1. Havnen
    Photograph: Astrid Maria Rasmussen
  2. Baltic Triangle
    Photograph: Baltic Market
  3. Carabanchel
    Photograph: David Spence del Valle/Shutterstock

2023年、世界で最もクールな40の街

食や文化、コミュニティーなどを評価、世界最高の場所をランク付け

Grace Beard
編集:
Grace Beard
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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タイムアウト東京 > トラベル > 2023年、世界で最もクールな40の街

今年もこの季節がやってきた。世界333都市59カ国に展開するタイムアウトのグローバルチームが、全世界1万2,000人以上を対象にした大規模な都市調査と各国エディターの情報をもとに行った調査結果を発表。このほど、6年間続いている調査の最新結果がまとまった。

今年のランキングでは、回答者に「自分が住む都市の中から今すぐ行きたいと思う街」を挙げてもらった。そして、最終的に都市を誰よりもよく観察し、知り尽くしている各国エディターや地元の専門家が参加。最終的なリストの作成と順位付けは、コミュニティーやソーシャルベンチャー、オープンスペースや緑地へのアクセス、ストリートの活気などの要素を考慮して行われた。

2023年、私たちの住む街はかつてないほどグローバルになっている。パンデミック後のデジタルノマドの台頭により、真新しいコミュニティースペースや多目的カルチャーセンターが爆発的に増え、両手で数えきれないほどのカフェがオープンした。

ここで紹介する多くの街は近年で変貌を遂げている。しかし、各地で依然として「地元」が根底にあることに変わりはない。洗練された新しい開発やクールなカフェは、街に新しい人々を呼び込むかもしれないが、古いパブから家族経営の食材店に至るまで、街の主役たちは自分たちを見失っていないのだ。

今年の「世界で最もクールな街」は、大きな個性を持つ場所である。それぞれの地域の多様性は、食や文化などに反映されている。そして、重要なのが「コミュニティー」だ。地元の人々は、災害後の地域の再建のために団結したり、愛されてきた文化施設の取り壊しに抗議したり、単に人々が集まって楽しむことができるスペースを作ったりしている。徹夜の何かや夜のサイクリングなど、目的は何であっても、これらの地域は市民が遊びに来る場所なのだ。

さあ、探索の準備はいいだろうか。

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ラウレレス(メデジン/コロンビア)
Photograph: Courtesy Bureau de Medellïn

1. ラウレレス(メデジン/コロンビア)

コロンビア人歌手のカロルGはエル・ポブラドについて歌い、ヒットを飛ばしたが、近隣のラウレレスについての曲はまだリリースしていない。しかし、それも時間の問題だろう。この街には「La 70」と呼ばれる有名なナイトライフエリアがあり、どのバーやレストランのフロアも、曲次第でダンスフロアに早変わりする。また、メデジンの主要なサッカースタジアムでありコンサート会場としても使われる「エスタディオ アタナシオ ヒラルド」もある。

こうしたことから、ラウレレスは騒がしく慌ただしい場所と思われるかもしれないが、この街はかなりのんびりしていると評判だ。La 70以外のエリアには公園、並木道、ヨガスタジオ、数え切れないほどのコーヒーショップがあり、静寂に包まれている。レストランシーンが大幅に改善されていることもあり、街の中心部には「Indie Universe」や「Los Patios Cool Living」などデジタルノマドに適したホテルも建ち並ぶようになった。

それでも、エル・ポブラドのように外国人や観光客であふれかえることはないだろう。人気が高まっているにもかかわらず、ここには伝統的なコロンビア人居住区の雰囲気が残っている。何十年も前と同じように、円形状に造られた通りを、果物屋がカートを押しながら歩いている。ただ、彼らは以前より少し英語が分かるようになったかもしれない。

最高の一日の過ごし方:ラウレレスの朝は、新しくできたホテル「Living by Armóniko」で朝を迎えよう。モーニングコーヒーは「Rituales Café」で。荒れた過去を乗り越え、生まれ変わったメデジンのラ・シエラ地区で栽培されたコーヒーが自慢だ。ランチは「Saludpan」でヘルシーに、ディナーは「Chilaquiles」で本格的なメキシカンを楽しむのがおすすめ。地下にあるカジュアルな「Tíbiri Bar」でサルサを踊って夜を締めくくろう。

旅の計画:Colectivo SiCLas」は、毎週水曜日に「Carlos E. Restrepo Park」で開催されている自転車のナイトライドイベント。平均400~500人が参加する。自転車がなければレンタルもできる。

Luis GomezContributor, Medellin

スミスフィールド(ダブリン/アイルランド)
Photograph: Light House Cinema

2. スミスフィールド(ダブリン/アイルランド)

スミスフィールドは、消滅することを拒むダブリンの象徴といえる。ダブリン7区にあるこの街は、伝統とアクティビズムが融合する空間であり、新しいことの挑戦するエキサイティングなビジネスと老舗が共存している。

歴史的なパブであり、伝統的なアイルランド音楽のダブリンにおける本拠地として知られるのは「The Cobblestone」だ。2021年に取り壊しの危機にさらされた際は、数千人のミュージシャンが抗議のデモ行進を行った。新しいのビジネスの代表格は「Third Space」だろう。このカフェは社会問題の解決を目的として運営されており、自家製ソーセージロールにベーコンジャムを添えて提供する一方で、近隣住民の住みやすい街づくりを進めている。

スミスフィールで見られた昔ながらの「憩いの場」は、ありがたいことにまだ残ってはいるが、その傍らにあった空きスペースは現在、独立系バー、ビーガンフレンドリーなレストラン、職人技が光るカフェ、サワードウ生地のピザ店などで埋め尽くされている。このエリアは、飾り気のない、産業革命後の魅力に心を揺さぶられる人なら必ず訪れるべき場所だといえる。

最高の一日の過ごし方:The GeneratorGenerator Dublin 」で目を覚まし、広場を横切り「Proper Order」で「フラットホワイト」と「カルディB」(カルダモン入りのブリオッシュ)を朝食に。その後はシカが見られる「フェニックス・パーク」へ。ここでは、運がよければ、大統領が飼っているバーニーズ・マウンテン・ドッグのブロドとミスニーチに合えるかもしれない。

ランチには、レトロなゲームセンター「Token」が提供している、素晴らしいビーガン料理がおすすめ。「Light House Cinema」でインディーズ映画を観た後は、小さなシーフード・レストラン「 Fish Shop」でフィッシュ&チップスを味わおう。最後は「Frank RyansFrank Ryans Bar 」で一息つく、もしくはウェアハウスレイブクラブや展覧会で有名なライブアートセンター「The Complex」で夜を過ごすもいいだろう。

旅の計画:8月の最後の週末に、アイルランド音楽の生演奏、地元のアート、そして夏の夕暮れの一杯が楽しめる2日間のイベント「The Smithfield Fleadh」が開催される。

Kate Demolder(Contributor, Ireland)

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カラバンチェル(マドリード/スペイン)
Photograph: David Spence del Valle/Shutterstock

3. カラバンチェル(マドリード/スペイン)

かつてマドリードの環状線から外れた労働者階級が住むエリアとして知られていたカラバンチェルは、今は同市でも最も新しい流行の街と知られ、トレンディなアートギャラリーや最先端のクリエイーティブスペースでにぎわっている。伝統的なフードマーケットに通い詰める地元住民と、都会の喧騒(けんそう)から逃れるために引っ越してきたアーティストが、「Nave Oporto」のようなスタジオで出会うのだ。

そして、ほかの国の「注目の街」の多くが経験しているように、カラバンチェルにも高級化の波は到来。若手建築家集団「Casa Antillón」や、マドリード最大で最も大胆なアートギャラリー「VETA」のようなモダンアートやデザインの担い手を魅了し、引きつけている。また、タパス店「 La Casa de los Minutejos」では、街一番の「豚耳」を味わうことができる。

最近一般公開された見事な庭園と宮殿が見られる「Finca Vista Alegre Vistalegre」に代表されるように、この地域の緑地が一新されているのも注目に値することだろう。

最高の一日の過ごし方:アート展も開催する新しいカフェ「Merinas」で朝食を。「Sabrina Amrani Gallery」で展示を観て、「La Grifería」でワインとチーズボードを味わいながらアートについて語り合うのはどうだろう。続いて「Casa Enriqueta」を訪ね、伝統的なガリネハス(腸のフライ)など、もう少しボリュームのあるものを食べるのもいい。 午後は「Patanel 」で自家製ビールを試したら、「El Observatorio Musical」でもう一杯。ここではリハーサル室をのぞいたり、屋上から夕日を眺めたりできる。さらに盛り上がりたいのであれば、伝説的な「Gruta 77」でロックのライブを観よう。

旅の計画:カラバンシェルは、毎年5月15日にマドリードの守護聖人を祝うメインイベント「Pradera de San Isidro」の開催地となる。無料コンサート、伝統的な屋台、家族で楽しめるアクティビティーが10日間も続く。

Marta Bac(Directora editorial, Madrid)

ハヴネン(コペンハーゲン/デンマーク)
Photograph: Astrid Maria Rasmussen

4. ハヴネン(コペンハーゲン/デンマーク)

コペンハーゲンの都市建築家であるカミラ・ファン・ドゥールスは、港であるハヴネンを同市の「リビングルーム」と表現しているが、それに異論はないだろう。ボート、浮きいかだ、パドルボード、カヤック、プールなどがあるこの街は、市民が遊びに来る場所。訪れた人は泳いだり、ソーラー発電のゴーボートで水上に出たり、無料のグリーンカヤックを借りてこぎながらごみを探したり、さらには「アーバンフィッシング」を楽しんだりもする。

ハヴネンとはコペンハーゲンの港のそば、南のシドハウンから北の建築のホットスポットであるノールハウンまでのエリアを指す。その中でも、最も活気があるのはナイハウン周辺だろう。ここには「デンマーク王立劇場」があり、その中にある公共スペース「Ofelia Plads」からは海を見下ろせる。また、「キス橋」を通れば、真新しい「Opera Park」へ行くこともできる。

ただ、注目のベーカリー「Hart Bageri Holmen」や新しい「都会のオアシス」とも言える「Papiroen」などのニューオープンが続出しているため、ハヴネン全体から目が離せない。今、誰もがウォーターフロントに行きたがるのも無理はないだろう。

最高の一日の過ごし方:水上ハウスボートホテル「Kaj Hotel」で目覚め、「Hart Bageri」の絶品サワードウブレッドで一日を始めよう。ここからOpera Parkまで港をぶらぶら歩き、昼食は「La Banchina」で。その隣の港で水浴びをして、レストランのサウナで汗を流そう。午後はボートに乗って港を一周し、「Rosforth & Rosforth」か「Den Vandrette」でドリンクとディナーを楽しむのがいいだろう。

