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東京、9月にリバイバル上映される映画5選

『蘇える金狼』『アメリ』『ターミネーター』など、あの名作をスクリーンで再び

Mari Hiratsuka
Rikimaru Yamatsuka
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Mari Hiratsuka
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Rikimaru Yamatsuka
蘇える金狼
『蘇える金狼』
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2025年9月に公開されるリバイバル上映は、映画館の大スクリーンに映えるものばかりが揃った。松田優作のカッコよさを骨身に味わう『蘇る金狼』、多幸感に満ちた映像感覚の『アメリ』、1960年代ミュージカル映画の革命的傑作『シェルブールの雨傘』、「ザ・80年代」なローテク特撮が楽しい『ターミネーター』など、目にも耳にも楽しい名作がめじろ押しなのである。

夏の終わりを惜しみながら、ヤバい映画でハイになろう。ぜひ解説を参考に、映画館へ繰り出してほしい。

『アメリ』(2001年)

アメリ
Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

公開当時、「観る人みんなが幸せになる!」とか言って社会現象レベルでヒットした、おしゃれ風カルト映画の名作。内気で想像力豊かなコミュ障のカフェ店員・アメリがなんやかんやで恋に落ちる、というストーリーを聞けばよくありそうな話に思える。しかし、エグい下ネタやブラックユーモアがちりばめられたキモ怖い展開と、非常におしゃれな衣装や音楽、ファンタジックで温かみのある映像質感が混じり合った、ものすごくポップで変な映画である。

そして、このたび「アップリンク吉祥寺」で、この変な映画を観ながらみんなで編み物をするという変なイベントが開催決定。9月18日(木)19時からデジタルリマスター版を限定上映する。普通の映画館では暗くて編めないため、特別に照明を少し明るくして上映するとのことだ。

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『蘇える金狼』(1979年)

蘇える金狼
『蘇える金狼』

「七三メガネ」のダメリーマンの裏の顔は、知的で非情な犯罪者だった! 

松田優作がいかにカッコいい男なのかをこれでもかと見せつけてくる、至福の130分。言わずと知れた伝説的ハードボイルドアクションの傑作であり、サスペンスフルな長回しや早朝の銀座を駆け抜ける赤いランボルギーニなど見どころは沢山ある。

しかしなんと言っても、本作の魅力は松田に尽きる。その異様に長い手足から繰り出される一挙手一投足は、カッコよすぎてもはや「ウケる」の次元に達しており、画面に松田が映っているだけでワクワクする。紛れもない不世出のムービースターである。

名カメラマン・仙元誠三による、青みがかった映像美も超クールだ。上映は、35mmフィルムで上映する「SAION Film Collection」プログラムの一作であり、会場となる「109シネマズプレミアム新宿」の音響監修は坂本龍一。極上のハードボイルドを、極上の映像と音響で体感せよ。

109シネマズプレミアム新宿」で9月19日(金)~10月2日(木)限定上映。9月26日(金)には、「松田優作ナイト」として本作のほか、『野獣死すべし』(1980年)『人間の証明』(1978年)が併映される。

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『シェルブールの雨傘』(1964年)

シェルブールの雨傘
(C)Ciné-Tamaris 1993

フランス映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランのドキュメンタリー映画公開を記念して、ルグランとヌーヴェルバーグ左岸派監督ジャック・ドゥミがタッグを組んだ映画群のレトロスペクティブ上映が決定した。

本作はカトリーヌ・ドヌーヴの出世作となった傑作ミュージカルで、俳優のセリフをすべて歌で表現し、音楽がストーリーを牽引し展開してゆくという演出は今見るだに斬新だ。自動車修理工の青年ギイと傘屋の娘ジュリビエーブの可憐な恋が、戦争によって引き裂かれてゆくという悲痛なラヴストーリーはきわめて王道ながら、普遍的な訴求性がある。カワイイが爆裂する美術や衣装など、スウィンギンポップな感覚も素晴らしい。

そのほか、ミュージカル作『ロシュフォールの恋人たち』(1967年)と『ロバと王女』(1970年)も再上映される。

新宿武蔵野館」「恵比寿ガーデンシネマ」ほかで、9月19日(金)から全国順次上映。

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『狂い咲きサンダーロード』(1980年)

Photograph: Third Window Films
Photograph: Third Window Films

伝説のアナーキー映画がスクリーンにカムバック!! 近未来の架空都市「サンダーロード」を舞台に、暴走族と右翼団体に闘いを挑む孤高のアウトサイダーの疾走と激闘を描くヴァイオレンスムービーで、北野武やクエンティン・タランティーノにも多大な影響を与えた超傑作だ。

大槻ケンヂのエッセイによれば、当時若干23歳だった監督の石井聰互(現・石井岳龍)は当時TVでどんな作品なのか尋ねられた際「ひとりの男がツッパリ通す映画です」とぶっきらぼうに答えたというが、まさしくそういう作品である。全編にわたり、無軌道なエネルギーが爆発しまくっている。

泉谷しげるによるサイバーパンクな舞台美術&劇中歌は鬼カッコいいし、ザ・モッズやPANTA&HALによる劇伴も素晴らしい。

シネマート新宿」で現在公開中のほか、「シネマ・ジャック&ベティ」でも9月13日(土)から上映される。

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『ターミネーター』(1984年)

ターミネーター 4Kレストア版
『ターミネーター 4Kレストア版』

ジェームズ・キャメロンの代表作、そしてアーノルド・シュワルツェネッガーの出世作である1980年代SFアクションの金字塔が、公開40周年を記念して4Kレストア版でスクリーンにカムバック。

平凡な女学生のもとに未来からイケメンが現れて、マッチョな殺人ロボットと死闘を繰り広げるという明快なストーリーラインの、いかに力強いことか。演技力が終わっていたシュワルツェネッガーを「寡黙な殺人ロボット」とすることで全ての問題をクリアしてみせた、キャスティングの妙もアッパレだ。

続編を重ねるごとにどんどん陳腐な大作アクション映画と化していったシリーズだが、本作は当時一世を風靡したスラッシャーホラーの側面が強い。ウサン臭い特殊メイクや禍々しいストップモーションアニメなど、もはや現在では珍しい手法を使いまくったローテク特撮は、昨今の超ハイクオリティーなCGに慣れきった目からすると逆に超新鮮である。

ヒューマントラストシネマ渋谷新宿武蔵野館ほかで9月26日(金)から全国順次上映。

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