豊受大神宮
Photo: Keisuke Tanigawa|豊受大神宮

伊勢で過ごす24時間

早朝参拝やとろける海の幸、超ディープスポットの散策など、伊勢の魅力を堪能

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
広告

「一生に一度はお伊勢さん」と、江戸時代に庶民の憧れともいわれたお伊勢参り。伊勢が憧れの地であることは今も変わらず、現在も多くの人が訪れる人気の観光地だ。

神宮参拝をはじめ、とろけるような海の幸やソウルフード、名酒場のハシゴ、江戸時代に建てられた蔵を活用した超ディープスポットなど、この地でしか体験できないことは山ほどあるが、ここでは、伊勢の魅力を24時間で堪能できるルートにして提案する。

途中で内宮エリアと河崎エリアに向かうコースを設けたり、少し早めに夕食がとれるスポットを紹介したりと、ルートの中でもさまざまな選択肢を用意しているので「ちょっとだけ伊勢に立ち寄る」というシーンでも参考にしてもらえたらうれしい。

伊勢の旅をもっと便利に楽しみたい人は、タイムアウト東京のLINE公式アカウント『Desika:伊勢でしか』の「友だち追加」も忘れずにしておこう。

伊勢での一日は「豊受大神宮(外宮)」への参拝から始めよう。朝の5時から参拝することができ、凛(りん)と澄んだ空気の中での早朝参拝はきっと忘れられない体験になるはずだ。

豊受大神宮から「皇大神宮(内宮エリア)」へと向かう人は、その前に「とげつ堂」に立ち寄るといい。朝の6時から営業する老舗ベーカリーで、あんこを使ったデザート系のパンや、のりと卵を挟んだ和テイストのサンドイッチなど、商品の幅広さも魅力の一つだ。

Photo: Kisa Toyoshima|とげつ堂

しっかりと朝食をとりたい人は、外宮参道に店を構える「ココット山下」や「あそらの茶屋」へ。ココット山下では薬膳のエッセンスもある「朝ごはん(事前予約制)」を、あそらの茶屋では「御饌(みけ)の朝かゆ」を味わうことができる。

外宮参道で朝食をとった人はそのまま少し散策してみよう。「伊勢角屋麦酒 外宮前店」のビールと「若松屋 外宮前店」のかまぼこで朝から乾杯したり、伊勢菊一」で今の自分に必要な神話に出合えるおみくじ「神話占合」を引いたり、「外宮参道ギャラリー」で神々しい神宮の森の姿を写真で堪能したり、早い時間帯から楽しめるヴェニューが多くあるのだ。

Photo: Kisa Toyoshima|伊勢菊一の「神話占合」

中でも全国各地にファンがいる「パン屋 麦」のハード系パンは、パン好き必見。店内には奥で焼き上げたばかりのパンが所狭しと並ぶが、地元のリピーターが買い求め、あっという間に品薄になることも多い。売り切れ次第閉店となるので、早めに店を訪れるのがいい。

皇大神宮へと向かった人は、参拝後に「おかげ横丁」や「おはらい町」を巡ってみるのがおすすめ。ローカル感の強い伊勢市駅周辺とは異なる観光気分が楽しめる。

一味違った伊勢土産を購入したい人は、おはらい町にある「藤屋窓月堂 本店」を訪れてみよう。同店と「三重県立美術館」内にあるフレンチレストラン「ミュゼボンヴィヴァン」のシェフ・出口直希がコラボレーションした「干し無花果のどらエピス」は、スパイシーさが感じられるどら焼き。斬新ながらもどこか懐かしい新感覚な一品だ。

Photo: Keisuke Tanigawa|藤屋窓月堂 本店の「干し無花果のどらエピス」

外宮参道の散策を楽しんだ人は、街を流れる水運を利用し、江戸時代には「伊勢の台所」としての役割も果たした河崎エリアへと繰り出そう。伊勢市駅からは歩いて10分ほどの距離だが、また違った雰囲気が楽しめるスポットで、妻入りの町屋や蔵が1キロメートルにわたって並ぶ通りを歩けば、まるでタイムスリップしたような気分になる。

河崎エリアのアイコン的存在である「古本屋ぽらん」や、江戸時代に建てられた蔵でディープな体験ができる「和具屋」、昔ながらの蔵を生かした茶房「河崎蔵」、アメリカを中心に買い付けた良質なビンテージアイテムをそろえた「クエリ」はぜひ立ち寄りたいおすすめスポット。特に、古本屋ぽらんで良書に出合い、河崎蔵で読書する流れは最高のルートだ。

Photo: Kisa Toyoshima|古本屋ぽらんの看板猫・こまち

ランチはやはり「この土地ならでは」のものを楽しみたい。食を通してその土地のカルチャーも満喫したければ、「伊勢の3大ソウルフード」と呼ばれる「まんぷく食堂」の「からあげ丼」、「喫茶モリ」の「特製スパゲティ(通称モリスパ)」、「キッチン クック」の「ドライカレー」の制覇を目指してみるのもいいだろう。

