FUGUE FOR 31 RUE CAMBON ROE ETHRIDGE AT CHANEL ARCHIVES
©CHANEL/Roe Ethridge | クリスタルのフラワーブーケ(製作ゴッサンス) 20世紀 -ガブリエル シャネルのアパルトマン(カンボン通り31番地)蔵 CHANEL 麦の穂のブローチ(製作ゴッサンス) 1960年代 CHANEL ペタンクボール 2010年春夏 プレタポルテ コレクション -パリ、パトリモアンヌ・シャネル蔵
©CHANEL/Roe Ethridge

東京、3月に行くべき無料のアート展12選

リナ・バネルジーやロー・エスリッジ、高木由利子、沖潤子など

Chikaru Yoshioka
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2026年3月の東京では、入場無料で鑑賞できる多彩なアート展が各地で開催。「エスパス ルイ ヴィトン東京」でのリナ・バネルジーの展覧会をはじめ、「CHANEL NEXUS HALL」でのロー・エスリッジの写真展、高木由利子による「Threads of Beauty」、日本を代表するグラフィックデザイナーの仲條正義の個展など、ジャンルや世代を横断する展示が揃う。

気軽に立ち寄れるアートスポットを巡りながら、新たな表現との出合いを楽しみたい。

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  • アート
  • 表参道

「エスパス ルイ ヴィトン東京」で、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジー(Rina Banerjee)による展覧会「You made me leave home…」が開催。インスタレーションや彫刻、絵画など、厳選した19点の作品を紹介する。

本企画は、「エスパス ルイ ヴィトン」の20周年および「フォンダシオン ルイ ヴィトンによる「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラム10周年を記念したもの。バネルジーは、約30年にわたる創作活動を通じて、現代社会における重要なテーマを探求してきた。本展では、地球規模の移動や植民地主義の遺産といったテーマの作品群を届ける。

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CHANEL NEXUS HALL(シャネル ネクサス ホール)」で、「シャネル」10年以上にわたり多様な協働を重ねてきたアメリカ人写真家、ロー・エスリッジ(Roe Ethridge)の展覧会が開催。フォトコラージュシリーズを中心に紹介する。

近年、シャネルはエスリッジに、シャネルの創業であるガブリエル・シャネル(Gabrielle Chasnel)が愛蔵した品々を探求するプロジェクトを依頼した。彼は通常は公開されていない扉の奥へと招かれ、メゾンのアーカイブ施設「パトリモアンヌ」の所蔵品や、パリ・カンボン通り31番地のアパルトマンに残るプライベートコレクションを撮影している。

作品には、ジャック・リプシッツ(Jacques Lipchitz)による胸像、ピエール・ルヴェルディ(Pierre Reverdy)の手稿、サルバドール・ダリSalvador Dalí)とその妻・ガラ(Gala)の献辞本、バレエ『三角帽子』のためのパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)のスケッチ、さらに2世紀エジプトの葬儀用マスクなど、多彩なオブジェが登場する。これらはエスリッジの手によって現代的な小道具と組み合わされ、パリのスタジオで新たな写真作品として再構成された。

実験精神に支えられたエスリッジは、ファインアートとコマーシャルフォトグラフィーの領域を横断しながら独自の表現を築いてきた。日常的なモチーフや静物を通して、現実と虚構、親しみやすさと違和感が交差する世界を立ち上げる。

本展は、そうした手法によって被写体の間に新たな関係性や物語を生み出し、見る者に新鮮な視点をもたらすだろう。

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  • 渋谷

Bunkamura ザ ミュージアム」で、写真家の高木由利子による「Threads of Beauty」シリーズに焦点を当てた写真展が開催。会場構成は、場所が持つ記憶を掘り起こし、未来へとつなぐ建築家の田根剛が手がける。

高木はファッションデザイナーとして活動した後、写真家へ転身。当初は風景やヌードを主題としていたが、やがてファッションブランドとの協働を経て、近年は自然現象の不可思議さに着目した「chaoscosmos」シリーズを発表するなど、活動の幅を広げてきた。

Threads of Beauty」シリーズは、「ファッションとは何か」という根源的な問いを起点に、世界各地の伝統衣装をまとい生きる人々の日常を30年にわたり記録してきたプロジェクト。衣服や人体を通して、自然の一部としての人の存在を見つめ続けてきた高木の試みの中でも、同シリーズは長期にわたる重要な位置を占めるものだ。本展では、その集大成から厳選した作品を紹介する。