旅の計画:長い夜とのんびりとした一日を過ごすなら、やっぱり夏。でも、冬に爽快に泳ぎたい気分ならそれもいいだろう。2023年の冬には、新しい公共サウナがオープンする。

Laura Hall(Contributor, Copenhagen)

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上環(香港)
Photograph: Daniel Murray

5. 上環(香港)

かつては棺おけ屋や葬儀関連の商売が集まっていることで知られた上環だが、現在では香港で最も活気のある街の一つである。

ここでは香港で唯一といっていいほど歴史的な寺院、骨董(こっとう)品店、干物屋台に加え、現代アートギャラリー、メルボルンスタイルのカフェ、スタイリッシュなブティック、コンテンポラリーなレストランが混在。ヒップスターがシックなカフェでペットとくつろぐ一方、にぎやかなウェットマーケットや西營盤まで続く海鮮屋台では、年配の世代が探索を楽しんでいる。

この街には手頃な点心の店や、おまかせ料理が堪能できるミシュランの星付きレストラン、世界各国の料理店が点在し、空腹を感じている暇もない。中環から地下鉄(MTR)で1駅という便利な場所にあり、中心業務地区(CBD)のホテルに宿泊することも、「The Sheung Wan by Ovolo」のようなブティックホテルに泊まることも、ペットも歓迎してくれる「the Figo」にチェックインすることもできる。

最高の一日の過ごし方:一日の始まりはタイピンシャンストリートから。この辺りは、ペット同伴でコーヒーや朝食が楽しめるおいしいカフェが多い。「Soul Fresh」のスムージーとふわふわの「パンダンケーキ」もおすすめだ。その後は「Pak Sing Ancestral Hall」を訪れて真実の愛に恵まれるよう祈ったり、「文武廟」で成功を祈るのもいい。

現代的なギャラリーもたくさんある。歴史に興味があるなら明・清時代の家具を集めた「兩依藏博物館」を訪れよう。「HKWALLS 2023」のために描かれたSNS映えする壁画を撮ろう。ディナーは、ミシュランの星を獲得した広東料理レストラン「The Chairman」で席を確保し、「Mostly Harmless」で洗練されたカクテルを楽しんで。

旅の計画:3月はアート月間。コンテンポラリーなギャラリーが展覧会を開催し、地元のバーやレストランがポップアップを出店してフェスティバルのように盛り上がる。この街のクリエーティブな一面を体験できる絶好の機会だ。

Tatum Ancheta(Editor-in-Chief, Hong Kong)

ブランズウィック・イースト(メルボルン/オーストラリア)
Photograph: @duncographic

6. ブランズウィック・イースト(メルボルン/オーストラリア)

メルボルンの北側にあるブランズウィックイーストが、今や多様な魅力を持つようになり、ブランズウィック、フィッツロイ、カールトンを追い越して郊外の憂鬱(ゆううつ)から抜け出そうとしている。ライゴンストリートとメリークリークの緑豊かな小道に挟まれたこの街は、多文化的な飲食店やライブハウス、居心地の良いバーが集まり活気にあふれ、何度も足を運びたくなる場所として、人気が急上昇中だ。

ブランズウィックイーストには主要なトラムが2路線走っており、「Bahama Gold」「Noisy Ritual」「The B.East」など一流の飲み屋を簡単に行き来できるのも魅力。また最近は、古い繊維工場の名残に見られるような工業地帯の過去とは一線を画す、コミュニティーを中心としたアーバンビレッジ的雰囲気が感じられる場所にもなっている。

最高の一日の過ごし方:Wild Life Bakery」の伝説のコーヒーと炭水化物で一日をスタートしたい(プロからのアドバイス:早めに到着してサワードウローフを買っておこう)。 次はショッピング。時間に余裕を持って店を回るのがベターだ。特に「Lygon Street Nursery」と「Northcote Pottery Supplies」はおすすめ(名前に惑わされないで)。空腹を感じたら、タイムアウトメルボルンのフード&ドリンクライターが「街一番のタコス」と太鼓判を押す「CDMX Brunswick East」へ。最後は「Waxflower」へ移動し、自然派ワインを片手にレコードを聴こう。

旅の計画:メリ・クリーク沿いに位置する持続可能なオアシス「CERES Community Environment Park」では常に何かが行われている。コミュニティーガーデン、環境教育センター、都市型農場、社会的企業の拠点など、さまざまな顔を持つこの施設では、一日中のんびりと過ごすことができる。ワークショップやイベントの予定については、公式ウェブサイトをチェックしよう。

Leah Glynn(Editor, Melbourne )

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ミッドシティ(ニューオリンズ/アメリカ)
Photograph: Shutterstock

7. ミッドシティ(ニューオリンズ/アメリカ)

ミッドシティはフレンチ・クオーターからそう遠くなく、ミシシッピ川とポンチャートレイン湖の中間に位置。路面電車や自転車、またはラフィット・グリーンウェイに沿って徒歩でアクセス可能だ。「フェアグラウンズ競馬場」で毎年開催される「ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル」の時期にスポットライトを浴びるが、通年で人気がある。

この街は、2005年の堤防決壊による大洪水を経験したことで結束。再建を手伝ったラテン系労働者の流入で拡大した、緊密で多様な地域コミュニティーがある。バイユー・セント・ジョン地区にあるのは、芸術的な人々とカラフルな家々。バイユーロード沿いには歴史的なランドマーク「シティ パーク」があり、樹齢数百年のライブオークが見られる。

キャロルトンアヴェニューやその周辺の区画には、クラシックなバーやレストラン、ビール醸造所、スノーボール(ニューオリンズスタイルのかき氷)のスタンドが並ぶ。何世代にもわたり多くの店が商売を続け、多くの家族が誇りを持って暮らしているのも、ミッドシティのいいところだろう。

最高の一日の過ごし方:シティ パークを散策し、「Cafe du Monde」のカフェオレとベニエで目覚めたら、印象的な「ニューオーリンズ美術館」に併設されている彫刻庭園を訪れよう。「Home Malone」で地元のアート、ジュエリー、ギフトを見てから、「Parkway Bakery & Tavern」へ。ニューオリンズで最もおいしいと言われることもある「ポーボーイ」(ニューオリンズスタイルのサンドイッチ)はマストだ。

その後、カヤックを借りて「バイユー・セント・ジョン」をこいだり、「Angelo Brocato」でイタリアンスイーツを買おう。「Finn McCool’s」で食前酒を飲み「Swirl」でワインを味わったら、「Mandina’s」で伝統的なクレオールイタリアンの名物料理やシーフードフライの盛り合わせを。もっと洗練されたものがよければ、フレンチスポットの「Cafe Degas」もいい。

夜は「Chickie Wah Wah」のくつろいだステージからのライブミュージックで締めくくろう。頭を休めるなら、カナルストリートカー沿いにある古くからの名宿「Canal Street Inn」がおすすめだ。

旅の計画:ジャズフェスティバルや「Mid-City Bayou Boogaloo」に合わせて旅行プランを練るのがいいだろう。この界隈では、常にフェスティバルが開催されている。冬のホリデーシーズンには、「City Park’s Celebration in the Oaks」と「Lafitte Greenway’s Supernova」で特別な雰囲気が楽しめる。

Gerrish Lopez(Contributor, New Orleans)

イーゾラ(ミラノ/イタリア)
Photograph: Stefano Brandolini

8. イーゾラ(ミラノ/イタリア)

イーゾラ(「島」の意味)という名前は、この街がミラノのほかの地域を走る鉄道から「切り離されて」いたことに由来する。2015年の「ミラノ万博」以前は多くの人々がこの街に来る理由は特になかったが、それから7年。全面的な再開発を経て、ついにイゾラはミラノで「最もクールな街」の称号を手に入れた。

ミラノの中心部のすぐ北に位置し、「センピオーネ公園」やおしゃれなブレラ地区まで歩いて20分ほどで行くことができるイーゾラは、活気とエネルギーに満ちあふれている。

この街にはカラフルなストリートアートのほか、「Bob」「Frida」「Ratana」「Casa Ramen」といった素晴らしいバーやレストラン、イタリアのほかの地域では珍しくなりつつあるインディーズショップ(ビンテージアイテムを扱う「Ambroeus」はおすすめ)、ギャラリー(「Key Gallery 」は要チェック)もある。

しかし、イーゾラは普通のヒップスターが集まる街ではない。ここを際立たせているのは、エッジのきいた新しいものと、昔ながらの気取らないものとが共存して成り立っている「地元の心」だ。

新鮮な食材が手に入る屋外マーケットは、長年にわたって今でも毎週開催され、地元の肉屋や花屋は住人たちの名前を知っている。建築物も1920年代のエレガントな建物から、ミラノ中にある伝統的な住宅の一種である「Casa Di Ringhiera」までさまざまなスタイルが見られる。新旧のバランスが取れていることが、イーゾラの魅力の一つなのだろう。

最高の一日の過ごし方:ペストリーショップ「L’Ile Douce」は、一日の始まりに最適なスポット。伝統的なミラノ風ブリオッシュをエスプレッソと一緒に注文し、ゆっくりと目覚める街を眺めたい。通りを歩きながらストリートアートに目を配り、カフェであり工房でありサイクルショップでもある「Deus Cafe」でランチを。

午後は「ミラノ記念墓地」で芸術的な墓やモニュメントを探検したり、ミラノの「垂直の森」である「Bosco Verticale」をチェックしたりしよう。「Room 37」や「Live in Vintage」でのビンテージショッピングがおすすめだ。

ミラノに来たら、食前酒は外せない。よくミックスされたカクテルなら「Bob」、ワインなら「E…Brezza」、伝統的なミラノ料理を現代風にアレンジした料理なら「Ratana」がいい。夜を締めくくる場所は、ジャズクラブ「Blue Note」だ。 誰が演奏するか、スケジュールをチェックしておくといいだろう。

旅の計画:毎年4月に開催される「ミラノサローネ」(ほかのイベントと合わせて「ミラノ・デザインウィーク」と呼ばれる)。この街では「イゾラ・デザイン・フェスティバル」の旗印のもと、展示会やポップアップ、パフォーマンスが一般公開される。

Marianna Cerini(Contributor, Milan)

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アムステルダム=ウェスト(アムステルダム/オランダ)
Photograph: StancePhotography

9. アムステルダム=ウェスト(アムステルダム/オランダ)

観光客でにぎわうヨルダーンやミュージアムクワルティエに隣接するアムステルダム=ウェストには、全てがある。ヒップで居心地がよく、クリエーティブなこの街は、オランダの伝統と国際的なエネルギーが融合したユニークな場所。アムステルダムらしい美的センスにあふれ、素晴らしい建築があるにもかかわらず、断固として地元中心主義を貫いている。