伊勢うどんでおすすめしたいのは「ちとせ」と「駒鳥食堂」。「真っ黒なうどん」で有名なちとせは、創業時のままの味を守り通している一軒で、久々に故郷を訪れた人が涙ぐむほど、伊勢出身者には懐かしい味を提供している。駒鳥食堂は何度訪れても食べ飽きないようにと豊富なバリエーションの伊勢うどんを用意しており、変わり種も多い。ベーシックと進化系、それぞれの伊勢うどんを食べ比べてみるのも面白い。

Photo: Kisa Toyoshima|ちとせの「肉月見伊勢うどん」

少しディープに、老舗伊勢うどんの店ながら昔ながらのラーメンやカツカレー、オムライスなども人気を集める「つたや」を訪れるのもいいかもしれない。

もし「伊勢の憧れの店」ともいえる「ぎょうざの美鈴」を訪れる場合は、その向かいにある「酒のあおき」の存在も覚えておこう。きっと多くの人は行列覚悟で美鈴を訪れると思うが、待ち時間さえも楽しんでしまうのがローカル流。「酒のあおき」で購入した酒を角打ち気分で飲みながら、行列が落ち着くのを待つ地元民も多いのだそうだ。

Photo: Kisa Toyoshima|酒のあおき

ちなみに、ぎょうざの美鈴は1巡目が食べ終わった16時ごろが穴場になることが多いそう。酒のあおきでは三重県の地酒も多くラインアップしているので、伊勢土産を探しにくるのもおすすめである。

広告

夕方

街散策で歩き疲れたら、個性が感じられるカフェやノスタルジックにくつろげる喫茶店でほっと一息。特集記事「伊勢、居心地最高なカフェ&喫茶店ガイド」を参考に、お気に入りのスポットを見つけておこう。

もし、少し早めに夕食をとりたいという人には、次の2店舗をおすすめしたい。電車の関係で早く帰らなくてはいけない場合でも、最後においしいご飯を食べれば身も心もきっと満たされるはずだ。

まずは、1926年創業の老舗うなぎ店「いな妻」。白飯にたれを混ぜ込んだまぶしご飯、通称「伊勢まぶし」という、伊勢スタイルでうなぎを楽しめる一軒である。

Photo: Kisa Toyoshima|いな妻の「うな重」

もう一つは、味噌や醤油の老舗醸造元「こうじや」が運営する「蔵deらーめん」。「伊勢味噌味噌漬けあぶりチャーシュー麺」は、「こうじや」の豆味噌に漬け込んだ豚肉を提供直前に火であぶったチャーシューが主役の一杯で、アオサが伊勢らしい名脇役となっている。

昼飲みの聖地「一月家」は14時から元気に営業中だが、16〜17時ごろから伊勢の夜はじわじわとにぎやかになっていく。名酒場が多い伊勢市駅周辺。人気の店は事前に予約をしておかないと入れない場合もあるので、「伊勢、朝からハシゴしたい乾杯スポット16選」を参考にしっかりと計画を練っておくのが得策だ。

アルコールが苦手で、どちらかというと料理をしっかり楽しみたいという人は、コース料理が楽しめる店を予約しておくのもいいかもしれない。

名産・伊勢肉の炉窯焼きステーキを堪能できる「伊勢 福多亭」や、国の登録有形文化財(建造物)である旧電話局「旧山田郵便局電話分室」の一角に店を構えるフレンチレストラン「ボン ヴィヴァン」、伊勢という豊かな土地で育った食材の魅力を存分に堪能できるビストロ「伊勢創作ビストロ ミルポワ」、じっくり丁寧に火入れがされた焼き鳥の食感に大感動間違いなしの「にかわ」など、コースの選択肢も多くある。

Photo: Kisa Toyoshima|伊勢 福多亭

伊勢 福多亭ではソムリエ厳選のワインも楽しめるので、ワイン好きはぜひペアリングで。また、コースの提供はないが豊受大神宮近くのイタリアン「クッカーニャ・ドゥーエ」も、カキやアオサ、伊勢エビなど、鳥羽湾近辺で獲れた海の幸をパスタやピザで楽しめる一軒として覚えておきたい。

広告

夜も更けたら

伊勢の夜はそこまで長くない。うまい酒と料理を存分に楽しんだら、早めに宿へ向かうのもありだ。伊勢市駅周辺にはビジネスホテルも点在するが、滞在先にも趣を求めるのなら「星出館」を予約しておこう。2021年には登録有形文化財にも登録された純和風旅館で、木造建築の美しさを体感できる。

Photo: Keisuke Tanigawa|バー ヒロの旬の果物を使ったカクテル

どうしてももう1杯飲みたいという人は、旬の果物を使ったカクテルに定評がある「バー ヒロ」へ。26時まで営業しているので、このエリアで仕事を終えてから駆け込む人も多いのだとか。そして、営業時間は25時までだが、駅前にある「アマミリビング」も最後に立ち寄りやすい一軒。バーテンダー自身が育てたという大葉やハーブを用いた一杯など、研究熱心なカクテルで締めるのも最高だ。

伊勢の魅力をもっと体感するなら

広告
おすすめ
    関連情報
    関連情報
    広告