ビーフキッチンスタンド

東京、肉バル10選

うま味と脂身を堪能、なぜか力も湧いてくる不思議な業態、肉バル

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テキスト:浅野陽子(フードライター)

日本人の肉食熱が加速している。2013年頃から一気に認知度が高まった熟成肉をはじめ、インスタ映えする肉料理を表す「フォトジェ肉(にく)」や、肉好き女子の総称「肉女(ニクージョ)」など肉関連の新語も次々と誕生。ここ数年、日本列島の肉フィーバーはなかなか収まらない。

飲食業界では、10年前にはなかった肉バルという新業態が出現した。肉バルとは、生ハムや自家製パテ、ホルモン煮込み、肉寿司、牛や豚のグリルなど、肉尽くしのつまみとともに酒を提供する居酒屋のこと。バルの本家、スペインにあるような洋風のバーはもちろん、日本古来の大衆的な飲み屋まで、スタイルはさまざまだ。

疲れた体にハイボールやワインを流し込み、うま味と脂身が凝縮した肉メニューにかぶりつくとなんとも爽快な気分になる。また肉で元気が出るためか、肉バルでは客が飲みながら愚痴を言い合うような、ネガティブな光景を目にすることがない。いつどの店を訪れても、明るくエネルギッシュな空気に満ちているのが肉バルの良さだ。

気の合う仲間と盛り上がるもよし、一人で存分に肉を堪能するもよし。いろいろな楽しみ方ができる、都内の繁盛店10店を紹介する。

  • グリル
  • 恵比寿
ビストロ カルネージオ
ビストロ カルネージオ

恵比寿駅西口から徒歩3分、地下にある肉バル。店名のカルネは肉、シオは塩のことを指している。その通り「旨(うま)い肉を、焼いて塩で」がコンセプトだ。150グラムあるボリュームたっぷりの牛タンや、和牛のハラミ、テール、ランプ、イチボ(ランプの隣の牛の臀部)など、各部位をシンプルに炭火焼きにしたグリルと、それに合うワインをボトル一律2,800円で提供。肉の炭火焼きはどれも絶品だ。肉の脂の食感だけに頼らない、あっさりした赤身肉独特のうまみを堪能できる。肉料理のほか、『鶏レバーのパテ』『トリッパのトマト煮込み』『マッシュポテトのオーブン焼き』など、ワインが進む前菜メニューもそろう。 ほどよくガヤガヤとにぎわう雰囲気も居心地良く、気の置けない肉好きの友人と来るには最高の店だ。コストパフォーマンス抜群のワインにおいしい肉と前菜がぴったりで、ついどんどん注文を入れてしまいがち。飲み過ぎ、食べ過ぎには注意を。地下ながら全席喫煙可能なのが唯一惜しい点だが、とにかく人気店なので早めに予約を押さえておきたい。18〜19時台はすぐ埋まってしまうが、20時以降は日が迫っていても予約が取れる場合もある。

  • 池袋

池袋駅の南口の、閑静な住宅街の中に現れるスタイリッシュな肉バル。 インスタ映えする美しい『黒毛和牛の握り寿司』や、平皿に薄く盛り付けられた『名物!黒毛和牛ユッケ』が評判となって20〜30代の若い客層に圧倒的に支持され、駅から離れた立地ながら、人気店となっている。 オーナー厳選の上質な黒毛和牛を使用し、数時間かけてゆっくり低温で火を入れるため、まるで生の牛肉を食べているような、口の中でとろける食感がたまらない。 肉料理のほか、『生ハムマスカルポーネ』や『生マッシュルームのチーズかけ』など、フレッシュなチーズを使った料理も注文が多い。

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  • ビストロ
  • 恵比寿
カルネージオ イースト
カルネージオ イースト

