PreviousNext/3 テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート ジュリアン・オピー《ゲイリー、ポップスター》1998-99年 PreviousNext/3 テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート メインビジュアル PreviousNext/3 テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート
Photo: Kaoru Hoshino | サラ・ルーカス(Sarah Lucas)『煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子II)』
Photo: Kaoru Hoshino

東京、3月から4月に行くべきアート展

個性豊かな注目の展覧会を紹介

Chikaru Yoshioka
広告

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、3月から4月に行くべきアート展

東京では、国内外のアートファンが注目するイベントが常に充実している。美術館やギャラリーでは話題の展覧会が継続的に開催され、いまの時代を映し出す多彩な表現に出合える。

厳選したアート展を紹介する東京、3月に行くべきアート展5選東京、3月に行くべき無料のアート展12選という記事も公開しているので、併せてチェックしてほしい。

関連記事
東京、2026年注目のアート展14選

  • アート
  • 渋谷

PARCO MUSEUM TOKYO」で、世界的に注目を集めるロシア人写真家のクリスティーナ・ロシュコワ(Kristina Rozhkova)による写真展「unbewitched/アンビウィッチド」が開催。自身の同名写真集の刊行を記念し、日本では2度目となる初の大規模な展示が行われる。

ロシュコワはロシアを拠点に、国際的な雑誌への寄稿や国外での写真集の発表を精力的に展開。少女や少年、恋人たち、性的少数者へと向けられる深い親密さを帯びた彼女のまなざしは、世界各国の同世代と共鳴するリアリティーとダークファンタジーを交錯させながら、世界中の読者を引きつけている。

高度経済成長以後の「アンビウィッチド(魔法が解かれた、夢から覚めた)」時代に漂うタフな現実と、それでもなお希求されるファンタジー。緊張感と親密さが共存するロシュコワの世界を体感してほしい。

  • アート
  • 谷中

SCAI THE BATHHOUSE」で、1960年代中盤から60年以上にわたり活動を続け、コンセプチュアルアートの地平を切り開いてきた美術家、ダニエル・ビュレン(Daniel Buren)の個展が開催。新作群と、会場建築や高い天井から差し込む自然光の移ろいといった環境の諸要素が共鳴し、作品と空間が相互に作用し合う構成を生み出す。

1966年にパリで結成したグループでの活動や、1960年代半ばに街路空間で行われた無許可のポスター掲示は、ビュレンの既存の美術制度に一石を投じる批評的かつ哲学的、そして挑戦的な姿勢を示してきた。

自身が「ゼロ度の絵画」と名づけた、現在も発展を続ける8.7センチメートル幅の白とカラーのストライプは、『Les Deux Plateaux(二つの台地)』(1985〜86年)、通称「ビュレンの円柱」をはじめ、場の構造を問い直すサイトスペシフィックな作品やパブリックプロジェクトの基軸として、世界各地で展開されている。

本展では、新作『Prismes et mirroirs : Haut-relief (プリズムと鏡 :高浮き彫り)』シリーズ6点を中心に構成。インダストリアル・カラー・パレットから選ばれた色彩が、「Prisme」と呼ばれる凸状の形態に施され、鏡面状の支持体上に配置される。近年、作家は「光」や「反射」といった現象へのアプローチをより深め、作品とそれが置かれる環境との関係性を考察し続けている。

かつて京都で「借景」の思想に触れ、制作概念を深化させたビュレン。国際的な活動を展開する中で国内でも数々のコミッションワークを実現してきたその実践が、再び日本の地において新たな文脈を問い直す。

広告
  • アート

新宿歌舞伎町で2026年3月15日(日)まで、「『小さな愛の物語―豆判春画の世界―』新宿歌舞伎町春画展WA 橋渡し回」が開催される。昨年、会期を延長するほど好評を博した「歌舞伎町春画展WA」の第2回に当たる「北斎・英泉 艶くらべ ー歌舞伎町花盛りー」のプレイベントだ。

本展では、江戸時代に庶民から大名まで幅広く親しまれてきた「豆判(まめばん)春画」約100点を展示。第1回に引き続き、Chim↑Pom from Smappa!Groupの林靖高がキュレーションを手がける。会場となるのは、ホストクラブの「BOND」だ。