デ・クレルクストラート、キンカーストラート、オーバートゥームなどの通りには、高くて狭いれんが造りの建物が並び、ブティックや多国籍レストラン、トレンディーなカフェがひしめいている。しかし、一本道を入れば、のどかな住宅街や運河があり、何時間でものんびりと散策することができる。

この辺りには、アムステルダム派の建築様式を今に伝える「Museum Het Schip」のほか、公共の緑地であると同時に、ライブハウスやバー、店舗でにぎわう工業地帯を改装したコミュニティスペース「Westerpark」、エレクトロニックサウンドの最先端を行くヨーロッパ有数のナイトクラブ「De School」などもある。

最高の一日の過ごし方:Alp Hotel」の伝統的な環境で目覚めたら、「Back to Black」でコーヒーを飲もう。ここからWesterparkを散策すれば、自然を満喫できる。

おいしいブランチを「Dignita」で食べ、それから南下してスナックやショッピングに最適なビルダーダイク通りを散策。少し疲れたころに「Cafe L’Affiche」や「Bar Mimi」のようなすてきなバーで自分へのご褒美に乾杯し、「nNea」でこの世のものとは思えないピザに舌鼓を打とう(予約は早めに)。

一日の締めくくりには、De Schoolで盛り上がるか、のんびりしたいなら「Lab111」でクラシック映画を観た後、活気ある「Bar Strangelove」で映画談義に花を咲かせるのもいいだろう。

旅の計画:アムステルダム=ウェストはいつ訪れてもいい。ただ、秋が訪れて夜が長くなると、このエリアはイルミネーションで輝き、ぶらぶらと歩くだけでも特別に幻想的な雰囲気になる。

Callum Booth(Contributor, Amsterdam)

富ヶ谷(東京/日本)
Photograph: Shutterstock

10. 富ヶ谷(東京/日本)

渋谷スクランブル交差点から徒歩15分足らずの場所であるにもかかわらず、富ヶ谷にいると、世界一にぎやかな渋谷の熱気はまるで別世界のもののように感じられる。

ここでは、渋谷の中心にある高層ビルや交差する電車の線路の風景が、低層のビルや閑静な住宅街のそれへと変わる。ペースはゆったりとしており、独立した個人商店も見られる。富ヶ谷は目立たないかもしれないが、しゃれたカフェやスタイリッシュなショップが集まり、すてきなレストランや地元の食料品店に混じって、細い路地にひっそりとたたずんでいることも多い。

この街をさらに魅力的にしているのが、都内最大級の緑地との近さだろう。「代々木公園」では食から文化まで、あらゆるフェスティバルやイベントが開催されている。

最高の一日の過ごし方:まずは「ビースティー コーヒー (Beasty Coffee)」で新鮮なローストと抹茶のテリーヌを、「ミニマル 富ヶ谷本店(Minimal Tomigaya)」では職人手作りのチョコレートと気まぐれなプレートデザートをチョイスしよう。

ランチタイムには家族経営の「かつどん屋 瑞兆」の信頼できるカツ丼や、ビブグルマンに選ばれた「ポークビンダルー食べる副大統領」による東京のベストチープイートの一つ「スパイシーポークビンダルー」がおすすめだ。

夜は「ザ ベルウッド(The Bellwood)」でカクテルを飲みながら始めよう。夜11時までいれば、このバーのモダンなラーメンも試すことができる。新しくオープンした「トランクホテル ヨヨギパーク(TRUNK(HOTEL)YOYOGI PARK)」には、東京で最も緑豊かな空間の一つを見渡せる豪華な屋上インフィニティプールがある。

旅の計画:代々木公園では、一年中いつでもイベントやフェスティバルが開催されている。しかし、春ほど素晴らしい季節はない。3月下旬から4月中旬にかけて、公園の桜が満開になるのだ。

Lim Chee Wah(Editor-in-Chief, Tokyo)

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バルティック・トライアングル(リバプール/イギリス)
Photograph: Baltic Market

11. バルティック・トライアングル(リバプール/イギリス)

現在「バルト・トライアングル」として知られるこの街は、15年前まではほとんど放置された海運倉庫の集合地帯に過ぎなかった。しかし、大規模な再生プロジェクトのおかげで、今では市内屈指のレストラン経営者、アーティスト、クリエーターたちが集まるようになった。

リバプールを象徴するアルバートドックから歩いてすぐのこの街は、親しみを込めてしばしば「(市内でも)若い側面を体験できる場所」と言われる。リバプールの20代から30代の若者たちが、この一角をすみかとしているのだ。

この界隈ではストリートアートで飾られた倉庫の間の空間を、スケートパーク、独立系コーヒーショップ、小さなギャラリーなどが占めている。ミシュランから早くもお墨付きをもらった「Manifest Restaurant」のオープンなど、新たなフードシーンも生まれた。ただ、ほとんどのリバプール市民がこの街に向かうのは、夕食後だろう。というのもこの街には、本当に楽しい夜を過ごすためのオプションがあふれているのだ。

最高の一日の過ごし方:The Baltic Hotel」のブティックベッドルームで目覚めたら、近くのコーヒーショップ「Baltic Bakehouse」でペストリーを。独立系フラワーショップの「Mary Mary Floral Designs」から始まり、ビンテージショップ「Red Brick Markets」、趣味のいいスタジオとギフトショップのハイブリッド「Dorothy」で街歩きを締めくくろう。

ディナーには「Baltic Market」でストリートフードを。暖かい夜なら「Botanical Garden」へ行く、もしくは「Camp and Furnace」(「Bongo's Bingo」の元々のホーム)で、さまざまのジャンルやアーティストをテーマにしたトリビュートナイトを予約したい。まだ遊びたい気満々であれば「24 Kitchen Street」へ。深夜にダンスミュージックが楽しめる有名スポットだ。

旅の計画:この街を地元の人のように満喫したいなら、 この地域のほとんど全てのバーやクラブでダンスミュージックイベント開催される「Baltic Weekender」に合わせ、5月に訪れるのがいいだろう。

Alice Porter(Contributor, Liverpool)

クール・ジュリアン(マルセイユ/フランス)
Photograph: Chez Linette Creperie Cours Julien/Mel OTLCM

12. クール・ジュリアン(マルセイユ/フランス)

ヒップホップがマルセイユに根付いた1990年代初頭にグラフィティの中心地となったことで知られるクール・ジュリアンは、にぎやかなヴューポールや多文化が混在するノアイユから坂を上ったところに位置する。30年たった今も変わらず「ハプニング」が絶えず、この街へ通じる階段には、ストリートアーティストたちの作品が描かれている。

石畳の通り沿いに軒を連ねるのはビンテージブティック、インディーズデザイナーショップ、ライブハウス、多彩なカフェなど。この街で人気沸騰中のクリエーティブクラスの開催も盛んだ。また、かつてマルセイユの青果卸売市場があったこの街では、「Asabiya」のレバノン料理の軽食や、バー・ビストロである「Livingston」の自然派ワインなど、さまざまな食事や飲み物が楽しめる。

朝から晩までにぎわう並木道のパティオでくつろぎ、さらに散策したいなら、クール・ジュリアンの人気が波及しているノートルダム・デュ・モンまで足を延ばしてもいいだろう。フォンタンジュ通りを散策すれば、クール・ジュリアンの人気を感じることができるはずだ。

最高の一日の過ごし方:Black Bird Coffee」でくつろぎながら人間観察を。トロワマージュ通りではビンテージアイテムの宝探しをして、職人技が光るジュエリーはパストレ通りで、レコードは「La Cave À Vinyle」で探そう。「Pain Pan」のサンドイッチを買い、荘厳な「Palais des Arts」の横で地元の人たちがペタンクをしているのを眺めながら食べるのもいい。

Verre à Cruise」でカクテルを飲んだら、「Limmat」の階段席で地元産の食材を使った料理を。最後は「Espace Julien」のショーで締めくろう。

旅の計画:毎週水曜日の朝、「Cours Julien Farmers' Market」ではシェフや地元の人たちに混じって買い物が楽しめる。オーガニックの農産物、チーズ、パン、オリーブオイルなどは、ビーチでのピクニックや土産にぴったりだ。

Alexis Steinman(Contributor, Marseille)

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アーツディストリクト(ロサンゼルス/アメリカ)
Photograph: Rooftop Cinema Club

13. アーツディストリクト(ロサンゼルス/アメリカ)

ロサンゼルスにおける鉄道のハブだったアーツディストリクト。今では築100年以上の建物の壁に鮮やかな壁画が描かれ、歩道には座れるところが増えた。かつての工業地帯を考えると、驚くほど多くの緑が植えられている。ここ数年でアート色はやや減って少しラグジャリー感が増したが、クラフトビールの醸造所やレストランが次々とオープンし、ロサンゼルスの人たちを魅了している。

Hayato」「Kato」「Camphor」でミシュランの星を獲得した料理に舌鼓を打つ、もしくは「Yangban」で韓国料理の意外なアレンジを楽しむのもいいだろう。「Bestia」と「Bavel」という姉妹店でこの街で味わえる最高の食事を堪能するのもおすすめだ。

最近地下鉄のA線とE線の駅がリニューアルオープンしたことにより、このエリアへ行くのはこれまでより随分簡単になった。このエリアの中心地な場所である3番街とトラクション・アベニューの交差点までは、駅からわずか数ブロックの距離。この交差点からは、さまざまなスポットまで徒歩で行ける。

最高の一日の過ごし方:Ditroit」でグルメ料理風にアレンジされたストリートタコスで腹ごしらえをしたら、元製粉所のメガギャラリー「Hauser & Wirth Los Angeles」でアートを鑑賞しよう。

ハッピーアワーの乾杯は、近所の人たちの「たまり場」である「Everson Royce Bar」で。「LA Cha Cha Chá」でメキシコシティの風を感じたら、6thストリートに新しくできた高架橋を渡ってみよう。宿泊したければ「Soho Warehouse」か、このエリアにある素晴らしいAribnの件がおすすめだ。

旅の計画:「Row DTLA」では毎週日曜日に「Smorgasburg」が開催され、90以上のフードや雑貨のブースが並ぶ。このエリアを訪れるのであれば、週末を挟むのがいいだろう。

Michael Juliano(Editor, Angeles)

チャイナタウン(シンガポール)
Photograph: Shutterstock

14. チャイナタウン(シンガポール)

シンガポールの多面性が凝縮されているエリア。豊かな文化を誇り、複数の寺院、伝統菓子店、落ち着いた雰囲気のティーハウスに加え、「Amoy Street Food Centre」や「Hong Lim Food Centre」のようなホーカーセンターもある。しかし同時に、街で最も新しいカフェやレストラン、シックなナイトスポット、ゲイバーも多い。