恵比寿駅西口にある繁盛店、ビストロ カルネージオの2号店。1号店同様、大人気で『特選フィレステーキ』『和牛モモ炭火焼』『豚タン一本焼き』といった、ダイナミックかつうま味たっぷりの肉メニューを堪能できる。また肉だけでなく前菜もオリジナリティーがあり、とても美味。ピーマンの甘さが突出している『ぱりぱりピーマン』や、甘辛味の鶏ひき肉とクリームチーズ、ワサビの組み合わせが絶妙な『そぼろチーズ』など、酒が進んで困るメニューがそろう。 ボトルワイン各種を1本2,800円で飲めるのも1号店と同じだ。人気店なので、行きたい日が決まったら早めの予約を。1号店と両方覚えておけば、どちらかには入れる可能性が高い。21時以降は喫煙可能となるので注意。 

  • 中野
ツイテル
ツイテル

中野駅北口すぐ、アーケード先の脇道に入ったビルの2階にある肉バル。2011年に開業、熟成肉がほとんど知られていなかった時代からメニューに出した都内の肉バルの先駆け的存在だ。肉ブーム到来とともに繁盛店となった。 「ミートワンダーランド」というコンセプト通り、『名物!田舎風豚肉のパテ』『鶏レバームース』『肉食系シャルキュトリー盛合せ』『牛スジ赤ワイン煮込み 八丁味噌仕立て』といった前菜から、メインの『長期熟成アンガス牛の肩ロース 炭焼き』『大山鶏丸ごと1羽のロティサリーチキン』『本日の熟成肉の炭焼き』まで、あらゆる肉料理が食べられる。ドリンクはワイン、ハイボール、ビール、サングリアなどを肉と合わせて提供。どのメニューを食べてもおいしいが、やはり目玉の熟成肉は最高。脂身の乗ったジューシーな国産牛と、赤身中心で旨味の濃いアメリカ産牛を各種取りそろえるが(品種は日によって変動)、熟成肉独特の香りとコクのある味わいは非常に満足感がある。シンプルに炭火焼きした熟成肉をワサビ、塩、甘醤油で食べるメニューだ。 外国人観光客に注目され、飲食店も盛り上がる中野の街だが、地元の住民や会社員を中心に強く支持される地域の繁盛店だ。週末はファミリー客の利用も多い。

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  • ビストロ
  • 吉祥寺
大衆ビストロ 煮ジル 吉祥寺店
大衆ビストロ 煮ジル 吉祥寺店

吉祥寺駅南口すぐにある、肉のつまみが充実した大衆肉バル。生ビールやハイボール、1杯700円前後のグラスワインなどドリンクも各種取り揃えるが、目玉はワイングラスの底に枡(ます)を敷き、その枡にまでこぼれるほどのスパークリングワインを注ぐ『あふれスパークリングワイン』(500円)だ。 『牛バラ煮込みとフォアグラの玉子焼き』『お肉とパクチーたっぷり 煮ジルサラダ』などのオリジナリティのある小皿料理に、看板料理の『無菌豚肩ロースのコンフィロースト』『黒毛和牛「トウガラシ」のコンフィロースト』といったコンフィ(肉の煮込み)各種が食べられる。 おいしそうなメニューのネーミングと期待を裏切らない味、さらにリーズナブルな値付けで、一度来たらきっとハマってしまうだろう。合コンや気楽なデート、気のおけない仲間と訪れるのにぴったりの、吉祥寺の名店だ。 喫煙可能なのが唯一惜しいが、一部禁煙の個室があり、早い時間だと個室を利用するファミリー客の姿も見られる。

  • 韓国料理
  • 新宿
新宿 焼肉ブルズ
新宿 焼肉ブルズ

新宿駅西口から徒歩2分のビル4階にある。業態は焼き肉店だが新鮮な生肉や銘柄牛を使った肉寿司、和牛カルパッチョ、レバーステーキ、ローストビーフ丼などの前菜メニューが充実し、またワインとのペアリングを積極的に提案しているため肉バルとしても十分楽しめるだろう。生肉は新宿区の正式な認可を取得し、提供しているので安心して食べられる。肉寿司の『ゴールド盛り(階段6段盛り)や『プラチナ盛り』、ランチで大人気の『特選和牛のローストビーフ丼』といった目を引く盛り付けのものが多く、店を訪れた客のInstagramへの投稿も盛り上がっているが、味も確かだ。肉寿司や通常の焼肉メニューも、ひと口食べると肉の鮮度と味わい深さ、赤身の牛肉のうまさにも感激する。 赤身肉にぴったりのワインも各種そろえており、特にカリフォルニアワインの高級銘柄はこだわって完備している。赤身と赤ワインの秀逸のペアリングを、ぜひ楽しんでほしい。 