伝統服が日常生活の場から姿を消しつつある現状を見つめながらも、高木はそれを単なる民俗史的記録としてではなく、被写体となった人々の揺るぎない「格好良さ」を捉える視点で提示する。「格好良さ」の追求はアイデンティティーの探索にほかならず、その問いは地域や時代を超えて永遠の命題ともいえるだろう。

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  • 銀座

「資生堂ギャラリー」で、日本を代表するグラフィックデザイナーの仲條正義(19332021年)による個展「うたう仲條 おどる仲條文字と画と、資生堂と」が開催。企業文化誌「花椿」をはじめ、資生堂の広告ポスターや資生堂パーラーのパッケージ、さらには貴重な原画など約200点の作品を紹介する。

仲條は長年にわたり同社のデザインおよびアートディレクションに携わる一方、「松屋銀座」や「東京都現代美術館」のロゴデザインなどでも知られ、鋭敏な時代感覚とアバンギャルドな精神に裏打ちされた独自の造形世界を築き上げてきた。とりわけコンピューターによるグリッドデザインが主流となった2000年代以降、自由な構成や手描きの要素を取り入れたその表現は改めて注目を集め、次世代のデザインに影響を与え続けている。

本展では、仲條のライフワークともいえる「花椿」約350冊を手に取って閲覧できるライブラリーコーナーを設置。ページの展開や構成も含め、彼の真骨頂ともいえるグラフィカルなエディトリアルデザインを肌で感じられるだろう。

仲條デザインの本質の一端に迫ろうとする試みの本展。普遍的な美をすくいあげ、新たな形で表現し続けていた仲條の前衛的であり、かつ色あせない世界を体感するはずだ。

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  • 銀座

Ginza Sony Park」で、現代美術家のSHUN SUDOによる展覧会「ART IN THE PARK : SHUN SUDO “HANA-MI”」が開催。桜の開花シーズンに先駆け、「花見」をテーマに、多種多様な花の絵で埋め尽くされた華やかな空間を作る。

会場では、桜の絵をはじめ、SHUN SUDOのアイコン的存在である「BUTTON FLOWER」や花の風景を題材とした作品など、作家自身最大規模となる新作35点以上を展示。「銀座を訪れる多くの人の心を動かし、今日を生きる小さな元気につながるように」との思いが込められ、まるで花々が満開に咲いているかのような空間は圧巻だ。

さらに地下2階では、新作シルクスクリーン作品の販売に加え、花をモチーフにしたTシャツやトートバッグなど、会場限定のオリジナルアイテムも並ぶ。また、地下3階のカジュアルダイニング「1/2 (Nibun no Ichi)」では、花をテーマにしたコラボレーションメニューを期間限定で提供する。

都会の中の公園であるGinza Sony Parkで、アートあふれる花見体験を楽しもう。

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KOSAKU KANECHIKA 京橋」で、沖潤子の新作約10点を展示する個展「STILL」が開催。過去最大規模となる作品を通じて、素材と向き合う制作プロセスを改めて見つめ直す。

古い布や道具が経てきた時間や物語の積層に、自身の時間を重ねるように刺繍(ししゅう)を施し、新たな生命感や偶然性を宿した作品を発表してきた沖。素材のイメージにスケッチを行い、その筆致に重ねるように刺しゅうを施す手法は、素材ごとに異なる対話から生まれるものだと言う。過去と現在、いくつもの時間の層を重ね合わせることで、新たな風景を見つけることが制作の核にある。

本展は、作品集『STILL PUNK』の刊行時期に合わせて開催。本書では、「still」という言葉が持つ、継続する意志と静けさという二重の意味について思索が巡らされている。

病気の克服や家族関係の変化を経験したこの一年を経て、沖は改めて制作と向き合った。形に収まることなく在り続けたいという静かな決意を持って、針を刺し続ける意志を示している。

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  • 原宿

NANZUKA UNDERGROUND」で、ソウルを拠点に活動するオランダ出身のアーティスト、レイモンド・レムストラ(Raymond Lemstra)による新作個展「Good Looking」が開催。20点の新作ドローイングと6点の新作ペインティングを展示し、現在進行中のシリーズ「Personnage Fictionnel」の新章を提示する。