ここ数カ月で、最新のアートスタジオ(カラフルな「WOAW Gallery」は要チェック)や「The Née Vintage Store」のようなビンテージショップ、陶器からソイキャンドルまで何でも揃ういくつかの独立系ブティックが出現。さまざまな文化が集まったチャイナタウンに、さらに華を添えている。

最高の一日の過ごし方:一日のスタートは「Pearl’s Hill Terrace」から。この中にある、日本のパン屋「Paaru」で食パンとコーヒーで腹ごしらえをしてから、奇妙で素晴らしい逸品を探検するのがおすすめ。チャイナタウンには剥製工房や陶芸スペース、フェイクスキンを使ってタトゥーアートのワークショップを行うタトゥーパーラーまである。有名な「シンガポール仏牙寺龍華院」を訪れる前に近くのホーカーセンターへ立ち寄り、手頃な価格で地元グルメを堪能するのがいいだろう。

その後、パゴダストリートを通り抜け、チャイナタウンの屋台の雰囲気に浸る。最後はカクテル、モダンフュージョン料理、アルコール入りジェラートなどが楽しめる4階建てのワンダーランド「White Shades」で最高のひとときを。 新しくオープンしたホテル「Mondrian Singapore Duxton」は、冒険の一日を終えて戻るのに最高の拠点だ。

旅の計画:チャイナタウンは一年中活気に満ちているが、旧正月に訪れると、その華やかさを存分に味わうことができる。通りには大きなランタンがつるされ、屋台では伝統的な軽食や雑貨を販売。パフォーマンスも楽しめる。

Rachel Yohannan(Editor)

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フォートグリーン(ニューヨーク/アメリカ)
Photograph: C Garrrison

15. フォートグリーン(ニューヨーク/アメリカ)

ブルックリン北西部のフォートグリーン(北はブルックリン・ネイビー・ ヤード、南はプロスペクトハイツ、西はダウンタウンブルックリン、東はクリントンヒルに隣接)には、「ブルックリン音楽アカデミー(BAM)」「センター フォー フィクション」「プラット・ インスティテュート彫刻公園」など、クリエーティブな文化的ランドマークが集まっている。

フルトンストリート、ラファイエットアベニュー、デカルブアベニューといった大通りには、「Place des Fêtes」のようなワインバー、や「Habana Outpost」などのカジュアルなレストラン、「Greenlight Bookstore」のようなといったローカルショップが点在し、フリーマーケットもよく開催される。

この歴史ある地区で特徴的なのは、レンガれんが造りでエレベーターのない低層のテラスハウスが並ぶ街並み。その中で地元のスモールビジネスが展開されているがゆえに、のんびりとしたコミュニティーを大切にする雰囲気が醸成されているといえる。

この地域の中心的存在は「Fort Greene Park」だ。この公園は定期的に地域住民が集い、スポーツイベントやマーケットが開催される「公共広場」として機能している。実はフォートグリーンは、今のにぎやかな雰囲気とは相反するような興味深い歴史を持つ。この地域にはかつて独立戦争の砦とりでが置かれていたのだ。その名を冠した公園は、ブルックリン生まれの作家、ウォルト・ホイットマンによって設立された。

最高の一日の過ごし方:Ace Hotel New York」で目を覚まし、「センター フォー フィクション」のにある書店をのぞいてコーヒーを買う。その後、「Fort Greene Park」のグリーンマーケットに立ち寄り、さらに「Green in BKLYN」でエコグッズ、「Su'juk Fort Greene」で小物や家具のショッピングを楽しもう。

ブランチは「Café Paulette」で。その後は「UrbanGlass」で自分だけのすてきな作品を作ろうってみては。「Place des Fêtes」のハッピーアワーでにワイングラスでリラックスしてから、ディナーは「Miss Ada」で食べるのがいい。最後はローラーディスコの「The Roller Wave」で盛り上がるか、「ブルックリン音楽アカデミー」でショーを観て一日を締めくくろう。

旅の計画:毎年5月、BAMが主催する「ダンス・アフリカ」は、アフリカ文化圏のダンスと音楽に特化した全米最大のフェスティバル。フォートグリーンにいながらにして、アフリカのライブパフォーマンス、映画、マーケットなどが楽しめる1週間だ。

Shaye Weaver(Editor, New York)

リース(エディンバラ/スコットランド)
Photograph: Visit Scotland

16. リース(エディンバラ/スコットランド)

スコットランドの首都であるエディンバラの中心部から、パブが立ち並ぶ通りであるリースウォークを北に進むとたどり着くリース。この街の一角に行けば、1週間のどの夜でも、どこかのドックがにぎわいを見せている。

リースはエディンバラの主要貿易港だが、近年はかつての倉庫や工場に新たな息吹が吹き込まれている。例えば、旧ビスケット工場ビンテージナイトマーケットを開催するアート施設となった。

この界隈が少し前から注目を集めているのは、「リースシアター」で開催される「Hidden Door」のようなインディーズアートフェスティバルや、食通の注目を集める革新的なレストランのおかげだろう。さらに、ついにエディンバラの中心部からリースまでトラムで行けるようになったことも大きい。

リースは、以前よりも洗練されたのは間違いない。ただ、古くからの地元住民やクリエーターたちが育んできた誇りとコミュニティー意識が、そのユニークな精神を刻み続けているといえる。

最高の一日の過ごし方:まずはこのエリアに数多くある独立系ベーカリーの一つ「Twelve Triangles」でペストリーを食べよう。「リースウォーク」をのんびり散歩して、「リースファーマーズマーケット」(土曜日10~16時)をのぞくのがおすすめだ。

ミシュランの星を獲得したばかりの「Heron」で遅めのランチを楽しんだら、街に点在する少量生産のビール醸造所で一日を締めくろう。「Moonwake」のトロピカルペールエールは期待を裏切らない。まだ元気であれば「Leith Arches」へ。人気の「La Beat Soul Club」など、さまざまなDJイベントを開催している。

旅の計画:エディンバラの8月は、毎年恒例の「Edinburgh Festival Fringe」のおかげでかなり特別な雰囲気となる。リースはフェスティバルの熱狂からは離れているので、人混みに足を取られることなくフェスティバルを楽しむことができるといえる。傘は必需品だ。

Chiara Wilkinson(Features Editor, UK)

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エンモア(シドニー/オーストラリア)
Photograph: Anna Kucera

17. エンモア(シドニー/オーストラリア)

国際色豊かな味、音楽ライブやコメディー、そして深夜まで続くパーティー。このどれもが充実しているエンモアは、日没後の歓楽街といえる。深夜街で知られるニュータウンと、2023年に最もクールな街として選ばれたマリックビルの間に挟まれたこの場所には学生、ベビーブーマー世代、ミレニアル世代、そしてその中間に位置する全ての人々が集う。

2023年3月、地元議会はにぎやかな大通り・エンモアロードを「特別娯楽地区」に指定。規制が緩和されたことで、この地域の飲食店は官僚的な手続きを省くことができ、議会の承認なしにエンターテインメントイベントを開催したり、営業時間を延長したり、深夜に歩道を使って屋外席を提供したりできるようになった。

この街にはイタリアン、エジプト、レバノン、スリランカ、パキスタン、日本の料理店など、世界的に有名なレストランが軒を連ねている。また、ちょっとカントリーな店、レトロな店、洗練された店、質素なパブの中庭など、どんな気分にも合う飲み屋があるのも魅力だ。

最高の一日の過ごし方:たっぷり寝坊して、遅めのスタートを切るのがいいだろう。おすすめディナーは、スリランカ料理なら「Colombo Social」、イタリアンなら「Osteria di Russo & Russo」、広東料理なら「Queen Chow」だ。「Cow and the Moon」でジェラートを食べてから「Enmore Theatre」へ行って、地元や海外の音楽やコメディーショーを楽しもう。

その後は「Enmore Country Club」「Bar Louise」「Fortunate Son」「Jacoby’s」など、エース級の小さなバーで夜酒を。飲み足らなければ、パブの王道「the Queens」か「The Duke of Enmore」のどちらかを選ぼう。もうすぐ新しいライブハウス「The Trocadero Room」もオープンする。深夜の軽食が必要なら「Faheem Fast Food」へ。

旅の計画:毎年4月から5月にかけて「Sydney Comedy Festival」が開催される。エンモアに行くならこの時期がいいだろう。Enmore Theatreで開催されるスタンダップコメディーショーを中心に、飲食のスケジュールを立てるのがおすすめだ。

Alice Ellis(Editor, Sydney)

コスタ・ダ・カパリカ(アルマダ/ポルトガル)
Photograph: Shutterstock

18. コスタ・ダ・カパリカ(アルマダ/ポルトガル)

リスボンから4月25日橋を渡ると、ビーチサイドの静けさが広がっている。サーフィン向きの波、長い砂浜、好天にちなんでこの辺りを「カピフォルニア」と呼ぶ人もいる。コスタ・ダ・カパリカは昔から夏のリゾート地だったが、近年は国際色豊かな新たな住民を迎え入れ、街の再形成、活性化が進んでいる。

「コミュニティー」をキーワードに、人々は互いを知り、助け合い、そして何よりも団結する。5年前に移住してきたフランス人のカイトサーフィンの先生、ニコ・ベルナーズは、Instagramに「@opacaparica」を開設した。今では、この地域のほぼ全員がフォローしており、最新のコミュニティーイベント、パーティー、懇親会の情報を得ることができる。

また、「@capiwoman.pt」でコスタ・ダ・カパリカの女性のためのプラットフォームを運営しているクレア・タイビもいる。このクリエーティブコミュニティーのメンバーは、DJからサーファーまでさまざま。メンバー同士の交流によって毎日クールなものが生み出され、小さなビジネスが芽生えている。

最高の一日の過ごし方:海に入らずしてコスタ・ダ・カパリカでの一日は終わらない。プライア・ド・カステロにある多目的ビーチクラブ「Irmão」でのんびり過ごすのがおすすめだ。

帰る前に、アーティスト、ベン・リックスのショップ「The Wet Patch」の入り口にある小さなカウンター「Pussy Galore」に立ち寄るのを忘れずに。この斬新な穴場では、バナナアイスクリームと自然派ワインという、珍しいがたまらない組み合わせを楽しめる。

旅の計画:この地域が一年中これほど活気に満ちていることはかつてなかったが、コスタ・ダ・カパリカが輝くのはやはり夏だ。

Vera Moura(Directora, Lisboa)

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ハイドパーク(シカゴ/アメリカ)
Photograph: Shutterstock

19. ハイドパーク(シカゴ/アメリカ)

