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坂本龍一プレミアム・コレクションや年越しオールナイトなど注目上映を紹介

気がつけば早いもので、2025年が終わろうとしている。この時期になると過ぎ去りし一年を振り返り、今年は何もできなかったと嘆息をはく人もあろうが、そんな人に勧めたいのが年末年始、東京各地の映画館で行われる特集上映である。
ここでは、12月27日から1月8日ごろまで実施する、ヘヴィでダーティーなカルトムービーのオールナイト上映から、映画史に残る超傑作群のリバイバル、惜しくも閉館する「新宿シネマカリテ」を振り返る懐古上映まで、あらゆる映画館で催される数多の企画のラインアップは、いずれも興味深く、滋味深いこと請け合いである。
これらの企画で、旧年をいい調子で締めくくり、また、新年をいい調子で寿いでほしい。
109シネマズプレミアム新宿:『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』
「109シネマズプレミアム新宿」では、全シアターの音響を監修した坂本龍一の関連作および推薦作を上映する『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』の第5弾が開催中だ。
年末年始の上映作品で注目したいのは、『戦場のメリークリスマス』(2026年1月1日(木・祝)まで上映)。1942年のジャワ島を舞台に、日本軍とイギリス人捕虜の愛憎入り乱れた魂の交感を描いた異形の戦争映画。デヴィッド・ボウイ&ビートたけし&坂本龍一というキャスティングはもはや伝説だが、内田裕也&ジョニー大倉&三上寛というサブキャストも相当すごい。
本作は、制作過程や現場など内幕のおもしろさが映画本体を上回っているとすら思う(たけしのANNのラロトンガ島生放送など)。はっきり言って難解、というか何がなんだかよくわからない映画なのだが、基本大根なのにここぞというシーンで神がかり的名演を見せるビートたけしの存在感や、坂本の素晴らしい劇伴などによって、「ものすごく良い映画を観た」という気にさせられる。
新宿シネマート:『年越しオールナイト上映 陰鬱暴走・正面衝突』
「シネマート新宿」では、2025年12月31日(水)から1月1日にオールナイト上映を実施。「陰鬱暴走・正面衝突」と題した本企画では 『ダーティハンター』や『危険な来訪者』『ワンス・ウォリアーズ』など、思わず目を背けたくなるような陰惨な映画をラインアップする。
その中でも注目したいのは、『マッド・ドッグ・モーガン』。『イージー★ライダー』で大成功を収めながらも『ラストムービー』での大失脚によってハリウッドで完全に干され退廃を極めていたデニス・ホッパーが、『ラストエンペラー』などで知られる名プロデューサーのジェレミー・トーマスとタッグを組んだ映画で、本企画が日本初上映となる幻の作品だ。
1970年代のホッパーがいかにヤバかったかを痛感できる、貴重な映画である。めでたい時節にあえてこういう映画をオールナイトで観るというのは、あらゆる意味で思い出深い経験になるに違いない。新年早々、息も絶え絶えで映画館を出たときに浴びる初日の出は、きっとあなたの心を浄化するだろう。
早稲田松竹:『成瀬巳喜男特集』
「早稲田松竹」では、12月27日(土)〜1月2日(金)『成瀬巳喜男特集』が開催。小津安二郎、溝口健二、黒澤明に続く「第4の巨匠」と称され、エドワード・ヤンやレオス・カラックスにも多大な影響を与えた成瀬。特集では珠玉のメロドラマ群がラインアップし、『妻』『あらくれ』『女の歴史』などの名作が上映される。
注目は12月30日(火)と31日(水)に上映される『乱れる』。戦死した夫が遺した酒屋を健気に切り盛りする女性と、毎日ブラブラ遊び歩いている夫の弟がひかれ合うという、一見するといかにもありがちなストーリーが、禁欲的な展開や無駄を排した演出によって類例のない至高の恋愛映画となっている。
何より主演の高峰秀子と加山雄三の演技が素晴らしく、エンディングも衝撃的。年末にふさわしい深い余韻を残す一本である。
新文芸坐:『新春名作パレード2026』
「新文芸坐」では、1月1日~9日(金)『新春名作パレード2026』を開催。『ゴッドファーザー』や『さらば、わが愛/覇王別姫』『仁義なき戦い』など不朽の超傑作を揃えた、新年にふさわしい絢爛な企画である。
注目は『地獄の黙示録 ファイナル・カット』(1月4日(日)、5日(月)、8日(木)に上映)。主人公の軍人が、ジャングル奥地で軍記を無視し自らの王国を築き上げているカーツ大佐を暗殺する特殊任務に挑むという、内容も舞台裏もすべてが狂気にまみれた異形の傑作戦争映画『地獄の黙示録』をフランシス・フォード・コッポラが再編集しデジタル修復を施したバージョンである。
スタッフもキャストも現場でしこたまドラッグをやりまくっていただとか不穏な逸話が山ほどある映画で、常軌を逸したエネルギーあふれる本作をスクリーンで鑑賞するのは、おのずと新年への気合に繋がるに違いない。
新宿シネマカリテ:『カリテ メモリアルセレクション』
惜しくも1月12日をもって閉館する「新宿シネマカリテ」では、12月26日(金)~1月12日(月・祝)『カリテ メモリアルセレクション』を開催。感謝の気持ちを込めて、歴代上映作の中から選りすぐりの映画をセレクトして贈る上映企画だ。
シネマカリテ歴代興行収入首位の『君の名前で僕を呼んで』や、歴代最長上映となった『ナミビアの砂漠』など、ファンには思い出深い作品が多くラインアップされているが、本稿で推したいのは12月31日(水)と1月6日(火)に上映する『ブリグズビー・ベア』だ。
狂った夫婦によって幼少期に拉致監禁され、夫婦が制作していた教育番組『ブリグズビー・ベア』だけを観せられて育った青年が、映画制作に挑むという一風変わったコメディーで、とにかく全編にわたってハートフルなユーモアと映画愛があふれている。本作を鑑賞するのはきっと特別な思い出になることだろう。
全国各地の映画館:『「国宝」特別上映』
2025年に、社会現象レベルの大ヒットを飛ばした映画『国宝』。任侠一家に生まれた少年が上方歌舞伎の名門に引き取られ、ライバルとともに切磋琢磨し、芸を極めて人間国宝を目指すという激熱人間ドラマ超大作だが、来る大晦日、この傑作名画の特別上映が「歌舞伎座」で行われる。
それにあわせて、李相日監督を筆頭に、吉沢亮、横浜流星、寺島しのぶなどメインキャストの登壇を生中継する上映企画が、全国各地の映画館で開催決定した。まさに本年を締めくくるにふさわしい一大イベント、まだ観ていないという人も百回観たという人も、劇場に足を運び、めでたい新年を迎えてほしい。
生中継付き上映は「TOHOシネマズ」「グランドシネマサンシャイン池袋」などで開催。また生中継付きの上映会のチケットは12月26日(金) から順次販売中。
なお、東京の主要な映画館チェーン(TOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマ、イオンシネマなど)は、年末年始も営業しているところが多いので、アクティブに正月休みを過ごしたい人はぜひ足を運んでほしい。インドア派はこの冬に観たい映画特集をチェックしよう。
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