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《Bonding No.4》Courtesy of Kamwei Fong
《Bonding No.4》Courtesy of Kamwei Fong

東京、12月に行くべき無料のアート展11選

アルヴァ・アアルト、カムウェイ・フォン、宮島達男など

Chikaru Yoshioka
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12月の東京では、気鋭のアーティストによる個展から、夢と現実のはざまを行き来するような体験型インスタレーション、フィンランドのサウナ哲学をひもとく企画まで、ジャンルを横断するアート体験が揃う。

宮島達男が東北に寄せて展開する「時間」の作品、アルヴァ・アアルト設計のサウナを通して北欧の精神性に迫る展示、そしてカムウェイ・フォンによるユーモアと温度に満ちたモフモフの世界。寒い季節に心を温めてくれる、11の「行って損なし」の展示を紹介する。

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  • 銀座

「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」で、グラフィックデザイナーの中村至男の個展が開催。新作と代表作も含め、中村がこれまで手がけてきた広告や音楽業界の仕事、動画、絵本など、多分野の作品群を紹介する。

中村は1990年代、アートユニット「明和電機」のグラフィックや、佐藤雅彦とともに取り組んだプレイステーション用ソフト「I.Q」などの鮮烈な視覚世界で注目されてきた。

中村の得意とするミニマムな表現と多角的な視点の面白さ、人の想像力をかき立てるビジュアルは、どの作品にも共通する魅力だ。無駄な情報を削ぎ落しながら、「シンプル=単純」でもない、メッセージのエッセンスを凝縮した豊かな表現が実現されている。

会場では、馴染みのある作品を改めてじっくり観察してみたり、新作と対比してみたりすることで新たな発見があるかもしれない。簡潔な形や色の奥にある「何か」を探してみてほしい。

  • アート
  • 銀座

Akio Nagasawa Gallery Ginza」で、宮島達男の個展「To Sea of Time - TOHOKU」が開催。同ギャラリーは「時の海 - 東北」プロジェクトのファンドレイジングとして版画作品を制作・販売しており、今回もその一環だ。

本プロジェクトは、東日本大震災の犠牲者への鎮魂と震災の記憶の継承、そして これからの未来をともに作ることを願い、3000人と制作するアートプロジェクト。会場では、特別制作されたユニークな作品「Life Face for Sea of Time - TOHOKU」を展示する。

本作は、同じ数字の版から、全く異なる数字の並びが無数に現れるというシルクスクリーン作品で、 時間の瞬間性を捉えたもの。数や配置の異なる5種類の版があり、それぞれが組み合わせや並び替えによって無限の変化を生み出す。

さらに、ファンドレイジングのための版画作品も公開する。ぜひ足を運んでほしい。

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  • 江東区

Gallery A4」で、フィンランドを代表する建築家のアルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)が設計したサウナ6作品を中心に、フィンランドの精神が宿るサウナについて紹介する展示が開催される。

フィンランドの厳しい自然環境の中で培われたサウナ文化は、祝祭と日常生活の両方に深く根ざし、生活の中心として、そしてアイデンティティーの一部として息づいている。フィンランドの環境特性を重んじ、自然との共生を大切にしたアアルトにとっても、サウナは神聖なる場、設計理念の中心となる場であった。

アアルトは設計を始めた初期に、自国が誇るサウナを中心とした文化施設を計画し、提案した。実現はしなかったが、その後も公共サウナから個人邸のサウナまで名作をいくつも設計している。

本展では、ムーラッツァロの実験住宅(コエタロ)のサウナ小屋のほか、彼の代表的な住宅のサウナや公共サウナを実寸模型や設計原図、写真などで紹介。またサウナの歴史、機能、そこから派生する暮らし文化の広がりに着目し、生活文化に欠かせないフィンランドの精神が宿るサウナとは何かを考えていく。

  • アート
  • 表参道

GYRE GALLERY」で、概念やカテゴライズという世界が存在しない作家たちのアウトサイダーアート展「“Strike Gold” Art for “No Concept” - 作為なき表現者たち」が開催。未知の表現を前に新たな視点を得たり、心躍る体験をしたりしてほしいという思いのタイトル「Strike Gold」の下、作家・支援者・施設職員との対話を通じて、丁寧に選定された作品群が並ぶ。