シカゴ大学があることや、元アメリカ大統領のバラク・オバマの地元として知られるハイドパークでは、にぎやかな大都市の便利さを全て備えながら、小さな町の精神が体現されている。市内屈指のレストランのほか、素晴らしい「シカゴ科学産業博物館」から「Hyde Park Art Center」まで多くの文化施設があり、フランク・ロイド・ライトが設計した世界的に有名な建築物もある。

53rdストリートをぶらぶら歩いて魅力的なブティックや優れたレストランを探したり、「Jackson Park」の美しさと素晴らしさに浸りながら、午後のひとときを過ごすのもいいだろう。

多文化が共存するこの地区で、連帯を生み出している要素の一つが、地元のスモールビジネスだ。アートと文化を通じた地域社会を結びつけることを目指しているショップ「Silver Room」もその好例といえる。

最高の一日の過ごし方:1921年創業のカフェテリアスタイルのレストラン「Valois Restaurant」で朝食をとってからジャクソン・パークへ。広さ約2平方キロメートルの緑地には、見事な日本庭園やオノ・ヨーコの「スカイランディング」などがある。

その後、歴史的な「フレデリック・C・ロビー邸」見学し、シェフのエリック・ウィリアムズが経営する受賞歴のある南部料理レストラン「Virtue」でディナーを。宿泊場所が必要なら、ブティックホテル「SOPHY」がすぐ近くにある。

旅の計画:通常、3月下旬から5月上旬はシカゴにおける桜の季節。200本近くのピンクと白の木々を誇るジャクソン・パークは、華やかな花を見るのに最適な場所としても知られる。

Jeffy Mai(Editor, Chicago)

ウエストエンド(グラスゴー/スコットランド)
Photograph: P. Tomkins / VisitScotland

20. ウエストエンド(グラスゴー/スコットランド)

グラスゴーは変貌を遂げた。この港湾都市のかつての評判がどんなに悪かったとしても、今やイギリスで最もエキサイティングな場所の一つでとなった。その中でも、ウェストエンドほどクールな場所はないだろう。学生、家族、クリエーターが健全に混在するこの街のコミュニティーは、常に進化し、常に関わり合っている。

そして見た目もゴージャスだ。ぜひ「ケルヴィングローブ パーク」にそびえ立つゴシック様式の「グラスゴー大学」に目を向け、その眺めをぜひ堪能してほしい。ウエストエンドの通りには、流行のビーガンコーヒーショップや、数十年の歴史を持つ古本屋が軒を連ねている。こうした新旧の融合が、長年受け継がれてきた地元の魅力を失うことなく、この街の雰囲気を新鮮に保っているといえる。

またこの街には、グレーウェスタンロードにある地元の人気店「Paesano Pizza」など、グラスゴー市内屈指の飲食店があることも自慢だ。

最高の一日の過ごし方:Starry Starry Night Vintage Clothing」でビンテージショッピングを楽しんだら、「Kelvingrove Art Gallery and Museum」でレンブラントやダリなどの絵画を鑑賞。「Loop & Scoop」へ向かい、チュロスをテイクアウトして「Botanic Gardens」のエキゾチックな雰囲気の中で食べるのがいい。

夜は街を代表する「Ubiquitous Chip」で夕食をとり、ライトアップがきれいな「Brel」のビアガーデンで1杯飲んで夜を締めくくろう。豪華な「The Alamo Guest House」のスイートルームに泊まれば、公園が一望できる。

旅の計画:10月末から2週間にわたって開催される「GlasGlow」は毎年恒例のイベント。イルミネーションで光り輝き、ワンダーランドと化すBotanic Gardensを散策しながら、地元のおいしい屋台料理やホットチョコレートに舌鼓を打つことができる。

Annie McNamee(Contributor

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シーポイント(ケープタウン/南アフリカ)
Photograph: LMspencer / Shutterstock.com

21. シーポイント(ケープタウン/南アフリカ)

5キロメートルに及ぶ海辺の遊歩道と公共の庭園があるシーポイント地区は、地元の人々や観光客で常ににぎわう人気スポット。200年の歴史を持つダウンタウンのすぐ西にあるこのエリアを訪れれば、アフリカやヨーロッパ、アジアの文化が混交した活気ある多文化コミュニティーに出会えるだろう。

シーポイントは、古くからユダヤ人コミュニティーがあることでも知られる(市内で唯一のエルブがここにある)。現在は若手の実業家やデジタルノマド、アフリカ系移民たちが混在する。海辺のプロムナードを抜けると、カラフルなメインロードがあり、通りのブティックや人気の飲食店、高層ビルの間からはきらめく大西洋を眺めることができる。

最高の一日の過ごし方:Paris Cape Town」でコーヒーを飲みながら街一番のクロワッサンを味わい、プロムナードでアーバンパークを散策しよう。「シーポイント・パビリオン」のプールでひと泳ぎした後はランチタイム。「Mojo Market」で世界中の屋台料理を満喫した後は、メインロード沿いをゆっくりウインドーショッピングしたい。

Coco Safar」 でコーヒーとマカロンをゲットしたら、スリー・アンカー・ベイの午後のカヤックアドベンチャーに参加しよう。「The Winchester Hotel」のテラスでのサンセットを楽しんだら、市内屈指のヌードルバー 「Three Wise Monkeys」で夕食を。

旅の計画:3月から5月はケープタウンの秋。この街の「シークレット・シーズン」期間中も天候は暖かく、風も少ない。観光客による混雑も少ないので比較的安価で滞在ができる。

Richard Holmes(Contributor, South Africa)

ノイケルン(ベルリン/ドイツ)
Photograph: Shutterstock

22. ノイケルン(ベルリン/ドイツ)

かつてベルリン郊外の小さな村だったノイケルンは、今ではベルリンで最もエキサイティングな地区だ。ヘルマン通り、カール・マルクス通り、ゾンネンアレーの3つの大通りを歩けば、家族経営のスーパーやサードウェーブのコーヒーショップが軒を連ね、それぞれがこの地区独特の多文化的な雰囲気を醸し出している。

ノイケルンはこうした文化の違いをたたえ、また異文化共存のために戦うラディカルな地区。ノイケルン大聖堂の外やヘルマンプラッツでは抗議運動やデモが頻繁に行われている。

雨の日も晴れの日も、「Kindl Brauerei」で行われる美術展からテンペルホーファー・フェルトの散策まで、ノイケルンでの楽しみは尽きない。自然派ワインに手頃なビール、深夜のダンス。ナイトライフも充実している。

最高の一日の過ごし方:Azzam」で食べる中東料理のブランチは格別だ。フルハーフェン通りをぶらぶらしながら、「Slina」や「Ironic Gallery」でショッピングを楽しもう。その後は、ヘールフルト通りの入り口からテンペルホーファー・フェルトを散策するのもいいかもしれない。

その後は「Barra」に立ち寄って、農家直送のおいしい料理を堪能。夜もふけたら、ヴェーザー通りで朝までバー巡りをしよう。

旅の計画:この地区のカルチャーシーンを垣間見るには、毎年6月下旬に開催されるフェスティバル「48 Stunden Neukölln」をチェック。あらゆる分野のアーティストに、アートを発展させ発表する場を提供する、ベルリン最大のフリー・アート・フェスティバルだ。

Nathan Ma(Contributor, Berlin)

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オー・マレ(パリ/フランス)
Photograph: Aron Farkas

23. オー・マレ(パリ/フランス)

マレ地区をパリで最もクールな地区に選んだのは、今回で4回目のこと。観光客でにぎわうマレ地区と、より人通りの多い11区に挟まれたこの地区には、パリで最もクールな場所がいくつもある。

ボーブール通りとテュレンヌ通り、オードリエット通りに囲まれたこのエリアには「Perrotin」や「Thaddaeus Ropac」のような一流のアートギャラリーが点在。また、「Merci」のような隠れ家的ファッションスポットや、パリで注目のカクテルバーの数々、食品市場のアンファン・ルージュなどがある。

伝説的なサンドイッチバー「Alain Miam Miam」ではジューシーなサンドイッチが味わえ、「The Butcher of Paris」で厳選された食肉を購入することができる。

最高の一日の過ごし方:フランスの作家、マルセル・プルースト(Marcel Proust)へのオマージュをささげたホテル「メゾン・プルースト」で目覚めたら、「Petite Île」のベーカリーで台湾風にアレンジされた朝食を。「The Broken Arm」で最新のおしゃれアイテムを手に入れ、「Les Enfants du Marché」でランチ。食後は「Ofr.」でアートブックをめくりながら休憩するのもいいかもしれない。

カクテルタイムが始まったら、街の一流バーを巡ろう。「Little Red Door」や 「The Cambridge Public House」に「Candelaria」。特にカクテルの魔術師レミー・サヴェージ(Remy Savage)が案内する伝説のバー「Bar Nouveau」は要チェックだ。気が向いたら、ナイトヴェニュー「Les Bains」で夜を締めくくろう。

旅の計画:グラヴィリエ通りにある「Datil」でディナーの予約を。地元のシェフ、マノン・フルーリーが、料理人のローレーヌ・バルジューと組んで新しくオープンしたこのレストランは、ベジタリアンのメニューをメインに提供する。

Houssine Bouchama(Rédacteur en chef, Paris)

キングス・クロス(ロンドン/イギリス)
Photograph: Andy Parsons

24. キングス・クロス(ロンドン/イギリス)

タイムアウトが本社を移転した1年後に、この地域が「世界で最もクールな地域」にランクインするのは奇妙なことかもしれない。2023年、キングス・クロスはロンドンで最もクールな地区だ。最先端でハイエンドな消費主義と、よりシビアで試行錯誤を重ねたナイトライフのバランスが取れたこの地区は、今や誰もが楽しめる街となった。

Egg」のような老舗クラブもあれば、「Lafayette」のような新しい音楽施設もある。 キングス・クロスのトラッドな酒場や路地裏は、新開発の洗練された街並みに対抗しているのだ。

リージェンツ運河をまたいで駅から突き出たこの街は、今でも不規則に広がっており、その地形はまるで不潔な大きな塊のよう。しかし路地裏や広場には、ビクトリア時代の歴史が色濃く残る。そう思ったら、新しい発見があったりして面白い。今では見事に多彩なショップやレストランが軒を連ねている。交通の便がいいのは言うまでもない。

最高の一日の過ごし方:グラナリー・スクエアにある巨大な「Caravan」でブランチを食べてから、「Coal Drops Yard」内にあるショップを巡ろう。「大英図書館」を訪れ、「キングス・プレイス」で開催されているイベントをチェック。途中、アクトン・ストリートの「The Queen's Head」やカリー・ロードの 「King Charles I」といった、このエリアの古き良きパブに立ち寄るのを忘れずに。

