1. 書店をハイクする。


1階の「知の渓谷」は、中心へ向かってすり鉢状に書棚が並ぶ立体的な空間だ。場所によって視界の抜け方が変わり、谷を歩くように店内を巡れる。雑誌、旅行ガイド、文芸、辞書、洋書、古書まで、歩くほどに視界がにぎやかになる。

タイムアウト東京 > ショッピング&スタイル > 三省堂書店 神田神保町本店でしかできない5のこと
本の街・神保町に戻ってきた「三省堂書店神田神保町本店」は、ただ本を買うための場所ではない。この店がおもしろいのは、書店でありながら図書館のような顔つきも持っていることだ。低めの書棚、腰掛けられるスペース、橋のデッドスペースを生かした推薦本のデスク。どれも、急いで買って帰るためではなく、なんとなく滞在し、視線を泳がせるための設計に見える。代表取締役所長の亀井崇雄による「何も買わなくていいので来てほしい」という言葉も象徴的だ。
図書館は、誰にでも開かれた知のインフラである。一方で書店は、商いの場所であり、編集された棚を通じて欲しいものを見つける場所でもある。この新本店は、その二つの性格を横断している。無料で入れて、長居ができ、偶然の出合いがある。一方で、選書には店の個性があり、グッズやカフェ、ジャンプショップ、イベントが本との接点を広げていく。つまりここは、図書館のように開かれながら、書店らしく欲望を刺激する場所なのだ。新本店で体験したい、5つのことを紹介する。


1階の「知の渓谷」は、中心へ向かってすり鉢状に書棚が並ぶ立体的な空間だ。場所によって視界の抜け方が変わり、谷を歩くように店内を巡れる。雑誌、旅行ガイド、文芸、辞書、洋書、古書まで、歩くほどに視界がにぎやかになる。


2階も、奥の棚まで見えやすい角度で書棚が配置されており、目的買いだけで終わらない。


棚の間には「没入キャビン」と呼ばれる小さな腰掛けスペースがあり、本を手に取ったまま少し立ち止まれる。さらに2階の「探求の洞窟」は、柱や建物の形に合わせて本棚が折れ曲がるように続き、自然と本に集中しやすい。派手ではないが、ふっと外界から意識を切り離せる場所として貴重だ。


多くの情報がネットやメディアで代替できるようになったため、文芸や人文、コミックといった情緒的な棚の選書を強め、検索ではなく偶然性に価値を置いた。


2階には雑貨店「神保町いちのいち」を併設。仮店舗でも人気を集めた「ほんのたね」などのオリジナルアイテムをはじめ、新ブランド「OASISEND(オアシスエンド)」として、文明堂とのコラボレーションによる「はじまりの一頁カステラ」や、北千住にあるブルワリー「さかづきBrewing」と開発したクラフトビール、コーヒーなど、読書時間の延長にあるようなアイテムが並ぶ。
文具やTシャツ、作家が手がけたラベルのクラフトジンまで揃い、神保町らしい趣味の深さを感じさせる。




3階の「喫茶ちそう」は、「神保町ブックセンター」の姉妹店。歩き疲れた時に立ち寄りたい一角だ。名物は、本の形をした「ミルクレープ」(1,600円、税込み)。層の間にはホワイトチョコレートのしおりが挟まれ、オレンジピールとピスタチオもきいている。ミルクレープといえば、神保町にやけに多いドトールが有名だが、この場所で味わう一皿には、書店内カフェならではの情緒がある。




4階の「THE ジャンプショップ 神保町」には400点以上のグッズが並ぶ。『週刊少年ジャンプ』がぴたりと入るサコッシュや、ジャンプサイズのスケッチブックなど、雑誌そのものをモチーフにしたアイテムが面白い。
『ドラゴンボール』から『SAKAMOTO DAYS』『カグラバチ』まで新旧の人気作をカバーし、老舗中華料理店「新世界菜館」と『ONE PIECE』デザインのコラボTシャツといった、神保町らしい商品も見逃せない。




