マチュピチュ展
マチュピチュ展 <シドニー会場での展示の様子>2024年 ©MUSEO LARCO LIMA - PERU
マチュピチュ展 <シドニー会場での展示の様子>2024年 ©MUSEO LARCO LIMA - PERU

東京、11月に行くべきアート展5選

デザインから建築、古代文明まで──多彩な創造が交差する秋

Chikaru Yoshioka
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芸術の秋、東京の美術館ではジャンルを越えた表現が一堂に集まる。独自の世界観でファッションと暮らしを結ぶ「ミナ ペルホネン」の大規模展、建築界の巨匠・磯崎新の思想をたどる大回顧展、そして神秘の古代都市「マチュピチュ」の遺産をひもとく展覧会など、多様なアートが街を彩る。

ジャンルも時代も超えて響き合う、東京のアートシーンの今を感じよう。

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  • アート
  • 用賀

2025年に創設30周年を迎えた、ファッションテキスタイルブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」は、「特別な日常着」をテーマに、時をかけて愛される服を生み出してきた。デザイナーの皆川明が掲げる「せめて100年つづくブランド」という言葉には、服を長く慈しみ、暮らしの中で育てていくという思いが込められている。

デザインから素材、染、織、刺しゅう、縫製に至るまで、全てが職人との対話から生まれる。手仕事のぬくもりと時間の深みが織り重なり、その服をまとうことは、言葉を超えて心を通わせる体験でもある。

「世田谷美術館」で開催される展覧会「つぐ minä perhonen」は、「つぐ」をテーマに、ブランドが歩んできた時間と思いを新たな形で伝える試みだ。水面に広がる波紋のように、皆川が落とした一滴が人や手仕事をつなぎ、新たな創造へと波を広げていく。

minä perhonenが紡いできた「つぐ」の軌跡をたどりながら、未来へと続く物づくりの在り方を感じ取ることができるだろう。

  • アート
  • 六本木

「森アーツセンターギャラリー」で「マチュピチュ展」が開催される。ペルー政府公認の下、首都・リマにあり、世界的にも有名な考古学博物館「ラルコ博物館」から約130点の文化財が来日。ペルー国外初公開となる王族の黄金装飾や儀式具など、貴重な至宝が一堂に集結する。

世界各地で高い評価を得てきた本展は、アジア初開催。古代アンデス文明の英知と美を伝える展示のほか、世界遺産「マチュピチュ」を再現した没入型空間、神話の英雄「アイ・アパエック」を軸にした壮大な物語の紹介など、多層的な体験が楽しめる。

アンデスの神秘が東京で息づく本展。かつてない知的冒険へと誘うだろう。

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  • アート

建築家・磯崎新(19312022年)の没後、国内初となる大規模回顧展が開催。 自身が設計した「水戸芸術館」を舞台に、建築の枠を超えた磯崎の活動を俯瞰(ふかん)的に紹介する。

磯崎は20世紀を代表する革新的な建築家の一人で、2019年には「プリツカー賞」を受賞。建築プロジェクトや都市計画に限らず、著作活動、芸術家や知識人とのコラボレーション、さらにはキュレトリアルワークを通じ、60年以上にわたり思想・美術・文化論・批評分野においても卓越した地位を確立した。

「群島としての建築」と題した本展では、決して単一の領域に留まらない磯崎の活動を「群島」の様に構成「都市」「建築」「建築物」「フラックス・ストラクチャー」「テンタティブ・フォーム」「建築外(美術)」をキーワードに、建築模型・図面・スケッチ・インスタレーション・映像・版画・水彩画などのメディアを通じて磯崎の軌跡をたどる。

建築を媒介に世界の構造そのものを問い続けた磯崎の歩みを、水戸芸術館という彼自身の建築空間の中で再発見する本展。ぜひ足を運んでほしい。

  • アート
  • 六本木

戦後のデザイン史を切り開いた6人の巨匠の思考と実践をたどる企画展「デザインの先生」が、「21_21 DESIGN SIGHT(トゥーワン トゥーワン デザインサイト)」で開催される。 

ブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari、1907〜1998年)、マックス・ビル(1908〜1994年)、アキッレ・カスティリオーニAchille Castiglioni、1918〜2002年)、オトル・アイヒャー(Otl Aicher、1922〜1991年)、エンツォ・マーリEnzo Mari、1932〜2020年)、ディーター・ラムスDieter Rams、1932年〜)の仕事や制作プロセス、そして残された言葉や映像を紹介する。

会場では、DRAWING AND MANUALの菱川勢一による映像インスタレーションを展開。6人が自ら語る貴重な映像を元に構成され、とりわけアイヒャーに関する未公開映像は見逃せない。

また、彼らの代表作やプロダクト、活動資料を展示するほか、ムナーリ、カスティリオーニ、マーリが手がけたイタリアのインテリアブランド「DANESE」の創業の理念にも迫る。さらに、ビルやアイヒャーが関わったウルム造形大学、そしてその思想を日本に継承し、デザイン教育の礎を築いた向井周太郎の功績も紹介していく。

好奇心と探究心にあふれた6人の「デザインの先生」たち。その思想と創造の軌跡を通して、未来へと続くデザインの可能性を感じ取ることができるだろう。

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  • アート
  • 鎌倉

現代美術家の若江漢字は、1970年代のドイツ滞在をきっかけにヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys19211986年)の思想と芸術に深く共鳴した。以来、ボイスとの交流を通じて、ボイス作品をはじめとする現代美術の収集と展示など、自らの創作活動と並行して芸術と社会を結ぶ活動を続けてきた。

「神奈川県立近代美術館」で開催される「若江漢字とヨーゼフ・ボイス 撮影されたボイスの記録、そして共振」では、若江が1982年の「ドクメンタ7」で至近距離から撮影したボイスのアクションや、1984年のボイス来日時の姿など、希少なドキュメント写真を多数公開。多くが初公開となるこれらの写真は、歴史的証言であると同時に、若江の作家としての視点をも伝える。

また、若江の初期作品から最新のインスタレーションまでを、若江が設立した「カスヤの森現代美術館」が所蔵するボイスのマルティプル作品、そして若江撮影のボイスの記録写真とともに紹介。若江とボイスの造形の軌跡を概観する貴重な機会を見逃さないように。

11月の予定を立てるなら......

  • Things to do

本記事では、2025年11・12月に開催される本にまつわるイベントを7つ紹介。閉館後の「代官山 蔦屋書店」で新作のクラフトビール片手に非日常的な読書体験ができるイベントや、イタリアのブックカルチャーをはじめ国内外のアートブックが集う祭典、アジア最大級のデザインフェスなど、個性的なイベントが盛りだくさん。

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  • Things to do

心地よい秋風を浴びながら、宝探しや魅力的なグルメを堪能するのはどうだろう。2025年10月から11月にかけて、東京では個性あふれるマーケットイベントがめじろ押しだ。東京ならではのカルチャーが交わるマルシェやビンテージ好きにはたまらない蚤の市など、新しい出合いを探しに行こう。

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