Dishoom」で夕食をとった後は「The Standard London」の広々としたルーフトップバーでサクッと一杯。もしくは、オーディオマニア向けのヴェニュー「Spiritland」に足を運び、ハイファイな音響システムで音楽を聴く。もっと夜遊びをしたい人は、「Scala」とEggというヘビー級のナイトクラブを訪れれば間違いなく楽しい夜を過ごせるだろう。

旅の計画:キングス・クロスのクリスマスはますます活気に満ちている。「Coal Drops Yard」は、クリスマスギフトを揃えるのに一番便利な場所かもしれない。またカーリングなど、伝統的な冬のイベントもたくさん行われる。冬の間は運河沿いの道を歩くこともでき、ロンドンならではの不思議な体験ができる。

Joe MackertichEditor, London)

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ハンナムドン(ソウル/韓国)
Photograph: Shutterstock

25. ハンナムドン(ソウル/韓国)

梨泰院(イテウォン)からほど近い漢南洞(ハンナムドン)は、近年目覚ましい変貌を遂げたソウルの活気あふれるエリアだ。

週末になるとスタイリッシュなブティックやシックなカフェ、斬新なレストランを目当てに観光客がこのホットスポットに集結。地元アーティストの作品を展示するギャラリーも点在し、クリエーティブなコミュニティーも盛り上がりを見せている。人気の高まりの中、小さな路地や隠れ家的なバーやカフェなど、昔ながらの魅力を保っていることも人気の理由に挙げられるだろう。

ユニークなショッピングに韓国グルメ、活気ある文化シーンなど、ソウルの中心で忘れられない都市体験を提供してくれる。

最高の一日の過ごし方:Avek Cheri」で、コーヒーとケーキを味わいながら一日をスタート。近くのお香ショップ「Nonfiction」で自宅用に新しい香りを選ぼう。最新のファッション事情を知りたいのなら「Depound」や「Beaker Shop」「Elborn」をチェック。午後は「Leeum Museum of Art」で文化に触れ、一日の締めくくりにはミシュラン三つ星を獲得した「Mosu」で、コンテンポラリーなコリアン・ファイン・ダイニングを満喫してみては。

旅の計画:国際的なオークションハウス、「サザビーズ」がハンナムドンに新しいスペースをオープン。さまざまな展示会やトークショー、ワークショップが開催されている。

Jocelyn Tan(Contributor, Seoul)

コーラル・ゲーブルズ(フロリダ/アメリカ)
Photograph: Shutterstock

26. コーラル・ゲーブルズ(フロリダ/アメリカ)

フロリダ州で最初に計画されたコミュニティーの一つでもあるコーラル・ゲーブルズは、マイアミでも少ないクールな街の一つだ。1890年代から1900年代初頭にかけて行われたムーブメント「シティ・ビューティフル」の精神は健在で、今でも豪華な建物の保存と修復が続けられている。

クラシックなものと新しい要素が自然環境の中に優雅に織り込まれているのが、この街の魅力。印象的な並木道と地中海風の建築が、エリアのほとんどを占める。ブルドーザーで多くの美しい建造物が破壊されたことで知られるマイアミの中でも、極めて珍しく、歴史的な場所と言えるだろう。

ダウンタウンの中心は「ミラクル・マイル」と呼ばれるビジネス街で、個人経営のショップやマイアミ屈指のレストランが軒を連ねる。マイアミの最大の名声は、全米トップクラスの私立大学であるマイアミ大学があることだろう。1940年代にはその派手なカントリークラブの雰囲気から、生意気にも「Suntan U(日焼け大学)」というニックネームで呼ばれていた。

コーラル・ゲーブルズには近々、ニューヨークのハイラインに続く7マイルのサイクリング用のレールが完備される。近郊にはパブリックアートやさまざまな設備ができる予定だ。

 最高の一日の過ごし方:マイアミのシェフ、ニーブン・パテル(Niven Patel)が指揮する「ファーム・トゥ・テーブル」をコンセプトにした「Orno」と「Mamey」を併設したモダンなホテル、「テシス・ホテル」にチェックインしよう。居心地の良い「Tinta y Café」でカジュアルなキューバ料理の朝食をとってから、長年愛される「Books & Books」の品揃え豊富な棚をのぞいても楽しい。

ハッピーアワーを楽しむならマイアミ大学のキャンパス内にあるエネルギッシュなバー、「Rathskeller」を訪れてみるといい。ついでにキャンパスの中を散策したい。

コンテンポラリー・アメリカン・レストラン「Beauty & The Butcher」でディナーを楽しんだ後は、「Mamey on 3rd」の屋上で一日を締めくくろう。

旅の計画:ゲーブルズのオフシーズンは、「ビルトモア・ホテル」で開催される大みそか恒例の舞踏会と花火ショーで幕を開ける。1月から3月にかけての涼しい季節は、メリック・パークで開催される「コーラル・ゲーブルズ・ファーマーズ・マーケット」でピクニックを楽しむのに最適だ。

Falyn Wood(Editor, Miami)

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リッチモンド・ディストリクト(サンフランシスコ/アメリカ)
Photograph: Shutterstock

27. リッチモンド・ディストリクト(サンフランシスコ/アメリカ)

市の北西部、50ブロックにわたって広がるリッチモンド地区は、美しい自然と豊かな文化、世界各地の素晴らしい料理など、サンフランシスコを特別なものにする縮図のような場所だ。

オーシャン・ビーチと起伏に富んだ美しい海岸線に囲まれたリッチモンド・ディストリクトには、プレシディオやゴールデン・ゲート・パーク(世界的なアトラクションや博物館がたくさんある)が楽しめ、素晴らしい景色の中で文化的な体験ができるのが魅力だ。

このエリアは2つの地区で構成されている。東端のインナー・リッチモンドは、ベーカリーや個人経営店、バー、レストランでにぎわうエリア。アウター・リッチモンドはビーチに近く、住宅街がほとんどを占めている(ただし、ギアリー大通りとバルボア通りはどちらも活気のある通り)。

ニューオープンに沸くリッチモンド地区は、サンフランシスコで今最もエキサイティングな食事と遊びができる注目の場所だ。

最高の一日の過ごし方:Arsicault Bakery」の薄焼きのクロワッサンを求めて行列に並んだり、「ジェームズ・ビアード賞(James Beard Award)」にノミネートされた「Breadbelly」の「カヤトースト」や、クリエーティブなコーヒードリンクを味わったりするのもいい。

その後はクレメント・ストリート沿いを散策し、「Green Apple Books」のような地元の人気店に立ち寄ろう。ランチは、点心で決まり。おすすめは「Dragon Beaux」だ。

ゴールデンゲート・パークを散歩しカロリーを消費してから、近所にオープンしたばかりのホットスポット、「Pearl 6101」でディナー。夜は歴史ある「バルボア劇場」で映画を観て、オーシャン・ビーチのすぐそばにあるAirbnbに泊まろう。

旅の計画:ゴールデン・ゲート・パークの隣で毎年開催される音楽フェスティバルに、時期を合わせて訪れてみては。 8月には「アウトサイド・ランズ」、9月には「ハードリー・ストリクトリー・ブルーグラス」が開催される。

Clara Hogan

ヴィノフラディ(プラハ/チェコ)
Photograph: Pyty / Shutterstock

28. ヴィノフラディ(プラハ/チェコ)

プラハのにぎやかな「ヴァーツラフ広場」から15分ほど歩いたところに、流行の先端を行くヴィノフラディ地区がある。絵画のように美しい広場があり、急な坂道の間にはチェコ料理や各国料理のレストラン、個人経営のコーヒーショップ、ビアバー、緑地が点在する。

ネオ・ゴシック様式の「聖リュドミラ教会」から見渡せる広場、ナミェスティ・ミウルは、クリスマスシーズンにはマーケットやデコレーションで華やぐ。「ジジュコフ・テレビ・タワー」が間近に見えるだけでなく、丘の上からは「プラハ城」などこの街で最も愛されるランドマークの数々が一望できる。

最高の一日の過ごし方:Cafefin」でコーヒーとブランチを楽しもう。ナミェスティ・ミウル広場で何が起こっているのかチェックしてから、「Lokál Korunní」か「Vinohradský Parlament」で地元料理のランチを堪能。午後は、街の夕日をが眺められる「リーゲル公園」周辺をのんびりと散歩してみては。ディナーには、「Vinohradský Pivovar」を予約するといい。チェコ産のビールで乾杯しよう。

旅の計画:水曜日から土曜日までの週4日、「Jiřího z Poděbrad square」では、プラハで最も有名なファーマーズ・マーケットが開催されている。

Yaren Fadiloglulari(Contributing Writer, Prague)

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クロット(バルセロナ/スペイン)
Photograph: Lanto

29. クロット(バルセロナ/スペイン)

バルセロナの主要道路であるラ・メリディアナとグラン・ビアに囲まれたクロットは、昔ながらの個性を保つ地域。そういった意味では、観光客に人気のあるポブレノウ地区やアシャンプラ地区とは一線を画している。

大通りがすぐそばにあるにもかかわらず、小道の歩行者天国や広大な「クロット公園(Parc del Clot)」のおかげで、このエリアは静寂に包まれている。クロットの市営市場は市内で最も古い市場の一つ。地元住民の生活の中心地であり、高級化したエリアで見かけるよりも比較的安い価格で質のいい食材を買うことができる。

伝統的なバル「Bar Rovira」や、「Celler Panotxa」のような個性的な酒屋、「Pebre Negre」のような本屋やグルテンフリーのパン屋「Casa Lupita」など、ローカルなショップが集まっているのも魅力だ。

最高の一日の過ごし方:グロリース(Glòries)の交差点を埋めて作られた緑地「グラン・クラリアナ」を歩いて、朝の散歩。カルチャーセンター「la farinera del clot」で開催されているイベントをチェックし、午後はグラン・ビアを横切って、「ディセニー博物館」を訪れてみよう。伝統的な「Bodega Sopena」でベルモットを飲み、その後は「Lanto」でリーズナブルなテイスティング・メニューを楽しんで。

旅の計画:11月の最初の3連休、クロットはにぎやかな祭りの真っただ中だ。40を超える地域団体が集まって盛大な祭りを開催し、「カステル(人間の塔)」や「ゲガンツ(巨人)」といった、カタルーニャ地方の伝統的な催しが行われる。

María José GómezDirectora, Barcelona

サン・ミゲル・チャプルテペック(メキシコシティ/メキシコ)
Photograph: Alejandra Carbajal

30. サン・ミゲル・チャプルテペック(メキシコシティ/メキシコ)

