東京、モクテルを楽しめる店10選

趣向を凝らした10のノンアルコールカクテル

作成者: Shiori Kotaki |
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テキスト:たまさぶろ

「クリエイティビティの幅をもっとも広げてくれるドリンク」。日本代表として、世界コンペティションにも出場経験のあるバーテンダーは、モクテルをそう表現する。「疑似の」という意味を持つ「モック(Mock)」と「カクテル(Cocktail)」から「モクテル(Mocktail)」と造語されたノンアルコールカクテルを指す言葉が、バー業界で流通し始めたのは2010年代に入ってから。アメリカからイギリス、またたく間に日本でも市民権を得た。今では、カクテルの潮流に敏感な東京のバーでも、メニューにその名を涼しく覗(のぞ)かせる。ただし、アルコールをベースとしないだけに、バーそれぞれの特色を生み出しにくいという難点も持ち合わせ、バーテンダーにとってもチャレンジングな一杯となっている。ここでは、創意を凝らしたモクテルをラインナップする東京のバー10軒に脚光を当てた。

バー

マスク

icon-location-pin 銀座

東京の中心、銀座四丁目からほんのわずかの位置にありながら、「隠れ家」の名をほしいままとしているレストランバーがこちら。そのエントランスは路面にありながら、気付かず通り過ぎてしまう来訪者もある。明るさを抑えた階段を下り、折り返すとシックかつエレガントなレストランが広がる。

せっかくモクテルをオーダーするなら、最深部のカウンターに向かいたい。バーテンダーとの会話を楽しめる特等席は、なにしろ6つしかない。

ノンアルコールなだけに、レシピがかぶりがちではあるが、「ほかでは絶対に飲めない」モクテルをサーブするのは、こちらのバーテンダーの気概から。常時6種類を用意するその1杯は、カクテルそのもののノンアルコール版を目指している。アルコール無しでも、創意を凝らすことで酒をのんでいるかのようなキックを効かせている。ノンアルコールなだけで終わらない、甘さ控えめの本物のモクテルをぜひ。

バー

ブルガリ イル・バール

icon-location-pin 銀座

世界でもっともバーがあふれている街は、銀座をおいてほかにあるまい。しかし、世界中から集まる人々の喧騒から逃れるに最適な1軒を尋ねられると、実はそう多くはない。

イタリアのジュエラー『ブルガリ』が提供するバーは、そんな人に勧めて恥ずかしくない1軒。中央通りから路地を入ると、隠れ家へと通じるエレベーターへの入口を見つけることができる。ひとたび、そこへと忍び込むと、世界都市 東京でも珍しい、イタリアンテイストのバーへと潜入することができる。

こちらで提供される1杯には、ほかではなかなか味わうことのできないイタリアの味覚が隠されている。イタリアから直接仕入れた素材を活かしたカクテルなど、東京でもなかなかお目にかかることはない。

ビバレッジマネージャーのピエトロ・ディディオは、「ノンアルコールは、なかなか理解されないが、とても大きなマーケット。非常に興味深いし、しかも(バーテンダーにとっても)ビッグチャレンジなんだ」とその真摯な姿勢を隠さない。ブルガリのアイデンティティは、ローマの伝統と切り離せない。そのアイデンティティを逃さず、常にトップカクテルを目指している東京の客を満足させるモクテルがここにある。

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バー, ホテルのバー

ピーター バー

icon-location-pin 日比谷

ラグジュアリーホテルのバーは、夜更けともなるとスタンディングで楽しむ客であふれるほど盛況を極めることが多い。そんな賑やかさの中でも「世界中でモクテルを飲み歩いている」と業界で囁かれるビバレッジマネージャー、鎌田真理によるモクテルの仕込みはそう単純ではない。

ノンアルコールカクテルのために仕込みをし、さらに1日冷蔵するなどの手間を惜しむことはない。アルコールを求める者にとって、モクテルは「ジュースに過ぎないのでは?」という疑念を抱かせるが、そんな固定概念を覆し、余りある凝りようがここには見られる。

ホテルのバーというロケーションから、車で立ち寄るなどでアルコールを飲まない客もあり、ノンアルコールを提供する機会はむしろ街場のバーよりも多いので、しっかりメニューにも記載している。「アルコールゼロのカクテルを作ることで、バーテンダーとしての幅が広がる」と語る鎌田は、全国モクテルコンペティションの優勝者であることも付け加えておこう。

