Michinoku Coastal Trail
©KOJI IWAMA

復興する東北を体験する5のこと

震災後に誕生したミュージアム、1850年創業の酒蔵など地域の魅力を紹介

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タイムアウト東京  >トラベル > 復興する東北を体験する5のこと

テキスト:間庭典子、マシュー・リー

※本記事は、『Unlock The Real Japan』に2021年2月24日付けで掲載された『Unlock: Tohoku』を翻訳し、転載。

2011年の東日本震災から10年を迎える中、東北の被害地域は前進を続けている。困難を克服し、生活を再建する中で、東北の住民が見せた回復力や献身的な姿勢は、多くの人を勇気づけた。東北観光を再開し、魅力あるこの地域を存分に楽しんでもらうことは、再建事業の柱の一つである。ここでは、そんな復興していく土地という新たな魅力を持った東北を体験できるスポットを紹介しよう。

震災後に誕生した新たなミュージアムや1850年創業の酒蔵、地元食材を極上のフレンチに仕立てる1日10組限定のレストランなど、見逃せないヴェニューばかり。

新型コロナウイルス感染拡大が収束し、また全国の行き来ができるようになった時のためにチェックしておこう。

リアス・アーク美術館

気仙沼の高台にあるこの人気の美術館に並ぶ全てのアート作品を鑑賞しようと思ったら、ゆうに数時間はかかる。地域の伝承や沿岸の生活に関する展示にも興味をそそられるが、時間がたっぷり取れない場合は、2011年の東日本大震災を特集した一階の展示室に行ってほしい。

痛ましい震災のがれきや残骸を中心とした展示構成に、思わず感情が揺さぶられるだろう。破壊された子どものおもちゃや、冷蔵庫といった日常の品々からは、人々の営みにもたらされた破壊の跡が見てとれる。

鋭くも繊細な視点で構成された展示品や地元在住の同館学芸員が撮影した写真は、悲劇の後で人々の肉体面と精神面にもたらされた被害の大きさを伝えるという意味で、優れた成果を上げている。

東日本大震災津波伝承館いわてTSUNAMI(つなみ)メモリアル

この追悼施設は2011年の大震災について黙想し、記憶に残し、その教訓を共有するための場所だ。地震と津波でほぼ全壊状態となった陸前高田沿岸の風光明媚(ふうこうめいび)な場所にたたずむこの博物館の使命は、2011年の被害で得た学びを後世に伝え、「自然社会に強い社会」を実現すること。

来館者は「歴史をひもとく」「事実を知る」「教訓を学ぶ」「復興を共に進める」の四つのゾーンを通じて震災の背景を学び、その後の生活の様子を知り、命を守るために未来に向けて何ができるかをより深く理解することができる。

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みちのく潮風トレイル

青森県八戸市と福島県相馬市を結ぶ、息をのむような美しいこの三陸沿岸のトレイルは、近年国内外で注目を集めている。東北の昔の呼び名から付けられた、みちのく潮風トレイルでは、浄土ヶ浜の奇岩、女川近くの山の稜線(りょうせん)、宮城のかわいい猫たち、階上の古木、巨木などが楽しめるが、これらはほんの一部にすぎない。実に全長1000キロメートルのトレイルのほとんどの部分で、水平線へと広がる太平洋の雄大な眺めが堪能できるのだ。

トレイル全体を踏破するには最低でも1カ月半以上が必要。それほど時間がとれない人は、みちのくトレイルクラブの公式ウェブサイトから、より短い距離のルートを検索してみよう。トレイル沿いには駅や空港もあるので、短いルートにも挑戦しやすくなっている。いつか1000キロを制覇することを夢見ながら歩いてみるのはいかがだろう。

末廣酒造 嘉永蔵

福島県会津若松市にある末廣酒造は1850年に創業した、世界に誇る日本酒を味わえる場所だ。蔵が開いているときには、伝統的な酒造りの工程を見学できるツアーが開催されている(新型コロナウイルス対策のため、訪れる前には公式ウェブサイトで営業時間を確認してほしい)。

1892年から1922年の間に建てられた木造の蔵は、昔からの酒蔵に見られる杉玉が自慢だが、最新の酒造りの技術を見学できるなど、過去だけでなく未来にも目を向けているのが特徴。

ショップで購入できる同社の看板商品である『山廃純米吟醸末廣』は、2019年に大阪で開催されたG20サミットで世界の首脳たちに振る舞われたもの。7代目社長の新城猪之吉の丁寧な指導のもと、現在では世界中に輸出している。

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ハギ フランス料理店

この産地直送のフレンチレストランのシェフである萩春朋は、地元の新鮮な旬の食材を提供するためにはあらゆる努力を惜しまない。彼は、毎朝県内各地を回って農家の人々に会い、その日のメニューを決めている。

