1. 花園アレイ
    Photo: Kisa Toyoshima
  2. 「二羽のウサギ」展示風景(作品:髙橋銑) 撮影:立石従寛
    「二羽のウサギ」展示風景(作品:髙橋銑) 撮影:立石従寛
  3. 花園アレイ
    Photo: Kisa Toyoshima
  4. 花園アレイ
    Photo: Kisa Toyoshima

花園アレイでしかできない3のこと

アートとテクノロジーの中間地点、池之端・根津で新旧の文化に触れる

編集:
Time Out Tokyo Editors
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2020年2月、レトロな下町風情が人気の根津・池之端エリアに、地域創生コミュニティー施設「花園アレイ」が誕生。この地域では馴染み深い食品スーパーマーケットチェーン、「赤札堂」の元社員寮であった「花園寮」をリノベーションした複合施設で、50年の時を経て生まれ変わった。

1〜4階はインキュベーション施設として事務所やオフィス利用に貸し出し、5階は3部屋から成るアート展示フロア、2023年11月には1階にカフェをオープンするなど、進化を続ける施設の魅力を紹介する。

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土地と建物の歴史を知る。
Photo: Kisa Toyoshima

1. 土地と建物の歴史を知る。

1970年に社員寮として完成。50年を超える歴史を持つ建物は、レトロで懐かしい雰囲気が漂う外観が特徴だ。リニューアルに当たって設計監理は、日本の伝統工芸を建築に取り入れ、「造る建築」をコンセプトに掲げるシオ建築設計事務所が手がけた。

花園アレイ

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

起業家や建築家、アーティストが集う全21室のオフィスルームは、自由な空間デザインに対応。かつて東京の路地に存在した「長屋」のように数軒連ねて借りることもでき、間仕切りや配管、コンクリートの様子など当時の寮のままの素材を生かし、使いやすく洗練された改装が行われている。

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

屋上(入居者のみ利用可)に上がるとハーブファームが登場。東京大学と東京藝術大学のちょうど中間地点にあることから、双方の建物や上野の森公園も近くに見える。アートやテクノロジーに根差し、下町の雰囲気も残るユニークな立地だ。

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

利用者は、東大出身者によるスタートアップ企業をはじめ、東京藝大出身のアーティストやキュレーター、建築事務所など、当初想定していなかった層も増えているという。

最上階でアートに触れる。
「between / of」展示風景(作品:村田啓) Photo: 竹久直樹

2. 最上階でアートに触れる。

最上階に当たる5階の3部屋全てを使った「The 5th Floor」は、花園アレイがサポートするアートフロア。アーティストの立石従寛とキュレーターの高木遊が立ち上げ、3年目からはキュレーターの岩田智哉がディレクターを引き継いだ。彼らは、この場所を若手のキュレーターおよびアーティストのための実験の場として、「キュラトリアルな遊び場」と呼ぶ。

The 5th Floor

「Dyadic Stem」展示風景(作品:渡辺志桜里、渡邊慎二郎)

日本の現代アートシーンの未来を見据えた時、キュレーターは重要なポジションでありながら人材が不足し、ミッシングピースであると指摘。そこに焦点を当てたアートスペースとして、キュレーター主導の意欲的な展示を随時開催しているのだ。

The 5th Floor

「二羽のウサギ」展示風景(作品:髙橋銑)Photo: 立石従寛

2023年に開催された台湾のアートフェア「台北當代」では、岩田がキュレーター・フォーラム「Ideas Forum」にも登壇。「キュレーションを通して海外と日本のアートシーンの接点を作ること」を視野に入れた場所づくりを行っている。

The 5th Floor

「きらめき彫刻祭」展示の様子(Photo: Kisa Toyoshima)

一方で、地域に根ざしたイベントにも出展。多様な交流をもたらす上野周辺にはアートスポットも多く、取材した日には、谷中・上野桜木・池之端・根津の11会場を舞台にした「きらめき彫刻祭」の一環である展示が行われていた。

社員寮のために作られた簡素な一室とアートの融合。スペースがもたらす不思議な感覚をぜひ味わってほしい。

また、2024年3月29日(金)23時まで、キュレーター育成活動強化のためクラウドファンディングを実施中。日本のアートシーンを向上させるためのまたとないチャンスに、ぜひ参加しよう。

The 5th Floor:キュレーションで、アートの未来をつくる クラウドファンディング READYFOR

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ラウンジカフェで交流する。
Photo: Kisa Toyoshima

3. ラウンジカフェで交流する。

道路に面した1階の101号室は、2023年11月にアートラウンジとしてカフェ利用のできるスペースに生まれ変わった。寮長室だったというゆとりある空間を受け継ぎ、店名は「Room101」と名付けられている。

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

店内には、テーブル席やソファ、屋外にはテラス席を用意。内装は花園アレイに入居していたデザイナーの中武薫平が担当した。手作りのバニラチーズケーキ(700円、以下全て税込み)や丁寧に淹れたコーヒー(500円)、日替わりランチ(1,200円)などを提供し、時間を忘れてくつろげる空間が広がる。

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

花園アレイ

Photo: Room101

BGMは、東京藝大の音楽学部作曲科に在籍する、音楽家の藤本陸斗による心地よいアンビエントミュージック。周辺の上野の雑踏や森の音をサンプリングして作られたのだそう。

入居者であり、アートマネージメントの傍らでオーナーを担う堀江紀子は、「顔の見えるコミュニティーづくりを目指したい」という思いからこの場所を立ち上げた。元々ラウンジとして使用されていたこともあり、展示に訪れた際の休憩所として、またアーティストの相談を聞く場所として、さまざまな用途に対応できる。

Room101

Photo: Kisa Toyoshima

店内の壁面や天井なども展示スペースとして利用され、第1回目のオープニング展には、東京とロンドンで活動し、サーモグラフィー撮影を用いたポートレートで知られる平澤賢治の新作を展示していた。

Room101

北軽井沢で作品作りのために始めた養蜂から始まったプロジェクト「Q」を、壁面のスライド写真展示とインスタレーションで展開。そして、実際に採取した蜂蜜の販売や、蜂蜜を使ったフードメニューを提供し、目と舌でアートを楽しむことができる特別な体験ができる。

花園アレイ

Photo: Kisa Toyoshima

「根津・谷中の散歩や、上野の美術館帰りに立ち寄れる『アートラウンジ』として、ぜひ利用してほしい」と、堀江。カフェは、入居者や展示を観にきた人、近隣の学生や地域の人々など幅広い層が利用する。訪れた際は、ここに集う人々との交流もおすすめしたい。

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