1. 神山町
    Tending the fields in KamiyamaPhoto courtesy of Food Hub Project
  2. 神山町
    Food Hub Project

徳島県の奇跡の町「神山」に2週間滞在すべき5つの理由

持続可能性な働・食・住・教育環境を実装しつつある夢の町を徹底紹介

編集:
Time Out Tokyo Editors
寄稿: Ari Akemi
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タイムアウト東京 > トラベル > 徳島県の奇跡の町、「神山」に2週間滞在すべき5つの理由

※本記事は、『Unlock The Real Japan』に2022年3月21日付けで掲載された『How to save a town』の日本語版。

ITやソーシャル界隈(かいわい)で新しいビジネスを始めたい時や、アーティストやビジネスパーソンとして行き詰まりを感じているならば、ぜひ徳島県神山町の自然の中で、2週間短期滞在することを勧めたい。

神山は羽田空港から飛行機とバスで3時間、四国の山中にある小さな町だ。シカが生息し、清流が流れる道を走った先にある。

今では「地方創生の聖地」といわれているが、「神の山」という名前の通り、古くから仏教徒、神教徒の巡礼者が多く訪れる場所でもある。1990年ごろまでは巡礼地としてのみ知られる自治体だったが、近年はさまざまな文脈で注目を集めている。

神山町には優れた温泉や宿泊施設も多く、リゾート地としても良い場所だ。しかし、ここで体験できるのはただのバカンスではない。ビジネスのヒントや新たな出会いにつながる可能性に満ちている。ここでは、神山に滞在することで得られる刺激的な体験を5つ紹介しよう。

究極のワーケーション環境を満喫する。
Kamiyama Valley Satellite Office Complex

1. 究極のワーケーション環境を満喫する。

神山の魅力は時代に左右されないが、インフラは最先端である。ブロードバンドは東京都心の数倍の速さを誇り、モバイルネットワークはハイキングコースから川辺まで、どこでも利用できる。

町内には中長期滞在に向いている田園生活を楽しめるAirBnBの民泊施設も多い。例えば江戸時代末期の造り酒屋を改築したB&B On y va & Experienceサステナブルな体験ができるAirbnbの日本代表格だ。

里山の風景を堪能して一息ついたら、元縫製工場を改装したコワーキングスペースの神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(KVSOC)を訪れて仕事をしてみよう。ここは、街づくりをけん引してきたNPO法人グリーンバレーが運営する施設だ。まきストーブとゆったりとした机が並ぶ空間で作業すれば、普段とは違う発想が生まれてくるに違いない。

隣にはエンジニアリングやデザインに取り組む地元ボランティアが運営している神山メイカースペース(KMS)があり、3Dプリンターやレーザープリンターを気軽に使えるようになっている。

昔ながらの街並みが残る寄井商店街を歩けば、古民家を現代風に改装した各社のサテライトオフィスを目にするだろう。都心のオフィスと変わらない仕事内容でありながら、これ以上ないほど都会の喧騒(けんそう)から離れた場所で働く人々の実際の暮らしを感じてみてほしい。

「神山ネットワーク」に名を連ねる。
Tending the fields in Kamiyama

2. 「神山ネットワーク」に名を連ねる。

神山の魅力は、新しく来た人、地域の人、街づくりを担当する人たちの密接な関係にある。グリーンバレーをはじめとする起業家や地元のB&Bのスタッフなど、誰もがこのつながりの効果を口にする。

大阪のIT企業であるドリームジャックは、2021年に神山にサテライトオフィスを構えた。創業者である佐藤充は「神山の人は本当に優しくて、次から次へと人をつなげてくれます。オフィスがオープンしてから4カ月、都会で過ごすよりも多くの刺激を受けています」と語る。

東京や大阪では同じビルに入居していても、企業を超えて互いにオフィスを訪れることは少ない。しかし、神山では業種に関係なく友人、知人の輪が広がっていくようだ。

「都会だけでなく、山間部でも成り立つビジネスを検討するという点で、神山には同じマインドを持っている人が多くいます。だからご近所さんと話しているだけでも楽しい。ほかの経営者にも神山にオフィスを構えることをおすすめしますよ。たとえ一時的な滞在であっても、ビジネスに良い影響をもたらすでしょう」と佐藤は語る。

