デュエット――アジアン・コンテンポラリー
Courtesy the artist and WHITE SPACE | ワン・トゥオ《Smoke and Fire》2018年 シングルチャンネル4Kヴィデオ 作家蔵
Courtesy the artist and WHITE SPACE

東京、9月に行くべきアート展5選

台湾美術からルネサンス、路上芸術まで

Chikaru Yoshioka
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2026年9月の東京では、時代や国境を越えて多彩なアートに出合える展覧会が揃う。日本とアジアの現代表現、路上の表現、ルーヴル美術館の名品からひもとくルネサンス、暮らしを彩る北欧デザインまで、その切り口もさまざま。秋の気配が漂い始める街へ出て、美術館で新たな表現との出合いを楽しもう。

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「国立新美術館」で、15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ各地で隆盛したルネサンス美術の本質に触れる展覧会が開催。「ルーヴル美術館」のコレクションから選び抜かれた50点余りの作品を通して、「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」という4つのテーマから、その豊かで複雑な芸術の魅力に迫る。

中でも注目は、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)の傑作『女性の肖像』、通称『美しきフェロニエール』。真筆とされる作品が約15点しか現存しない中、ルーヴル美術館が所蔵する5点のうちの一つで、今回が日本初公開だ。最新の研究成果を踏まえ、その背景や表現上の特徴を紹介する。

また、サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)、エル・グレコ(El Greco)ら巨匠の作品に加え木版画や銅版画、ブロンズ彫刻、陶器、タペストリーなど多彩な作品も並ぶ。

ルネサンス美術の真髄を味わえる貴重な機会を逃さないように。

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「東京都現代美術館」で、「共時的星叢―時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」が開催。日本統治期を含む近代の台湾と日本を、美術・映画・文芸・音楽・演劇など多様な芸術文化を通して見つめ直す。

映画監督のホアン・ヤーリー(黄亜歴)は、1930年代の台湾で結成されたモダニズム詩社「風車詩社」を題材にした映画『日曜日の散歩者』を手がけた。本展では、彼をゲストキュレーターに迎え、同作に通じるモンタージュ的な手法を展示空間へ展開する。

台湾の15館以上の美術館・博物館などから集めた近代美術作品約200点、資料約500点に、日本の作品約100点を加え、時代や地域、ジャンルを横断する関係性を浮かび上がらせる。近代の台湾美術を考える上で重要な作家が参加し、この規模で台湾近代美術を日本で紹介する初の機会だ。

空間設計は、台湾の建築ユニット「UxU Studio」が担当。反射する素材や複雑な動線を取り入れた空間の中で、近代の作品や資料を単なる過去としてではなく、現在の視点から捉え直す。

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「東京都写真美術館」で、中国と日本の現代写真・映像作品を展示する「デュエット――アジアン・コンテンポラリー」が開催。中国の写真文化を国内外に発信する、北京の「三影堂厦門撮影芸術中心」のテン・チンユン(滕青云)が東京都写真美術館の共同企画だ。

会場では、中国からワン・トゥオ(王拓)、スイ・タカ(塔可)、ルオ・ヤン(罗洋)、ジャン・ポンイー(蒋鹏奕)、日本からは村越としや、fumiko imano6人を紹介。震災前後の福島、歴史、若者、移民、古典詩、蛍の光、セルフポートレイトなど、多様な視点から土地と時間、自己と他者、写真というメディウムそのものを見つめる作品が並ぶ。「デュエット」の名の通り、異なる文化や経験を背景とする作品同士の対話と響き合いが本展の大きな魅力となる。

また、中国を代表する写真評論家のグウ・ゼン(顧錚)と、テンを迎える国際シンポジウムなど関連イベントも予定されている。

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「渋谷区立松濤美術館」で、「路上」をキーワードに、現代の公共性について考える展覧会が開催。かつて寺社の門前や宿場町などに存在した自由な空間「公界(くがい)」から、現代の路上まで、その歴史や文化的な実践をたどる。

路上は、自由な表現や交流が生まれる一方、排除や不安定さも抱える場所。本展では、そうした「自由」と「邪魔」が共存する空間の在り方を、現代美術や歴史資料、公園の遊具、銭湯、大道芸など多彩な切り口から紹介する。路上を「共有された土地(Shared ground)」と捉え、遊びや表現、逸脱によって変化し続けるその姿を7つのセクションに分けてひもとく。

また、1986年に赤瀬川原平や藤森照信らによって結成された「路上観察学会」の発足40周年を契機に、同会の活動にも焦点を当てる。同会は、都市の中で偶然生まれた風景や状況にユーモアを見いだし、開発による都市の均質化を批評してきた。

そのほか、鈴木康広、ギリヤーク尼ヶ崎、ChimPom from Smappa!Group、山田脩二、迫川尚子、児玉房子、ダニエル・エヴェレット(Daniel Everett)、銭湯山車巡行部、GROUPも出展する。

路上は誰のものか――。過去の実践を手がかりに、現代の都市と公共性を見つめ直す。批評とユーモアの喧騒にあふれた、路上芸術に出合ってほしい。

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「スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」が、「世田谷美術館」で開催。スウェーデン在住の個人コレクター、サラ・アクステイリウス(Sara Axtelius)が所蔵するビンテージテキスタイルのコレクションを中心に、約200点もの貴重な作品と関連資料が揃う。

北欧の厳しい自然環境の中で育まれたスウェーデンの織物文化は、羊毛や麻など身近な素材を生かした手仕事が礎となった。20世紀には伝統的な技術とモダンデザインが融合することで、世界的にも評価されるテキスタイルへと発展していった歩みを持つ。

本展ではスウェーデンの織物文化の知られざる魅力を、モチーフ、デザイナー、暮らしとの関わりという3つの視点からひもといていく。中にはチキ・マットソンの『ニッポン』のような日本をモチーフにした作品や、日本人アーティストの宇都宮琴音によるコラボレーション作品も展示。日本の美意識との「対話」も見応えがあるだろう。

どこか懐かしくも、新鮮な魅力を放つ布たちが織り成す物語を楽しんでみては。

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