チュルリョーニス展 内なる星図
ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》1909年、テンペラ/厚紙、国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.
ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》1909年、テンペラ/厚紙、国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

東京、3月に行くべきアート展5選

空山基、チュルリョーニス、ユージン・スミスなど

Chikaru Yoshioka
広告

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、3月に行くべきアート展5選

2026年3月の東京では、多彩な切り口からアートに触れられる展覧会が開催される。「CREATIVE MUSEUM TOKYO」でのアーティスト・空山基による過去最大規模の回顧展や、スープを入り口に衣食住の根源を見つめ直す「スープはいのち」。また、リトアニアを代表する芸術家・チュルリョーニスの日本で34年ぶりとなる展覧会など、見逃せないラインアップが揃う。

街に出て、新しい表現との出合いを楽しもう。

関連記事
東京、2026年注目のアート展14選

  • アート
  • 京橋

京橋の「CREATIVE MUSEUM TOKYO」で、アーティストの空山基による自身最大の回顧展が開催。1970年代後半から現在までの代表作を通じて、空山が築き上げてきた芸術的進化と創作の歩みを総観する。

空山は、常々自身の作品コンセプトを「光」「透明」「反射」だと語ってきた。それは、空山が絵の具という制限された素材を駆使して、光を描くという挑戦を繰り返してきた軌跡でもある。

空山が描く人物や動物、恐竜などのロボット作品は、生物の身体性を超えた未来という仮想の物語を提示する。そこには、既存の生命体と機械文明が融合した世界の美学が広がり、知性・身体・時間といったテーマが交錯。鑑賞者の想像力と創造性を自然と刺激していく。

本展では、空山が1978年にウイスキーの広告のために最初に描いたロボット作品や、恐竜、ユニコーンなど幅広くロボット造形を追求した最新のキャンバス作品、デザインを手がけた「aibo(アイボ)」の原画や、エアロスミスのアルバムジャケットとして知られる代表作が並ぶ。

さらに、SF漫画の『攻殻機動隊』に登場する草薙素子にインスパイアされた新作も登場。空山が半世紀にわたり追い求めてきた表現の核を圧倒的なスケールで体感できるだろう。

  • アート
  • 六本木

21_21 DESIGN SIGHT」で、スープを入り口に衣食住の根源を見つめ直す企画展「スープはいのち」が開催。衣服や住まいといった身体の外側の環境と、食という内側の環境を「身体を包む行為」として捉えてきたデザイナーの遠山夏未がディレクションを手がける。

水と食材を火にかけるという最小の行為から生まれるスープには、素材に宿る力や熱の移ろい、土地の歴史、身体の感覚、器や食空間のたたずまいなど、多様な層が同時に息づく。外側と内側の世界が溶け合い、小さな器の中に「生きる環境そのもの」が立ち上がる構造を、衣食住を支える「包まれる身体」という共通原理として、遠山は提示する。

本展では、水や塩、野菜といった素材の気配や、熱による変化、器や空間との呼応、「食べる」という所作の繊細な動き、さらには記憶や香りといった目に見えにくい要素を手がかりに、生活環境を「包む」という視点から再考。抽象的な構造としての衣食住と、人間の身体に残る野生的な感覚の間に潜むデザインの働きを浮かび上がらせる。

会場では布や音によるインスタレーション、香りの作品、写真、スープにまつわる資料などを展示。動詞を軸に構成されたゾーンを巡ることで、始まりへの回帰から再生、分かち合いへと至る、命の循環を体感できる。作品に対応するレシピを収集しながら鑑賞に関与する仕掛けも用意され、持ち帰った後も「味わう」「作る」といった行為へと体験が接続されていく。

スープという最小の食を起点に、身体や環境、記憶や時間が折り重なる中で、鑑賞者は五感を通して新しい視点や気づきを見いだすだろう。

広告
  • アート
  • 上野

「国立西洋美術館」で、リトアニアを代表する国民的芸術家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(Mikalojus Konstantinas Čiurlionis、18751911年)の日本で34年ぶりとなる回顧展が開催される。祖国・リトアニアにおける生誕150周年の祝賀ムードを引き継ぎ、「国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)」が所蔵する絵画やグラフィック作品、約80点を紹介する。

