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都市空間が展覧会場に、「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が開催中

スティーブン・ショアなど国際的に活躍する写真家の作品と街中で出合う

Kaoru Hoshino
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Kaoru Hoshino
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Photo: Kisa Toyoshima | メリッサ・シュリークの写真が印刷された柱
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八重洲・日本橋・京橋・銀座の街中で、国際的に活躍する写真家による作品に気軽に出合えるフォトフェスティバル「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が開催中。このイベントは2017年の設立以来成長を重ね、今回もエリアを拡大して開催されている。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ショアの代表作『Uncommon Places』(1973〜1981年)

同イベントは、大きく3つの柱で構成されている。まず注目したいのが、「City as Garden」と題した写真展だ。八重洲と日本橋に位置する3つのビルを会場に、3人の写真家による作品が展示されている。その一つ「東京ミッドタウン八重洲」では、ニューカラー派を代表する写真界のパイオニア、スティーブン・ショア(Stephen Shore)の作品を贅沢に紹介する。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ショア『Greeting from Amarillo, “Tall in Texas"』(1973〜1981年)

1971年に発表されたポストカードの形式を用いて流通のシステムをアートに昇華させた実験的なシリーズ『Greeting from Amarillo, “Tall in Texas"』のオリジナル作品も並ぶ。翌年発表の『American Surface』は、現代ではおなじみとなった旅のスナップショットの原型ともいえる作品群だ。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ショア『American Surfaces』(1972〜1973年)

当時、アート写真といえばモノクロの大判プリントが常識だった。そんな中でショアは、その前提を覆し、スナップショットと作品の境界を見事に溶かしてみせた。何気ない日常を、宝石を撮るような眼差しでとらえるショアの作風は、代表作『Uncommon Places』や『Details』でさらに深めている。

会場では、アメリカの風景に新たな視点をもたらしたとも評されるショアの名作が一堂に会する。ぜひ足を止めてじっくり堪能してほしい。

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Photo: Kisa Toyoshimaメリッサ・シュリーク『Ode』

東京ミッドタウン八重洲から数分歩いた先にある「東京建物八重洲ビル」では、オランダを拠点に活動する写真家のメリッサ・シュリーク(Melissa Schriek)の作品が展示されている。女系家族の中で育ち、女性同士の深い絆を感じてきた彼女は、公共空間を舞台に、自由なポーズをとる2人の女性を撮影する。

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Photo: Kisa Toyoshimaメリッサ・シュリーク『Ode』

一見するとファッションフォトにも見えるが、それは都市をパフォーマンスの場として扱う女性たちが、自らの存在や権利を静かに主張する行為を撮った作品である。そんなメッセージを軽やかに表現するシュリークの写真の力を感じてほしい。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ギル『Hackney Flowers』(2007年)

すぐ近くの「東京建物日本橋ビル」のエントランスでは、イギリス・ブリストル出身のアーティスト、スティーブン・ギル(Stephen Gill)の少し型破りな作品群『Hackney Flowers』をぜひ見てほしい。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ギル『Hackney Flowers』(2007年)

ギルは、一度撮影した写真を土に埋めて掘り返したり、写真の上にさまざまな素材をコラージュして再撮影するなど、実験的な手法を繰り返しながら、時間をかけて一枚の作品を完成させるアーティストだ。

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Photo: Kisa Toyoshimaスティーブン・ギル『Hackney Flowers』(2007年)

今回の展示では、奄美大島に伝わる泥染めの技法で染められた和紙に作品を印刷。湿った土を思わせる深い茶色の紙の上に、意外にも鮮やかに色が浮かび上がり、ギルの世界に新たなレイヤーを加えている。複雑な表現に目が離せなくなるはずだ。

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Photo: Kisa Toyoshima鈴木麻弓による作品『The Tide's Gift』

また、京橋エリアの「TOMOHIKO YOSHINO GALLERY」では、次世代のフォトグラファーの登竜門ともいえるコンペティションで選出された5人の写真家による作品を展示。さらに、2025年10月11日(土)〜13日(月)には、東京ミッドタウン八重洲の4・5階でアートフェア「T3 PHOTO ASIA」も開催される。アジアを拠点とする約20のギャラリーが集結し、気に入った作品はその場で購入できる。

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Photo: Kisa Toyoshima南川恵利による作品

また、「東京スクエアガーデン」では、「I’m So Happy You Are Here|写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし」と題し、311やジェンダー、社会との関わりといった、それぞれのテーマにレンズを通して向き合う日本の女性写真家たちの写真が作品集とともに紹介される。

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Photo: Kisa Toyoshima「I’m So Happy You Are Here|写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし」展の一部

イベント期間中は、「ポンピドゥー・センター」「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」「ヴィクトリア&アルバート博物館」など、世界的な美術館のキュレーターや美術史家、アーティストら計10人によるトークセッションも実施。「現代写真の最前線」をテーマに、多様な視点から語り合う貴重な機会となる。チケットは公式チケットサイトから入手可能だ。

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Photo: Kisa Toyoshima「I’m So Happy You Are Here|写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし」展の一部

会期は2025年10月27日(月)まで。カメラがありふれた日常を特別にするように、アートが現れた都市の風景も少し特別に感じられるかもしれない。

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