伊勢 朔日参り
Photo: Time Out Tokyo

伊勢、「朔日参り」でしかできない5のこと

赤福の「朔日餅」や早朝から楽しむ散策など、毎月1日だけの特別な体験

テキスト:
Shiori Kotaki
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毎年、初詣に出向く人は多いと思うが、「朔日(ついたち)参り」というものを知っているだろうか。朔日参りとは、毎月1日に神社を訪れ、この1カ月を無事に過ごせたことへの感謝と、新しい月も穏やかに過ごせますようにという祈りを氏神様に伝える古くからの風習だ。

この風習は今も全国的に残っているが、朔日参りの日に、多くの店が特別に早朝から営業し、大きなにぎわいをみせる「皇大神宮(内宮)」手前の「おかげ横丁」と「おはらい町」の取り組みは、ぜひ一度体験したいもの。ここでは「おかげ横丁」でのコンテンツを中心に、「伊勢神宮(※)」の朔日参りでしかできない5つのことを紹介する。

「日本国民の総氏神」とも崇められ、太陽にもたとえられる女神「天照大御神」をまつるのが皇大神宮。参拝では日々の感謝を伝え、おかげ横丁では、毎月1日にだけ用意される特別なメニューを堪能しよう。

※ほかの神宮と区別をするために地名を付けているが、正式な名称は「神宮」。

1. 新しい月は笑って迎える。
Photo: Time Out Tokyo

1. 新しい月は笑って迎える。

伊勢神宮で朔日参りをする場合、地元の人でない限り現地への前乗りは必須だ。明日に備えてホテルで体力を温存するのもありだが、せっかくならば、前日から年末年始のようなお祭り感を楽しみたい。

「みそか寄席」は、「てこね寿し」を提供する「すし久」の2階で、毎月末日の「みそか」に開催されている落語会。三重県松阪市出身の落語家・桂文我を中心に、若手の噺家(はなしか)も多く出演し、毎回笑いのひとときを届けている。

開催は19時からと、21時30分からの回の2部制で、定員は各回30人。チケット料金や前売り券の購入方法などについては、おかげ横丁の公式ウェブサイト内で確認可能だ。すし久は江戸時代に建てられた一軒で、その木造建築も美しい。風情あふれる空間で、「通好み」ともいわれる寄席を体験してみてはどうだろう。

2. 年に一度の餅を手に入れる。
画像提供:株式会社赤福

2. 年に一度の餅を手に入れる。

赤福ファンであれば、「朔日餅(ついたちもち)」を手に入れぬわけにはいかない。朔日餅とは、朔日参りの参拝客をもてなすために「赤福」が1978年から提供を始めた、毎月1日限定(1月は除く)で販売する季節の餅のことだ。4月は「さくら餅」、8月は「八朔粟餅」、10月は「栗餅」といったように、毎月違った「朔日餅」が用意されるので、まさに「年に1度だけ出合える味」なのである。

早朝販売は本店のみ。本店前では、前日の17時から夜通し整理券の配布を行い、整理券に記載の時間に店を訪れて商品を購入する仕組みとなっている(商品が完売すると、整理券を持っていても購入できないので注意)。すし久と赤福本店は徒歩1分の距離。前日の「みそか寄席」から楽しむ場合は、その前後で整理券を手に入れておくのがおすすめだ。

朔日餅のイートインのみ希望の場合は、整理券の受け取りは不要で、来店した順に案内される。

おかげ横丁内にある土産物店「神路屋」「徳力富吉郎版画館」では、朔日餅の毎月異なる包装紙の絵柄を用いた手ぬぐいを販売しているので(毎月1日は朝の5時に開店)、こちらも併せてチェックしよう。

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3. 朔日参り限定の朝がゆで温まる。
画像提供:株式会社 伊勢福

3. 朔日参り限定の朝がゆで温まる。

毎月1日、おかげ横丁の多くの店は朝の5時から営業を始める。夜が完全に空ける前から散策を楽しむ非日常的な体験はもちろんのこと、朔日参り限定で味わえる人気店の朝ごはんは必食だ。

例えば、「みそか寄席」の会場にもなるすし久では、毎月「朔日粥」を提供。朔日餅と同じように、8月は「あなご粥」、12月は「冬至粥」と、旬の食材を用いながら月ごとにメニューを変えて提供している。4時30分から整理券の配布がスタートし、朔日粥の提供は5時から。人気の月は、整理券を入手していないと朔日粥を味わうことはできない。

朔日粥や「朝そば」をはじめとした「朔日メニュー」を提供する店はおかげ横丁内に約10店舗ある。整理券を導入していたり、直接店に並ぶスタイルだったり、順番待ちや提供のシステムは店によって異なるが、1日が土・日曜に当たると朝の3時30分ごろから店の前に人が並び出すこともあるとのこと。確実に味わいたい人は気合いを入れていこう。

なお、朔日メニューを出している店や、各店舗で味わえるメニューの内容は、おかげ横丁入り口にある「招き猫の石像」付近に設置された看板で確認することができる。

4. 余白を持って参拝する。
Photo: Time Out Tokyo

4. 余白を持って参拝する。

本来であれば、まず初めに皇大神宮で感謝を伝えるべきなのだが、あえておかげ横丁後に訪れることをおすすめしたい。というのも、「6時に朝がゆを食べに行かなくては」「7時に朔日餅を買いに行かなくては」といったことのないように、時間からは解放された状態で、ゆっくりと参拝と散策をしてほしいからだ。

凛(りん)と澄んだ空気で深呼吸をしたり、川の音を聞いたり、森の香りで季節を感じたり、朝の時間帯ならではの柔らかな光が水面や森の木々に差し込む様子を眺めたりと、立ち止まる時間があるからこそ見えてくるものは多くある。皇大神宮を回るには最低でも1時間は必要だが、正直、1時間だとかなり駆け足になってしまうので、気持ちを新たにする1日は、ぜひ自分の中にも余裕と余白を持って参拝に訪れてほしい。

皇大神宮は、1日に限らずいつでも朝5時から参拝できるが、朔日参りの日は、運が良ければ正装をした神馬が神前へ参拝に向かう様子を見ることができる。

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5. 深い夜にする。
画像提供:朔日バル

5. 深い夜にする。

まだまだ楽しみたいという人は、伊勢市駅エリアに移動して「朔日バル」に参加しよう。「朔日バル」とは、毎月1日(1月は除く)の夜にマイグラスを持って、伊勢市駅周辺ではしご酒を楽しむイベントだ。

参加費用は、ドリンクチケット3枚とマイグラス1個が付いて1,000円(税込み)。受付場所となる「アマミリビング」でチケットを購入し、マイグラスを受け取ったら気になる酒場へと出発だ。参加店舗はその月によって変わり、時には地酒店などがゲスト出店することも。詳細はInstagramアカウントでアナウンスされている。

アットホームな雰囲気のイベントなので、ソロ参加でも居心地がいい。もし、乾杯を入り口に隣り合った人と仲を深めたのなら、「伊勢、朝からハシゴしたい乾杯スポット15選」を参考に、伊勢市駅周辺の深い夜へとともに羽ばたいてみるのもいいだろう。

朔日参りから「朔日バル」までの間の仮眠は必須。この日は、伊勢市駅周辺に宿を押さえておくことをおすすめする。

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