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7月4日〜9月13日、国内の所蔵作品が一堂に

細い高台から伸びるなめらかな曲線、凛(りん)とした佇まい、そして貝殻を彷彿とさせる繊細な色合い。東洋の情緒をも感じさせ、多くのファンを持つイギリスの陶芸家、ルーシー・リー(Lucie Rie)。彼女の大規模な展覧会「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」が、2026年7月4日(土)から 9月13日(日)まで「東京都庭園美術館」で開催される。
三宅一生や濱田庄司など、ものづくりをする人々からも愛されたリーの作品。日本におけるブームに火をつけたのは、三宅一生がロンドンで彼女の作品と出合ったことを機に実現した、1989年の「草月会館」での展覧会だった。その後、2010年の「国立新美術館」での回顧展を経て、その人気は不動のものとなった。
日本での評価が定着した現在でも、新たな視点からリーを読み解こうとする試みは続いている。2015年に行われたハンス・コパー(Hans Coper)との二人展から約10年ぶりとなる今回の展覧会は、東西文化の交流という視点からリーの作品を捉え直し、これまでとは異なる角度からその造形美を紹介する。
リーはイギリスの陶芸家として知られるが、その作品には東洋の陶磁から受けた影響が色濃く表れている。同展では、初期から円熟期までの歩みをたどりながら、東洋の陶磁との関係性に光を当てる。リーと交流のあった周辺作家たちの作品もあわせて展示することで、彼女の造形の源泉に迫っていく。
1902年、オーストリアの首都ウィーンに生まれたリーは、ウィーン分離派の建築家ヨーゼフ・ホフマンが教鞭を執る「ウィーン工芸美術学校」でミヒャエル・ポヴォルニー(Michael Powolny)に師事した。当時のヨーロッパではあまり重視されていなかったろくろの技法を磨き、ホフマンからも高く評価され、数々のコンクールで入賞するなど若くして頭角を現した。
しかし、戦争の勃発に伴いナチスの迫害を逃れてロンドンへ亡命。彼女が東洋の陶磁器と出合うのは、ロンドンに渡ってからのことだった。当時のイギリス陶芸界を代表する存在だった陶芸家のバーナード・リーチ(Bernard Leach)は、柳宗悦らとともに民芸運動を推進し、日本をはじめとする東洋の美意識をイギリスに紹介した人物として知られる。リーチや濱田らとの交流は、リーの表現に少なからず影響を与えた。
本展では、そうした作家たちの作品も展示され、リーが東洋美をどのように自らの表現へ昇華したのかを読み解ける。かつてリーチから「薄すぎて人間味に欠ける」と評された彼女の作風が、いかにして唯一無二の表現として高く評価されるようになったのか。その変遷をたどることも、同展の大きな見どころの一つだ。
同展の会場となる東京都庭園美術館は、アール・デコ様式の旧朝香宮邸を利用した美術館。ホワイトキューブとは異なり、柔らかな自然光や室内装飾と響き合う器は、生活の気配を感じさせ、かつて人が暮らした空間の中で作品を鑑賞できる。
丁寧に、そして慎重に制作された作品をじっくり眺めていると、美には人を沈黙させる力があることを改めて実感できるだろう。邸宅という特別な空間で、その美しさを心ゆくまで味わってほしい。
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