サン・ミゲル・チャプルテペックは、メキシコシティの2つの魅力を兼ね備えている地区だ。静かな地域でありながらメキシコシティのシーンのにぎわいが感じられるのは、人気のロマ地区やコンデサ地区に近いことが大きい。

ボヘミアンな雰囲気と、並木道やコロニアル調の美しい家並み。さらに、メキシコシティで一番大きい公園の一つである「チャプルテペック公園」に隣接しているため、首都の中心にありながら、静かで平和な時間を過ごすことができる。

サン・ミゲル・チャプルテペックでは、アーティストやファミリー層、若手のクリエーターたちが混在し、にぎやかで多様なコミュニティーが形成されている。素晴らしいフードシーンやデザインショップや地元のアートギャラリー、充実した一日を過ごすためのたくさんの公園がある。

最高の一日の過ごし方:Café Papagayo」で味わうローカルな味満載の朝食で一日をスタート。「Casa Luis Barragán」や「La Casa Estudio Barragán」といったミュージアムをチェックしたら、街の市場「Mercado El Chorrito」で伝統的なランチを楽しもう。午後は広大なチャプルテペック公園を散策。「Deli Lou」で軽い夕食をとり、「El Micky」でメキシコシティのナイトライフを体感しては。

旅の計画:10月のサン・ミゲル・チャプルテペックを訪れて、毎年開催される音楽と芸術の祭典を体験しよう。

Mauricio Nava(Director Editorial, Mexico City)

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エクサルヒア(アテネ/ギリシャ)
Photograph: Shutterstock

31. エクサルヒア(アテネ/ギリシャ)

歴史的に急進的な地区であったエクサルヒアは、観光客のホットスポットになりつつあるが、その抵抗の歴史がもたらした特徴はまだ失われていない。「ストレフィ・ヒル」のようなたまり場、通りに並ぶバーやカフェ。今でもこの地区の至る所で、活動家やアナーキストに出会うだろう。

エクサルヒアで有名なランドマークと言えば、ギリシャ最古の大学の一つである「アテネ工科大学」。博物館からレコードショップまでさまざまな文化施設もあり、おいしい食事ができるレストランやバーもたくさんある(「Cookoomela Grill」のビーガン料理が特におすすめ)。

2022年、中央広場に地下鉄の新駅が建設され始めたことが、この地域の転機となった。エクサルヒアの中央広場には昔から人々が集い、デモが行われる場所だった。新駅の建設により、この地域に残る政治的なスピリットが根絶されてしまうのではないかと多くの人が危惧している。

ギリシャのアナーキーなアンダーグラウンド文化を味わいたいなら、今すぐエクサルヒアを訪れるべきだろう。

最高の一日の過ごし方:Raraou Cantina」で朝食をとり「Selas」でコーヒーを飲んだら、近郊を散策しよう。町のあらゆる所に窓がセメントで閉ざされた建物を見かけるが、これらは元スクワットだった建物だ。

この街の文化に触れるなら、「考古学博物館」や、「Le Dsk Noir」「Art Rat Records」「Dirty Noise」といったレコードショップをのぞいてみよう。ちょっとしたハイキングをして新鮮な空気を味わうには、街のメインパークである「ペディオン・トゥ・アレオス」か、有名なストレフィの丘を散策するといいだろう。

ディナーは「Atitamos」や「Rozalia」「Avli」で伝統的なギリシャ料理を味わって。バーは数え切れないほどあるが、特におすすめしたいのが、住居アパートの2階にある小さなバー「I Skala」だ。

旅の計画:この地域の革命的な精神を目撃したい人は、1973年のギリシャ政権に対する学生蜂起の記念日である11月17日に訪れてみるべきだろう。

Quentin Goerres(Contributor, Greece)

べベッキ(イスタンブール/トルコ)
Photograph: Shutterstock

32. べベッキ(イスタンブール/トルコ)

べベッキには見どころが多いが、特に印象に残るのはボスポラス海峡の絶景だろう。イスタンブールの海辺の地区であるべベッキの海岸線は、夕暮れ時になると特別な雰囲気に包まれる。ゴールデンタイムに最高の景色を見るには、緑豊かな「べベッキ公園」へ向かうといい。

この地域では地元の店でアイスクリームを買い、海峡沿いを散歩する住民をよく見かける。その美しさだけでなく、素晴らしいレストランやカフェ、ショップがあり、高級店から昔ながらの店までが揃う。

最高の一日の過ごし方:Mangerie」では、ボスポラス海峡を眺めながら焼きソーセージやメンメンなどの朝食メニューが楽しめる。その後、海岸沿いを散歩してフレッシュな海の空気を吸ったら、1996年以来、地元アーティストとコレクターを結びつけてきた「エヴィン・アート・ギャラリー」に立ち寄りたい。カクテルとディナーを楽しむなら、「Lucca」がおすすめだ。 ホテルは、「ベベク・ホテル・バイ・ザ・ステイ」をブッキングしよう。

旅の計画:一年中活気に満ちているべベッキだが、特に春は、海岸とこの地域の屋外文化を楽しむのに最適な季節だ。

Seda PekçelenManaging Editor, Istanbul)

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ポンソンビー(オークランド/ニュージーランド)
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33. ポンソンビー(オークランド/ニュージーランド)

市街地を見下ろす丘の上に位置するポンソンビーは、もともとはグルメやショッピングのスポットではなかった。もともと、は1960年代から70年代に、アーティストやボヘミアン、パシフィック・ピープル達たちが住んでいたことで知られる。オークランドのクリエーティブな文化に貢献してきたポンソンビーは、20世紀後半のジェントリフィケーションによって大きく姿を変えた。

近年、オークランドで最も裕福なエリアのひとつ一つとなったが、今でも多くのデザイナーやクリエイーターがこの街の一角を故郷としている。その中心となるのは、約1.6キロメートルに及ぶポンソンビーロードだ。ニュージーランド各地のアーティストやデザイナーを紹介する、個人経営のブティックやギャラリーが軒を連ねている。

また、ヴィビーガンのタイ料理から韓国料理、ペルー料理まで、世界中のグルメが楽しめるレストランがひしめき、オークランドの多様性を余すところなく表現しているのも魅力の一つ。朝は「Daily Bread」でサワードウを買い、夜は酒場風の「Deadshot」でカクテルを楽しむ人々で常に活気に満ちている。

最高の一日の過ごし方:朝食は「Orphans Kitchen」のカフェの屋上で、蜂蜜をたっぷりかけた自家製クランペを食べよう。ニュージーランド製の雑貨を扱う「the Poi Room」で買い物を楽しんだら、「カレン・ウォーカー」や「ケイト・シルヴェスター」といった地元のブランドショップに立ち寄ってみるのもいいかもしれない。

リーズナブルにハイエンドなファッションを求めるなら、「Tatty’s」や「Encore Designer Recycle」でセカンドハンドのデザイナーズアイテムを探すのがおすすめ。「Flotsam and Jetsam」でアンティークの家庭用品を物色したら、夜は「Beau Wine Bar」でニュージーランドワインを嗜たしなみ、「ポンソンビー・セントラル」のレストランでディナーを。

ホテル・フィッツロイ」に宿泊すれば、1920年代の歴史的なヴィラの雰囲気を実際に体験することができる。

旅の計画:12月のホリデーシーズンにポンソンビーを訪れてみよう。緑豊かなフランクリン・ロードを彩るクリスマス・イルミネーションが楽しめる。

Petrina Darrah(Contributor, New Zealand)

中山区(台北/台湾)
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34. 中山区(台北/台湾)

「台北101」がそびえ立つ大同区と信義区の間に位置する中山区は、台北の変遷を物語る場所だ。かつては淡水河沿いの貿易の中心地だったが、現在は高層ビルが建ち並ぶミニメトロポリスとしてにぎわいを見せる。

その一方で、この地域には植民地時代の面影が残っているから面白い。日本統治時代の日本式住宅がそのまま残された「蔡瑞月舞踊研究社」やカフェ「滿樂門」に行けば、その雰囲気を感じられるだろう。

また、そういったレトロな街並みの中に、日本の建築家、平田晃久が設計した「富富話合」や「メイリーフア大観覧車」のような近代建築がスカイラインを支配しているのも、中山区の特徴。伝統的な日本建築やバロック建築と、驚くほど現代的な建築が見事に調和しているのだ。

レストランも豊富。「麺屋一燈」や「鬼金棒」のラーメンから、「ローズマリー」のパスタ、「マユール・インディアン・キッチン」のスパイシーなインド料理まで、選択肢は無限にある。台湾料理が食べたいなら、「長安東路一段」を訪れてみるべきだろう。

最高の一日の過ごし方:「Wuming Breakfast Restaurant」で卵餅と豆乳の朝食をとり、「林安泰古厝民俗文物館」で博物館散策。パワースポットとしても知られる「行天宮」を訪れ、ランチは「Shanxi Noodles」で揚げたてのチヂミを味えば完璧だ。

午後は台湾のミニチュア博物館「Miniatures Museum of Taiwan」や「MoCA Taipei」に足を運び、小腹がすいたら「Melange Café」のワッフルを試してみよう。

夜になったら「RVLT Taipei」でおしゃれなワインを飲んだり、「Two Three Comedy」でお笑いを楽しんだりしてみるといい。大同区の夜市「寧夏夜市」や大稲埕碼頭にある活気ある貨物市場も見逃せない。

旅の計画:7月から8月にかけて開催される「台北夏祭り」では、目を見張るような花火が打ち上げられる。

Ken Chao(Contributor, Taipei)

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ボニファシオ・グローバルシティ(マニラ/フィリピン)
Photograph: Shutterstock

35. ボニファシオ・グローバルシティ(マニラ/フィリピン)

BGCの愛称で知られるボニファシオ・グローバルシティは、マニラの活気あるグルメやショッピング、ナイトライフの中心地。タギッグに位置するこの商業地区は、マニラ観光の理想的な出発点でもある。アプリ対応のスクーター「Moovr」や、レンタル自転車で簡単に移動できるのもうれしい。自分のペースで、エリアのストリートアートツアーに出かけよう(この町のほとんど全ての通りに壁画がある)。

現代アートの殿堂「Metropolitan Museum of Manila」ではアートと化学を学ぶことができ、「The Mind Museum」ではインタラクティブなアート作品を観ることができる。世界的に有名なシェフ、マルガリータ・フォレス(Margarita Fores)の息子であるシェフ、アマド・フォレス(Amado Fores)が手がける「a mano」で、手作りのイタリア料理を堪能しよう。

週末の夜には、イベントが満載だ。ライブパフォーマンスを楽しんだり、1920年代をテーマにした酒場「The Back Room」でカクテルを堪能したり。豊富なワインリストが人気の「Dr. Wine」でワインテイスティングをするのもいいだろう。

