1. pool 桜台
  2. バー・イッシー
  3. ひかりのうま

東京、エクスペリメンタルミュージックガイド

ノイズ、即興、電子音楽のライブを見ることができるライブスペース

テキスト:
Kunihiro Miki
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ノイズやフリージャズ、電子音楽などといった音楽ジャンルにおいて東京は、豊かな歴史を持ち、多くの才能あるミュージシャンによって奥行きのあるシーンが形成されている世界有数の都市だ。

少々ハードルが高く見られがちなジャンルだが、瞬間の音の連なりと重なりを追うその体験は、時間芸術としての音楽の在り方を最もピュアに感じられるひとときと言える。要するに、生のライブでこそ醍醐味(だいごみ)が味わえ、感動が得られる音楽なのだ。

本記事では、そうした演奏を生で体験できる東京のライブスペースを紹介する。ここで紹介している店のほかにも、今回取材が叶わなかった水道橋のFtarriや、たまに豪華なノイズ/インプロヴィゼーションイベントを開催している秋葉原クラブ グッドマンなど、実験的な音楽を紹介している場所は東京に点在しているので、興味が湧いた人はぜひアンテナを張ってみてほしい。

テキスト:三木邦洋、Nozomi Takagi、James Hadfield
  • 音楽
  • 千駄木

2012年末で渋谷での営業を終了し、2014年に千駄木で復活したバー・イッシー(Bar Isshee)。東京屈指のアンダーグラウンドな音楽の拠点だ。

店長のIssheeがテーマに掲げる「他店では見ることができない演奏、セッション」の言葉の通り、同店は、普段は異なるシーンで活動し交わることの少ない国内外の名手たちのセッションが行われる無二の場所だ。

常連の出演者のなかには、坂田明や梅津和時、加藤崇之といったフリージャズの大物たちをはじめ、内橋和久や山本精一、高岡大祐、坂口光央などのアンダーグラウンド界の才人たちも名を連ね、即興音楽やノイズ、アンビエントの演奏が連日繰り広げられている。

基本のシステムは事前予約が必要となり、チャージは投げ銭制。集まった投げ銭は全て出演者に渡される。

  • 音楽
  • 練馬

桜台にある、ライブなどを不定期開催している多目的スペース。閑静な住宅街の一角にあるビルの地下へ降りていくと、その先にあるのは「無骨」そのものの世界。コンクリートむき出しの通路を抜け、重い扉を開けると、外観からは想像できないような高い天井の空間が広がる。

喫煙所やエントランスに設置されているロボットの数々は、ロボット同士を戦わせるマシン・パフォーマンス集団KAIRAI-BUNCHを主宰する、店長の清水郁雄の作品。自身の作業場としてだけではなく、イベント開催やハッカースペースとして空間を人とシェアできるような場所を目指し、清水とスタッフが手作業で内装を手がけた。

イベントは土日のみ、かつ不定期の開催。ロックやアバンギャルド系のアーティストが出演する。清水いわく「このスペースを気に入り、イメージが湧いたという人が利用してくれることが多い。特にガレージで音楽を演奏する、という映画のようなシチュエーションに魅力があるのかも」とのこと。

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  • 音楽
  • 落合

コインランドリーの前を過ぎ狭い階段を下りると、そこは東京の実験音楽シーンの中枢の一つ。オープンから15年近くが経ってもSoupのDIY精神はいまだ健在である。

出演者らがセットを終えた後にバーカウンターの後ろで(ここだけの話、素晴らしい焼酎がそろっている)何やら作業をしていることもしょっちゅうだ。 風変わりなインディー・ポップやハードコア・パンクのライブも開かれるが、音楽メニューの傾向の中心はノイズ、フリー・インプロヴィゼーション、アンビエント、エクスペリメンタル・テクノなど。

このライブハウスのサウンド・エンジニアNobuki Nisiyama(西山伸基。自身もこのスペースで演奏し、遊ぶ)によってきっちりチューニングされたパンチの効いた音響システムは非常にクリアで音の分離が良い。

  • 音楽
  • 大久保

古いスナックを改装したミュージックバー、ひかりのうま。改装前の看板をあえて残した入り口を抜けると、バーカウンターとボックス席を備えたレトロで温かみのある空間が広がる。ステージと客席の距離は近く、生音の迫力がダイレクトに伝わるのが特徴だ。

2020年でオープン5周年を迎え、最近では世界中の音楽好きの間でもうわさが広まり、海外のミュージシャンからも注目される場所となった。

店長の谷口マルタ正明は、同店の音楽的特徴について「ブッキングするのは、自分の表現を突き詰めている人たち。弾き語りからロック、ジャズや電子音楽まで、幅広いジャンルの音楽を楽しめる場所。音の反響もよく、小さい箱ならではのナチュラルな音が楽しめます」と語る。