滞在中はこうした「神山ネットワーク」をKVSOCやB&Bなどさまざまな場所で感じられるだろう。そしてその中には新たなひらめきやヒントに満ちているのだ。

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持続可能な暮らしを実感する。
Photo: Akemi Ari

3. 持続可能な暮らしを実感する。

2021年、神山町は地元の木材を100%使用した再生可能エネルギー住宅20戸から成る集合住宅を建設した。子育て世帯をターゲットに設計されたこの住宅には現在、地元出身者や移住者を含めたエンジニア、起業家、アーティストなど60人以上が暮らしている。

ここでは、植栽の管理、コンポストの利用、子育てなど、住民同士が相談・協力し合い、インフォーマルなつながりの中で、新しい持続可能なコミュニティーが育まれているのだ。

敷地内には、神山のスギやヒノキで作られた平屋建ての建物、鮎喰川(あくいがわ)コモンがある。ここには子どもたちの遊び場や高齢者が集う場、コワーキングスペース、図書スペースなどがある「町のリビング」ともいえる施設。町民以外にも開かれたオープンスペースで、施設や町で聞きたいことがあれば、スタッフに尋ねれば快く教えてくれるだろう。

同施設を訪れたら、ぜひ「バイオネスト」を見学してほしい。雑草や剪定(せんてい)した木を捨てずに肥料として再生させるための場所だ。丁寧にカットされた草木が、美しい円形の「鳥の巣」のように見える。

「ゼロ・ウェイスト」(ごみをゼロにすることを目標に廃棄物を減らす環境社会政策)については、同じく徳島県にある上勝町が有名だが、神山町の水準も高い。人口10万人未満の市町村のうち、ごみの排出量の少なさにおいては、なんと全国1位(2017年度)。レシート1枚ですら「紙資源」として回収しているという。

食の未来に触れる。
Food Hub Project

4. 食の未来に触れる。

神山町もほかの過疎地と同様、農家の担い手が減少しており、地域で耕作放棄地が増えている。そんな町の未来を好転させようと、実家が農家である元役場職員の白桃薫と、神山にサテライトオフィスを構える東京のIT企業モノサスの社員、真鍋太一が中心となって『フードハブ・プロジェクト』を企画。2016年、自治体とモノサスが農業法人という形でプロジェクトを正式化した。

「小さいものと、小さいものをつなぐ」という思いから、無農薬無化学肥料で野菜を栽培し、地元の農家からの仕入れも実施。大規模な流通網で販売するのではなく、互いに顔の見える地域内で消費を盛り上げるのが狙いだ。

同法人が運営する食堂のかま屋は、メニューの全てに産地評価がついており、地元の食材を使った料理を食べることができる。さらに、地域の食材を何パーセント使っているかを「産食率」として公開しているのも特徴的だ。

このほか、白桃家が受け継いできた在来種の『神山小麦』を町の農業高校の生徒と協力して栽培。この小麦は天然酵母のパンやカンパーニュなどの原材料に使用しており、失われつつあった農文化を守る一助にもつながっている。

フードハブ・プロジェクトは、町の小中学校や来年開校予定の専門学校の給食も担当する。地域の野菜が地元の子どもたちの食卓に並び、地域の農業が活性化するという心地よい循環システムはさらに大きく成長するだろう。

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教育のビッグバンに注目する。
Forest School Mikke

5. 教育のビッグバンに注目する。

神山町の子どもたちは、中学を卒業すると町を出て、都心部の高校や大学へ通い、そのまま町の外で就職する。それが、お決まりの人生プランだった。しかし、神山町は最近、教育方針を転換し、わずか数年で素晴らしい成果を上げている。

同町に唯一ある農業高校の分校(徳島県立城西高等学校神山校)が、町内の田畑や山が抱える問題を解決する「農村プロジェクト」を立ち上げたところ、町外からの志願者が急増したのだ。