チュルリョーニスは、絵画と音楽という2つの領域で類まれな才能を示し、35歳の若さで亡くなるまでのわずか6年ほどの画業で、300点以上もの作品を手がけた。世紀末のアールヌーヴォーや象徴主義、ジャポニスムといった国際的な芸術潮流と響き合いながら、作曲家ならではの感性と、当時ロシア帝国の支配下にあったリトアニアのアイデンティティーを反映した作品群は、唯一無二の個性を放っている。

見どころは、人間の精神世界や宇宙の神秘を描いた幻想的な作品の数々のうち、日本初公開となる謎に包まれた最大の代表作『レックス(王)』。また、音楽形式を取り入れた連作や、自身の手になる楽譜、展示室に流れる旋律を通して、優れた作曲家でもあった画家の個性と感性を体感できる。

日本ではめったに見られない作品が来日する本展。再評価の機運が高まるチュルリョーニスの世界を堪能してほしい。

  • アート
  • 天王洲

「寺田倉庫 G1-5F」で、妖怪美術と最先端の映像・立体造形が融合するイマーシブ体験型デジタルアートミュージアム「動き出す妖怪展 TOKYO」が開催。江戸・明治期の絵師による「百鬼夜行絵巻」「百物語」「鬼」「てんぐ」「かっぱ」「付喪神(つくもがみ)」など、日本の妖怪美術を基盤に、時代を超えて愛される妖怪たちがダイナミックに動き出す。

妖怪画や戯画に描かれたユーモラスな姿が、3DCGやプロジェクションマッピング、ホログラフィックスクリーンといった最先端のデジタル技術によって躍動。立体造形と映像演出の融合により、リアルな妖怪世界とともに、細やかな表情や質感まで間近に感じられる。

さらに、日本初の古書博物館「西尾市岩瀬文庫」や小豆島の「妖怪美術館」の協力により、妖怪文化や歴史、現代ポップカルチャーへの影響も解説。鑑賞にとどまらず、妖怪と写真や動画を撮影したり、妖怪絵巻の一部となって異世界へ迷い込むような体験も味わえる。

ノンバーバル(非言語)で直感的に楽しめるコンテンツを中心に、座って鑑賞できるスペースも用意。子どもからシニア、外国人まで、妖怪の世界で心を躍らせる時間が待っている。

広告
  • アート
  • 恵比寿

複数の写真と短文を組み合わせて物語を描く「フォトエッセー」の第一人者として、確固たる評価を築いた写真家のW. ユージン・スミス(W. Eugene Smith)。第二次世界大戦中はグラフ誌「ライフ」の特派員として沖縄やサイパンなどの激戦地を取材し、戦後も『カントリー・ドクター』『慈悲の人 シュヴァイツァー』『水俣』など、人々の生活に寄り添った作品を発表した。

1954年にライフ誌を離れたスミスは、ニューヨーク・マンハッタンのアパート、通称「ロフト」へ移住。そこはセロニアス・モンク(Thelonious Monk)やマイルス・デイヴィス(Miles Davis)といったジャズミュージシャンをはじめ、サルバドール・ダリSalvador Dalí)、ロバート・フランク(Robert Frank)など、ジャンルを超えた多彩な芸術家が集う創造の拠点となる。頻繁に行われたジャムセッションや交流の様子は、スミス自身によって記録された。

「東京都写真美術館」で開催される「W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」では、「ロフトの時代」とその前後の作品を中心に紹介。報道写真家としてだけでなく、写真表現の可能性を追求した芸術家としての側面にも光を当てる。報道と芸術の融合を目指したスミスの試みを、新たな視点から再考する機会となるだろう。

なお、2026年317日(火)~45日(日)は、「ウェルカムユース 2026」キャンペーンで18歳以下の入場が無料なので、見逃さないように。

お出かけ情報なら……

広告
  • アート

2026年の東京は、アートを巡る話題が尽きない一年になりそうだ。空山基やロン・ミュエクの大規模回顧展をはじめ、ピカソとポール・スミスの創造性が交差する企画、杉本博司が挑む写真表現の極地など、ジャンルや文脈を越えた展覧会が各美術館で開催される。

おすすめ
    最新ニュース
      広告