日本では、作為をなくす、または極力排除することが、美の本質として重視されてきた。本展の作家たちは、もともと作為のない場所から制作を始めている。彼らの作品には、古来私たちが大切にしてきた自然への憧れや畏怖、そこから生まれるみずみずしさやダイナミズムが宿る。

展示作品は全て、アート作品として適正な価格で販売され、作家への経済的還元を通じて、多様な人々が活躍できる場の拡大を目指す。彼らのアートは、私たちが人種・性別・階級・障がいの有無を超えて「等しく幸せになる社会」を考える上で、大切な問いを投げかけてくれるだろう。 

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  • 神谷町

Gallery & Restaurant 舞台裏」で、心霊や超常現象、夢など不可視なものや科学では解明されない事象に着目し、鑑賞者の心にざわめきをもたらすような作品を展開してきた冨安由真の個展「This Is Not A Dream」が開催。「夢」をキーワードとした長編物語の序章として構成され、夢と現実のはざまを行き来するような体験型インスタレーション作品を発表する。

とある食卓が広がっている会場。本来、食卓は家族に安らぎを与える象徴的な場所のように思えるが、冨安はこの空間にひとさじの違和感をもたらす。そして、鑑賞者にどこか奇妙で非現実的な居心地の悪さを経験させる。

自分が夢を見ていることは分かっているのに目がさめてもまだ夢の中にいる、夢と現実が入り混じる不穏な混沌(こんとん)が、これから紡がれる物語の中に潜んでいる。会期中には、実際にこの食卓で食事をしながら鑑賞する参加型パフォーマンスの上演も実施予定だ。

物語に思いを馳せながら、冨安が作り出す不思議な世界をぜひ体験してほしい。

  • アート
  • 神楽坂

eitoeiko」で、相川勝の個展「In Developing」が開催。写真から支持体を解放する試みとして、2020年から取り組んでいるUVレジンを用いた写真作品を発表する。 

写真が誕生してから約200年間で、写真技法の発展と更新はデジタル技術によって支えられるようになった。光を通じて得られた情報が画像として収められる過程の中で、相川は、最終的に印画紙やフォトペーパー、モニターやスマートフォンを眺めて写真を確認する行為を疑う。風景や人物を描くときに絵筆とキャンバスが必要なように、本当に光には支持体が必要なのだろうかと。 

光ある限り現在から未来へと像を現し続ける作品は、文字通り「現像中」であり続ける。鑑賞者は、光から像が生まれるという写真の本質的な瞬きを体験するだろう。

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  • アート
  • 早稲田

奴隷制時代から現代まで、黒人女性の芸術は沈黙を破り、内なる魂(ソウル)に光を当て、自らの言葉で自己を定義するための力であった。「早稲田大学国際文学館 村上春樹ライブラリー」で開催される本展では、アメリカを中心とする黒人女性作家・ジャズ奏者による作品を紹介する。

会場では、ゾラ・ニール・ハーストン(Zora Neale Hurston)、トニ・モリスン(Toni Morrison、アリス・ウォーカー(Alice Walker)など、アフリカ系アメリカ人女性作家および、そのほかの地域の黒人女性作家による文学作品のうち、日本語に翻訳されたものが並ぶ。

また、ベッシー・スミスBessie Smith)やビリー・ホリデイBillie Holiday)をはじめとする女性ブルース歌手やジャズ歌手のレコードも展示。さらにメアリー・ルー・ウィリアムズ(Mary Lou William)、エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)など、ジャンルやジェンダーの枠を超えて活躍してきた器楽奏者のレコードも登場する。

小説や詩、歌や演奏に宿る声、そこから響く豊かなブラックフェミニズム思想に耳を傾けてみては。

12月のアートをもっと知るなら……

  • アート

2026年の東京は、アートを巡る話題が尽きない一年になりそうだ。空山基やロン・ミュエクの大規模回顧展をはじめ、ピカソとポール・スミスの創造性が交差する企画、杉本博司が挑む写真表現の極地など、ジャンルや文脈を越えた展覧会が各美術館で開催される。

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