杉田万智 個展「灯火」
参考作品《WE ARE ALL HUMAN No.4》2024年, F30, キャンバスに油彩 | 「杉田万智 個展『灯火』」
参考作品《WE ARE ALL HUMAN No.4》2024年, F30, キャンバスに油彩

東京、7月に行くべき無料のアート展12選

毛利悠子のヴェネチア・ビエンナーレ帰国展、杉本博司の『海景』シリーズ、奈良美智によるキュレーション展など

Chikaru Yoshioka
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2026年7月、街はアートによってより自由に開かれていく。

「横浜美術館」で開催される毛利悠子の「ヴェネチア・ビエンナーレ」日本館で発表した作品の帰国展をはじめ、奈良美智がキュレーションするセラミック表現の可能性を探る試み、杉本博司の視線を通して人類史を超えた生命の時間に思いを巡らせる展示などを、入場無料で楽しむことができる。リストを片手に街を歩けば、見慣れた風景はやがて静かにアートへと変わっていくだろう。

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国内外で目覚ましい活躍をみせるアーティスト、毛利悠子。2024年の第60回「ヴェネチア・ビエンナーレ」の日本館で発表した個展「Compose」は各国のメディアで大きな反響を呼んだ。その展覧会を元に再構成された帰国展が、「横浜美術館」で日本初公開される。

毛利は、磁力や重力、空気の揺らぎといった自然現象を手がかりに、身のまわりの人工物や自然物、機器を組み合わせたインスタレーションを制作してきた。不規則な動きやノイズ音を生み出す作品群には、目に見えないエネルギーの循環やもの同士の関係性といった自然の摂理がユーモアを交えて表現されている。

本展では、「水」を主要なモチーフとして展開し、ベネチアと横浜という二つの水の都を結ぶ。コロナ禍や各地で続く紛争など、分断が深まる現代社会を背景に、「共存」や「共生」の在り方を問いかける。

展示は二つのシリーズによって構成。一つは、東京の地下鉄構内で目にした水漏れと、それに対処する駅員たちの即興的な工夫から着想を得た『モレモレ』。身近な日用品を用いて、水が循環する独自のシステムを立ち上げる。もう一つは、果物が朽ちていく過程を扱う『デコンポジション』で、電極を刺された果実の水分量の変化が、不規則な光や音となって現れる。いずれも水の循環や変容を可視化する作品であり、光や音、匂いを伴いながら鑑賞者の五感へと働きかける。

会場となる「ギャラリー9」は、新設されたガラス張りの展示室だ。自然や日常とアートを結びつけ、絶えず変化する現象に目を向ける毛利の作品は、刻々と移ろう光や風景を取り込むこの空間と響き合い、新たな表情を見せるだろう。

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20世紀を代表する家具デザイナー、ジョージ・ナカシマ(George Nakashima、1905~1990年)。自らを「ウッドワーカー(木工家)」と称し、木の声に耳を傾けながら、生命に謙虚に向き合い家具作りを続けた。木を植生の段階から理解し、その個性を見極めて木取りを行うことで、家具としての「第二の生」を与えるべく、手と魂を存分に働かせてものづくりに取り組んだ。

その創作の原点は、若き日に学び、レーモンド事務所などで経験を積んだ「建築」にある。「Gallery A4(ギャラリー エー クワッド)」で開催の本展では、ナカシマが約30年をかけて家族とともに築き上げた仕事と生活の場「ジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ」をはじめ、これまであまり知られてこなかった建築作品に焦点を当てる。

ナカシマは第二次世界大戦中に日系人収容所に抑留された経験があり、世界平和を強く願った人物でもある。晩年には祈りを込めて「平和の聖壇」を制作し、その理念は娘のミラ・ナカシマ・ヤーナル(Mira Nakashima-Yarnall)へと受け継がれている。

見どころの一つは、アメリカ・ニューホープに築かれたジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ。広大な敷地に点在する個性豊かな建築群を、貴重な写真資料とともに紹介する。また、戦前にインドで現場監理を務めた「ゴルコンダ」(1939)や、戦後に手がけた京都の「カトリック桂教会」(1965)など、建築作品も詳しく解説する。

会場ではナカシマがデザインした椅子やベンチなど家具を展示。実際に椅子に座ることができる体験コーナーも設けられ、ナカシマのデザインと座り心地を体感できる。

夏の予定を立てるなら……

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