レストラン, ティールーム

ヒガシヤギンザ

icon-location-pin 銀座

中目黒の目黒川沿いに、瀟洒な茶房&バーがオープンしたのは2003年のこと。2007年に閉店してしまい、その隠れ家を惜しむ人々も多かったが2009年、銀座の現在地に輪廻転生。女性客を中心に、かつてよりさらなる賑(にぎ)わいを見せている。

中目黒時代は、バーとして、そして茶房として利用されていたものの、現在はより「茶房」としての色合いが濃いため、今回のように「カクテル」という文脈で紹介されるのは珍しいだろう。しかし、日本のバー文化は茶道に通じると唱えるバーテンダーも少なくない事実を考えると、茶房で秀逸なカクテルティーを楽しめるのは、決して奇妙ではない。

おすすめは、いなり寿司や和菓子などを堪能できる和のアフタヌーンティー『茶間食』。茶は2種類選べるため、煎茶と炭酸が調和した『煎茶スパークリング』や、季節のブレンドティーとともに頂きたい。真夏の銀座で涼を得ようと考えるなら、ぜひ足を運びたい1軒だ。

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バー

バー井原

icon-location-pin 目白

目白は東京では珍しく、誘惑に負けた華美な変貌を遂げることもない、落ち着いた装いをまとう大人の街だ。それだけに、浮ついた夜のエンターテインメントもつけ入る隙はなく、腰を据え、バーでグラスを傾ける嗜(たしな)みこそが似合う。

そんな街で、旬のフルーツをシグネチャーカクテルとして提供しているのが、隠れ家的なこちらの1軒。フルーツのカットが売りなだけに、季節のそれをふんだんに使ったモクテルが生まれるのは自然な流れ。

成熟した大人の街だけに、バー使いも手慣れた客が多い。また、かなりの割合で目白住まいの人が足を運ぶためか、店の雰囲気も自ずと落ち着いている。場所柄、ディナー後や帰宅前にクールダウンという客が中心なだけに、モクテルのオーダーも、デザート感覚でフルーツを楽しむ手慣れた人が多いのが特徴とか。目白に立ち寄る機会があれば、ぜひ覚えておきたい1軒。2017年には、恵比寿に同名の姉妹店もオープンした。

バー

カメリア

icon-location-pin 丸の内

東京ステーションホテルに宿泊する機会はなくとも、東京駅で長距離列車を待つ間にぜひ活用したいのがこちら。世界のスピード化により、列車に乗り込むに旅情感が欠ける現代でも、ここではグラスを傾けていると旅の気分がもたげて来るから不思議だ。

カメリアは、ホテルが戦後再開業した1951年にオープン。カウンターに座ると、バックバーに据えられたホテルのサインが視界に入る。こちらは、当時のオリジナルだとか。あまり告知してしまうとその役割が薄れてしまうのだが、店内にかかった時計は5分進んでいる。客が列車に遅れないよう工夫された配慮だ。

こちらで提供されるモクテルも、そうした創意工夫に満ちている。モクテル用に準備された素材には、ホテルの総料理長がひと手間を加えた逸品まで用意される。ランチ時から営業しているので、モクテルを嗜(たしな)みながら、バーの醍醐味を得とお楽しみ頂きたい。

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レストラン

ザ・ラウンジ バイ アマン

icon-location-pin 大手町

暮らしなれた東京という大都会で非日常感を味わいたいなら、こちらのバーラウンジを忘れてはならない。晴れた日には、目前に広がる皇居の緑が目に映える。11時からの営業だが、営業開始時間に関わらず、早朝から景色を見に訪れる宿泊ゲストもあるというのは頷(うなず)ける。

ラウンジとして80席。混み合う際は、ロビーまで含め開放感あふれる133席が利用可能ながら、カウンターは11席のみという特等席だ。世界に小規模でラグジュアリーなリゾートを展開するアマンの初の都市型ホテルであり、デザインのコンセプトは「日本の伝統建築」。インテリアに溶け込んだピラーには玄武岩を用い、プリミティブさをアピールするため、ポリッシュ加工を施さず、自然との共存を謳(うた)っている。

