても、ぜひ調べてみてほしい。
悪意なく「排除」する日本のLGBTQ運動とBlack Lives Matterの深い関わり
NY市 トランスジェンダー活動家のモニュメント建設へ
アフリカ系のLGBT活動家たちが残した功績。ストーンウォールの反乱から51年経った今

もっと学びたいと思ったら......

  • LGBT

クィアが存在するのはプライドウィークの2週間だけではない。少数派とされているLGBTQ+は、職場の同僚や友達、家族の中にも多くいる。本記事では、「いない」のではなく「いないこととされている」クィアたちの本音を「QUEER VOICE」 として発表。全国の当事者を対象にアンケートを実施し、17歳から57歳までと幅広い年齢層の41人からの回答を受けた。

前編ではアンケート結果を発表。

  • LGBT

クラブイベントには珍しく、参加者の多くが女性というパーティーが渋谷の青山蜂で開催され、話題を集めている。

「Wife/WAIFU(ワイフ)」は、「ジェンダー、セクシュアリティ、人種、年齢などにかかわらず、オープンで他者と寄り添う気持ちのあるさまざまな人が安心して楽しめるセーファースペースを、参加者とともに作り上げていくこと」をテーマに据え、トランスジェンダー女性を含めた女性を軽視するような行為、および人種差別的な行動には即刻退場を求めるポリシーを掲げている。

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  • LGBT

「LGBTフレンドリー」という言葉があるが、新宿二丁目など限られたエリアの話と感じる人も少なくないのでは。しかし、当事者にフレンドリーなスポットは東京都内のあちこちに点在している。

ここではバー、カフェ、居酒屋など、各所でLGBTQ+にゆかりのある店を紹介。どんなセクシュアリティーでもジェンダーでも、楽しめるスポットが見つかるだろう。自宅や職場の近くなど、気になる街に出かけてみよう。

  • レストラン
  • コーヒーショップ・喫茶店

温かいコーヒーを片手に、お気に入りのと向き合う時間ほど、心安らぐものはない。慌ただしく時間が過ぎていく東京だからこそ、ときには静かに本の世界に没頭できる、ブックカフェに出かけてみよう。

どの店も、本のセレクトから、メニューの質、空間のあり方まで、それぞれに工夫が凝らされている。客の居心地を考えた店づくりがなされ、帰りたくなくなるほどの居心地の良さだ。タイムアウト編集部がセレクトした25軒から、お気に入りを見つけてほしい。

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  • LGBT

言わずと知れたゲイタウン新宿二丁目。その深奥にある、とりわけディープな一角「新千鳥街」の中でブックカフェ「オカマルト」は営業している。店主の小倉東(おぐら・とう)は、ドラァグクイーン「マーガレット」の名でも知られる、日本のアンダーグラウンドなゲイシーンにおける最重要人物の一人だ。【2017年の記事】

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