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  • 新宿三丁目
  • 価格 2/4

新宿三丁目駅すぐ近く、新宿マルイ アネックスの向かいのビルに入る肉バル。近未来の廃工場をイメージしたという、妖艶で不思議な空間からまず引き込まれる。 肉バルとして王道の牛肉や豚肉、ラムを使ったメニューももちろん食べられるが、ジビエのエゾシカ、イノシシ、ウズラ、ウサギ、そしてラクダやカンガルー、ダチョウ、ヒグマなどめずらしい肉も味わえるのが同店ならではの特徴だ。これらの肉を組み合わせ、シンプルに焼いたグリルで提供する『名物!グリル肉盛り(3種、5種、7種から選べる)』は、大好評。「こわごわ頼んでみたところ、臭みもなくおいしくて驚いた」という客の声も多い。 ディナーだけでなく、ランチでも『カンガルーステーキ』『ダチョウステーキ』『うさぎコンフィ』のような変わり肉メニューもオーダーできる。肉好きの興味をさらに一歩深める、都内でも貴重な肉バルだ。

  • 新宿
肉バル ビーフキッチンスタンド 歌舞伎町店
肉バル ビーフキッチンスタンド 歌舞伎町店

歌舞伎町にある大衆肉バル。ポテトサラダや鶏の唐揚げなどの定番の居酒屋メニューをはじめ、肉のアヒージョや『名物ビフテキ』『手ごねハンバーグ』『牛ハツのレアロースト』といった肉メインの料理まで、100~380円で提供するリーズナブルさが同店の目玉だ。 アルコール類も充実し、グラスになみなみと注ぐ名物の『こぼれワイン』をはじめ、ハイボール、ビール、日本酒、カクテル、ホッピーなども各種取りそろえ、500円前後で楽しめる。 カウンター席とテーブル席があり、内観はごくシンプルで豪華な造りではないが、グループでも一人でも、さくっと楽しく飲むにはぴったりの店。全席喫煙可能なので、禁煙者はその点だけ注意を。

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  • ビストロ
  • 有楽町
肉バルアンドワイン ランタン有楽町店
肉バルアンドワイン ランタン有楽町店

有楽町の高架下近くにある肉バル。外観はこぢんまりして、やや雑多な印象だが店の奥は広く、アジアのリゾートのようだ。天井や壁は植物や明かりのランタンで装飾され、白い天蓋(てんがい)付きの個室もあり、店に一歩入ると予想外のオリエンタルムードたっぷりの雰囲気に包まれる。 ランチは牛ハラミのステーキや焼きチーズカレーのメインに、お代わり自由のスープとソフトドリンクが付いたセットが食べられる。夜はハラミステーキや『岩中豚の肩ロース』『仔羊のチョップ』などの肉のグリル料理と、『牛すじのトマト煮込み』やアヒージョ、生ハムのような小皿メニューにビールやカクテル、ウィスキーを提供。ハラミステーキは、さっぱりして脂身に頼らない赤身のうまさが味わえる。 価格の高い駅近の有楽町エリアで、ランチは1,000円前後、夜も一人5,000円を切り、コストパフォーマンスの良さが際立つ。店の雰囲気の良さも合わせて20〜30代の客層に強く支持されている。女性の好みの内観だが、男性の2〜3人連れなど、男性のみのグループ客も多い。合コンや親しい仲間との飲み会にぴったりの店だ。 