  • アート
  • 銀座

「銀座メゾンエルメス ル フォーラム」で、アルメニア/リトアニア出身のアーティストで作曲家でもあるアンドリウス・アルチュニアン(Andrius Arutiunian)による日本初個展「Obol」が開催。ゲストキュレーターには、オルタナティブなキュラトリアル実践で注目を集める「The 5th Floor」のディレクター・岩田智哉を迎える。

アルチュニアンは、2022年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」で「アルメニアパビリオン」の代表を務めたほか、世界各地の国際展に参加し、音と時間を軸にした実践を展開してきた。音楽を「ゆがんだ時間の建築」と捉え、ヴァナキュラーな行為や思弁的儀礼、政治的同調と音の調和の関係性を探究し続けている。

本展でアルチュニアンが描き出すのは、冥界の未来的ビジョンだ。文明が神話や儀式を通じて今世と来世の生を統御してきた歴史を参照しつつ、秘教的文献や神話の断片、トランスや消失の象徴が「地下レイヴの美学」を媒介に立ち上がる。

展示は「冥界者のためのクラブ」として、時間、未来、神話を巡る問いを投げかける。作品世界に静かに身を委ねる時間となるだろう。 

広告
  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、1980年代後半~2000年代初頭のイギリス美術に焦点を当てた展覧会が開催。「テート美術館」の所蔵作品から、約60人の作家によるおよそ100点の作品を通じて、1990年代のイギリス美術の革新的な創作の軌跡を検証する。

19791990年のサッチャー政権下、失業率の悪化など社会が緊迫すイギリスでは、美術の枠組みを問い直し、実験的な表現に挑む作家たちが次々と台頭した。1988年にはダミアン・ハースト(Damien Hirst)がロンドン東部の倉庫街で「フリーズ」展を企画し、同世代の作家たちとともに新しい素材や方法を用いながら、積極的に発表の場を切り開いていく。

彼らは「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれ、その自由な活動によって、1990年代のイギリスのアートシーンは世界的に注目を集めるようになる。

本展では、ハースト、ジュリアン・オピー(Julian Opie)、ルベイナ・ヒミド(Lubaina Himid)、スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen)、トレイシー・エミン(Tracey Emin)、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)など、世界のアート史に名を刻むアーティストの作品が集結する。

UKカルチャーがあふれた黄金期の息吹。当時のイギリスで起こったアート・音楽・ファッションの革命的ムーブメントの核心を体験できるだろう。

  • アート
  • 銀座

「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」で、ポーランド出身のポスター・グラフィック作家であり、アニメーション監督、製図工、舞台デザイナー、イラストレーターの肩書も持つヤン・レニツァ(Jan Lenica19282001年)の個展が開催。ポスターやアニメーションのアートワークに加え、雑誌挿絵としての風刺画や舞台デザイン、キャラクター原画など、これまであまり紹介されることのなかった創作を一堂に紹介する。

第二次世界大戦後のポーランドでは、社会主義リアリズムに縛られない新世代アーティストが自由な表現を模索していた。その中でレニツァは斬新な表現で頭角を現し、国際的にも高い評価を受け、「ポーランド派」の旗手として知られるようになる。1966年の第1回「ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」で金賞を受賞し、日本でも広く知られるようになった。

映画や演劇のポスターで知られる一方、アニメーション制作にも意欲的に取り組み、フレーム数を制約することでコラージュのような独創的な画面を生み出した。その中を、少し毒のあるキャラクターがコミカルに動き回る。

シュールで摩訶(まか)不思議なレニツァの世界が広がる本展。ぜひ堪能してほしい。

広告
  • アート
  • 虎ノ門

「art cruise gallery by Baycrew’s(アートクルーズギャラリー バイ ベイクルーズ)」で、パリを中心に庶民の日常を捉えた作品で高い評価を受けたフランスを代表する写真家、ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)の写真展が開催。パリの街角を舞台にした代表作をはじめ、原点ともいえるパリ郊外の風景、同時代を生きた芸術家たちの肖像、子どもたちなど、モダンプリントから精選した約40点を紹介する。

「イメージの釣り人」と称される鋭い洞察力で、日常に潜む小さなドラマをすくい上げてきたドアノー。その作品群は、生来の不服従の精神とユーモアに彩られ、「ドアノー劇場」と呼ぶべき独自の世界を形作っている。

