1. JAM17 DINING&BAR
    Photo:Kisa ToyoshimaJAM17 DINING&BARにある西野達の作品「新宿」
  2. シアターミラノ座
    Photo:Kisa ToyoshimaSIDE CORE×しょうぶ学園「Juxtaposition」
  3. ベルスター
    Photo:Kisa Toyoshima大巻伸嗣の作品
  4. 109シネマズプレミアム新宿
    竹中美幸「ミラノ座の記憶」(Photo : 野口浩史)

東急歌舞伎町タワーで見逃せないアートスポット7選

荒木経惟やSIDE CORE、西野達、Chim↑Pomなどの作品を堪能、アートあふれる新名所

Mari Hiratsuka
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Mari Hiratsuka
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タイムアウト東京  Things To Do > 東急歌舞伎町タワーで見逃せないアートスポット7選

エンターテインメントが凝縮された複合施設として、 2023年4月14日(金)に開業する「東急歌舞伎町タワー。ホテルに映画館、劇場、ライブホールなどで構成されており、カルチャーの発信地として期待が高まる施設だ。そして、各階に印象的なアート作品が配置されているのも魅力の一つである。

展示されているのは、新宿・歌舞伎町にゆかりある、日本人作家を中心とした若手や巨匠の作品。新宿からインスピレーションを受けたものや、地域の素材を用いているものまでさまざま。そしてレジェンドの新作が見られることもうれしい。ここでは、特に見逃せない作品をピックアップして紹介する。

アートプロジェクト参加作家:青木野枝、大巻伸嗣、細倉真弓、荒木経惟、川内倫子、野村佐紀子、羽永光利、山本糾、水戸部春菜、沢村澄子、新城大地郎、佐々木類、玉山拓郎、開発好明、鷲尾友公、ぬQ、西野達、竹中美幸、SIDE CORE、SIDE CORE×しょうぶ学園、Chim↑Pom from Smappa!Group、篠原有司男、森山大道、ムラタタケシ、淺井裕介、足立喜一朗

キュレーション:「愛知県美術館」館長・拝戸雅彦と、天王洲に拠点を置くギャラリー「アノマリー(ANOMALY)」

永山祐子「東急歌舞伎町タワー」

まずは何といっても、ユニークなデザインが特徴的な建物だ。国際的に活躍する建築家・永山祐子が手がけた。

かつて、シネシティ広場周辺を水源とする蟹川が流れていたことや、歌舞伎町には水の女神である弁財天がまつられていることなど、地域の歴史的な文脈「水」を外観モチーフ「噴水」として継承。そして、水を意味する文様「青海波」が、窓や外壁などの随所に導入されている。

少し離れた新大久保エリアからもビルが見え、異彩を放つ。離れた位置から見るとより特徴的なデザインが楽しめるのでおすすめだ。

エントランス:アート作品に迎えられる。
Photo:Kisa Toyoshima

エントランス:アート作品に迎えられる。

1、2階のエントランスには、篠原有司男、森山大道、Chim↑Pom from Smappa!Groupの作品が展示されている。

ホテル側エントランス1階のスターバックス近くには、新宿という街を長年切り取ってきた写真家・森山大道の大判の写真作品を展示。過去作品から厳選したもので、猥雑でエネルギッシュな新宿という街のモノクロの魅力が伝わってくる。

吉村益信らと前衛芸術グループ 「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」 を1960年に結成した篠原有司男が、歌舞伎町で制作した新作「オーロラの夢」も展示。2022年に90歳を迎えた篠原のエネルギッシュな作風が光る。

Chim↑Pom from Smappa!Group「ビルバーガー」

2階エントランス、ギラギラした「日本の祭り」をテーマにしたド派手なフードホール「新宿カブキホール 歌舞伎横丁」のすぐそばには、Chim↑Pom from Smappa!Groupによる「ビルバーガー」が設置。解体直前の歌舞伎町ブックセンタービルで2016年に行われたプロジェクト「にんげんレストラン」で制作された巨大彫刻作品だ。

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西野達「新宿」

17階から47階には、2つのホテルが入居する。そんな、高層フロアのアートテーマは「透明、無時間、静、異次元、空、リラックス、非日常」だ。

注目は、西野達の巨大インスタレーション「新宿」。作品は、17階の開放感あるルーフトップテラス付きのダイニングバー「ジャム17 ダイニングアンドバー(JAM17 DINING&BAR)」内に展示されており、タイトル通りこの街を凝縮している。

バーに向かって下向きに伸びる印象的な街灯は、「東急ミラノ」近くで長年街を実際に照らしていたもの。作品には、新宿区役所のスチール棚や「紀伊國屋書店」で長年使用されていたテーブル、2丁目のゲイダンスクラブのキャッシャー台、新宿の名称の由来となった「宿」を象徴するホテル家具などを使用している。

作品を見上げながら、歌舞伎町オリジナルのクラフトジン「Ne10」を味わいたい。

大巻伸嗣「Gravity and Grace: Lucidus(Lucida)」

続いて、高層フロアでチェックしてほしいのが、圧倒的な眺めが楽しめるホテル「ベルスター(BELLSTAR)」の45階、レストランバーにある大巻伸嗣の新作だ。

天井高13メートルという圧倒的なレストランには直径2メートルを超える作品を、バーには直径1.5メートルの大型作品を展示している。

天井からつられた金属の球体の中では光が点滅し、夜にはかつて新宿に広がっていた水景からイメージした表面の水紋や花などのモチーフが影絵のようにして映し出される。

なお、ホテルのペントハウス客室には、細倉真弓、荒木経惟、川内倫子、野村佐紀子、羽永光利、山本糾の作品が展示されている。

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109シネマズプレミアム新宿:究極の映画館で過去を振り返る。
竹中美幸「ミラノ座の記憶」(Photo : 野口浩史)