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アートスペース・バー・ブエナ
  • バー
  • ワイナリーズ
  • 大久保

2012年に大久保駅そばのビルの2階に移転オープンしたアートバー。カウンターのほか、ソファー席もあり、広くはないがゆったりできる空間だ。店内には、写真や平面作品などが展示されていて、酒を飲みながら気軽にアートを楽める。

店主の田中晴久はノイズ、ドローン、アンビエントのミュージシャンでもあり、店内では不定期でゲストアーティストを招いたノイズやアンビエントのライブパフォーマンスも行われている。過去にはChihei HatakeyamaやHakobuneなどが出演している。

東京でもっと音楽を楽しむ……

  • バー

音楽ファンの間では、サブスクリプションサービスが普及する一方で、レコードを嗜(たしな)む人も増えている。インテリア感覚で買ってみたら、音質の良さにハマってしまったというパターンも多いとか。いよいよレコード愛に目覚めたら、盤を買い求めるのはもちろん、一緒に楽しむ仲間もほしいところだ。ここでは、ただのレコードショップではなく、バーを併設しているヴェニューを紹介する。試聴したり音楽について語り合う喜びも、酔いが回るとひとしおだ。

  • ナイトライフ

多種多様な人が集まる東京の夜は、たくさんの選択肢がある。ふと、いい音楽を聴きながら酒を楽しみたいと思った日には、DJバーに行こう。どんな夜を過ごしたいかは人それぞれ。特集では平日もDJがターンテーブルに盤を乗せ、オーディエンスを盛り上げている店や、店主が密かにセレクトする音楽とともにしっとりと飲める店など、渋谷界隈(かいわい)の名店を紹介する。

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早朝から行けるクラブ&DJバー 3選
  • ナイトライフ

クラブイベントは深夜にやるものというのは昔の話で、最近では夕方からスタートして24時ごろに終わるデイタイムのイベントもかなり増えてきている。背景には、家庭を持つ世代になったクラバーたちが多くいることや若年層が夜更かしや飲酒を避ける傾向にあるなどといったライフスタイルの変化と、2016年の風営法改正によって一部の小規模なクラブが深夜営業ができなくなった法律的な要因がある。 ここで紹介するのは、主に後者の理由から深夜営業をやめ、デイイベントへのシフトに加えて早朝スタートのモーニングイベントも開催している店だ。本来は渋谷近辺のクラブで朝まで遊んだ人たちが流れてくるアフターアワー帯を狙ってのイベントだが、これだけのために早起きして参加している「朝活クラバー」もいる。 ウェルネス志向から生まれたニューヨークの『DAYBREAKER』は、平日の出勤前に行けるアルコールを飲まないクラブイベントとして盛況らしいが、実は東京でも、週末限定ではあるが同じことができるのだ。ドロドロに酔った遊び明けの客たちと、ハツラツとした顔の早朝組が入り乱れる様子は都会らしさが凝縮された光景でもある。あなたの朝活メニューに、ぜひクラブを加えてみてほしい。

  • 音楽

店頭で音楽を探す醍醐味(だいごみ)。それは、不意の導きや出会いがあふれていることだ。たまたま手に取ったジャケット、その時かかっていた新譜、店員との雑談から出てきた一枚、などなど……。スマホアプリのアルゴリズムが導く出会いとは異なる、不意の感動がそこにはある。 東京は、世界でも有数の巨大なレコードコレクションを抱えた街であり、渋谷や下北沢といったレコードショップ密集地帯だけでなく、各所に優れた店が点在している。本記事では、ビギナーでも楽しめる店からプロ御用達の店まで、さまざまなスタイルのレコードショップを紹介する。 

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下北沢、レコードショップリスト
  • ショッピング
  • 音楽&エンターテイメント

演劇、グルメ、ファッション、そして音楽。雑多なカルチャーが寄り添うように共存する街、下北沢では、レコードショップの名店も多い。ここでは、海外からも客がやってくる老舗の名店や、ここ数年でオープンした魅力的な新店、ノイズ・アンビエントや辺境音楽などをそろえるマニアックな一軒、クラブDJ御用達の一軒まで、個性豊かなレコードショップの数々を紹介する。 

渋谷、レコードショップリスト
  • ショッピング
  • 音楽&エンターテイメント

全盛期に比べて店の数こそ半減してしまったが、現在も渋谷はレコードファンにとって重要な街だ。生き残っている名店はもちろん、ライトハウスレコーズ(Lighthouse Records)やHMVレコードショップ 渋谷など、新たな定番店の登場も活気をもたらしている。ここでは、部屋聴きからDJユースまで、音楽魂を揺さぶる渋谷のレコードショップの名店を紹介する。クラブミュージックやロック、ジャズ、ワールドミュージックなど、あらゆる音楽がそろう聖地で、心ゆくまでレコードハンティングを楽しんでほしい。

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