最高の一日の過ごし方:Bonifacio High Street」や「Burgos Circle」で朝食をとって、一日をスタート。途中でBGCの数あるモールの一つ、「SM Aura」や「Uptown Mall」で暑さをしのごう。

ディナーには「Mecha Uma」で極上のおまかせメニューを頼むのがおすすめだ。セレブやインフルエンサーが夜な夜な踊り明かす「Revel At The Palace」や、LGBTQ+ナイトヴェニュー「Nectar Nightclub」で、マニラの夜を締めくくろう。

旅の計画 :マニラでは9月から1月初旬まで、世界で最も長いクリスマスセレブレーションが行われる。11月中旬にはBGCで毎年恒例のツリー点灯式や、お祝いのイベントが開催される。

Zaira Cruz

ダウンタウン(モントリオール/カナダ)
Photograph: Stéphan Poulin / Tourisme Montréal

36. ダウンタウン(モントリオール/カナダ)

モントリオールのダウンタウンは、ブームの真っただ中にある。紺碧(こんぺき)のセントローレンス川とモン・ロワイヤルの都会的な山並みの間に位置するダウンタウンは、リテール・セラピーや、「モントリオール国際ジャズフェスティバル」のような大きなイベントで注目を集めてきた。

近年は開発によるクレーン工事の最中にありながら、モントリオールの中心部はかつてないほどクールな街になってきている。夏には野外アートインスタレーションやサーカスを楽しむことができ、冬には巨大なイルミネーションスケートリンクや、ディスコバンパーカー、フードポップアップなどがオープンする。

クリエーターや若いプロフェッショナルが集まるこの街にあるのは、最も新しいルーフトップやホテル、レストラン。ダウンタウンは、クールで最高の場所だ。

最高の一日の過ごし方:グレート・ギャツビーにインスパイアされたホテル「Honeyrose」で目覚め、「Café Olimpico」の本格的なイタリアンコーヒーで一日を始めよう。ナイキの新しい旗艦店で少しショッピングをした後は、シェフのアントニオ・パーク(Antonio Park)が手がける待望のレストラン「Yama」でランチタイムを。

午後は、ダウンタウンの隠れ家的スパ「Four Seasons」でスパのセッションを受けたり、「現代美術館」で最先端のアートを鑑賞するといい。日が暮れたら屋上レストラン「Hiatus」でディナーを楽しみ、モントリオールを見渡す最高の眺望を堪能しよう。

旅の計画:冬は、モントリオールのダウンタウンを体験するのに最適な季節の一つ。光のインスタレーションと音楽の共演で街の中心部をプレイゾーンに変える「Montréal en Lumière」は、冬の一大イベントだ。

Isa Tousignant

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道頓堀(大阪/日本)
Photograph: Shutterstock

37. 道頓堀(大阪/日本)

一言で言えば、大阪は食のパラダイスだ。そして、古くから日本の台所として知られる道頓堀は、その中心地である。

それだけではない。道頓堀は買い物天国でもあり、ハイエンドなショップから風変わりな土産物屋まで何でも揃っている。「道頓堀ZAZA」で吉本所属芸人によるお笑いや漫才を楽しむのもおすすめだ。

この周辺には、大阪を代表するランドマークもある。「かに道楽」の「動くかに看板」といった観光名所には、この界隈の風変わりなエッセンスが凝縮されていると言えるだろう。夜は道頓堀を照らすネオンサインに目を奪われながら、この街で最もヒップなバーやクラブ、居酒屋に立ち寄ろう。

最高の一日の過ごし方:シックなアートホテル「モクシー 大阪本町」で目覚めたら、「アラビヤコーヒー」で洋菓子とコーヒーを。心斎橋筋商店街で買い物をした後は、「あっちち本舗 道頓堀店」で本場のたこ焼きを食べたい。道頓堀のクルーズに参加して午後のひとときを過ごし、夜はネオン街を散策。食事は道頓堀のお好み焼の専門店 「千房」で決まりだ。最後は日本酒バー、「M300」で乾杯しよう。

旅の計画:年に3回開催される「道頓堀コスプレ祭」は、道頓堀の街頭をコスプレイヤーたちが占拠するイベントだ。2025年にオープンするアジア初のマーケット「タイムアウトマーケット大阪」にも、ぜひ足を運んでみよう。

Joshua Hauville

ザ・アネックス(トロント/カナダ)
Photograph: Gillian Jackson

38. ザ・アネックス(トロント/カナダ)

アネックスは変わった。街の象徴的なデパート「Honest Ed’s」の閉店が、街の風景を一変させたからだ。しかしようやく、長年の開発工事が終わりを迎えようとしている。アネックスは、新鮮な装いを取り戻しつつある。現在開発中のミルビッシュ・ビレッジは、クイーンストリート・ウエストのアップタウンに新しい小売スペースや、住宅設備、音楽施設、公園を提供する予定だ。

地元で長年愛されてきた映画館「Hot Docs Cinema」や、教授と学生、社会人が肩を並べて酒を飲むローカルなパブ、トロントのミシュランガイドに新たに掲載された店などのアトラクションも満載。アネックスは2023年に復活を遂げ、今トロントで最もクールな場所となっている。

最高の一日の過ごし方:トロントで一番小さなコーヒーショップ、「Coffee Pocket」で一日をスタート。ブロア・ストリート・ウエストをぶらぶら歩きながら、お香や雑貨、本などを扱うショップをのぞいてみよう。

Hot Docs Cinemaで映画を観た後は「The Lab」や「Writers Room」で、スカイラインの夕日を眺めながら一杯。腹を満たしたいのなら、ミシュランの星を獲得した「Mimi Chinese」を予約しよう。スパイシーなひねりのきいた中華料理で、モントリオールの夜を締めくくりたい。

旅の計画:2024年に開催される「Hot Docs Festival」は、今からチェックしておくべきだ。開発工事の完了のタイミングに合わせて、今後は新しい活動やイベントでにぎわうだろう。

Lydia Hrycko(Contributor, Canada)

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ソンワット(バンコク/タイ)
Photograph: Shutterstock

39. ソンワット(バンコク/タイ)

ソンワットは、活気のあるヤオワラート通りから少し離れたところにあるが、静かでリラックスできるスポットである。1900年代初頭には重要な交易地区であったソンワットだが、近代化によってその存在感は薄れていった。

現在のソンワットは古くからの商人と、その2代目の店主、そして新しい起業家たちの連合体のような場所だ。この老朽化した貿易地区を、ミレニアル世代主導のビジネスの拠点に変えることを使命としている。

老舗と伝説的な屋台に挟まれたこの地区には、クールなカフェやヒップなホステル、シックなアートギャラリー、食欲をそそるコンテンポラリーなレストランが軒を連ねている。

ミニマルなカフェでゆっくりと淹れられたコーヒーを味わったり、両親の年よりも古い店の麺を味わったり、ソンワットの楽しみ方は多様だ。何年もかけてこの界隈を整備してきたソンワットコミュニティーはその努力をたたえ、自費出版のガイドブックを出版した。地域の歴史を紹介し、魅力的な食文化を最大限に活用するヒントを提供している。

最高の一日の過ごし方:早起きして屋台でパンを買い、「Song Wat Coffee Roaster」で職人が淹れるコーヒーを味わってみよう。街で人気の「Rong Klan Nuea」で香り高いビーフンをすすり、「Play Art House」で地元の気鋭アーティストによる展覧会をチェック。ミシュランの一つ星を獲得したルーフトップバー、「Potong」で食前のカクテルを楽しんでから、タイと中華料理のフュージョンに舌鼓を打とう。

旅の計画:10月から11月にかけて「ソンワット・ウィーク」と呼ばれる10日間のイベントが開催される。期間中はウォーキングツアーや特別なイベント、アクティビティが行われ、リーズナブルなドリンクが提供される。

Top Koaysomboon(Editor-in-Chief, Bangkok)

カントンメンツ(アクラ/ガーナ)
Photograph: Berj Art Gallery

40. カントンメンツ(アクラ/ガーナ)

イースト・アクラの中心に位置するカントンメンツは、大使館が立ち並ぶ住宅街。コトカ国際空港に近く、世界とアクラの他の地域をつなぐゲートウェイとしても機能している。オスやラボネといった他の一等地ともつながり、現代性とアクラの特徴である多様な文化が見事に調和するエリアだ。

居住者は外交官や駐在員から、若者まで幅広い。一流のレストランで食事を楽しむことができるほか、「Rotary Club of Accra」などのソーシャルイニシアチブが、この地域の注目を集めている。

最高の一日の過ごし方:アクラでは、朝食を節約する必要はない。地元の屋台で一日をスタートし、「Auntie Munie Waakye」で人気の朝食「ワアキー(炊き込みご飯と豆)」を味わおう。

その後は街の文化に触れる時間だ。近郊にはギャラリーや博物館が点在している。「WEB Dubois Memorial Centre」や「Goethe-Institut」「Berj Gallery」といったスポットに足を運ぼう。

そして、多国籍料理で知られる「Bistro 22」でのんびりランチをして、「The Honeysuckle」や「Vine」で提供される一流のディナーで一日を締めくくろう。人気のナイトクラブ「Twist」は、アクラのナイトライフを楽しみたい人におすすめだ。

旅の計画:クリスマスシーズンの12月は、ガーナにとっては忙しい月だ。航空券は割高になるかもしれないが、この時期に街で開かれる祭りやパーティーは、一度体験してみる価値がある。

Tina Charisma(Contributor, Accra)

世界を旅するなら……

  • Things to do
  • シティライフ

タイムアウトが行った全世界対象の大規模な都市調査「Time Out Index」をもとに、タイムアウトのグローバルチームがThe 51 coolest neighbourhoods in the world(世界で最もクールな地域)」と題したランキングを発表した。厳しい入国制限が解除された今、これ以上ないタイミングだ。下北沢(シモキタ)は、2019年に同ランキングで2位だった。3年ぶりに東京で最もクールな街の称号を取り戻したのだ。

  • レストラン

料理は時に、芸術の域にまで達することがある。特に、丁寧に作られ、愛情をこめて盛りつけられた料理はそうだろう。しかし、優れたレストラン経営者なら、食事の内容だけが重要ではないと言うはずだ。世界最高峰の店は、細部に至るまで、格別の配慮をしているのだ。

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  • トラベル

喜んで地中深くに潜りたいという人はあまりいないだろう。謎めいた地球の中心に向って真っ暗な奈落の底に向かうのは恐ろしい。

その先にどんなに楽しいことが待っていたとしても、狭苦しく、逃げられないのでは?と感じてしまうのが人というものだ。しかし、人類はその誕生以来、採掘、洞窟探検、生活など、地下に潜ることをずっと続けてきた。

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