109シネマズプレミアム新宿:究極の映画館で過去を振り返る。

竹中美幸「ミラノ座の記憶」

坂本龍一が音響設備をプロデュースし、全席プレミアムシートという特別な映画館「109シネマズプレミアム新宿」。

10階には、映画館映像用35ミリフィルムを素材とした、かつて映画館のミラノ座で使われていたアイテムや昔の歌舞伎町の記録写真をモチーフに竹中美幸が作品化。ぼやけており抽象的に感じられるが、近づいてよく見るとさまざまなミラノ座の断片が発見できる作品だ。そのほか、レセプションやラウンジに計7人のアーティストの作品を展示。

坂本が書き下ろした、ラウンジで流れる曲、ドアの光の演出とともに流れる音、映画本編の開始直前に流れる曲など、館内で使用されるこの場所でしか聴けないさまざまな楽曲にも注目だ。

SIDE CORE「Patchwork my city」

かつての「新宿ミラノ座」の名を受け継いだ「シアターミラノ座(THEATER MILANO-Za)」。アーティストと観客が互いの息遣いを感じられそうな約900席の劇場だ。

劇場には、ストリートを舞台に活躍するアーティストユニットSIDE COREの手がけたさまざまな作品が展示されている。 ホワイエの床には、東京の地図やドローイングがコラージュされた「Patchwork my city」が。それをのぞくように、彼らの作品にしばしば登場する金色の小さなネズミの彫刻がはりの上に潜んでいる。

なお、金のネズミは都内に12体設置されており、ビルの窓辺や監視カメラの上、美術館の塀の上など、それぞれを探し出すのも楽しい。「都市空間における表現の拡張」をテーマを掲げてきた彼らならではの作品である。

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Zepp新宿:新宿の土を集める。
Photo:Kisa Toyoshima

Zepp新宿:新宿の土を集める。

淺井裕介「大地のこだま」、足立喜一朗「Hollow Moon(Ring)」

東急歌舞伎町タワー内の地下1階から地下4階には、ライブハウス「Zepp新宿」が入居。夜の時間帯は「ゼロトウキョウ(ZEROTOKYO)」として、ナイトエンターテインメント施設に名前を変える場所だ。

地下2階に位置するバーラウンジの壁面には、淺井裕介の新作泥絵「大地のこだま」が描かれている。身近な素材を用いたドローイングで知られる淺井だが、本作は彼が集めた日本各地の土に加え、東急歌舞伎町タワーの建設現場や花園神社、戸山公園などから採取した土を使用している。 「音楽」「地層」「水脈」をテーマにした、リズムある作品だ。

足立喜一朗「Hollow Moon(Ring)

地下3階のダンスフロアには、足立喜一朗の新作彫刻「Hollow Moon(Ring)」が設置。バブル期のディスコに欠かせなかったミラーボールを、新たなステージへと押し上げている。

ちなみに、エスカレーターがクールなフォトスポットとなっているので見逃さないように。

新宿を探索するなら……

  • レストラン

都内有数の繁華街で知られる、新宿の歌舞伎町。ホストクラブやキャバクラをはじめ、夜の街として輝くネオンが有名だが、実はさまざまな世界各国の料理店が軒を連ねている。ここでは、韓国やタイ料理から珍しいギリシャ料理まで、コロナ禍でも旅気分を味わえる名店を紹介。

  • レストラン

浄化作戦を経てコマ劇場が閉館した今もなお、歌舞伎町は人々の生々しいエネルギーで駆動する魅惑の街だ。定番スポットを回る観光客向けのツアーガイドはいるが、この大歓楽街の真の顔を知る案内人は稀だろう。

本記事を監修してくれた手塚マキは、歌舞伎町のホストクラブやバー、美容室などを十数軒を経営するSmappa! Group の会長であり、歌舞伎町商店街振興組合の常任理事を務める人物。街の顔である彼がセレクトしてくれた店は、「客引き・ぼったくり」の危険なイメージとは正反対の、温かく人懐こい雰囲気の「台風の目」のような店だった。驚くほどおいしくて安いビストロや、ファッショニスタが集うショップ、「夜の赤ひげ先生」の薬局など、この街の良心ともいえる一面を垣間見ることができるだろう。

なお、当初は10軒の掲載を予定していたが、うち1軒のマッサージ店が取材中に営業停止になったため9選という並びになったことも、歌舞伎町らしいエピソードとして記しておきたい。

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  • レストラン

さまざまな人が行き交う都心の歓楽街、新宿。1960年代から70年代にかけては、ヒッピーや、フォーク・ジャズミュージシャン、演劇人らアングラな文化を愛する若者たちが集い、酒を酌み交わすカウンターカルチャーの聖地でもあった。近年では、思い出横丁やゴールデン街に外国人客が押し寄せ、また違った表情を見せている

ここでは、そんな時代を感じられるチャージフリーのジャズ居酒屋や、三島由紀夫ら文化人も通った老舗、なぜか外国人客でにぎわう店など予算1,000円から飲める名居酒屋を紹介する。終電を逃したら、はしごしてディープな新宿の夜を謳歌(おうか)しよう。 

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