徹底した性善説に基づく人間への愛情、尽きることのない好奇心が生み出す忍耐と視線、そして写真表現への実験精神。そうした姿勢が、20世紀という「写真の世紀」を映し出す数々の名作を生み出した。生涯「自分は芸術家ではない」と語り続けたヒューマニズムの写真家が残した一枚一枚は、写真というメディアの可能性を今もなお静かに問いかけている。

  • アート
  • 京橋

「アーティゾン美術館」で、語りの場をテーマにした展覧会「カタリウム」が開催。国宝2点、重要文化財7点、重要美術品5点を含む約56点の作品が集結する。

「カタリウム」とは、「語り」と空間を意味する「-arium」を組み合わせた造語。作り手が作品に込めた思いを語る瞬間や、アトリエで思索を深める画家の独白、さらには作品を前にした鑑賞者の感想まで、作品を前に展開する語りに耳を傾け、その場をイメージしている。

会場には、今村紫紅による「山幸海幸」の神話を題材にした屏風や油彩、日本画のほか、ベン・シャーン(Ben Shahn)の版画集が並ぶ。さらに、因陀羅の『禅機図断簡』や『鳥獣戯画断簡』など、かつては一巻の巻物だった作品の断簡も紹介される。

中でも注目したいのが、徳川時代に「天下祭」として栄えた「日枝神社山王祭」を描いた『江戸天下祭図屛風』。1998年にその存在が明らかになった、謎に包まれた一作だ。また、重要文化財の『平治物語絵巻 常盤巻』は、2年にわたる修復を経て公開される。

時代もジャンルも異なる作品が織り成す、にぎやかな「語りの場」。作品同士、そして鑑賞者との間に生まれる声に、ぜひ耳を傾けてみてほしい。

広告
  • アート
  • 丸の内

宇宙から地球へと飛来する星のかけら「隕石(いんせき)」は、約45億6700万年前に始まった太陽系の誕生と、その後の天体進化の歴史を今に伝えるタイムカプセルだ。「インターメディアテク」で開催の特別展示「メテオラプソディ – 隕石探査」では、隕石がどこから来たのか、どのような姿をしているのか、そして我々にどんな太陽系の物語を語りかけてくれるのかを、実物標本の展示を通してひもといていく。

会場では、希少で貴重な研究試料である隕石が、どのように採集されてきたのかにも目を向ける。世界で最も多くの隕石が見つかっている南極での探査映像に加え、「国立極地研究所」から借用した南極隕石の実物標本を展示する。

また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2」が回収した小惑星・リュウグウの試料と、米国航空宇宙局(NASA)の「オシリス・レックス」が採取した小惑星・ベヌーの試料を、期間限定で特別公開。研究過程で得られた画像や映像も併せて紹介し、科学的発見がどのように導き出されるのかを可視化していく。

さらに、研究から生まれるこれらのメディアが持つ造形的な美しさにも着目し、映像・光・音を用いた実験的な演出を試みる。科学と感性が交差する場で、太陽系の壮大な物語に触れる特別な時間を味わってほしい。

  • アート
  • 原宿

革新的なアイデアと作品によって、アート・建築・デザインの領域に刺激と影響を与え続けた20世紀を代表するアーティスト、ドナルド・ジャッド(Donald Judd、1928~1994年)。1970年代、彼はメキシコ国境にほど近いテキサス州マーファを拠点とし、町に残る建物を生活と制作の場として再生した。

そこで自身の作品をはじめ、ダン・フレイヴィン(Dan Flavin)、ジョン・チェンバレン(John Chamberlain)、イリヤ・カバコフ(Ilya Kabakov)らの作品を恒久的に展示するため、チナティ財団を設立。アート・建築・土地の融合と調和を目指したその空間は、半世紀を経た現在も、意図された姿のままマーファに存在し続けている。

「ワタリウム美術館」で開催される本展「ジャッド|マーファ 展」では、1950年代の初期絵画から、196090年代にかけての立体作品を紹介するとともに、マーファに残された空間について、ドローイングや図面、映像、各種資料を通して多角的に読み解いていく。そこから浮かび上がるのは、展示を「その場限りのパフォーマンスにしてはならない」という、アートと展示空間の完全性を巡るジャッドの揺るぎない信念だ。