  • 三鷹

中央線三鷹駅から徒歩5分、住宅街の中にあるハンバーグとステーキ、そしてワインが楽しめる肉バル、ニクータ(NICUTA)。 東日本大震災の起きた翌年の2012年に開業。銀座や渋谷などの繁華街でなく、あえて東京郊外の三鷹へ出店した理由は、オーナーシェフの感じた「震災後、多くの人が帰宅困難に見舞われた状況を見て、みんな会社の近くなど都心よりも地元に帰ってゆっくり飲みたいのでは」という読みからだという。 実際、震災後はそのニーズが高くあり、また開業から数年経つ現在は、地元の人に愛される店になった。 目玉は、なんと言っても高く盛り上がったボリュームたっぷりのハンバーグ。北海道産の牛肉100パーセントを使い、熱々の鉄板にのって提供される。ナイフを入れるとじわじわあふれ出す肉汁がたまらない。シェフは肉の取り扱いがうまく、牛ステーキも絶品。ワインと一緒に楽しんでほしい。 

ライタープロフィール

フードライター。食限定の取材歴20年、「dancyu」「おとなの週末」「ELLE a table(現・ELLE gourmet)」「AERA」「日経MJ」「近代食堂」など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材多数。テレビのグルメ番組への出演実績もある。「NIKKEI STYLE」(日本経済新聞社)の人気コーナー「話題のこの店この味」で毎月コラム連載中。

東京でさらに肉漬けに…

「焼肉」。これほどまでに心踊る単語はほかにあるだろうか。牛肉のセクシーな風貌、とろける食感、ジュワッと溢れ出る肉汁、奥深い肉本来の味わい、食欲をそそるタレ、どれを取っても気分が高揚する。しかし、肉を焼くステップが客の手に委ねられることが多い焼肉店は、ミシュランガイドに載ることはない。その一方で、グルメサイトのランキングや予約の取りづらさは、必ずしも「美味い」店の指標としては完璧ではない。ここでは、500店以上の焼肉店を食べ歩いた筆者が、有名店から新進気鋭の新店まで「本当に美味い焼肉店」を紹介する。

東京、美味い和牛を食わす店
東京、美味い和牛を食わす店

タイムアウト東京 > レストラン&カフェ > 東京、美味い和牛を食わす店 和牛について、牧場でのんびりしていて、マッサージを受けたり、ビールを飲んでクラシック音楽を聴いてると信じている人も海外には多いようだ。もちろんそれは和牛にまつわる都市伝説の1つに過ぎないが、確かに日本の牛たちはほとんど家族のように扱われており、単なる家畜とは異なるライフスタイルを送っている。より品質を高めるための取り組みもたくさん行われている。なぜ和牛がそこまで称賛されるのか。その本当の理由について、パークハイアット東京のシェフ、フェデリコ・ハインツマンと「和牛マスター」浜田寿人に聞いたので、あわせて読んでみてほしい。和牛について知識を身につけたら、その後は実践の時間。ここでは、しゃぶしゃぶ、焼肉、ステーキ、ハンバーガー、寿司またはホルモンのように、様々なかたちで和牛を味わえる最高のレストランも数多く紹介している。そう、和牛はどんな部位でも食べられるのだ。じっくりと和牛の美味を堪能してほしい。

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理由ははっきりとは分からないが、高田馬場にはとんかつ専門店が多い。もともと古くから営業を続ける店があることに加え、2010年にオープンした成蔵が行列店に成長したことから、老舗が集まる上野に次ぐ「とんかつの聖地」として、近年注目を集めている。他店との差別化を図るためか、どの店も実に個性豊か。贔屓(ひいき)の一軒を見つけて通い詰めるのも良いが、1人でふらっと立ち寄ってみたり、友人とコース料理を楽しんだり、シチュエーションに合わせて使い分けるのが良いのではないだろうか。行列店が多いのが難点だが、これだけ選択肢があれば食いっぱぐれることもないはず。とんかつが食べたくなったらひとまず高田馬場を目指そう。

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