レムストラの創作の根底にあるのは、グラファイトによる緻密な肖像画だ。一見すると写実的でありながら、遊び心とシニカルさを併せ持つ匿名の人物像を描き出し、鑑賞者を写実と空想の境界に潜む幻想へと導いていく。

近年はペインティングの制作にも注力しており、2015年のスペインでの滞在制作を契機に、ドローイングで追求してきた探求を色彩豊かなペインティングへと展開している。オランダの伝統的な油彩技法と、コウゾの繊維から作られる韓国の手すき紙「韓紙(ハンジ)」を融合させるなど、素材の選択にも自身の文化的背景が色濃く反映されている。

なお、2026年3月7日(土)の17〜19時はオープニングレセプションが行われる。

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  • 江東区

日本で約40年にわたって活動し、家具やテキスタイルのデザインで知られるノエミ・レーモンド(Noémi Pernessin Raymond18891980年)。建築家である夫のアントニン・レーモンド(Antonin Raymond)を支えながら仕事に携わり、濱田庄司やイサム・ノグチら多くの芸術家と親交を結んだ。日本の暮らしに息づく美や、伝統的な空間と生活文化の価値を深く理解し、建築やインテリアの分野で数多くの作品を残している。

ノエミの仕事は、アントニンの建築や日本の風景と調和しながら、日常の空間に芸術的な彩りを添えるものだった。その役割は主にインテリアデザインに限られるとされてきたが、実際にはレーモンド設計事務所による建築作品全般に深く関わり、自ら住宅設計も手がけていた。

GALLERY A4」で開催される本展では、ノエミが住宅設計において用いた手法に着目し、当時の日本の建築デザインに与えた影響を考察する。見どころは、建築設計からインテリアまでを一貫して手がけた港区の「旧カニングハム邸」(1954年)、および大田区の「旧伊藤邸」(1963年を、貴重な写真資料や図面とともに詳しく紹介する点。また、ノエミがデザインしたテキスタイルや習作、スケッチブック、自画像などの実物資料も多数並ぶ。

さらに、オリジナルの家具をはじめ、椅子やテーブルなども紹介されるほか、「旧伊藤邸」の暖炉回りを実寸大で再現し、ノエミによるファイヤーツールも併せて展示される。近年公開され話題を呼んでいる武蔵野市にある「旧赤星鉄馬邸」(1934年を含め、レーモンド設計事務所による住宅や教会建築など約14事例も紹介予定だ。

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  • 原宿

MAHO KUBOTA GALLERY」で、香港を拠点に活動するアーティスト、スティーブン・ウォン・チュンヘイ(Stephen Wong Chun Hei)の個展が開催。作家にとって初の試みとなる、びょうぶ形式の作品を含む新作絵画11点を発表する。

香港およびアジアで高い評価を受けるチュンヘイは、身体的記憶に根ざした香港の風景を描いてきた。近代化以前から続く島々や山並み、豊かな自然に加え、実在の建築物や景勝地を織り込みながら、人々が自身の記憶を重ね合わせることのできる光景を立ち上げる。

本展ではその表現がさらに拡張し、重力から解き放たれた世界はやがて宇宙へと開かれていく。青く深い闇に浮かぶ風景は、作家が実際に訪れた場所を起点としながら、想像力によって再構築されたものだ。

そのパースペクティブには中国発祥の山水画の伝統が見え、自然を通して心象へ迫るように、チュンヘイの絵画も鑑賞者を内面的な旅へ誘う。見慣れたモチーフは現実の制約から解き放たれ、新たな関係性の中で軽やかに仕掛けとなり、視点は東洋的遠近法「三遠法」を行き来しながら空間の中を遊ぶように漂う。こうした想像力の広がりこそ、彼の絵画の魅力だ。

さらに、アニメやゲームに親しんできた作家の感性の奥には、無垢(むく)な存在が冒険を通じて世界を拡張していく物語の構造が息づく。青い宇宙を進むスターフェリーとともに、無数の星のきらめきに導かれながら、観る者は終わりのない想像の旅へと誘われるだろう。

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  • 馬喰町

PARCEL」で、国内外で高く評価される写真家・西野壮平の個展「Behind the clouds」が開催。都市・旅・記憶・雲といった要素を通じて、西野の写真表現がどのように視点を広げ、世界との距離を再考してきたかを紹介する。