さらに、ワタリウム美術館の創設者・和多利志津子が1978年にジャッドを日本へ招聘(しょうへい)し、開催した「ジャッド展」の貴重なドキュメントを紹介するコーナー展示も設けられる。

生涯を通して、アートと芸術表現の重要性について訴え続けたジャッド。その思考と実践を改めて見つめ直す機会となるだろう。

広告
  • アート
  • 目黒

1920年代のパリと1950年代以降のニューヨーク、そして1935年からは目黒区自由が丘にアトリエを構え、国内外で創作活動を展開した画家・岡田謙三(19021982年)。その画風は、これら3つの都市での経験を通して形作られていった。「目黒区美術館」では、地域ゆかりの芸術家でもある岡田の個展が開催される。

1924年に渡仏した岡田は、第一次世界大戦後、世界中から芸術家が集い活気に満ちていたパリで多くの刺激を受ける。1927年の帰国後は、戦前から戦後へと移り変わる時代の中で、それまでの技巧や様式から距離を取り、新たな表現を模索する実験的な制作を重ねていった。

1950年に渡米すると、ニューヨークで抽象表現主義の画家たちと交流しながら、淡い色面を重ねる独自の抽象表現を確立。平穏でありながら力強さをたたえたその画風は、パリ、ニューヨーク、目黒での長年の試行錯誤の結晶といえる。

本展は、3つの都市での経験を軸に、具象から抽象へと移り変わる岡田の画業をたどるもの。2メートルを超える大作をはじめ、画材や素材、コラージュやフロッタージュなどのエスキース、さらに交流関係を伝える写真資料なども展示され、岡田の人物像と制作の現場に迫る内容となっている。

  • アート
  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、ポーラ美術振興財団の助成による若手芸術家の在外研修を修了したアーティストを紹介する展覧会「ポーラ ミュージアム アネックス展 2026」が前後期に分けて開催。本展は、研修成果を発表するとともに、アーティストの今後の制作活動につなげることを目的として毎年実施されている。

2026年3月15日(日)までの前期展「文様のその先」では、中平美紗子、林樹里、松延総司の作品を通し、素材や技法、空間といった異なる領域に向き合う表現に着目。「文様」を単なる装飾としてではなく、繰り返しや痕跡、抽象といった思考の形として捉え直し、現代の文脈で再構築される文様の現在を提示する。

3月20日(金)からの後期展「存在の境界」では、ウチダリナ、黒田恵枝、敷地理が、人間存在の根源に横たわる「生と死」という問いを出発点に、工芸、造形、身体表現など多様な表現領域を横断。各アーティストの実践を通して、存在の不確かさや境界の揺らぎを静かに浮かび上がらせ、現代美術における死生観の多様な側面へと観る者を導く。

鑑賞者それぞれの視点で、作品との対話を楽しんでほしい。

広告
  • アート
  • 丸の内

岡山県生まれの大西茂(19281994年)は、北海道大学で数学を研究する傍ら、位相数学(トポロジー)を応用した独自の創造を追求した作家である。「東京ステーションギャラリー」では、日本の美術館として初となる大西の回顧展を開催。数学・写真・絵画を横断する思索と創作によって、戦後日本美術の鬼才として国際的に活躍した彼の全貌を紹介する。

会場では、現存する千点以上の写真と絵画から傑作を厳選して展示。併せて、数学研究の遺稿など、大西のもう一つの表現を示す貴重な資料も並ぶ。

見どころの一つは、リアリズムやジャーナリズムが主流だった時代に生まれた、自己流の「規格外」の写真表現だ。多重露光やソラリゼーション(白黒反転)、沸騰した現像液の不均一な塗布などを組み合わせた交錯したイメージは、彼の数学研究に通じる「超無限」を直観させるビジュアルを生み出す。ドイツ発の「主観主義写真」の潮流とも呼応し、その先鋭的な表現は高く評価された。

また、戦後日本が躍動を始めた1950年代に発表された墨の抽象画も圧巻である。ミシェル・タピエ(Michel Tapié)が提唱した「アンフォルメル」の潮流が日本美術界を席巻する中、大西がひそかに取り組んでいた絵画はタピエに見いだされ、同時代の評論家たちを驚かせた。縦横無尽にうねる線は、観る者を圧倒する力を持つ。