東日本大震災後の数年間は、大人数への提供が困難だったため、ハギ(HAGI)では1日1テーブルまでの提供にとどまっていたそう。今では、地域のインフラが震災前のレベルに戻ったことで、1日10人までの予約を受け付けている。

萩はこの地域の食品生産者を熱心に支援しており、同店のソーシャルメディア上で福島の食材の魅力を発信中だ。だが、ほとんどの時間はこの小さいながらも居心地の良いレストランの厨房で、福島を訪れた人が最後の一口を食べた後も忘れられないような、大胆で革新的なフランス料理を作っている。

震災復興をもっと掘り下げたいなら

  • Things to do

日本経済新聞社が発行する『Nikkei Asia』と、タイムアウト東京がコラボレーションした『UNLOCK THE REAL JAPAN』のウェブサイトが2021年2月24日(水)に更新した。これは、3月29日(月)発行予定の第3号に先がけて、6本の記事を公開したもの。

『UNLOCK THE REAL JAPAN』は、アジアで活躍するビジネスリーダーに向けて、旬のテーマと人にフォーカスした情報を発信する英語版のマガジンだ。先行公開する記事では、東日本大震災から10年目を迎えた今の姿と、復興の軌跡を地域の事例など3本の記事で紹介。ほかの3本は、温室効果ガス削減に向けて加速している日本のグリーン化を、インフォグラフィクスや、先進的な企業の試みなどからひもとく内容となっている。

  • アート

東日本大震災から10年がたとうとしている。 2011年3月11日、三陸沖を震源とした大地震と大津波が東日本を襲った。事故での犠牲者は2万人以上に上り、放射能汚染は人々の暮らしと故郷を根こそぎ奪っていってしまった。

ここでは、毎月福島に足を運び、災害の状況や被災地で暮らす人々の姿を撮影する石井麻木の写真展や、10年間で地震調査研究が明らかにしたこと、社会に与えた影響を科学的に調査した企画展など、3月から4月にかけてさまざまな場所で行われる展示を紹介する。

震災による教訓を未来へ伝えようという思いがこもった展覧会ばかりなので、10年というこの節目に振り返ってみてほしい。

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  • 映画

東日本大震災、そして福島第一原発事故から10年がたとうとしている。メディアでは東北の復興が伝えられ、福島県内の居住制限区域の解除やふるさとへ帰還する住民たちの姿を大きく報道してきた。しかし、2011年3月11日に発令された「原子力緊急事態宣言」はいまだに解除されていない。

復興は喜ばしいことだ。しかし避難生活を今も強いられている住民や、支援や保障の打ち切りのためやむを得ず帰還する人、放射能による子どもの健康被害などを懸念し帰還したくてもできない家族たちの存在は無視できない。また、福島第一原発の廃炉処理は難航しており、除染作業による放射性廃棄物や汚染水の処理問題といった課題も改善されないままとなっている。

一方、この10年間に原発事故によって多くの人が声を上げ行動してきたことも事実。ここでは、原子力発電や原発事故、そして放射能による被ばく問題についてもう一度考えさせてくれるドキュメンタリーを厳選して紹介する。

 

東北アップデート
  • トラベル

2011年3月11日、マグニチュード9.0の地震が太平洋沿岸を襲い、津波が村や町を押し流し、18000以上の命が奪われた。福島第一原発周辺では、何百何千もの人々が住む場所を追われた。今世紀に起こった地震でも5本の指に入る大震災は、同時に日本史上最も強い地震だった。3.11と呼ばれるこの大災害は東北地方に大打撃を与えた一方で、日本という国を超えて、新たなボランティアリズムの可能性を世界が目撃することとなった。

3ヶ月ごとに更新されるこの「東北アップデート」シリーズは、2013年秋より、復興の道のり、多様なボランティアによる活動、そして3.11以降に東北で起こった様々な構想や企画を紹介してきた。過去の記事を一覧にまとめたので、あの日から今日までの長い道のりをじっくりと確かめてほしい。

新しい旅行を体験したいなら

  • トラベル

タイムアウト東京は、KDDIと共に日本各地の魅力を発信する企画『マルチアングルトラベル』を2021年3月1日にリリースした。

『マルチアングルトラベル』とは、5Gの「マルチアングル映像」を活用しながら、日本各地を紹介していく映像企画。最大四つの映像を同時に、あるいはお気に入りの映像を切り替えながら楽しむことができ、複数アングルで撮影した動画を用いた同企画は、これまでになかった旅を提供するものだ。

第1弾の舞台は、石見神楽が根付く島根県石見地方。島根県西部の石見地方に伝わる石見神楽は、一年間の豊作や豊漁を祝う秋祭りの前夜祭として奉納されるもので、この土地に住む人にとっては、とても身近な伝統芸能である。

 

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