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テキスト:Akiko Mori
100年以上続く伝統のちゃんこ鍋を味わいながら、日本文化としての相撲を知り、本物の力士の技を目の前で味わい、相撲を体験する――そんな夢のような時間が、両国で味わえる。
2025年6月11日にオープンした「相撲ランド」は、相撲の迫力と魅力を「体験」で伝えながら、ちゃんこ鍋を味わえる新感覚のエンターテインメントレストラン施設だ。テーマは「日本が誇る相撲を正しく、楽しく、真剣に届ける」。元幕内力士による迫力のある取組と観客参加型の体験プログラムが組み合わさり、2時間があっという間に過ぎていく。本記事では、そんな同店の魅力を伝える。
土俵入りする迫力の力士たち
客席に囲まれた土俵の真ん中には、盛り砂と紙垂(しで)が静かなたたずまいを見せる。司会者が登場し、ショーの始まりが告げられると、相撲が神事としてのルーツを持つことを紹介するオープニングビデオが流れる。

続いて、鮮やかな化粧まわしを着けた力士が土俵入り。元小結の千代大龍も、堂々の姿を見せつける。

「わっしょい!」で始まる餅つき体験
そこから一気に雰囲気が変わるのが、餅つきパフォーマンス。「わっしょい!」の掛け声とともに場内が一体となり、希望者はきねを振るって石臼の餅をつくことができる。笑顔が広がり、会場が緩む。 子ども用の小さなきねも用意されており、ついた餅はデザートとして最後に振る舞われる。

元幕内力士の想いとチームの挑戦
相撲ランドを運営する一人、元幕内力士の照強(てるつよし)は、引退後に格闘技の世界へ身を投じたが、トレーナーとして出会った井上雄策と意気投合。両国育ちで相撲が大好きだった井上ほか、4人のメンバーでこの店を立ち上げた。「日本が誇る相撲という文化を知ってもらいたい、場所も相撲の聖地両国にこだわりたい」。その思いが通じたのか、「やろう!」と決めたその日に、今の物件と奇跡的に出合えたという。

そんな4人がこだわるのは、本物の相撲を届けること。「相撲の迫力、技の意味、神聖さをちゃんと伝えたい」と、基本のすり足、四股、ぶつかり稽古なども目の前で見せていく。

さらに、「押し出し」「突き出し」「上手投げ」など、技の解説を交えた実演の後には、観客がそれらを体験できる時間も用意。外国人観光客も裸足で土俵に立ち、見よう見まねで体を動かす。

参加者が力士を押し出そうとしてもびくともしない。笑いと驚きが同時に生まれる瞬間だ。

技の実演と笑いの「着ぐるみ対決」
そして、クライマックスとなる真剣勝負の取組が始まった。力士たちの気合、ぶつかり合う音、息をのむ観客。「見せる」ではなく「見せつける」ほどの迫力に、会場は思わず静まり返る。

その余韻が残る中、相撲の着ぐるみを着た客との対戦企画が始まる。中には、上半身裸になってまわしを締めたいというリクエストもあるそうで、その準備も万全だ。

取締役の一人、井上はこう語る。「中には泣いて喜んでくださるお客さまもいます。お誕生日だったお客さまにケーキを買ってきてお祝いしたことも。相撲の聖地・両国を盛り上げていくのも、僕たちの役割だと思っています」
「自分ごととして感じる相撲」に出合える場所
照強はオープン以来ずっと、朝から相撲部屋直伝のちゃんこ鍋を仕込み、1日3回のパフォーマンスも務めている。最後に客一人一人に握手をする姿は、「心技体」の相撲を静かに伝える。

観客の約9割は、海外からの観光客。英語対応も万全で、旅行予約サイト「GetYourGuide」では4.9の高評価を獲得している。ハワイから訪れたという男性は「力士が本当に強かった! 子どもも大喜びでした」と笑顔を見せた。

土俵の砂の感触、声を張る自分の声、そして力士たちのまなざし。SUMOLANDは、観て終わるだけの相撲ではなく、「自分ごととして感じる相撲」に出合える場所だ。

公演は1日3回、2時間の入れ替え制。ちゃんこ鍋を含む食事、餅つきや相撲体験、記念撮影と記念品が付いて、スタンダード席は1万6,000円、2〜12歳が1万2,000円、ボックス席は6人で10万円(全て税込み)だ。予約は公式ウェブサイトからで、開演の1時間前まで予約できる。
次世代の相撲体験施設へと、足を運んでほしい。
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