今回は、長辺23メートルの大作も複数登場する。集散する墨の形象が生み出す無限の広がりの中へ、体ごと引き込まれるような体験が味わえるだろう。

  • アート
  • 上野

1880年ごろ、スウェーデンの若い芸術家たちは、フランスで人間や自然をありのままに表現する「レアリスム」を学んだ。帰国後、彼らは自国のアイデンティティーを表現するため、自身の感情や叙情性を重視した独自の表現を築く。

「東京都美術館」で開催される「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」は、1880年代から1915年にかけてのスウェーデン美術黄金期の絵画に特化した展覧会。国民的画家のカール・ラーション(Carl Larsson)や、劇作家としても知られるアウグスト・ストリンドベリ(August Strindbergなどを含んだ約80点の作品を通して、自然とともに豊かに生きる北欧ならではの感性に迫る。

出品作品は全て、スウェーデン人作家によるもの。「自然」「光」「日常のかがやき」をキーワードに、厳しくも豊かな自然や、日常への暖かなまなざしが感じられるだろう。

広告
  • アート
  • 表参道

GYRE GALLERY(ジャイル ギャラリー)」で、ロンドンとポルトガルを拠点に活動し、数々の受賞歴を持つアーティスト、ザドック・ベン=デイヴィッド(Zadok Ben-David)の展覧会開催。大型インスタレーションや映像、新作アルミニウム彫刻など、異なる時期の作品が同じ空間に集まることで、作品間の関連性や繰り返される主題、意図の変化が浮かび上がる。

人類の本質や進化にまつわるテーマを探求するベン=デイヴィッドは、詩的で幻想的と評される作風の中で、ミニチュア作品から大規模なインスタレーションまで制作を続ける。金属素材を用いることが多く、粗野な素材感とそこから生まれる繊細な錯視効果との対比が特徴だ。

彼が選び取る自然界のモチーフは、人間の心理や行動を象徴する。人類はしばしば、自分が自然の一部であり、地球に生かされている存在だということを忘れがちである。本展の映像作品は全て終わりのないループで、残忍な物語や無益な戦争、人類の自滅的行為が繰り返される様を映し出す。

さらに、多くの作品は相反する2つの性質の間で揺れ動く。例えば『The Other Side of Midnight』では、暗闇の中で美しく照らされたチョウの群れが鑑賞者を引き寄せるが、作品の裏側にはゴキブリや甲虫の群れが現れる。同じ羽を持つ虫でありながら、喜びと嫌悪という正反対の感情を呼び起こすことで、人が互いの表面しか見ないことに気づかされる。

個々の作品は単体でも成立するが、空間に集められることでベン=デイヴィッドの表現の発展という新たな物語が立ち現れる。鑑賞者は作品群の中に新しい意味を見いだし、自然界における自身の立場を問い直すことになるだろう。

  • アート
  • 丸の内

「三菱一号館美術館」で、「トワイライト、新版画小林清親から川瀬巴水まで」が開催される。

最後の浮世絵師の一人と呼ばれる小林清親が1876年に開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画に大きな変革をもたらした。たそがれ時の表情や闇にきらめく光を描いた作品群は「光線画」と呼ばれ、深い陰影によって江戸の情緒を鮮やかに捉えている。

この視点は、失われゆく江戸の面影を惜しむ人々の感傷や、それを記録しようとする写真の意欲とも重なっている。一方で、文明開化によって変貌していく都市を楽天的に描いた開化絵とは、一線を画す表現でもあった。

明治末期に浮世絵の復興を目指したこの新版画は、技術だけでなく清親らが画面にとどめようとした情趣を引き継ぎ、新たな日本の風景を切り開いていった。本展では、清親から吉田博・川瀬巴水に至る風景版画の流れを、「スミソニアン国立アジア美術館」の「ミュラー・コレクション」を通してたどる。

見どころは、アメリカ建国250周年記念の年に里帰りしたコレクション、明治期の視覚を変革した写真と伝統的浮世絵の関わり、そして清親が見せた浮世絵最後の輝きとその継承だ。作品を通して、時代の空気を感じ取ってほしい。

広告
  • アート
  • 六本木

SCAI PIRAMIDE」で、「アルフレド・ジャー 和田礼治郎」が開催。本展では、崩れかけた世界の臨界で活動する2人のアーティストが、明晰(めいせき)でありながら破綻の気配を帯びる不安定な構成の中で出合う。

