「東京国立近代美術館」で、現代美術作家の杉本博司による「杉本博司 絶滅写真」が開催。杉本の1970年代後半の初期から現在に至る、「銀塩写真」約60点を展観する。
杉本は「小田原文化財団 江之浦測候所」を手がけるなど建築分野でも活躍し、古典芸能をはじめとした舞台演出では国内はもちろん、ヨーロッパ各地やニューヨークにも進出している。さらに、書・陶芸・和歌・料理へと活動領域を広げ、多彩な表現を展開してきた。
そんな杉本の表現の原点は銀塩写真にある。確固たるコンセプトに基づく作品は、デジタル化が進んだ現代では銀塩技術の頂点を極めるものであり、その技法自体が今や「絶滅危惧」といえる。
本展では、全13のシリーズを3章構成で紹介。初期3部作の『ジオラマ』『劇場』『海景』をはじめ、『建築』『スタイアライズド・スカルプチャー』など各シリーズから新作も初公開される予定だ。
デビュー作として知られる『ジオラマ』では、『ポコット族』などの新作を加えた構成によって、1976年のシリーズ誕生時から秘かに構想されてきた人類史を巡る深淵な物語が、約半世紀を経て初めて提示される。また、1970年代半ば以降に記録が始まった、写真作品の制作過程における撮影時や暗室作業の覚書「スギモトノート」と、同館所蔵の杉本作品全点を、所蔵品ギャラリー3階でサテライト展示する。
タイトルでもある「絶滅写真」は、銀塩写真というメディアの終息と自らの作家活動の終幕を見すえて浮上したテーマだが、本展が示す絶滅のビジョンはそれだけにとどまらない。一体何が絶滅しようとしているのか。写真表現を拡張・深化してきた杉本の創作世界を俯瞰(ふかん)する本展で、絶滅という通奏低音に注目してほしい。
※10〜17時(金・土曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(7月20日は開館)、7月21日/前売りは2,100円、学生1,000円、高校生500円/当日2,300円、学生1,200円、高校生700円