西野は2003年以降、自らの足で都市を歩き撮影した膨大な写真を一点一点手作業で切り出し、貼り合わせることで、一枚の「記憶の地図」として立ち上げる『Diorama Map』シリーズを継続してきた。本展では、約20年にわたる「東京」の変遷を追った定点観測的作品群に加え、飛行機の窓越しに捉えた雲をテーマにした新シリーズ『FL350』を発表する。

『FL350』は、約10年にわたり移動中に撮影された風景を再構成した連作。作品化を意図していなかったが、身体の移動とともに蓄積された記憶の層であることに気づき、シリーズとして成立した。西野にとって、飛行機で雲を越える時間は「世界との距離を測る最初の儀式」。雲の合間に見える大地の営みを見つめることが、旅の始まりと終わりを形作るという。

会場では、初期の俯瞰(ふかん)視点「空中散歩」から生活者目線、最新作の「雲越し」という絵画的視点まで、制作の変遷と視点の深化を体感できる。重なる視点は都市を一つの生命体として描き、西野自身の「自己肖像」も浮かび上がらせる。

雲の向こう側に広がる、多層的な風景世界を垣間見てほしい。

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  • 京橋

Gallery & Bakery Tokyo 8分」で、アーティストの川端健太による個展「document / skin」が開催。皮膚感覚や触覚といった身体的な感覚に着目して制作された新作絵画に加え、修士・博士課程で手がけた作品も展示する。

川端はこれまで、現代的な視覚体験や感覚、個人の記号化、さらにはインターネットの普及によるコミュニケーションの多層化などに注目してきた。そうした、人と人との情報伝達を間接化させるさまざまな隔たりについて思考を重ねながら、絵画や彫刻の制作に取り組んでいる。

彼の言う「皮膚感覚」とは、外部からの刺激を受け取る単なる物理的機能ではない。自己の境界を認識し、他者や世界との関係を構築するための、多層的な知覚の領域を指している。実在を確かめる回路としての「触覚」を再考する試みは、我々がいかに世界を受容しているのか、その知覚の前提そのものを問い直す契機となるだろう。

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「ISSEY MIYAKE GINZA | CUBE」で、イッセイ ミヤケが手がけるメンズブランド「IM MEN」による特別展「IM MEN theater 加守田章二を巡る旅」が開催される。

IM MEN2026年春夏コレクション「DANCING TEXTURE」は、日本の陶芸家・加守田章二(19331983年)の作品に着想を得たもの。デザインチームは、伝統工芸の枠や作陶の既存ルールにとらわれず、自由に造形美を追求した加守田の作品と出合った瞬間、「この陶器を衣服にして着てみたい」と直感したという。

加守田作品の既存の構造から解放されたフォルム、奥行きのあるテクスチャー、手間がかけられたディテール。デザインチームは、土と布という異素材を往来しながら、作品が放つエネルギーをIM MENならではの衣服表現へと昇華させた。制作過程では、彼が窯を築いた岩手・遠野を訪れ、陶房や自然豊かな風景の中で加守田の感覚を深く捉えていった。

会場では、遠野をはじめ加守田ゆかりの土地や人々を巡る映像とともに、2026年春夏コレクションを展示する。創作の裏側に思いを巡らせてほしい。

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関東大震災や第二次世界大戦の東京大空襲で大きな被害を受けるまで、東京には、現在も京都で見られるような木造の家が立ち並んでいた。その後、鉄鋼やコンクリート、独創的な形状に重きを置いたさまざまな建築物が建てられ、東京は現代的に生まれ変わった。

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近年、美術館や博物館の入館料が上がりつつある。有料ならば確かにすばらしい体験ができると分かっていても、やはり無料で良い作品を見たいもの。

そのような需要に応えてくれるような美術館やギャラリーが東京には一定数ある。今回セレクトするのは、質の高い国内外の作家を紹介する「資生堂ギャラリー」や明治期洋画の重鎮、黒田清輝の作品を展示する「黒田記念館」から、「目黒寄生虫館」や「おりがみ会館」といった変わり種まで16館だ。

開館時間が変更になっている場合もあるので、事前に公式ウェブサイトを確認してから訪れてほしい。

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