アルフレド・ジャー(Alfredo Jaar)は、政治的な危機が生み出す情報の偏りや不均衡をミニマルな視覚言語に翻訳し、隠された権力構造を浮かび上がらせる写真家・アーティストとして知られている。一方の和田礼治郎は、オブジェの腐敗や衝突など、形が崩れ変容するプロセスを作品に取り込み、環境を静かに揺さぶる彫刻的な場として提示する。

ギャラリー空間に静かに浮かび上がるのは、ジャーのネオン作品『TONIGHT NO POETRY WILL SERVE』や、1987年の「ドクメンタ」で発表した初期作品を基に本展のために再構成された新作『1+1+1+1』。さらに和田の新作『PORTAL』は、風景や光学、エントロピーへの持続的な関心を背景に、その彫刻的構成によって見慣れた世界の輪郭を静かに解体していく。

ジャーの政治的ミニマリズムと和田の形而上(けいじじょう)的な物質性が交差する本展は、世界を捉え、想像しようとする我々の思考の在り方を改めて見つめ直す機会となるだろう。

  • アート
  • 清澄

 「東京都現代美術館」で、宇宙や量子をテーマにサイエンスとアートが交差する企画展が開催。科学者による宇宙研究の成果や、宇宙を題材としたアーティストの作品に加え、国産量子コンピューターによる初のアート作品など、「時と空間」が揺らぐ量子領域に挑む多様な表現の可能性を紹介する。

本展は、「2025年日本国際博覧会」で「量子的なセンス」の重要性を提示した「エンタングル・モーメント[量子・海・宇宙]×芸術」展の試みを継承するもの。宇宙開発が切り開く「物理的宇宙」にとどまらず、多元宇宙や量子宇宙といった新たな世界観を、アートとサイエンスの視点から考察していく。

また、芸術を含む人文社会科学の視点から宇宙を捉える試みとして、国内外の研究機関によるアーティスト・イン・レジデンスの成果を紹介。宇宙や量子研究に基づくデータの可視化・可聴化を用いたダイナミックな映像インスタレーションをはじめ、メタバースやゲーム形式の作品、XR(クロスリアリティ)展示、絶えず変化するインフィニティ空間、ミューオンやニュートリノを身近に感じさせる体験など、多層的な展示が展開される。

参加作家は落合陽一、久保田晃弘+QIQB、平川紀道、ARTSATプロジェクト、古澤龍、江渡浩一郎+アラレグミ、アンリアレイジ、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)/天文仮想研究所(VSP) /東京藝術大学など。ぜひ足を運んでほしい。

広告
  • アート
  • 初台

東京オペラシティ アートギャラリー」で、チリ出身でニューヨークを拠点に国際的に活躍する作家、アルフレド・ジャー(Alfredo Jaar)の個展「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」が開催。大型作品をはじめ、1970年代の初期作品から代表作、本展のための新作が出品される。

1980年代、ニューヨークの都市空間に介入する『Rushes』や『アメリカのためのロゴ』で注目を集めたジャー。1986年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」、1987年の「ドクメンタ」の両方に招待された初のラテンアメリカ出身作家となった。以来、社会の不均衡や世界各地で起きる地政学的な出来事に対する繊細な視点と、真摯(しんし)な調査に基づく作品で知られている。

作品は写真、映像、建築的なスケールの立体作品と多様なメディアにわたり、身体的体験を伴うインスタレーションが特徴。誰かを糾弾するのではなく、世界を検証する詩的なモデルを作り出す。

ジャーの一貫した姿勢は、戦争や不平等といった悲劇から日常の問題まで、私たちの前にある現実を静かに、しかし力強く突きつける。善悪は単純に割り切れず、時に反転し、遠い国の惨事にも私たちが関与している可能性があること。こうした実践が評価され、2018年には「美術の分野で人類の平和に貢献した作家」を顕彰する「ヒロシマ賞」を受賞している。

なぜ、世界の諸問題を題材とした作品を作り続けているのか。作家が半生を振り返りながら構成した本展は、鑑賞者一人一人が世界と自身、そしてアートの力と向き合う機会となるだろう。

  • アート
  • 渋谷

「東京都渋谷公園通りギャラリー」で、「ふれあうやきもの」展が開催。国内4つの福祉施設で「やきもの」の制作にさまざまな形で関わる7人の作り手による作品を、「粘土とふれあう」「人とふれあう」という2つの視点から紹介する。

