[title]
5月の東京は、粋と熱気に満ちる季節を迎える。江戸の伝統を今に伝える「神田祭」や、浅草の町を神輿(みこし)が行き交う「三社祭」など、東京を代表する祭りが立て続けに開催。街には太鼓とはやしの音が響き渡り、法被姿の担ぎ手と多くの人で埋め尽くされる。
人混みが苦手な人は上野の「下谷神社大祭」や「吉原神社」の例大祭など、地域の歴史と文化にじっくり触れられる、よりディープな祭りを訪ねてみるのもいいだろう。

神田祭
日本三大祭の一つとして知られる「神田祭」が今年も開催。神田、日本橋、秋葉原、大手町など108町会の氏神であり、東京の総鎮守として知られる「神田明神」を中心にした祭りだ。2025年は本祭に当たり、特に大規模で華やかな祭礼となる。
最大の見どころは宮神輿(みこし)や山車、武者行列などが神田から秋葉原を巡行する「神幸祭」。約30キロメートルという長い距離を、平安時代の衣装をまとった人々が練り歩く。東京のど真ん中にいながら、タイムスリップしたかのような光景が広がるのは、まさに壮観だ。
そのほか、約100基の神輿が江戸っ子たちの威勢のよい掛け声とともに神田明神を目指し、次々と境内へ宮入して参拝を行う「神輿宮入」や、最終日の「例大祭」など盛大な催しが繰り広げられる。
女性だけで担ぐ「元祖女みこし」や、神田や秋葉原駅の構内を神輿が巡る珍しい場面にも注目したい。
※5月8日〜5月15日 /神田明神周辺/時間は祭事により異なる/観覧は無料

三社祭
浅草神社の例大祭「三社祭」が開催。浅草屈指の伝統行事で、東京を代表する祭りの一つだ。
初日の2025年5月16日(金)には、祭りの幕開けを飾る「大行列」が浅草の街を練り歩く。「町内神輿連合渡御」では、浅草神社を氏神として信仰する44の町会のみこし約100基が、「浅草寺」本堂の裏広場に集結。一基ずつ、掛け声とともに発進していく様子は圧巻だ。
最終日の18日(日)の早朝からは、「本社神輿 宮出し」が行われる。浅草神社に納められる3基のみこしが境内から担ぎ出される瞬間は、早起きしてでも見る価値がある。みこしは、昼から夕方にかけて各町を巡り、夜には「宮入り」を迎える。
祭りの雰囲気をさらに盛り上げるのが、浅草神社周辺に立ち並ぶ約500基もの屋台。「揚げもんじゃ」などの下町グルメを味わいたい。
浅草の町に神の力が解き放たれる特別な瞬間を、ぜひ体感してほしい。
※16日 13時〜、 17日 10時〜、18日 7時〜/浅草神社、浅草寺周辺/観覧は無料

下谷神社大祭
「下谷神社」は、奈良時代に創建された都内で最も古い稲荷神社。「下谷神社大祭」は、「下町で一番早い夏祭り」として知られ、千年以上の歴史を誇る伝統行事だ。2025年は、「本社神輿(みこし)」の盛大な渡御を行う「本祭り」に当たる。
重さ約1トンの「千貫神輿」が台東区の町を堂々と練り歩く「本社神輿渡御」は、迫力そのもの。金箔(きんぱく)をあしらった豪華な造りが目を引き、担ぎ手たちの威勢のいい掛け声が響き渡る。
期間中は約140軒もの屋台が並ぶほか、笛や太鼓のおはやし、奉納舞などの伝統芸能も披露され、地域一帯が祭りの熱気に包まれる。
都会にいながら、古き良き下町の活気に触れられる貴重な機会だ。
※5月9〜11日 時間は未定/下谷神社/観覧は無料

吉原神社 例大祭
「吉原神社」は台東区の千束に位置し、かつての「吉原遊郭」の総鎮守として創建された。厳しい環境に身を置いた遊女たちが、疫病除けや商売繁盛、無事息災を願い、心のよりどころとしていたことで知られる。
吉原神社の例大祭は、浅草神社の「三社祭」と同時に開催。見どころは、江戸時代の吉原でおおみそかに行われていた「狐舞ひ(きつねまい)」を現代によみがえらせることを目的に活動する芸能団体、「吉原狐社中」による行列だ。
さまざまなキツネの面を着け豪華な衣装に身を包んだ一団が、おはやしに合わせてゆっくりと町を練り歩く様子は、この地域の文化を感じられる光景である。女性だけで担ぐ「女神輿(みこし)」も登場し、歓楽街としての歴史を持つ吉原一帯が、力強くも華やかな雰囲気に包まれる。
遊郭文化と現代の地域の活力が融合した、吉原ならではの歴史的行事に参加してみては。
※5月17〜18日 16時〜/吉原神社/観覧は無料
関連記事
『新橋の芸者文化に着想、資生堂パーラーが和レトロなパフェとクリームソーダを限定販売』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら