トヨタ自動車会長の豊田章男
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トヨタ自動車会長・豊田章男インタビュー、茶と車に共通する「味づくり」とは

ドライバーネームを冠したクラフトティーが一緒に楽しめるアフタヌーンティーを日比谷「LEXUS MEETS…」で提供

Kosuke Hori
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タイムアウト東京 > Things to do >  トヨタ自動車会長・豊田章男インタビュー、茶と車に共通する「味づくり」とは

2025年7月14日から、「東京ミッドタウン日比谷」1階のカフェラウンジ「LEXUS MEETS…(レクサスミーツ)」」で、「AFTERNOON TEA with MORIZO TEA」が提供開始。先行試食会が開かれたので取材していたさなか、なんと、モリゾウことトヨタ自動車の会長の豊田章男が急遽登場。インタビューを快く引き受けてくれたので、レポートしたい。

MORIZO TEA
画像提供:トヨタPR事務局AFTERNOON TEA

このアフタヌーンティーの目玉は、モリゾウが開発に関わったプレミアムクラフトティー「MORIZO TEA」(1杯2,500円、税込み)。試飲してみたが、静岡県産の緑茶にキンモクセイやシナモンなどがブレンドされたクラフトティーは、爽やかな夏草のような香りと、口の中で変化する味わいが印象的だった。また、収益の一部が自然環境の保全に活用されるのも記しておくべきだろう。

MORIZO TEA
画像提供:トヨタPR事務局「MORIZO TEA」

ちなみに、商品名にも付けられている「モリゾウ」とは、豊田のドライバーネーム。2005年の愛知万博の公式キャラクターにちなんで名付けられたという。

インタビューでは、モリゾウが深くかかわった2024年のLEXUS MEETS…のリニューアルの際にこだわった点、MORIZO TEAの制作秘話、そして海外からの観光客に訪れてほしい日本の道などについて尋ねてみた。本インタビューを読んでからぜひ同店を訪れ、そして日本各地を旅してくれたらうれしい。

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遠征で訪れた日本各地の名物を発掘し、東京から全世界へ

ーリニューアルされたLEXUS MEETS…は、「道」をモチーフに、和スイーツと日本各地の魅力を楽しめる店舗ですよね。そのコンセプトを表現するために、一番力を注いだ点について教えてください。

全国のラリー会場やサーキットへ、遠征でよく行くんです。1回につき3、4日滞在するのですが、各地でいろいろな地元の食を楽しみます。そうすると、「こんなにおいしいものを、ぜひ東京でも紹介したいな」と思うんですね。

そこで、LEXUS MEETS…では、「道」というテーマと、それぞれの地域の「名品」を組み合わせることにしました。ラリーやサーキットを目指して向かった先で、「地元のものを発掘し、東京で紹介する」ということですね。例えば、今回のアフタヌーンティーでも提供するかき氷は、愛知県蒲郡(がまごおり)市の「秀月堂」が監修しています。

東京には、外国人の方も多く集まります。ぜひ当店で各地の名物を食べて、「次はここへ行ってみよう」と、名物から旅の目的地を決めてもらえたらうれしいですね。東京・横浜・神戸など特定の地域に集中するのではなく、田舎にも良いところがたくさんあるということをもっと知ってもらいたい。

今まであまり人が訪れなかったところでも、「ここは星空がきれいだよ」とか、「ここの住民はみんな笑顔だよ」とか、そんなところも名所になるんじゃないかと。日本人の礼儀の良さ、どこにいっても優しくしてくれるというのも、プロモーションの一つになるんじゃないかと思います。

ー「MORIZO TEA」には、ご自身のドライバーネームを冠しています。テイスティングなどから参加されたのでしょうか?

開発の本当に最初期からです。私の本籍地は「富士スピードウェイ」がある静岡県なのですが、「静岡産の摘みたてのお茶を、新緑の森を感じる素材とブレンドして、なおかつ静岡のお水で特別なドリンクを作れないか?」という発想が出発点でした。

そして「モリゾウ、森を飲む」というコンセプトを発案し、「先味・中味・後味」、つまりお茶を飲む前の香り、飲んだ時の最初の味、そして後味にものすごくこだわったクラフトティーに仕上げました。ワインと同じように、毎年違う味わいになると思います。

防腐剤を入れると味が変わってしまうので、「賞味期限はある程度限定してでも、この味にこだわりたい」など、随分意見を聞いてもらいました。

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車の開発における「味づくり」とは

私は「マスタードライバー」として、車の最終的な「味づくり」に携わっています。「車の味」というと変に思われるかもしれませんね。

車の味というのは、デザイン――「パッと見て、かっこいいな、乗ってみようかな」というのが先味です。「乗ってみると面白いな」「運転して楽しいな」というのが中味。それから、降りた後に疲れを感じるのではなく、「また乗りたいな」と思うのが後味。その3つの味がしっかりしているのが「良い車」の条件です。

日清食品さんでは、社長さんがすべての商品の味をチェックしています。会社のトップに立ち、しかも商品作りにも関わるような会社は、あまりないんじゃないかと思いますね。

「車なんて工業製品なんだから」と言われることもありますが、やはりそれぞれの「味」があるし、愛着がわいてくるはずなんです。ヨーロッパ車って、なんかかわいさがあるんですよね。「日本車は壊れない」というブランドイメージがある一方で、最近は「かわいい」とか「友達みたい」といった感情的な価値、つまり「物語」を車から感じてもらえるようになってきたと感じています。

「MORIZO TEA」を通じて、なんとなく「車の味」というものを理解してくれる人が増えてくれたらうれしいです。

ーレーシングドライバーとしても活躍されているモリゾウさんから見て、外国人観光客の方々に一度は走ってほしい、日本を代表するような道があれば教えてください。

日本では3年ほど前から「世界ラリー選手権」を開催していて、走っている車の景色を世界中から8億人ぐらいが見ています。ラリーは車の競争だけのように思うかもしれませんが、景色も一緒に映っているので、「こんな道があるんだな」と認識してもらえるんです。

日本の道路の特徴は、「白いガードレール」。いろいろな国の方から、「日本ってこんなに白いガードレールが多いんだね」と言われます。我々日本人からしたら当たり前の光景ですが、海外の人から見たら新鮮みたいです。私たちにはない着眼点ですよね。

スポーツカーで気持ちよく走れるワインディングロードとなると山道になりますが、どこもヨーロッパと比較すると狭い。気持ちよく走るというよりは、狭い中をちょこちょこと走る感じになりますね。

初めて走る方にとっては、どの道でも日本らしくて新鮮だと思うんですよ。どこの道であってもほかにはない「日本の景色」ですから。特定の道というよりは、どこであっても日本らしさを味わっていただきたいですね。

ただ海外との違いは、狭いからこそ「人と自転車と車」が混在している道があるのでお気をつけください、ということ。あと、道が狭いので「景色がいいな」と思ったら車を止めてご覧いただきたいという2点をお伝えしたいです(笑)。

そして「当店を通じて、車の方にも興味を持っていただけたらうれしいです」という現場目線で情熱を燃やし続けるモリゾウのパワフルな言葉で、インタビューは締めくくられた。

まずは、日本各地の魅力を知るモリゾウのこだわりが詰まった同店を訪れて、アフタヌーンティーを楽しんでほしい。

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