会場には、花瓶やつぼといった実用的な器から、「ガネーシャ」や動物をかたどった造形作品、オブジェ的な作品まで、個性豊かな陶芸作品62点が集結。福祉施設で制作を行う5人の作家と、その活動を支える2人の陶芸家による多彩な表現が並ぶ。

また、本展のために新たに撮影した特別映像も限定公開。作家インタビューや制作過程を通して、やきものが生まれる背景や、人との関わりが丁寧に紹介される。

さらに、出展作家の植田佳奈による公開制作を交流スペースで実施。象嵌(ぞうがん)の技法を用いて多彩な質感を生み出す制作の現場を間近で見ることができるほか、アーティストトークや、植田と吉成洋平による「さわれる作品」の展示も予定されている。

広告
  • アート

横浜のベイエリアに、没入型アートミュージアムTHE MOVEUM YOKOHAMA(ザ ムービアム ヨコハマ)」が、2026年3月31日(火)までの期間限定で誕生した。

かつて倉庫として使われていた天井高約10メートル、広さ約1800平方メートルの巨大空間を舞台に、オーストリアを代表する二大巨匠、グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)とエゴン・シーレ(Egon Schiele)による絵画の世界の一部になったかのような没入体験ができる。

  • アート
  • 六本木

「浅草寺」で人々の肖像を捉えた膨大なシリーズ「PERSONA」で知られる、写真家の鬼海弘雄(1945〜2020年)。鬼海は、プロの写真家として世に名を馳せる以前の1976年に、歌舞伎役者の五代目坂東玉三郎を写した。「フジフイルム スクエア」では、その貴重なビンテージプリントと厳選されたモダンプリントの計25点が、初公開される。

1976年、玉三郎が26歳、鬼海は31歳。歌舞伎役者として既に不動の名声を獲得していた玉三郎は、精力的に西洋の古典や近代劇に取り組み、舞台人としてさらなる地平を切り開いていた。プリントは長い間封印されていたが、病床の鬼海が再びそれらと向き合い、サインを施したのは撮影から実に40年を経てのことだった。

本展では、今もなおその名演が語り継がれる「マクベス夫人」や、三島由紀夫の『近代能楽集』における若き玉三郎の姿を堪能できる。そして鬼海の代名詞である「PERSONA」に至るビジョンを探り、その魅力を再発見していく。

広告
  • アート
  • 六本木

3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する「六本木クロッシング」は、2004年以来「森美術館」で共同キュレーション形式により開催されている定点観測的な展覧会。今回は、国際的に活躍するアジアのゲストキュレーターを迎え、「時間」をテーマに、国籍を問わず日本で活動する、または日本にルーツを持ち海外で活動するアーティスト全21組を紹介する。

出展作品には、絵画・彫刻・映像・工芸、手芸・ZINE、さらにはコミュニティープロジェクトも含まれる。桑田卓郎の色彩鮮やかな大型の陶芸作品や、自身の声や環境音を用いて作品を制作する細井美裕の新作サウンドピース、沖潤子の抽象画のような刺繍(ししゅう)作品など、100点を超える多様で多彩な表現が一堂に会する。

また、多くのアーティストが新作を発表。A.A.Murakamiによる、AIが記述したオペレーティングシステムによって機能する、シャボン玉を用いた大型の新作インスタレーションのほか、廣直高の新作絵画と彫刻作品、和田礼治郎の彫刻、マヤ・ワタナベの映像などの作品が揃う。

会場では、木原共のAIゲーム作品のプレイ体験や、宮田明日鹿による「出張手芸部」への参加など、多様な体験が用意されている。アメフラシはわらじ作りなど伝統産業の継承プロジェクトを紹介し、北澤潤はろうけつ染めのワークショップを実施。会期最終日には、鑑賞者がズガ・コーサクとクリ・エイトの作品パーツを持ち帰ることもできる。

本展の副題「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」が示すのは、時間の貴さとはかなさ。各作品に現れるさまざまな時間の交差を通して、日本のアートを多角的に見つめ直していく。

  • アート
  • 清澄

「東京都現代美術館」で、「開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト/中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー」が開催。戦後美術を中心に近代から現代に至る約6000点に及ぶコレクションの中から、新収蔵を軸に、作家たちの活動に光を当てる。

