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天王洲で「TENNOZ ART WEEK 2025」開催中、国内アートの最前線に触れる5日間

9月15日まで、ナイル・ケティングや諏訪敦の個展も

Kaoru Hoshino
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Kaoru Hoshino
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TENNOZ ART WEEK 2025
Photo: Keisuke Tanigawa | ナイル・ケティング『Blossoms – fulfilment』のパフォーマンス風景
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運河に囲まれた天王洲を舞台に、日本の現代アートの「今」を世界に発信するTENNOZ ART WEEK 2025」が開催中。2025年9月11日から15日(月・祝)までの5日間、天王洲の各所で気鋭アーティストの展覧会が開催されている。

会場は、寺田倉庫G号内の「寺田倉庫 G3-6F 」「ワット ミュージアム(WHAT MUSEUM)」、若手アーティストを支援するギャラリーカフェ「ワット カフェ(WHAT CAFE)」、隈研吾が内装を手がけた画材ラボ「ピグモン トーキョー(PIGMENT TOKYO)」。さらに、新東海橋を北品川方面に渡った先の「テラダ アート コンプレックス(TERRADA ART COMPLEX)」「ボンデッドギャラリー(BONDED GALLERY)」を加えた計6カ所だ。

TENNOZ ART WEEK 2025
画像提供:寺田倉庫

端から端まで徒歩約10分とコンパクトにまとまっており、回遊しやすいのも特徴。ここでは、各会場の展覧会を紹介する。

寺田倉庫 G3-6Fでは、ナイル・ケティング(Nile Koetting)が、パフォーマティブ・インスタレーション『Blossoms – fulfilment』を発表。広々とした無機質な倉庫空間を「鑑賞について考える場」として演出し、作品を観るという行為そのものを問い直す試みだ。来場者は、単なる鑑賞者にとどまらず「パフォーマー」として振る舞うことになる。

TENNOZ ART WEEK 2025
Photo: Keisuke Tanigawaナイル・ケティング『Blossoms – fulfilment』のパフォーマンス風景

ベンジャミン・アイブス・ギルマン(Benjamin Ives Gilman)が提唱した、展示を見続けることで来館者の注意や興味が次第に低下していく現象「美術館疲労」を参照しながら、パフォーマーは文献に基づく30のポースを用い、美術館賞における集中力を高める体の動きを実践する。鑑賞という行為を文脈から切り出し、それ自体を作品化した愉快な試みだ。なお、同作は15日までの限定公開なので、ぜひ会場で体感してほしい。

TENNOZ ART WEEK 2025
Photo: Keisuke Tanigawaナイル・ケティング『Blossoms – fulfilment』のパフォーマンス風景
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Photo: Keisuke Tanigawaナイル・ケティング『Blossoms – fulfilment』会場風景
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Photo: Keisuke Tanigawaナイル・ケティング

同じく寺田倉庫G号内のワット ミュージアムでは、現代日本のリアリズム絵画を牽引(けんいん)する画家・諏訪敦による約3年ぶりの大規模個展「諏訪敦|きみはうつくしい」を開催。初期作品から新作の『汀にて』のシリーズまで、約80点が一堂に会する。

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Photo: Keisuke Tanigawa諏訪敦「諏訪敦|きみはうつくしい」の展示風景
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Photo: Keisuke Tanigawa諏訪敦「諏訪敦|きみはうつくしい」の展示風景

母親の死を経て、諏訪は「大切な人から日々、知能や運動能力が少しずつ失われていくのを見つめながら、もはやのんきに人間の美しさを描くことはできませんでした。母の死にゆく姿を描いていたとき、私はそれを静物画と同じように扱っていたことに気が付いたんです」と振り返る。以降は、生身の人間の代わりに「人型」の静物を描いてきた。

まだ評価が定まっていない「治癒のプロセス」とも言える諏訪の絵画をどう見るかは、観客に委ねられている。

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Photo: Keisuke Tanigawa諏訪敦『汀にて(Bricolage)』(2025年)
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Photo: Keisuke Tanigawa諏訪敦

少し休憩を兼ねて、作品を鑑賞しながらカフェでくつろげるワットカフェに移動しよう。ここでは、板橋令子のキュレーションによる企画展「Seesaws」で今注目の女性アーティスト19人の作品が紹介されている。

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Photo: Keisuke Tanigawa「Seesaws」の会場風景

美術愛住館」での時空を超えた空間演出が話題を呼んだ碓井ゆいをはじめ、「東京都写真美術館」の新進作家展で注目を集めたスクリプカリウ落合安奈など、近年さまざまな展覧会で存在感を表すアーティストたちが名を連ねる。

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Photo: Keisuke Tanigawa碓井ゆい『ミセス・ワタナベの夢と絶望』(2021)
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Photo: Keisuke Tanigawaスクリプカリウ落合安奈『明滅する輪郭』(2025年)

新東海橋を渡った先にあるボンデッドギャラリーでは、日本の伝統工芸の技法と現代的なテーマを融合させる久野彩子、奈良祐希、能條雅由の3人による展覧会「Blurred:交錯する境界」が行われている。また、ピグモン トーキョーでは、江戸時代の絵師の技法が体験できるワークショップを実施。「絵絹」に花を描くなど、東洋美術の伝統に触れられる貴重な機会となる。

TENNOZ ART WEEK 2025
Photo: Keisuke TanigawaBlurred:交錯する境界」の展示風景

若手から伝統を受け継ぐ作家まで多彩な表現が集う5日間。3連休は、水辺とアートの街・天王洲で、アート散策を楽しんでみては。

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