17時まではアフタヌーンティーが人気だが、17時から20時までは『SUN DOWNERS』サービスが敷かれ、人気カクテルにアミューズが付くというお得さ。アルコールを摂取し、頭を鈍らせたくない…...という時に、こちらのモクテル『ヴァージン紫藤モヒート』を求めてはどうだろう。日本らしいラムネを使った爽快感あふれる1杯は、窓の外に広がる都心のグリーンを愛でるにも最適だ。

バー

アイアンフェアリーズ 銀座

icon-location-pin 新橋

「世界の銀座」と言うと、どうしても本格的なオーセンティックバーをイメージしがちだ。しかし、そんな街の懐の深さ、奥行きを感じさせるのが、こんな妖艶なインテリアを構えた1軒だ。

オーストラリアの童話が下地となっている「鉄の妖精」の店名の通り、鉄で模られた妖精たちが、店内のそこかしこに潜んでいる。インテリアは、オーストラリアの炭鉱夫の手によるという。その妖艶さゆえか、中には妖精を連れて帰ってしまう不届きな客もいるというので、自重してもらいたい。ちなみに、同じ名前の店がバンコクと香港にも展開されている。

ユニークなのは、インテリアだけではない。創意あふれるモクテルは、ノンアルコールを感じさせないパンチを隠し持っている。2018年4月より、ランチ営業も開始。そんな中、インスタなどで人気を呼んでいるのが、わたあめを使ったモクテルだ。昼のみの限定なので、ユニークな1杯にありつきたい方は、ぜひ明るい時間に訪れてもらいたい。

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バー

数寄屋橋茶房

icon-location-pin 銀座

有楽町をあまり訪ねない人にとって、数寄屋橋交差点のすぐ真上に、これほどゆったりと時間を過ごす空間が広がっている事実を想像するのは難しいかもしれない。

都心のど真ん中に27メートルの吹き抜けを擁し、江戸切子をモチーフにした巨大ランタンを林立させ、初めて訪れる者を圧倒する印象的なインテリア。そんな広々とした空間で、持て余した時間を優雅にやり過ごすことができるとは、なんと贅沢だろうか。吹き抜けスペースそのものは、和をテーマとしたこの茶房に踏み入れずとも体験できるが、せっかくならば意匠を凝らしたモクテルを味わい、その醍醐味を堪能することを勧めたい。

バーという営業形態に親しみがない人にとっても、カジュアルな茶房だけに臆することはない。女性客が中心という客層も、初めてのモクテル体験者にとって敷居は低いだろう。開放感あふれる大きなウィンドウから日本でもっとも有名な交差点を眺め、有楽町での時間をのんびり過ごしたい。

バー

バー松下

icon-location-pin 恵比寿

恵比寿が「お洒落な街」として認知されるようになったのは、恵比寿ガーデンプレイスの誕生によるところが大きいだろう。バー松下は、その完成の翌1995年に産声を上げ、すっかり老舗となった。2011年に現在地に移転。そもそもの成り立ちは、寿司屋のウェイティングバーだったという。

恵比寿という場所柄、女性同士の客が多いということで、旬のフルーツを意識して用意。ともするとモクテルは、アルコールを使用していないので廉価だと思われがちだが、選びぬかれたフレッシュなフルーツをふんだんに使用するので、その価値を低く見積もられるのはバーからすると心外だろう。恵比寿の隠れ家として、扉を開くに臆しがちだが、使い勝手の良い1軒として、バービギナーにも勧めたい。

Tamasaburau

たまさぶろ

1965年、東京都渋谷区出身。千葉県立四街道高等学校、立教大学文学部英米文学科卒。『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後に渡米。ニューヨーク大学およびニューヨーク市立大学にてジャーナリズム、創作を学ぶ。このころからフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社にてChief Director of Sportsとしての勤務などを経て、帰国。『月刊プレイボーイ』『男の隠れ家』などへの寄稿を含め、これまでに訪れたことのあるバーは日本だけで1500軒超。2010年、バーの悪口を書くために名乗ったハンドルネームにて初の単著『【東京】ゆとりを愉しむ至福のBAR』(東京書籍)を上梓、BAR評論家を名乗る。著書に、女性バーテンダー讃歌『麗しきバーテンダーたち』、米同時多発テロ前のニューヨークを題材としたエッセイ『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』。「あんたは酒を呑まなかったら蔵が建つ」と親に言わしめるほどの「スカポンタン」。MLB日本語公式サイトのプロデューサー、東京マラソン初代広報ディレクターを務めるなどスポーツ・ビジネス界でも活動する。

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