1階では、収蔵作家の森村泰昌、さらに架空の画家に擬態して制作するユアサエボシ、変顔などの自画像をコミュニケーションツールと捉えて描く松井えり菜の3人を、借用作品も交えて特別に構成。またミヤギフトシ、横山裕一、開発好明、豊嶋康子、郭徳俊、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)ら多様な作家による作品が並ぶ。

3階では、中西夏之と池内晶子を特集。中西の1960年前後から晩年までの絵画作品を新収蔵作品や借用作品を交えて紹介することで、その画業を見つめ直す。また、絹糸を素材として空間における見えない力や動き、広がりを可視化するインスタレーションで知られる池内の現地制作により、新収蔵作品を中心に初展示する。

出品作家は、池内晶子、開発好明、郭徳俊、豊嶋康子、中西夏之、松井えり菜、南川史門、ミヤギフトシ、森村泰昌、ユアサエボシ、横山裕一、アンディ・ウォーホルらを予定している。

なお、18歳以下は3月1日(日)~4月2日(木)の期間、無料で鑑賞できる。

広告
  • アート
  • 品川

ジョニー・デップ(Johnny Depp)の没入型アート展「A Bunch of Stuff - Tokyo」が、「NEWoMan 高輪」のSouth2階「"+Base 0"で開催。映画や音楽で知られる前からの創作活動を反映したスケッチ、絵画、シルクスクリーンなど100点以上の作品と貴重な私物が、東京で初公開される。

来場者は、デップのアトリエの雰囲気を再現した没入型空間で、映画のような音響やアニメーションに包まれながら彼の創造世界を楽しめる。また、ユニークなカフェ&バーや日本限定グッズ、コラボレーション商品を揃えたショップも見逃せない。

さらにブラックボックス体験では、デップ本人のナレーションによる360度ショートフィルムが公開。ハリウッドで最も変幻自在な俳優の一人として知られるデップの創造的思考と人生を垣間見る、忘れられない体験ができるだろう。

  • アート
  • 清澄

ソル・ルウィット(Sol LeWitt、1928〜2007年)は1960年代後半、作品の物質的な側面よりも、それを生み出すアイデアやプロセスを重視する芸術の動きに「コンセプチュアル・アート」という呼称を与え、その後の実践に多大な影響を与えた。「東京都現代美術館」で開催される本展では、ウォールドローイング、立体・平面作品、アーティストブックなど、彼の広範な仕事を検証していく。

中でも、ルウィットの文章や図面による指示を元に、作家以外の手で制作されるウォールドローイングは、1968年の初発表以来、代表作として知られてきた。本展ではその中から6点を展示し、広々とした空間の中でアーティストのアイデアを体感できる。

また、ルウィットは自らの思考を多くの人と共有するために、アーティストブックを作品として制作し続けた。会場では、それらの書籍群を通して思考の軌跡をたどっていく。

なお、3月1日(日)~4月2日(木)の期間、18歳以下は無料で鑑賞できる。日本の公立美術館における初の個展となる本展を、見逃さないように。

広告
  • アート
  • 銀座

この秋、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」の中央に位置する吹き抜け空間に、イギリスを代表する世界的な現代美術家のジュリアン・オピー(Julian Opie)の最新作「Marathon. Women.」が登場。同空間初の「動き」のある本作は、作家自身にとっても初めての、「宙に浮かぶ」映像の大型インスタレーションとなる意欲作だ。

シンプルな表現で伝統的モチーフを描くスタイルが、アート界だけでなく広いカルチャーシーンでも高く評価されるオピー。本作は、空間に浮かぶように設置されたLEDサイネージを舞台に、カラフルでシンプルな線で描かれたランナーたちの姿がそれぞれのスピードで駆け抜けていく。

展示環境そのものに強い関心を持ったオピーが、にぎやかな空間において意味を持ち、かつ自然に溶け込むような作品を目指して制作した。スクリーン上を果てしなく走り続ける動きを、4フロアから多角的に鑑賞できる。

なお、展示期間は2026年秋までを予定している。「走る」という人間の本能的な動きが空間全体に浸透し、圧倒的な躍動感と没入感をもたらすだろう。

もっとアート散歩をするなら……

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

広告

ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

おすすめ
    最新ニュース