時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
奈良美智《Agent Orange》 2006年 アクリル/カンヴァス 162.5 × 162.5 cm 個人蔵 © NARA Yoshitomo, 2025 | 「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」
奈良美智《Agent Orange》 2006年 アクリル/カンヴァス 162.5 × 162.5 cm 個人蔵 © NARA Yoshitomo, 2025

東京、9月に行くべきアート展5選

日本で生まれた美術表現、革新性を持つハイジュエリー、奥深いインド更紗など

Chikaru Yoshioka
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東京のアートは、この9月も静かに熱い。

「国立新美術館」では、19892010年の日本で生まれた美術表現にフォーカスした展覧会が開催。時代を揺らした空気感、美術表現のうねりを再構築するようなラインアップに注目したい。一方、アール・デコ100周年を祝う「ヴァン クリーフ&アーペル」の展示では、ハイジュエリーが織りなす、優雅で挑戦的な世界に魅了されるだろう。「観る」を超えて、アートと交差する9月が始まる。

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平成が始まった1989年から2010年。冷戦の終結とグローバル化の進展により、国際的な対話が広がりを見せた20年間に、日本ではどのような美術が生まれ、どのような表現が世界へと発信されたのか。数多くの実験的挑戦は、時代、社会の動向を取り込むプリズムとなって、さまざまな問いかけを含んだ作品へと反射されていった。


「国立新美術館」では、国内外50以上のアーティストの実践を通して、その多様な表現の軌跡をたどり、そして検証する展覧会が開催される。香港にあるアジアの現代視覚文化のグローバルミュージアムエム プラス(M+)」との協働キュレーションにより、ナショナリティとーいう枠を越えた批評的な視座が提示され、日本で生まれた美術表現を多層的に読み直す。

経済的繁栄によって国際社会で知名度が高まる日本をプラットフォームに、社会構造の変化を反映する新たな表現が生まれた約20年間。本展では、相次ぐ美術館の開館やオルタナティブスペースの興隆、アーティスト・イン・レジデンスや芸術祭の活況といった、美術を支える土壌が豊かになる中でどのような作品が生まれてきたかを追う。

また、日本を起点に核や戦後の問題と向き合う作品、他者との関係を通じアイデンティティを問う試み、コミュニティーの中で新たな関係性を構築するプロジェクトなど、日本のアートシーンを彩った革新的な表現にも光を当てていく。

「戦争の記憶に向き合い読み直す視点」「ジェンダー、ナショナリティ、日本文化の再解釈」「共同体や新しい関係性の可能性を探る」といったテーマにより、鑑賞者は複数の視点を横断的に体験できるだろう。

時代のリアリティーを映し出す美術表現を垣間見よう。

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ヴァン クリーフ&アーペル」のハイジュエリーを通じて、アール・デコ博覧会の100周年を祝う展覧会「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ」が、「東京都庭園美術館」で開催。アール・デコの輝きに浸る、詩情と革新をまとったハイジュエリーが白金台に咲き誇る。

舞台は、アール・デコ様式の粋を今に伝える「旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)」。約250点にも及ぶジュエリー、時計、工芸品の中には、1925年にパリで開催された「現代装飾美術·産業美術国際博覧会(通称 アール·デコ博覧会)」でグランプリを受賞した『絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット』も登場する。本館では、1910年代から1930年代にかけて制作されたアール・デコ期の作品たちが、時代を超えて観る者の心を照らすだろう。

新館では、現代まで受け継がれる「サヴォアフェール(匠の技)」にも注目。見どころの一つは、ヴァン クリーフ&アーペルが1933年に特許を取得した「ミステリーセット」と呼ばれる宝飾技法で、石を留める爪を表に見せずに宝石の滑らかな質感を実現している。5つの庭園を巡るように動植物モチーフの繊細な作品が幻想的な世界をつくり出す。

フラットデーとして全ての人が安心して楽しめる環境づくりのため、入場制限を行っており、2025年10月22日(水)は「ゆったり鑑賞日」を実施。また、11月5日(水)の10〜15時には、ベビーカーでの入館が可能な「ベビーアワー」も行う。チケットは全日程において日時指定予約制なので、詳細は公式ウェブサイトを確認してほしい。 


なお、11月21日(金)・22日(土)・28日(金)・29日(土)、12月5日(金)・6日(土)は20時まで開館している。

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「ワットミュージアム(WHAT MUSEUM)」で、現代日本の絵画におけるリアリズムを牽引(けんいん)する画家、諏訪敦の大規模個展が開催。ヌードと頭蓋骨を組み合わせた初期の傑作、亡き人々を遺族からの依頼で描いた肖像画、自身の家族を見つめたシリーズなど、代表作から最新作まで約80点を通し、画業の変遷を多角的に紹介する。

コロナ禍以降、「人間を描きたいという気持ちを失ってしまった」と語る諏訪。大型絵画の『汀にて』は、新型コロナウイルス感染拡大で、モデルを使った対面の制作ができなくなった諏訪が、家族を介護しながら自宅アトリエで進めてきた静物画研究の集大成だ。古い骨格標本、プラスター、外壁充填材などアトリエで見いだした材料でブリコラージュした人型が描かれている。

また、『汀にて』の制作過程に密着し、記録したドキュメンタリー映像を上映。アトリエの風景や、諏訪の緻密な作画プロセスを美しい映像で鑑賞できる。

さらに、芥川賞作家の藤野可織が、制作に没頭する諏訪のアトリエを度々訪問し、その絵の印象を元に掌編小説を書き下ろした。小説はハンドアウトに印刷して鑑賞者に配布。諏訪が「死んで静まっているもの」と語る静物画たちがどんな物語となるのか、絵画と文芸のコラボレーションに期待したい。

肖像画家が再び人間を描けるようになるまでの、克服の過程を開示する本展。「見ること、描くこと」を己に厳しく問い続けてきた諏訪の、現在進行形の思索と創造を目撃してほしい。

9月の予定を立てるなら……

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六本木の「森アーツセンターギャラリー」で、2026年3月1日(日)まで開催中の「マチュピチュ展」は、古代インカ帝国のアンデスの世界観に深く入り込める没入型の展示。会場に足を踏み入れた瞬間、静かな神殿に迷い込んだような薄暗さと、祈りの気配を帯びた空気に包まれる。

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2025年も師走を迎えた。多彩なジャンルの舞台が繰り広げられるが、バレエではクリスマスイブの夜に起きる物語を描いた『くるみ割り人形』が定番。今年は、新国立劇場バレエ団が、新制作版を上演する。

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2026年3月1日(日)まで開催の「ワニ」展は、「熱川バナナワニ園」の特別協力の下で「国立科学博物館」が主催する、初めての爬虫(はちゅう)類の企画展。今回、爬虫類の中でもなぜワニが選ばれたのかは、展示を見れば伝わってくるだろう。誰もが知っているワニの真実はほとんどの人が知らなかったのかもしれないと、その魅力にハマりそうになったので、本記事で紹介したい。

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ジャック・スパロウ、ウィリー・ウォンカ、エドワード・シザーハンズなど、個性豊かなキャラクターを自在に演じ分けるだけでなく、俳優・プロデューサー・ミュージシャンとしてもさまざまな才能を発揮するジョニー・デップ(Johnny Depp)。そんな彼が、俳優として名が知られる以前から絵画を制作し続けてきたことを知っているだろうか。

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