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この夏、歌舞伎町が熱い。世界的パフォーマンスグループのブルーマンによる公演「ブルーマングループ 新宿公演」が上演中のほか、Smappa!Groupの代表・手塚マキが手がける、10年ぶりの大規模な春画展「新宿歌舞伎町春画展ー文化でつむぐ『わ』のひととき」(以下、歌舞伎町春画展)も開催中だ。
これまで交わることのなかった2つのカルチャーが、「歌舞伎町」で出合う。そんな偶然を祝して2025年8月某日、手塚とブルーマンが歌舞伎町の街をともに巡るスペシャルツアーが実現した。
彼らは、街ゆく人々から驚かれながらも温かく迎えられ、歌舞伎町の各所を次々と巡った。本記事では、その一日の様子を収めた写真とともにレポートする。



「新宿歌舞伎町能舞台」
ツアーの皮切りとなったのは、歌舞伎町春画展のメイン会場である「歌舞伎町能舞台」。ホストクラブや飲食店が立ち並ぶ喧騒(けんそう)の中に静かにたたずむみやびな空間は、まさに異空間だ。
ここでは9月30日(火)まで、葛飾北斎・歌川国芳・喜多川歌麿・菱川師宣など、そうそうたる浮世絵師たちによる春画の名作が一堂に展示されている。果たして、江戸の人々がひそかに楽しんだ春画は、ブルーマンの瞳にどう映っただろう。

「SMAPPA! HANS AXEL VON FERSEN」
一行が次に訪れたのは、ホストクラブ「スマッパ ハンス アクセル フォン フェルセン(SMAPPA! HANS AXEL VON FERSEN)」。ヨーロッパのアンティーク風ソファやシャンデリアが配された内装は、エレガントな雰囲気を醸し出す。
ここでブルーマンたちを迎えたのは、同クラブでホストとして働く空条承太郎(くじょう・じょうたろう)だ。ホストとして言葉を巧みに操り、「プレイボーイ」を職業とする空条と、言葉を発さずに世界を魅了するブルーマンの絡みが実現した。



「クラブ春」
ホストクラブの次に手塚が案内したのは、レトロな大型ビルの中にひっそりとたたずむ高級クラブ「クラブ春」。装飾を最小限に抑えた落ち着いた空間に、豪華な花器に生けられた大ぶりな花々が彩りを添える。
和装に身を包んだママが、上質なワインで客をもてなす隠れ家的な一軒だ。この日はブルーマンにじっと見つめられ、ママは戸惑いながらもほほ笑みを浮かべて応じてくれた。



「歌舞伎町弁財天」/「王城ビル」
次に訪れたのは、「王城ビル」と「歌舞伎町弁財天」。画家の東學(あずま・がく)による龍虎の壁画を背景に、ブルーマンは公園内のはしごによじ登ったかと思えば、スマートフォンをいじるサラリーマンの手元をのぞき込むなど、街の人々に興味津々の様子であった。
日本の歴史的建造物とブルーマンという奇天烈な組み合わせに、人だかりが発生。街ゆく人も、予測不可能なブルーマンの動きを見守っていた。





「新宿ゴールデン街」
最後に訪れたのは、今もなお活気にあふれる古き良き日本の飲屋街「新宿ゴールデン街」。その道すがら、狭い道路を一本隔てた向かい側に建つ吉本興業の「東京本部」の前で、芸人・チャンス大城とばったり遭遇した。
チャンス大城は、F1カーやハト時計の音まねなどの持ちネタを次々とブルーマンの前で披露。そこへ、ゴールデン街のバー「ソワレ」で働くシャンソン歌手のシルヴィア・ポンパドール・マンチェスター・光子も登場した。ブルーマンに引けを取らない存在感と、艶やかさを放っていたのが印象に残る。
言葉ではなくジェスチャーや視線でパフォーマンスを行う彼らだからこそ、国籍や文化の壁を超えて人々とつながれるのだろう。
「歌舞伎町=危ない街」という先入観が先行する中で、その裏にある人情や温かさに目を向けることは少ない。しかし、手塚が率いる今回のツアーを通して、ブルーマンは歌舞伎町の奥に潜む姿を見せてくれた。
最後に、登場してくれた人たち、ありがとう。

手塚マキ プロフィール
1997年に歌舞伎町でホストとしてのキャリアをスタート。ナンバーワンホストを経た後、歌舞伎町でホストクラブや飲食店など約20店舗を展開するSmappa!Groupの代表となる。現在は、現役ホストに短歌を詠ませたり、浮世草子の創始『好色一代男』を日本舞踊で演じさせたりと、歌舞伎町から伝統的な日本文化を発信する活動にも力を注いでいる。

ブルーマングループとは
1991年、ニューヨークの小さな劇場で初演を迎えた「
3人の「ブルーマン」が繰り広げるパフォーマンスは多彩だ。
「ブルーマングループ 2025 新宿公演」公演概要
日程:2025年8月6日(水)〜8月31日(日)
会場:「シアターミラノ座(THEATER MILANO-Za)」
チケットは公式ウェブサイトで購入できる。
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