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肥大化した資本・物質主義をエンターテインメントに昇華する

「麻布台ヒルズ」内にある「麻布台ヒルズギャラリー」で、監視カメラに映らなければ全商品を盗める体験型コンビニエンスストア「ギガマート展」が、2026年7月18日(土)から8月16日(日)まで開催。一足先に体験してきたので、その様子をレポートする。
本展は、音を出さなければ全商品が盗めるイベント「盗-TOH-」の続編ともいえるプロジェクトだ。ラッパーでクリエーティブディレターのTaiTanが率いるクリエーティブプロダクション・PINPIN STUDIOが手がけている。
会場は、エントランスの「買えないコンビニ」、メインの「盗めるコンビニ」の「“盗”エリア」、そしてグッズを販売している「物販エリア」の3つで構成。まずはエントランスから見ていこう。
エントランスは、駐車場付きのコンビニエンスストアのようで、巨大なポテトチップスが置かれている。大きさだけでなく、画家の落合翔平によるファイル転送サービスをオマージュしたパッケージのものをはじめ、デザイン性にも富んでいる。重量が300キログラムと記載されていたり、成分表示欄の横には本展のコンセプトが書かれていたりと、細部までこだわりが詰まっている。じっくりと鑑賞してみてほしい。
また、巨大なポテトチップスには座れるので、ここで次のエリアの攻略法をイメージするのもいいだろう。会場内には「ギガマート」のテーマソングが流れている。どこかで聞いたことのあるようなメロディーが、かなり頭に残ったことも記しておきたい。
“盗”エリアは、「搬入口」「従業員控室」「商品倉庫」の3つのエリアで構成され、そのうち1つを選んで体験できる。プレイ中にじっくりと鑑賞する余裕はあまりないかもしれないが、「従業員控室」に設置されているロッカー、「搬入口」に置かれているヘルメットや誘導灯が置かれているなど、それぞれのテーマに沿って細部まで作り込まれているので、注目してみてほしい。
盗める商品は、「気持ちアガル水」をコンセプトとしたミネラルウォーター、炭酸水の「THE DAY」や「Red Bull」、菓子類などの食料品から、古着、古本、本展限定のオリジナルグッズまで、多岐にわたる。ルールは単純で、60秒間の制限時間内に監視カメラに映らないよう商品を盗み、出口へと向かうだけだ。
また、エリア内ではスポットライトが点灯しているが、プレイ中はその色に注目しよう。白いライトが黄色に変わったら、監視カメラに映ってしまっているというサインだ。一定時間認識されてしまうとアウトとなるので、クリアするにはしゃがんだりカメラの死角へ移動したりしてやり過ごす必要がある。
盗めた商品は、専用のビニール袋に詰めて持って帰れる。筆者は失敗してしまったが、漫画のセットや古着を獲得している人たちが多かった。しかし、失敗しても安心してほしい。一人1点まで、菓子を「盗んで」持って帰れる。
“盗”エリアを抜け、「万引は犯罪ですよ?」「値札のある商品は購入できます」と書かれた張り紙が貼られている通路を通ると、最後の物販エリアにたどり着く。ここでは、マスコットキャラクター「ギガ君」のぬいぐるみやオリジナルTシャツをはじめ、本展限定のアイテムが購入できる。
体験してみて感じたのは、消費社会・物質主義への問いかけだ。買えない巨大なポテトチップスは肥大化した物欲のメタファーのようにも思えるし、日常的に立ち寄るコンビニエンスストアで商品を盗むということはどこか背徳感がある。そして物販エリアに“盗”エリアで盗めるオリジナルグッズが販売されていることで、日常で何気なく行われる「金銭を介してものを手に入れる」という行為、そして「盗めたはずのものに金を払うのか」という疑問と葛藤が沸いた。
本展は、コンセプトとして、当たり前に繰り返される「ショッピング」という行為を「戯画化/GIGA化」することで、私たちが無意識に受け入れている「消費・商品・広告」の関係性を解体し、再構築することを掲げている。一見、入館料を払いさえすれば、コンビニエンスストアからグッズが盗めるだけのアクティビティーに思えるかもしれないが、その裏には現代社会への投げかけの視線があり、そしてあくまで「エンタメ」として消費できる余白も残されているのだろう。
まずは会場へ足を運び、自分で確かめてほしい。なお最後に、本展は犯罪行為を推奨・容認するものではないことだけを付け加えておこう。
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