このほか、著名人が選書を紹介するコーナー「ガイドの机」や、店の歩みをたどれる歴史ギャラリー、約30人規模のイベントスペースも用意する。「散歩の達人」とコラボレーションした「神保町神田界隈のみんなで作るMAP」では、来店者が好きな店や自分の拠点を書き込める。
買い物のためだけでなく、街を歩く途中にふらりと入りたくなる。神保町の今を映す、新しい拠点になりそうだ。
東京の知識人が何世代にもわたって集ってきた地、神保町。ここは歴史ある大学街であり、ビブリオマニアにとっての楽園だ。約130軒の古書店があり、そのほとんどが低層のやや年季の入った雑居ビルに入居し、昔ながらの喫茶店やカレー店と建物を共有している。
新しい学生たちが絶え間なく流入することで、エネルギッシュな底流が生まれており、過去と現在が鮮やかに息づいている街でもある。路地裏には、新しいタイプの親密なミュージックバー、本格的なインドカレー店、クールなカフェ、独立系書店が次々と登場し、デジタル生活の不安や絶え間ないペースに対する理想的な癒やしのように感じられる場所に、新たな層を加えている。
「タイムアウト」は「世界で最もクールな街ランキング」の2025年度版では、この神保町が第1位に選ばれるという快挙を成し遂げた。ここでは、そんな神保町の中で、英語編集部がセレクトした訪れてほしい場所を紹介しよう。これが神保町の究極ガイドだ。
世界一の古書街で知られる神保町は、「カレーの街」としても名を響かせている。実に400軒以上もの店で、カレーが食べられるという。この街がなぜカレーの聖地に成りえたのか、確たる証拠があるわけではないが、名店の誕生がカレーの店を次々と呼び寄せたと考えられている。
さらに2011年からは「神田カレーグランプリ」が開催されるようになって人気となり、神保町=カレーが定着していった。
そして、現在も新しい店が誕生するなど、神保町のカレー熱は冷めていない。タイムアウトが選ぶ2025年の「世界で最もクールな街」で1位に選ばれ、注目が集まる今、以前ご紹介した「神保町、カレーの名店」をアップデートしてここにお届けする。
神保町のカレーの代名詞ともいえる「欧風カレー」からスープカレー、スリランカ・バングラデシュ、「中華カレー」まで、カレー巡礼の旅に出かけよう。
タイムアウト東京が世界各地の活気に満ちた魅力的な街を選出する恒例企画「世界で最もクールな街」ランキングで2025年に堂々の1位に輝いた街・神保町。東京の知識人たちに愛されてきたこの街は、歴史ある大学街であり、約130軒にも及ぶ古書店が並んだレトロで独特な雰囲気が特徴だ。
学生たちが次々と流れ込み、エネルギッシュな空気を生み出し、新しい個性的な店も増えてきている神保町はラーメンにおいても例外ではなく、新旧の個性的な店がしのぎを削る激戦区となっている。そんな世界的な注目を浴びる神保町のラーメン店の中から14店を厳選してお届けする。
タイムアウトが選ぶ「世界で最もクールな街」の2025年度版に輝いた神保町。この街にオフィスを構える糸井重里は、伝説的なロールプレイングゲーム『MOTHER』の生みの親であり、世界中で愛される「ほぼ日手帳」の 創始者だ。エリートのためではなく「みんなのため」のものづくりを貫く彼が、神保町の魅力を語る。
東京の神保町が「タイムアウト」が毎年選ぶ「世界で最もクールな街」の2025年度版で1位に選ばれてから、2カ月が経過した。この一報は、静かに進化を続ける書物愛好家の楽園で歓喜とともに迎えられた。「タイムアウト東京」が取材した書店やバー、カレー店など100人を超える地元の人々は、一様に誇りと喜びの声を上げていた。
一方で、多くの人はこの街の未来に対して懸念を口にしている。「神保町が観光客であふれかえったら、再開発によって破壊されてしまうのか」「約130軒もの古書店が集まる独特の街並みは、デジタル時代において存続できるのか」「この地区が漂わせる文化的な雰囲気と創造的な実験精神をどうすれば守り、促進できるのだろうか」 こうした問いに答えるのに、神保町がある千代田区の区長である樋口高顕(43歳)ほど適切な人物はいない。
カレー好きの樋口は熱心な読書家でもあり、「本の街」としての神保町の本質を熟知している。インタビューではその魅力を熱く語る一方で、神保町が今後も活気を保つためには「変化」を迎え入れる必要があるとも話す。
本記事は、樋口高顕千代田区長へのインタビュー前編。後編を読む。
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