民間でも動きがあった。2022年4月には、森林地帯での持続可能な暮らしを学ぶ小さなオルタナティブスクール、森の学校みっけが開校し、山の中腹の古民家には「大自然の中で保育をする」幼稚園が近々開園予定。町では、これらの学校が新たな住民誘致の一翼を担うことを期待している。

このほか、町の教育シーンにビッグバンを起こすと期待されているのが、2023年度開校する私立神山まるごと高専(仮称)。日本を代表する起業家がこぞって億単位の寄付をしている、注目の学校だ。

神山町にサテライトオフィスを置くサンサン(Sansan)創業者の寺田親弘らなど、町に関わる人材が創立準備を深く支えてきた。デザインとテクノロジーの力で、日本の未来を変える人材育成を目指しているという。

開校すれば、少なくとも1学年40人の15歳が一気に町に移住する。全学年そろえば学生数は200人に上る。人口4941人(2022年3月時点)の町において起業家マインドを持つ若者の急増は、町に過去最大級の刺激を与えるだろう。

もっとサステナブルな取り組みを知る……

  • トラベル

緑豊かな自然に囲まれた徳島県上勝町。2020年末までに全ての廃棄物を再利用(リサイクル)するという、大きな志を持った小さな町だ。

最初の取り組みは90年代初頭に始まり、2003年には日本初となるゼロウェイスト宣言(ゴミゼロ運動)を発表。廃棄物をゼロにする目標へ道を開いた。2020年までにリサイクル率80%を達成し、残り20%の資源化を目指しているという。このビジョンは、約1500人が住む小さな町を毎年2000人以上の訪問者を迎える観光地に導いただけではなく、持続可能な生活のためのモデルとして国際的な場所へと変えた。

ここではその取り組みとともに町のスポットなどを紹介。なかでも町のホテル ホワイGo Toトラベルキャンペーンの対象となっているため、出かける際は旅程に加えるのもいいだろう。

 

  • Things to do

SDGs(エスディージーズ)とは「サステナブル・ディベロップメント・ゴールズ(Sustainable Development Goals)」の略称で、2015年に国連総会が採択し、地球上の課題をカテゴリー別に落とし込んだゴールのこと。SDGsの世界の国別達成度ランキング(2020年)では、日本は主要国を大きく下回り、162カ国中17位だった。

大量の食品ロス、魚の獲り過ぎ、プラスチックごみで侵されている海の資源の問題などがマイナス点だが、この事実を知る日本人は少ない。

ここでは、5回にわたり海の資源や飲食業界、ミシュランシェフの取り組みなど、日本でサステナブルに取り組んでいるプロフェッショナルたちの活動を追っていく。

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  • Things to do

気候変動問題に関して、多くの都市が責任を負っている。大都市の発展は、人々に計り知れない利益をもたらしてきた。私たちは、都市がなければ今のような仕事やライフスタイルを手に入れることはできなかっただろう。しかし多くのものを手にした結果、大惨事が起きてしまった。

私たちがすでに失ってしまった、そして今も失い続けている「自然」がその例だ。鉄とコンクリートでできたビルは大気中に二酸化炭素を放出し、家庭や工場などから流れ出た汚水で川や海が汚されている。交通機関や工場の発展は、呼吸をするという単純な行為を難しくしてしまった。道を通りすがるキツネがどんなに悲しい表情をしているか、その様子を見たことはあるだろうか?

人類が世界に与えたダメージを元に戻すには、ロンドン東京ニューヨークなどの巨大都市を筆頭に、真の変化を起こさなければならない。幸いなことに、大小さまざまな都市で、地球に優しい革新的な取り組みがすでにたくさん行われている。ここでは、緑豊かな都市生活を今後何世紀にもわたって維持するために役立つ、世界中で実施されている明るいアイデアを紹介しよう。

  • Things to do
  • シティライフ

スターバックス コーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店が、2021年12月1日(水)にオープンする。同店は、環境配慮型店舗の国際認証「Greener Stores Framework」を取得したグリーナーストアの日本1号店。従来の店舗に比べ、二酸化炭素(CO2)排出量約30%、水の使用量約20%削減を実現し、環境負荷低減に取り組むサステナビリティハブ(拠点)だ。

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